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夢忘れ編
足掻くホロミナティ
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【夕方の死闘】
かなり魔力を消耗してしまったカルーアは、ヨシュアに付与魔法を掛けて支援して、合成魔物(キメラ)のリュウキと対峙していた
「てめぇ!何で俺と互角に戦えてるっ!?」
一般的にベテランの戦士や冒険者は、目の前の戦闘に100%のチカラを出し切ることはしない。何故なら今回のように最初の戦闘を乗り越えた後に、様子を伺っていた弱った相手を狙うハイエナのような別勢力に襲われたり…帰宅しようとしてる途中に別の脅威と遭遇した時に、余力が残ってないと生命の危険に晒されやすいからだ
「ふふ、エルフのお嬢さんはシンドいみたいだねぇ(笑)」
「はぁはぁ…流石に銀翼竜との連戦は厳しいなぁ…魔力があんまり…余裕無いよ…」
ヨシュアも強敵の銀翼竜と戦ってはいたが、Sランク級のカルーアとツーマンで立ち向かっていたので、持てる戦闘力(チカラ)を100%フル出力はしていなかった。もちろん本当にヤバくなったら出していただろうが…ある程度の余力は残していたのだ
「くそがっ!ワイバーンと戦ってなけりゃ、お前程度なんかに押されは…」
「連戦だからって言うのかい!?2対1なのに歯応えが足りないねぇ!!」
まだ10歳とは言えヨシュアは元魔王(ザッド)の息子だ。他種族の長所を詰め込んだ合成魔獣(キマイラ)のリュウキが相手だとしても押されるのは考えにくい
しかもカルーアから風属性の補助魔法付与(サポート)や身体能力強化までされているのに、かなり押し込まれているのだ
(あの女がいかに鍛え上げていても、疲労が蓄積してるとしても、何でヨシュアの戦闘力(チカラ)が通じてないんだよ?おかしいよ?)
ヨシュアをサポートしながら2人の戦闘を見守っているカルーアも、その事に疑問を感じていた
「あっ!?…ヨシュア!彼女が持っているソードだよ!ソレがヨシュアの闇のチカラを無効化しているよ!」
普通にスペックだけでも強いヨシュアだが、魔王の息子である彼は強力な闇属性のチカラによる影響で、その剣撃の威力も数倍に増しているのだが…ヨシュアのソードがリュウキのソードに触れた瞬間に、闇のチカラが無効化されている事を見抜いた
「何だと!?感触が妙だったのは、そのせいなのかよ?…どんな武器なんだっ!?」
そこでリュウキは1度間合いを取り動きを止めた。そしてカルーアを指差した
「そこのエルフのお嬢さん。貴様、凄い洞察力してんじゃねーか。…いや、良過ぎるな…エルフって種族は戦闘のプロって訳じゃないハズだ。何者だよアンタ?」
「……答えたら…そのソードの秘密を教えてくれるのかい?」
回復する時間が欲しいカルーアは、敢えて時間稼ぎをする為にリュウキの質問に、時間をかけるように選択肢を与えるような話し方をしたが、それには他にも理由があった
「ドタバタしているこの隙に、サケマタが気配を消してサーシャちゃん達を助けに向かいますね…」
カルーア達やエリエスの方で激戦が繰り広げられている状況に乗じて、アサシンを生業とするサケマタは気配を消すスキルを使い、自分の危険を顧(かえり)みず得体の知れない強敵が暴れている中、サーシャ達を助けようと単独で動いていた
「さてミコ姉さん。私達も今のうちに…」
「助けられてばかりじゃ居られないにぇ…」
カルーアは、エリエスにより助けられフリーになった【ホロミナティ】のメンバーが、ピンチのエリエスやサーシャ達を助ける為に、2手に別れて動き出したのを魔法探知で把握していた。ソレを成功させる為にも時間を作ろうとしたようだ
「わたしはハイエルフなんだ。普通のエルフとは違って先祖の知識を共有出来る能力(スキル)を持っているからね。この洞察力もご先祖さまから譲り受けているのさ」
「ハイエルフだと?…その存在自体が本当なのか?疑われている…あのハイエルフだって言うのかい?」
