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夢忘れ編
更なる増援と狼煙
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【翌朝】
銀翼竜とマーマル遊撃隊との連戦をした翌日の朝。朝日が昇って間もない頃、監視用の小屋で寝ていた三姉妹の次女カルーアは、美味しそうな匂いに反応して目を覚ました
「ふぁ~…やっぱり外でしたか…あっ!?すみません!アテナ様に朝食の準備までさせてしまって…」
「早起きじゃなカルーア。なぁに、久しぶりの大人数での遠出に、ババアも若い頃を思い出して興奮しただけじゃよ。ところで、昨夜はよく寝られたかのう?」
カルーアがテントから外に出ると、既にアテナが起きていて何かのスープや肉飯を作ってくれているようだ
「はい。昨日の戦いで思ってたよりも疲れてたみたいで、つい今までグッスリ寝てしまいました」
もちろん見知らぬ地で無防備に爆睡してしまうなんて危険極まりない行為なのだが…ほぼ疲労のない【武闘女神アテナ】が居てくれる。その安心感からシッカリ寝て、疲労回復に専念したようだ…それにアテナは知っている。皆がグッスリと寝た理由は、エルデスが張った結界に混じった睡眠魔法の効果もある事を…
「まぁワシがおるんじゃからの。たっぷり寝てくれた方が助かるわい。おヌシの魔法は強力で頼り甲斐があるからのぅ♪」
「有難うございます。…わたしは、みんなを起こしてきますね」
そう言うとカルーアはアテナに軽く会釈(えしゃく)をした後、小屋の中で寝ている仲間を起こしに戻って行った
「……ふむ。流石にヨシュアが居ないことに気が付くじゃろうのう…どうしたものかな?誤魔化すか?正直に言うべきか?……サーシャが連れ去られて動揺しとるんじゃ、これ以上余計な不安は与えぬべきじゃろうな…年配者は貧乏クジを引かねばならんのぅ…やれやれじゃ…」
昨夜の状況なら、アテナは知らなかったと白を切る事も出来るのだが…答えの無い問題をこれ以上増やすと、流石に10代前半の少女たちにはツラいだろうと考えた
【目覚めるエルデス】
「ん~…どうしたのですか~?アリスちゃん…そんなに大きな声を出して~」
テントに戻ったカルーアが、みんなを起こして回っていた時…ヨシュアだけが居なくなっている事に気が付いた
その時まだ眠い目を擦っていたアリスも、サーシャに続きヨシュアまで居なくなった事に気が動転して、早くエルデスに知らせようと強めに彼女の身体を揺すっていた
……………………………………………
「あぁ!?ヨシュア様…そんな…私を置いて…行ってしまわれたのですか~…エルデスは悲しいです~!」
ヨシュアが自分を連れて行ってくれなかった事を悲しみ、みんなの前なのに座り込んで泣き出してしまったエルデス。見慣れない彼女の子供のような姿にカルーアやエリエスも、ただ呆然と立ち尽くしてしまう
「あー!そんな大声で泣き散らかすなや。ババアの鼓膜が敗れちまうわい…とにかく全員表に出るのじゃ!朝飯が出来たでな…早よせい」
「でもぉ、ヨシュアがぁ…」
「その事もちゃんと説明してやるわい!もちろんワシの朝メシをちゃんと食べ終えてからじゃがな!」
敢えてアテナは強い口調で言った。動揺や悲しみに心が囚われている時は、誰でも食事が喉を通りにくいものだ
しかし!この先は20年以上の長きに渡って戦争が続いているエリアだ。満足にチカラを振るえない状態は作るべきでは無い
アテナは無理にでも朝食を取らせたかったので「食べ終えたら説明してやるわい」と条件を付けることで食べざるを得ない状況にしたのだ
【食後】
「お祖母様。食事の為に使った薪(まき)の火を消しますよ?誰かに見つけられてしまうかも知れませんし…」
戦争状態の国の入り口で煙を消さないのは、狼煙をあげて発見してくれと言っている様なものだ。普通なら役目を終えたらスグに消すべきなのだが…
「エリエスや、何をビビっておるのか?ワシがおるのじゃぞ?…ソレに見つけてもらわねば困る事になるしな(笑)」
含みのある言い方をしながら、アテナはカルーアをじっと見つめた
(わたしが?もしかして、わたしが困る事になるとアテナ様は言いたいのかい?…どういう事なんだろう?)
