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夢忘れ編
飛び入り参加と名采配
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【大広間】
有栖とモルガーナが提供した食事を済ませる頃だった一同。その時、最古の魔女シャオシュウがナイフを置き、現魔王メイビー様にマナティート地方への増援を求めた
「申し上げにくいのですが…マナティート地方の我が軍は現在…人属側に押されておりまして…かなり手酷い損害を出してしまい、アレクス城からの増援をお願いしたいのですじゃ…」
「そうなのですか!?…伝え聞いていた最近の話だと…人属側の居城を陥落したので、むしろ魔族側が有利になったと聞いていたのだけれど?」
自分の足で直接見に行った訳ではないが、フュールは魔王直属の魔女。世界の情勢を把握する為に時折、世界各地に部下を送り込んで調べさせている
「そうなのじゃ…居城を失ったヤツらは、使われずに放置されておった砦へと逃げ込んだ。時期にワシらの勝利になるのは間違いない!と踏んでいたのじゃが…」
「ま~さか、ヤツらが逃げ込んだその砦がよりにもよって、古代人の手で作られた物であった物とはぁ…流石に予想も出来ませんでしたなぁ(笑)」
敵の居城を落としておきながら、勝利を掴めなかった言い訳をする事に心苦しさを噛み締めて話す、シャオシュウの表情を見たディー・アモンが、同期のよしみなのか?かつての淡い想いがそうさせたのか?取り敢えず、その古い砦が普通の物ではないと言葉を添えた
「古代人が造りし砦か…厄介だな…」
「アレクスよ。その古代人が造った砦とやらは、そんなに厄介な物なのか?頑丈な砦なんぞ、今のワラワの一撃でも粉砕出来ん物なのか?」
先のマリニウムでの謀反騒動でも使われた古代人が造りし古代兵器は、戦局を大きく揺るがす程の存在を示していた。ソレを持つ者と何度か対峙した事のあるアレクスは、その威力のほどをよく知っているので険しい表情になったが…生まれてまだ2年でしかないメイビーは認知していなかった
「メイビー様。古代人が造りし手の平サイズの賢者の石と呼ばれた魔道具は、かつての古代人が地球からこの星に到達するまで5000年を必要とした距離を、僅か数分で移動させるチカラを魅せました」
「(´º ◽︎º`)なにぃ!?長生きで有名なエルフ族でも、1000年生きれば長い方だと聞いたことがあるが…その5人分とな!?」
人属よりも遥かに寿命が長い魔族でも、大体は数百年の寿命である。それよりも長く生きるエルフでさえも、5人は生涯を捧げる必要がある事に驚くメイビー様
「そんなにも離れた地への移動を、僅か数分で可能にする魔道具か……ワラワも興味を覚えてしまうぞ…」
しかも、そんな距離を僅か数分で移動させる手の平サイズのアイテムを造った古代人に、脅威を覚えるメイビー様
「それに、去年起きたマリニウムでの超巨大少女による騒動でも使われた魔装兵器は、この星で頂点を極める為に同じ古代人によって生み出された超人類を、2体も撃破したと聞いています。そんな彼らが造った砦となると、攻略は困難を極めると予想されます」
「ぬぬぬ…ならば最古の魔女シャオシュウを要するファスク家が、未だに勝利を得られぬのも仕方なしと言うところか…うむぅ…」
今日の午前中まで1歳児の姿で赤子ライフを満喫していたメイビーにとって、今回の支援要請に至る話の内容は既に彼女の理解のキャパを超えていた
「…であるならばメイビー様。ちょうど都合良くこの場に居合わせている猛者達から、選抜した数名を向かわせるのは如何でしょうか?」
