上 下
20 / 33

機神運転教習中…… ウィリアムの初遭遇!?

しおりを挟む
「此処ならば…… 周囲を山脈に囲まれているので、他国の軍隊も容易には来れないはずです」

高い山脈に囲まれ…… 忘れ去れた様な小さな盆地に、ジン達が降り立つ。

「さて、誰から乗る?」

「俺だ!」「私!」

ほぼ同時くらいに、ウィリアムとドワーフの少女が手を上げた。

「一緒に乗り込んで、操作方を教えるから…… 同時には無理だ」

「しょうがない…… 譲るから、アッチのも乗り比べさせてくれ」

ウィリアムは、クラフタリア製の機神を指差す。

「見た感じ…… コイツとタイプが真逆だからな」

「あんなガリガリと、じい様のでーじーを一緒にするな!」

「うん? DGって、言うのか?」

「そうだ! じい様のでーじーは、強いんだぞ!」

「「「「そうだ!そうだ!」」」」

「あ~…… 開発者の関係者か? 別に悪いと言った訳じゃないんだ。確かに、DGの方が力は強そうだが…… アッチの方が速そうだろう? 俺は、速い奴に乗り慣れてるからな……」

ウィリアムが助けを求める様に、ジンの方を見る。

「そうだなぁ…… 例えるなら、騎士と斥候…… 戦い方の好みの問題だろうな。だから、そう怒るなよ」

「う~ん…… 敵は、力で叩き潰すのが…… 戦いじゃないのか?」

「敵の攻撃は? 避けんのか?」

「そんなの、力で踏ん張れば良いんだろう?」

「マジかよ……」

ウィリアムが信じられないと、ドワーフの少女を見てから…… ジンの方を見る。

「種族の問題かもな…… この娘は、ドワーフらしいから」

「ふん♪」

腰に手を当てて、ドワーフの少女が胸を張る。

「ドワーフ…… やはり、異世界なんだな」

「時間もないから、さっさと練習するぞ」

「はぁい!」

異世界を実感するウィリアムを余所に、ジンとドワーフの少女がDGに乗り込む……

 ・
 ・
 ・

「……で、どうです?」

「ジェフか? 感想から言えば…… DGは戦車だな」

「戦車ですか?」

ジェフの言葉に、2機を乗り比べたウィリアムが軍人的な感想で答える。

「あの重装甲にパワー…… まさに移動砲台の二足歩行型戦車だな。移動速度だけなら…… 俺は、クラフタリア?製の方が良い」

「ウィリアムの言う通りだ」

「ジンさん?」

「DGのコックピットを調べたら、5人の座席があった…… アレは、俺の世界の戦車に近い。きっと、ロングレンジの砲撃ユニットを搭載する予定だったな」

デットラインよりも一回り大きなDGは…… コックピットに複数座席が収納されていて、まるで戦車の戦主長と操戦手と砲撃手に通信士、装填手が乗り込む様な作りだった。

「動かすだけなら、操戦手だけで足りるが…… じい様は、自分が死んだ後を考えていたな…… 子供等だけでも、協力すれば動かせる様に細工していた様だ」

すっかり操作に慣れたのか? チビッ子達だけの操作で、DGがランニングしていた。

「すごいですね……」

「元戦闘機乗りの俺には、ちょっと複座席は慣れないからなぁ…… 乗るなら、アッチになるが…… 速度以外はガタガタなんだよなぁ……」

「急造の試作品みたいだな? 足回りの補強するか…… バラして、自作品のパーツにしたらどうだ?」

「その場合は…… パーツが足りなくないですか?」

「足回りを補強するにしてもな」

「どちらにしても、とうぶんは無理か…… うん?」

ぼやく様に呟くウィリアムが、何の見る様に目を細める。

「どうした?」

「いや…… 土煙が…… 何だ?」

『魔物だ! 魔物が出た!!』

DGからチビッ子達の声が響く!

「チィ、そっちの警戒を忘れていたぜ…… ウィリアム、どうする気だ?」

「ガキだけに任せられるかよ! あっちの機体で出るぜ!」

クラフタリア製の機神に、ウィリアムが飛び乗ると……

「うわあ!?」「ぐう!?」

けたたましい金属音が響いた!