アテナの意図が分からず首を傾(かし)げるカルーア
エルデスを筆頭に、ヨシュアが居なくなった理由を知りたい一同は、気分的にあまり朝食を食べたくなかったのだが…厳しいアテナがソレで妥協してくれない事を理解しているので、みんな頑張って朝食を完食した
「ヨシヨシ、みんな食べきったようじゃのう。仕方ない、約束じゃ。ワシの知ることを話してやろうかの…」
今から話す内容もヨシュアが元魔王(ザッド)の息子であるが故(ゆえ)。という話になるので、ヘンダーソンに【ホロミナティ】の相手をさせるアテナ。今朝も自分たちが隔離されている事に訳があるのだろう…と察しているミコとコヨリィは、ヘンダーソンやアテナに無粋な質問はせずに、ノエールとサケマタを彼と交えて話している
「さてアソコを見てみよ」
アテナが指さした方向には、周りのよりも1周り大きな山があった。木に覆われた山だが中腹辺りに、1部分だけ木の生い茂ってないエリアがある
「大きな山ですね~あの~アテナ様~あの山に何か有るのですか~?」
エルデスを含め他の者たちも、ソコに何が有ると言いたいのか?理解出来ないでいた
「おヌシら揃いも揃って目が悪いのぉ…良く目を凝らして見てみぃ。木が禿げているエリアの奥側にログハウスが有るじゃろが…」
「(; ꒪ㅿ꒪)えっ!?えぇ!ここからでは何も見えませんけど…」
エリエスも含め誰もアテナが見えているだろうログハウスなど、この位置からでは確認出来なかった。獣人族で目の良いアリスまで見えていないのだから、他の者にも見えなくて当然だ
それもそのハズで、アテナが言うログハウスの有ると思われる位置は、ここから10km以上離れているからだ!むしろ肉眼で確認出来ているアテナの視力がどうかしていると言えるw
「ババアが見えておるのに、おヌシら誰も見えんのかの?目が悪いんじゃのぅ」
「( ̄▽ ̄;)いえ、お祖母様の視力が飛び抜けて良過ぎるだけだと思いますわw」
「見えないけどぉ!ソコに昨日の3人組が居るんですねぇ。だったら早く行ってサーシャを取り返しに行こうよぉ!!」
大切な妹を奪ったヤツらがサーシャと共にソコに居る。ならば急いで奪還に行く!その気持ちに駆られたアリスが勢い良く立ち上がった
「カッカッカ、青いのぅ。そう急(せ)くでないわ。煙を消すな!と言ったじゃろうが…エリエスよ」
「はい。何でしょうか?お祖母様…」
「食後のコーヒーを煎れとくれ。朝のコーヒーを欠かすと、どうも調子が出んからのぅ」
「で、ですがお祖母様…アリスお姉様やカルーアちゃんは、一刻も早くサーシャちゃんを…」
年下であるアリスを【お姉様】と仰ぐほど彼女の事が好きなエリエスは、アリスの気持ちを考えたらノンビリしている場合では無いでしょう?とアテナに言いたい感じだ…と、そこへ離れた位置から彼女たちが聞き覚えのある声が聞こえてきた
「すみませーん、アテナ様。到着が遅れてしまいました!カルーアたちも元気にしていますか!?」
「ヒイロじゃないか!?どうしてココに?」
「お兄ちゃんなのぉ!?」
馬に乗って現れたのはヒイロとリーリア姉妹隊の4人だった。まさかの彼の登場に驚くカルーアとアリス
今回のクエストは、エリスア様から託された戦争中の国の姫様に転生した地球人の手助けをする事。そんな場所にヒイロが来るのは危険でしかないのだが…もちろんヒイロは、ソレが分からない様な馬鹿な男ではないが…それでも現れた彼の目的とは?