「そうよね。マナティート地方は、四方を厳しい自然環境に囲まれた地。多勢を送るのには適していませんからね」
アレクスの提案に対して、賛成の言葉を送る有栖。しかし、当のメイビーは……
「えっと…厳しい環境下のマナテート…威力すっごいマソー兵器…たくさん送るより…強い数人にゃのだから…はにゃにゃにゃ…」
あまりに難しい言葉がズラリと並んだ話の内容に、遂にメイビーの思考回路がショートしてしまった
「ありゃりゃ…いくらメイビー様と言えど、生まれて2年の方に理解していただくのは流石に難しい話でしたね(笑)」
これまで新参者の自分が出しゃばるのも…と思い沈黙していたミクイだったが、思わず言葉が漏れてしまう
「ぬうぅ、また貴様か暗殺者(アサシン)の女!からかうのも良い加減にせよ!…ワラワとて…マナティートの支援プランくらい…うにゃにゃにゃ…」
「メイビー様。今のは、からかわれた訳ではございません。むしろ、知らぬ事は部下を信頼して任せることが出来るのも魔王様の器かと…」
ミクイの口調にからかわれた!と勘違いしたメイビーを諭すアレクス
「し、しかしだな…ワラワは現魔王メイビーなのだぞ…威厳ある命令が出来なくては…」
2歳児とは思えない戦闘能力と会話能力を備えているメイビーだが、それでも戦術レベルの話になってくると流石に無理があるというもの
ミクイも周りに悟られぬように、部下に命令をさせてはどうか?という言い回しだったのだが、上手くは伝わらなかったようだ。それでもカッコ良く振る舞いたい!という子ども心がソレを邪魔したようだ
「メイビー様。ひとつ提案が有ります。ここは、古代13獣神を単騎で撃破した私「有栖」に増援を任せていただければ…」
メイビーへの助け舟を出そうと、有栖が自ら増援に立候補したその時
「ならんぞ、徳川 有栖よ!このところソナタは世界の有事に活躍し過ぎている。まるで魔族側の切り札がソナタしか居ないのでは無いか?と人属側に思われてしまうであろう」
先程まで思考能力がオーバーヒートしていたメイビーが突然、頼もしい魔王の言葉であるかのように理路整然と語り始めたので、周りの者たちは驚きを隠せない
「渇望の魔女フュールよ、ソナタがシャオシュウとディー・アモンとともにマナティートへの増援に向かい、ワラワ専属の魔女も恐ろしき存在とヤツらに思い知らせてくるのだ!」
「ははぁ、お任せ下さいメイビー様!」
突然メイビーとフュールが、長年の息のあった者同士かのような会話をした。何がどうなったのか?と唖然とする一同。その中で…
「フュール。貴女ねぇ…」
「クスクス。何かしら有栖♪まさか、メイビー様の名采配に異論を唱える気かしら?(笑)」
有栖は突然、毅然とした会話を始めたメイビーのカラクリを見抜いたようだ。親友にして好敵手(ライバル)である有栖ばかりに良い格好をさせたくないフュールは、自分の言い分をメイビーに言わせることで正論化したようだ
その様子を見ていたモルガーナも、突然のメイビー様の口調の変化の理由に気が付いたようだ
「ふむ。なるほどな…」
(フュールめ、自分もメイビー様に凄く役に立つ者だと証明する為にテレパシーで「こう言ってください。そうすれば威厳を保てますよ」とか助言して言わせたのだな…)
「ほえぇ!?」
「ん?どうかしたかデメテールよ?」
「い、いえ何でもありません魔王様…」
突然、素っ頓狂(すっとんきょう)な声を上げたフォレスティアに質問したメイビー
(いきなりテレパシーを送ってくるなんて、どうしたのよモル?)
(フォレスティア様。渇望の魔女は、最近活躍目覚ましい消去の魔女に負けまいと立候補したと思われます。ここは我らも役に立って魅せます。と立候補されるべきでは?)