『きゃあ!?』『ひぃ!?』『くっ!?』『うわぁ~!?』

『この…… えっ、ちょっ、メタルゴーレム!?』

金属が擦れ合う音を響かせて、DGと取っ組み合う魔物は、鉛色に光る岩石をDGと同じサイズの人型にした様な…… 巨大な金属ゴーレムだった。

『加勢するぞ!』

ウィリアムのが乗る機体が右腕部を振りかぶり、ゴーレムを殴り付けるが…… ゴッギャーン!?

『なあ!?』

ゴーレムを殴ったクラフタリア製の機神の右腕部は…… 拳がひしゃげ、肩のシャフトからへし折れてぶら下がる。

『脆過ぎんだろうが……』

殴った反動で崩れたバランスを立て直しながら、ウィリアムが焦る!

『やっぱり…… 気を付けて! このゴーレムは、レア金属の集合体だよお!?』

焦るチビッ子達とウィリアムが見たのは……

『お疲れさん』

レアメタルゴーレムの首に、電磁ナイフを突き立るデットラインの姿だった。

「す…… すごい!」

「これは良い物だよ!」

ドワーフのチビッ子二人は、倒したレア種のメタルゴーレムに……

「これで……」「私達は」「「10年戦える~♪」」

狂喜乱舞するのだった。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

INNER NAUTS(インナーノーツ) 〜精神と異界の航海者〜

SunYoh
SF
ーー22世紀半ばーー 魂の源とされる精神世界「インナースペース」……その次元から無尽蔵のエネルギーを得ることを可能にした代償に、さまざまな災害や心身への未知の脅威が発生していた。 「インナーノーツ」は、時空を超越する船<アマテラス>を駆り、脅威の解消に「インナースペース」へ挑む。 <第一章 「誘い」> 粗筋 余剰次元活動艇<アマテラス>の最終試験となった有人起動試験は、原因不明のトラブルに見舞われ、中断を余儀なくされたが、同じ頃、「インナーノーツ」が所属する研究機関で保護していた少女「亜夢」にもまた異変が起こっていた……5年もの間、眠り続けていた彼女の深層無意識の中で何かが目覚めようとしている。 「インナースペース」のエネルギーを解放する特異な能力を秘めた亜夢の目覚めは、即ち、「インナースペース」のみならず、物質世界である「現象界(この世)」にも甚大な被害をもたらす可能性がある。 ーー亜夢が目覚める前に、この脅威を解消するーー 「インナーノーツ」は、この使命を胸に<アマテラス>を駆り、未知なる世界「インナースペース」へと旅立つ! そこで彼らを待ち受けていたものとは…… ※この物語はフィクションです。実際の国や団体などとは関係ありません。 ※SFジャンルですが殆ど空想科学です。 ※セルフレイティングに関して、若干抵触する可能性がある表現が含まれます。 ※「小説家になろう」、「ノベルアップ+」でも連載中 ※スピリチュアル系の内容を含みますが、特定の宗教団体等とは一切関係無く、布教、勧誘等を目的とした作品ではありません。

幻想遊撃隊ブレイド・ダンサーズ

黒陽 光
SF
 その日、1973年のある日。空から降りてきたのは神の祝福などではなく、終わりのない戦いをもたらす招かれざる来訪者だった。  現れた地球外の不明生命体、"幻魔"と名付けられた異形の怪異たちは地球上の六ヶ所へ巣を落着させ、幻基巣と呼ばれるそこから無尽蔵に湧き出て地球人類に対しての侵略行動を開始した。コミュニケーションを取ることすら叶わぬ異形を相手に、人類は嘗てない絶滅戦争へと否応なく突入していくこととなる。  そんな中、人類は全高8mの人型機動兵器、T.A.M.S(タムス)の開発に成功。遂に人類は幻魔と対等に渡り合えるようにはなったものの、しかし戦いは膠着状態に陥り。四十年あまりの長きに渡り続く戦いは、しかし未だにその終わりが見えないでいた。  ――――これは、絶望に抗う少年少女たちの物語。多くの犠牲を払い、それでも生きて。いなくなってしまった愛しい者たちの遺した想いを道標とし、抗い続ける少年少女たちの物語だ。 表紙は頂き物です、ありがとうございます。 ※カクヨムさんでも重複掲載始めました。

入れ替われるイメクラ

廣瀬純一
SF
男女の体が入れ替わるイメクラの話

市場開放

空川億里
SF
 22世紀。渡米した日本の総理はアメリカの大統領から、ある物を買うよう迫られる!