続く
銀翼竜とマーマル遊撃隊との連戦をした翌日の朝。朝日が昇って間もない頃、監視用の小屋で寝ていた三姉妹の次女カルーアは、美味しそうな匂いに反応して目を覚ました
「ふぁ~…やっぱり外でしたか…あっ!?すみません!アテナ様に朝食の準備までさせてしまって…」
「早起きじゃなカルーア。なぁに、久しぶりの大人数での遠出に、ババアも若い頃を思い出して興奮しただけじゃよ。ところで、昨夜はよく寝られたかのう?」
カルーアがテントから外に出ると、既にアテナが起きていて何かのスープや肉飯を作ってくれているようだ
「はい。昨日の戦いで思ってたよりも疲れてたみたいで、つい今までグッスリ寝てしまいました」
もちろん見知らぬ地で無防備に爆睡してしまうなんて危険極まりない行為なのだが…ほぼ疲労のない【武闘女神アテナ】が居てくれる。その安心感からシッカリ寝て、疲労回復に専念したようだ…それにアテナは知っている。皆がグッスリと寝た理由は、エルデスが張った結界に混じった睡眠魔法の効果もある事を…
「まぁワシがおるんじゃからの。たっぷり寝てくれた方が助かるわい。おヌシの魔法は強力で頼り甲斐があるからのぅ♪」
「有難うございます。…わたしは、みんなを起こしてきますね」
そう言うとカルーアはアテナに軽く会釈(えしゃく)をした後、小屋の中で寝ている仲間を起こしに戻って行った
「……ふむ。流石にヨシュアが居ないことに気が付くじゃろうのう…どうしたものかな?誤魔化すか?正直に言うべきか?……サーシャが連れ去られて動揺しとるんじゃ、これ以上余計な不安は与えぬべきじゃろうな…年配者は貧乏クジを引かねばならんのぅ…やれやれじゃ…」
昨夜の状況なら、アテナは知らなかったと白を切る事も出来るのだが…答えの無い問題をこれ以上増やすと、流石に10代前半の少女たちにはツラいだろうと考えた
【目覚めるエルデス】
「ん~…どうしたのですか~?アリスちゃん…そんなに大きな声を出して~」
テントに戻ったカルーアが、みんなを起こして回っていた時…ヨシュアだけが居なくなっている事に気が付いた
その時まだ眠い目を擦っていたアリスも、サーシャに続きヨシュアまで居なくなった事に気が動転して、早くエルデスに知らせようと強めに彼女の身体を揺すっていた
……………………………………………
「あぁ!?ヨシュア様…そんな…私を置いて…行ってしまわれたのですか~…エルデスは悲しいです~!」
ヨシュアが自分を連れて行ってくれなかった事を悲しみ、みんなの前なのに座り込んで泣き出してしまったエルデス。見慣れない彼女の子供のような姿にカルーアやエリエスも、ただ呆然と立ち尽くしてしまう
「あー!そんな大声で泣き散らかすなや。ババアの鼓膜が敗れちまうわい…とにかく全員表に出るのじゃ!朝飯が出来たでな…早よせい」
「でもぉ、ヨシュアがぁ…」
「その事もちゃんと説明してやるわい!もちろんワシの朝メシをちゃんと食べ終えてからじゃがな!」
敢えてアテナは強い口調で言った。動揺や悲しみに心が囚われている時は、誰でも食事が喉を通りにくいものだ
しかし!この先は20年以上の長きに渡って戦争が続いているエリアだ。満足にチカラを振るえない状態は作るべきでは無い
アテナは無理にでも朝食を取らせたかったので「食べ終えたら説明してやるわい」と条件を付けることで食べざるを得ない状況にしたのだ
【食後】
「お祖母様。食事の為に使った薪(まき)の火を消しますよ?誰かに見つけられてしまうかも知れませんし…」
戦争状態の国の入り口で煙を消さないのは、狼煙をあげて発見してくれと言っている様なものだ。普通なら役目を終えたらスグに消すべきなのだが…
「エリエスや、何をビビっておるのか?ワシがおるのじゃぞ?…ソレに見つけてもらわねば困る事になるしな(笑)」
含みのある言い方をしながら、アテナはカルーアをじっと見つめた
(わたしが?もしかして、わたしが困る事になるとアテナ様は言いたいのかい?…どういう事なんだろう?)