現魔王メイビーに、自分たちも負けてはいないところを魅せるべきだ!とテレパシーでフォレスティアに進言したモルガーナだが…
「いやいやいやいや…此度の増援に何故、わが輩も参加せねばならないのでしょうかねぇ?」
メイビーに進言しようとしたフォレスティアより先に、ディー・アモンが増援メンバーに自分が含まれることに不満的な質問をしたが…
「ディー。貴方は魔族軍に名を連ねずにザッド様専用の部下だと、言い張っていたのは知っているわ。でもね、そのザッド様のお言葉に「惚れた女の窮地を見過ごすような者は、男とは呼べん!」と何度も口にしていた言葉があったのは知っているわよね?」
何とか参加を回避しようとするディー・アモンに、長年の不満を含みながら参加する理由を説明したフュール
「やれやれやれやれ…ソレを言われてしまってわ~断りづらくなってしまうじゃ、あ~りませんかっ!」
「決まりじゃな。それではフュールとアモンの2名を、マナティートへの増援と決定する!良い知らせを持って帰るのだぞっ!」
「ははぁ!勝利の栄光をメイビー様にっ!」
「フッフッフ…しーかたあ~りませんねぇ(笑)」
「有難うございますメイビー様!魔王様専属魔女のフュール・アシェスタと、不死軍団の長ディー・アモンの助力が有れば一個軍団の戦闘力に相当します。この御恩、このシャオシュウ冥土ノ土産話として自慢できますじゃ…」
「うむ。ソナタの最後の戦(いくさ)。素晴らしいモノとして咲かせてみせよ!」
「私もシャオシュウ様と共に戦える事を光栄に感じています。【渇望の魔女】の魔法力(チカラ)。存分に期待してください」
今のセリフは、フュールがメイビーに言わせたものだが…数百年に渡り魔女として魔族側に貢献し続けてくれた、寿命が近いシャオシュウの最後の戦いを全力でサポートする!というフュールの意思表示も含んでいた
いよいよ、増援メンバーも決まりシャオシュウがマナティートに出発しようとした時だった
「バァァン!」
「メイビー様、突然の訪問の非礼お許しください!コチラに私の師匠である【消去の魔女】徳川・有栖さまがお邪魔していると思うのですが?」
大広間の扉を魔法のチカラで気持ち良く開け放って、1人の「ザ・魔法使い」が室内に侵入してきた
「ちょっとミアナじゃない?…突然この場に現れるなんて何かあったの!?」
「あっ、お師匠様~♪お久しぶりです!」
「誰だ、その魔法使いの女は?」
キウの世話役(お嫁さん)をしている【ミアナ・ラドシャ】が、現魔王様の誕生祭を明日に控えたこの場に現れたことに驚きを隠せない有栖
メイビーも初めて見る彼女を見詰めている。前魔王ザッドの現在の情報が迂闊に漏れてしまうのは、魔族側に大きな波乱を呼んでしまうのは目に見えている有栖
メイビーだけでなく、フォレスティアやモルガーナも知らない魔法使いの女の登場に、大広間の中に居る全員が【消去の魔女】を師匠と呼ぶ彼女の存在が気になっているようだ
続く
有栖とモルガーナが提供した食事を済ませる頃だった一同。その時、最古の魔女シャオシュウがナイフを置き、現魔王メイビー様にマナティート地方への増援を求めた
「申し上げにくいのですが…マナティート地方の我が軍は現在…人属側に押されておりまして…かなり手酷い損害を出してしまい、アレクス城からの増援をお願いしたいのですじゃ…」
「そうなのですか!?…伝え聞いていた最近の話だと…人属側の居城を陥落したので、むしろ魔族側が有利になったと聞いていたのだけれど?」
自分の足で直接見に行った訳ではないが、フュールは魔王直属の魔女。世界の情勢を把握する為に時折、世界各地に部下を送り込んで調べさせている
「そうなのじゃ…居城を失ったヤツらは、使われずに放置されておった砦へと逃げ込んだ。時期にワシらの勝利になるのは間違いない!と踏んでいたのじゃが…」
「ま~さか、ヤツらが逃げ込んだその砦がよりにもよって、古代人の手で作られた物であった物とはぁ…流石に予想も出来ませんでしたなぁ(笑)」
敵の居城を落としておきながら、勝利を掴めなかった言い訳をする事に心苦しさを噛み締めて話す、シャオシュウの表情を見たディー・アモンが、同期のよしみなのか?かつての淡い想いがそうさせたのか?取り敢えず、その古い砦が普通の物ではないと言葉を添えた
「古代人が造りし砦か…厄介だな…」
「アレクスよ。その古代人が造った砦とやらは、そんなに厄介な物なのか?頑丈な砦なんぞ、今のワラワの一撃でも粉砕出来ん物なのか?」
先のマリニウムでの謀反騒動でも使われた古代人が造りし古代兵器は、戦局を大きく揺るがす程の存在を示していた。ソレを持つ者と何度か対峙した事のあるアレクスは、その威力のほどをよく知っているので険しい表情になったが…生まれてまだ2年でしかないメイビーは認知していなかった
「メイビー様。古代人が造りし手の平サイズの賢者の石と呼ばれた魔道具は、かつての古代人が地球からこの星に到達するまで5000年を必要とした距離を、僅か数分で移動させるチカラを魅せました」