いつか日本人(ぼく)が地球を救う

多比良栄一
SF
この小説にはある仕掛けがある。 読者はこの物語を読み進めると、この作品自体に仕掛けられた「前代未聞」のアイデアを知ることになる。 それは日本のアニメやマンガへ注がれるオマージュ。 2次創作ではない、ある種の入れ子構造になったメタ・フィクション。 誰もがきいたことがある人物による、誰もみたことがない物語がいま幕を開ける。 すべてのアニメファンに告ぐ!! 。隠された謎を見抜けるか!!。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 25世紀後半 地球を襲った亜獣と呼ばれる怪獣たちに、デミリアンと呼ばれる生命体に搭乗して戦う日本人少年ヤマトタケル。なぜか日本人にしか操縦ができないこの兵器に乗る者には、同時に、人類を滅ぼすと言われる「四解文書」と呼ばれる極秘文書も受け継がされた。 もしこれを人々が知れば、世界は「憤怒」し、「恐怖」し、「絶望」し、そして「発狂」する。 かつてそれを聞いた法皇がショック死したほどの四つの「真理」。 世界でたった一人、人類を救えも、滅ぼしもできる、両方の力を手に入れた日本人少年ヤマトタケル。 彼は、世界100億人全員から、救いを求められ、忌み嫌われ、そして恐れられる存在になった。 だが彼には使命があった。たとえ人類の半分の人々を犠牲にしても残り11体の亜獣を殲滅すること、そして「四解文書」の謎を誰にも知られずに永遠に葬ることだった。

―異質― 邂逅の編/日本国の〝隊〟、その異世界を巡る叙事詩――《第一部完結》

EPIC
SF
日本国の混成1個中隊、そして超常的存在。異世界へ―― とある別の歴史を歩んだ世界。 その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。 第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる―― 日本国陸隊の有事官、――〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟。 歪で醜く禍々しい容姿と、常識外れの身体能力、そしてスタンスを持つ、隊員として非常に異質な存在である彼。 そんな隊員である制刻は、陸隊の行う大規模な演習に参加中であったが、その最中に取った一時的な休眠の途中で、不可解な空間へと導かれる。そして、そこで会った作業服と白衣姿の謎の人物からこう告げられた。 「異なる世界から我々の世界に、殴り込みを掛けようとしている奴らがいる。先手を打ちその世界に踏み込み、この企みを潰せ」――と。 そして再び目を覚ました時、制刻は――そして制刻の所属する普通科小隊を始めとする、各職種混成の約一個中隊は。剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する未知の世界へと降り立っていた――。 制刻を始めとする異質な隊員等。 そして問題部隊、〝第54普通科連隊〟を始めとする各部隊。 元居た世界の常識が通用しないその異世界を、それを越える常識外れな存在が、掻き乱し始める。 〇案内と注意 1) このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。 2) 部隊規模(始めは中隊規模)での転移物となります。 3) チャプター3くらいまでは単一事件をいくつか描き、チャプター4くらいから単一事件を混ぜつつ、一つの大筋にだんだん乗っていく流れになっています。 4) 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。ぶっ飛んでます。かなりなんでも有りです。 5) 小説家になろう、カクヨムにてすでに投稿済のものになりますが、そちらより一話当たり分量を多くして話数を減らす整理のし直しを行っています。

シーフードミックス

黒はんぺん
SF
ある日あたしはロブスターそっくりの宇宙人と出会いました。出会ったその日にハンバーガーショップで話し込んでしまいました。 以前からあたしに憑依する何者かがいたけれど、それは宇宙人さんとは無関係らしい。でも、その何者かさんはあたしに警告するために、とうとうあたしの内宇宙に乗り込んできたの。 ちょっとびっくりだけど、あたしの内宇宙には天の川銀河やアンドロメダ銀河があります。よかったら見物してってね。 内なる宇宙にもあたしの住むご町内にも、未知の生命体があふれてる。遭遇の日々ですね。

処理中です...