アテナの意図が分からず首を傾(かし)げるカルーア
エルデスを筆頭に、ヨシュアが居なくなった理由を知りたい一同は、気分的にあまり朝食を食べたくなかったのだが…厳しいアテナがソレで妥協してくれない事を理解しているので、みんな頑張って朝食を完食した
「ヨシヨシ、みんな食べきったようじゃのう。仕方ない、約束じゃ。ワシの知ることを話してやろうかの…」
今から話す内容もヨシュアが元魔王(ザッド)の息子であるが故(ゆえ)。という話になるので、ヘンダーソンに【ホロミナティ】の相手をさせるアテナ。今朝も自分たちが隔離されている事に訳があるのだろう…と察しているミコとコヨリィは、ヘンダーソンやアテナに無粋な質問はせずに、ノエールとサケマタを彼と交えて話している
「さてアソコを見てみよ」
アテナが指さした方向には、周りのよりも1周り大きな山があった。木に覆われた山だが中腹辺りに、1部分だけ木の生い茂ってないエリアがある
「大きな山ですね~あの~アテナ様~あの山に何か有るのですか~?」
エルデスを含め他の者たちも、ソコに何が有ると言いたいのか?理解出来ないでいた
「おヌシら揃いも揃って目が悪いのぉ…良く目を凝らして見てみぃ。木が禿げているエリアの奥側にログハウスが有るじゃろが…」
「(; ꒪ㅿ꒪)えっ!?えぇ!ここからでは何も見えませんけど…」
エリエスも含め誰もアテナが見えているだろうログハウスなど、この位置からでは確認出来なかった。獣人族で目の良いアリスまで見えていないのだから、他の者にも見えなくて当然だ
それもそのハズで、アテナが言うログハウスの有ると思われる位置は、ここから10km以上離れているからだ!むしろ肉眼で確認出来ているアテナの視力がどうかしていると言えるw
「ババアが見えておるのに、おヌシら誰も見えんのかの?目が悪いんじゃのぅ」
「( ̄▽ ̄;)いえ、お祖母様の視力が飛び抜けて良過ぎるだけだと思いますわw」
「見えないけどぉ!ソコに昨日の3人組が居るんですねぇ。だったら早く行ってサーシャを取り返しに行こうよぉ!!」
大切な妹を奪ったヤツらがサーシャと共にソコに居る。ならば急いで奪還に行く!その気持ちに駆られたアリスが勢い良く立ち上がった
「カッカッカ、青いのぅ。そう急(せ)くでないわ。煙を消すな!と言ったじゃろうが…エリエスよ」
「はい。何でしょうか?お祖母様…」
「食後のコーヒーを煎れとくれ。朝のコーヒーを欠かすと、どうも調子が出んからのぅ」
「で、ですがお祖母様…アリスお姉様やカルーアちゃんは、一刻も早くサーシャちゃんを…」
年下であるアリスを【お姉様】と仰ぐほど彼女の事が好きなエリエスは、アリスの気持ちを考えたらノンビリしている場合では無いでしょう?とアテナに言いたい感じだ…と、そこへ離れた位置から彼女たちが聞き覚えのある声が聞こえてきた
「すみませーん、アテナ様。到着が遅れてしまいました!カルーアたちも元気にしていますか!?」
「ヒイロじゃないか!?どうしてココに?」
「お兄ちゃんなのぉ!?」
馬に乗って現れたのはヒイロとリーリア姉妹隊の4人だった。まさかの彼の登場に驚くカルーアとアリス
今回のクエストは、エリスア様から託された戦争中の国の姫様に転生した地球人の手助けをする事。そんな場所にヒイロが来るのは危険でしかないのだが…もちろんヒイロは、ソレが分からない様な馬鹿な男ではないが…それでも現れた彼の目的とは?
続く
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