「(´º ◽︎º`)なにぃ!?長生きで有名なエルフ族でも、1000年生きれば長い方だと聞いたことがあるが…その5人分とな!?」
人属よりも遥かに寿命が長い魔族でも、大体は数百年の寿命である。それよりも長く生きるエルフでさえも、5人は生涯を捧げる必要がある事に驚くメイビー様
「そんなにも離れた地への移動を、僅か数分で可能にする魔道具か……ワラワも興味を覚えてしまうぞ…」
しかも、そんな距離を僅か数分で移動させる手の平サイズのアイテムを造った古代人に、脅威を覚えるメイビー様
「それに、去年起きたマリニウムでの超巨大少女による騒動でも使われた魔装兵器は、この星で頂点を極める為に同じ古代人によって生み出された超人類を、2体も撃破したと聞いています。そんな彼らが造った砦となると、攻略は困難を極めると予想されます」
「ぬぬぬ…ならば最古の魔女シャオシュウを要するファスク家が、未だに勝利を得られぬのも仕方なしと言うところか…うむぅ…」
今日の午前中まで1歳児の姿で赤子ライフを満喫していたメイビーにとって、今回の支援要請に至る話の内容は既に彼女の理解のキャパを超えていた
「…であるならばメイビー様。ちょうど都合良くこの場に居合わせている猛者達から、選抜した数名を向かわせるのは如何でしょうか?」
「そうよね。マナティート地方は、四方を厳しい自然環境に囲まれた地。多勢を送るのには適していませんからね」
アレクスの提案に対して、賛成の言葉を送る有栖。しかし、当のメイビーは……
「えっと…厳しい環境下のマナテート…威力すっごいマソー兵器…たくさん送るより…強い数人にゃのだから…はにゃにゃにゃ…」
あまりに難しい言葉がズラリと並んだ話の内容に、遂にメイビーの思考回路がショートしてしまった
「ありゃりゃ…いくらメイビー様と言えど、生まれて2年の方に理解していただくのは流石に難しい話でしたね(笑)」
これまで新参者の自分が出しゃばるのも…と思い沈黙していたミクイだったが、思わず言葉が漏れてしまう
「ぬうぅ、また貴様か暗殺者(アサシン)の女!からかうのも良い加減にせよ!…ワラワとて…マナティートの支援プランくらい…うにゃにゃにゃ…」
「メイビー様。今のは、からかわれた訳ではございません。むしろ、知らぬ事は部下を信頼して任せることが出来るのも魔王様の器かと…」
ミクイの口調にからかわれた!と勘違いしたメイビーを諭すアレクス
「し、しかしだな…ワラワは現魔王メイビーなのだぞ…威厳ある命令が出来なくては…」
2歳児とは思えない戦闘能力と会話能力を備えているメイビーだが、それでも戦術レベルの話になってくると流石に無理があるというもの
ミクイも周りに悟られぬように、部下に命令をさせてはどうか?という言い回しだったのだが、上手くは伝わらなかったようだ。それでもカッコ良く振る舞いたい!という子ども心がソレを邪魔したようだ
「メイビー様。ひとつ提案が有ります。ここは、古代13獣神を単騎で撃破した私「有栖」に増援を任せていただければ…」
メイビーへの助け舟を出そうと、有栖が自ら増援に立候補したその時
「ならんぞ、徳川 有栖よ!このところソナタは世界の有事に活躍し過ぎている。まるで魔族側の切り札がソナタしか居ないのでは無いか?と人属側に思われてしまうであろう」
先程まで思考能力がオーバーヒートしていたメイビーが突然、頼もしい魔王の言葉であるかのように理路整然と語り始めたので、周りの者たちは驚きを隠せない
「渇望の魔女フュールよ、ソナタがシャオシュウとディー・アモンとともにマナティートへの増援に向かい、ワラワ専属の魔女も恐ろしき存在とヤツらに思い知らせてくるのだ!」
「ははぁ、お任せ下さいメイビー様!」
突然メイビーとフュールが、長年の息のあった者同士かのような会話をした。何がどうなったのか?と唖然とする一同。その中で…
「フュール。貴女ねぇ…」
「クスクス。何かしら有栖♪まさか、メイビー様の名采配に異論を唱える気かしら?(笑)」
有栖は突然、毅然とした会話を始めたメイビーのカラクリを見抜いたようだ。親友にして好敵手(ライバル)である有栖ばかりに良い格好をさせたくないフュールは、自分の言い分をメイビーに言わせることで正論化したようだ
その様子を見ていたモルガーナも、突然のメイビー様の口調の変化の理由に気が付いたようだ
「ふむ。なるほどな…」
(フュールめ、自分もメイビー様に凄く役に立つ者だと証明する為にテレパシーで「こう言ってください。そうすれば威厳を保てますよ」とか助言して言わせたのだな…)
「ほえぇ!?」
「ん?どうかしたかデメテールよ?」
「い、いえ何でもありません魔王様…」
突然、素っ頓狂(すっとんきょう)な声を上げたフォレスティアに質問したメイビー
(いきなりテレパシーを送ってくるなんて、どうしたのよモル?)
(フォレスティア様。渇望の魔女は、最近活躍目覚ましい消去の魔女に負けまいと立候補したと思われます。ここは我らも役に立って魅せます。と立候補されるべきでは?)
現魔王メイビーに、自分たちも負けてはいないところを魅せるべきだ!とテレパシーでフォレスティアに進言したモルガーナだが…
「いやいやいやいや…此度の増援に何故、わが輩も参加せねばならないのでしょうかねぇ?」
メイビーに進言しようとしたフォレスティアより先に、ディー・アモンが増援メンバーに自分が含まれることに不満的な質問をしたが…
「ディー。貴方は魔族軍に名を連ねずにザッド様専用の部下だと、言い張っていたのは知っているわ。でもね、そのザッド様のお言葉に「惚れた女の窮地を見過ごすような者は、男とは呼べん!」と何度も口にしていた言葉があったのは知っているわよね?」
何とか参加を回避しようとするディー・アモンに、長年の不満を含みながら参加する理由を説明したフュール
「やれやれやれやれ…ソレを言われてしまってわ~断りづらくなってしまうじゃ、あ~りませんかっ!」
「決まりじゃな。それではフュールとアモンの2名を、マナティートへの増援と決定する!良い知らせを持って帰るのだぞっ!」
「ははぁ!勝利の栄光をメイビー様にっ!」
「フッフッフ…しーかたあ~りませんねぇ(笑)」
「有難うございますメイビー様!魔王様専属魔女のフュール・アシェスタと、不死軍団の長ディー・アモンの助力が有れば一個軍団の戦闘力に相当します。この御恩、このシャオシュウ冥土ノ土産話として自慢できますじゃ…」
「うむ。ソナタの最後の戦(いくさ)。素晴らしいモノとして咲かせてみせよ!」
「私もシャオシュウ様と共に戦える事を光栄に感じています。【渇望の魔女】の魔法力(チカラ)。存分に期待してください」
今のセリフは、フュールがメイビーに言わせたものだが…数百年に渡り魔女として魔族側に貢献し続けてくれた、寿命が近いシャオシュウの最後の戦いを全力でサポートする!というフュールの意思表示も含んでいた
いよいよ、増援メンバーも決まりシャオシュウがマナティートに出発しようとした時だった
「バァァン!」
「メイビー様、突然の訪問の非礼お許しください!コチラに私の師匠である【消去の魔女】徳川・有栖さまがお邪魔していると思うのですが?」
大広間の扉を魔法のチカラで気持ち良く開け放って、1人の「ザ・魔法使い」が室内に侵入してきた
「ちょっとミアナじゃない?…突然この場に現れるなんて何かあったの!?」
「あっ、お師匠様~♪お久しぶりです!」
「誰だ、その魔法使いの女は?」
キウの世話役(お嫁さん)をしている【ミアナ・ラドシャ】が、現魔王様の誕生祭を明日に控えたこの場に現れたことに驚きを隠せない有栖
メイビーも初めて見る彼女を見詰めている。前魔王ザッドの現在の情報が迂闊に漏れてしまうのは、魔族側に大きな波乱を呼んでしまうのは目に見えている有栖
メイビーだけでなく、フォレスティアやモルガーナも知らない魔法使いの女の登場に、大広間の中に居る全員が【消去の魔女】を師匠と呼ぶ彼女の存在が気になっているようだ
続く
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