大陸のアチコチにカルーアがハイエルフだと言う噂が広がり始めてからは、カルーアも自分がエルフだという事を隠すのはやめていたのだが…外部と遮断されているここマナティートではまだ、ハイエルフは眉唾の存在のようだ
「おいお前!カルーアはお前の質問に答えたぞ!お前の方はどうなんだ?そのソードの秘密を教えてくれるのか?」
敢えて手間のかかる言い回しをしたカルーアの意図を汲み取ったのか?ヨシュアも敢えて手間臭い聞き方をした
「仕方ないね…約束は約束だ、教えてやるよ。このソードはマーマル特製の【無効化の剣】だ。触れた相手の属性による効果を無効化してくれるのさ」
「何だと!?…ちょっと待て!便利すぎないか?そのソードは、よぉ!」
つまりリュウキが使っているソードは、炎や水、風と言った魔法付与されている効果を無効化して攻撃する事が出来るらしい。もちろんヨシュアの闇属性も無効化していたようだ
「……………………………………………」
(違うよヨシュア。注目すべきはソコじゃないよ。マーマルだ。マーマルのスペックが異常過ぎるんだよ…疲れてたとは言え、基礎型超人類のエリエスさんを完全に捕らえる程のオリジナル魔法を編み出した者が、ヘパイトスさんの【エクスカリバー】級のソードまで開発しただって?しかも戦場の変化まで冷静に分析しているように見えるよね…何者なんだよ、あの女は…)
確かにカルーアが疑問に思っているのは正解で、進化型超人類であるカルーアから見ても【マーマル・フラナガン】と名乗る女のスペックが高過ぎるのだ
「テウ!リュウキが強烈な反撃を受けても良いように、補助魔法の付与をしてあげてね」
「はい、承知しました」
その会話はそのマーマルの注意も惹いていた
(ハイエルフだって…確か…そんな種族はこの星には元から居なくて、古代人がレア種族のエルフを品種改良して作ったのでは?と言われているあのハイエルフだって言うの?…まさか、カルーアもエリエスって子と同じその超人類だって言うの?)
【魔道研究師】と名乗ったマーマルも、古代人の生きる遺産と言われている超希少種の超人類が2体も目の前に居る!という話にやや興奮気味になっていた
「エリエスちゃん、コレに捕まってくださ~い!」
完全にカルーア達の会話に意識を集中していたマーマルは、コヨリィの接近に気が付けなかった
「な!?いつの間にか、こんな近くまで!」
コヨリィは魔法力で長さや太さを調整する事が出来、軌道も操れるそのムチをエリエスの所に向かって…まるで釣り人がする様な動きで投げ入れた!
全員がBランクの為、戦闘力では三姉妹の足元にも及ばない彼女たちも、何とか役に立とうと必死になっていた
続く
かなり魔力を消耗してしまったカルーアは、ヨシュアに付与魔法を掛けて支援して、合成魔物(キメラ)のリュウキと対峙していた
「てめぇ!何で俺と互角に戦えてるっ!?」
一般的にベテランの戦士や冒険者は、目の前の戦闘に100%のチカラを出し切ることはしない。何故なら今回のように最初の戦闘を乗り越えた後に、様子を伺っていた弱った相手を狙うハイエナのような別勢力に襲われたり…帰宅しようとしてる途中に別の脅威と遭遇した時に、余力が残ってないと生命の危険に晒されやすいからだ
「ふふ、エルフのお嬢さんはシンドいみたいだねぇ(笑)」
「はぁはぁ…流石に銀翼竜との連戦は厳しいなぁ…魔力があんまり…余裕無いよ…」
ヨシュアも強敵の銀翼竜と戦ってはいたが、Sランク級のカルーアとツーマンで立ち向かっていたので、持てる戦闘力(チカラ)を100%フル出力はしていなかった。もちろん本当にヤバくなったら出していただろうが…ある程度の余力は残していたのだ
「くそがっ!ワイバーンと戦ってなけりゃ、お前程度なんかに押されは…」
「連戦だからって言うのかい!?2対1なのに歯応えが足りないねぇ!!」
まだ10歳とは言えヨシュアは元魔王(ザッド)の息子だ。他種族の長所を詰め込んだ合成魔獣(キマイラ)のリュウキが相手だとしても押されるのは考えにくい
しかもカルーアから風属性の補助魔法付与(サポート)や身体能力強化までされているのに、かなり押し込まれているのだ
(あの女がいかに鍛え上げていても、疲労が蓄積してるとしても、何でヨシュアの戦闘力(チカラ)が通じてないんだよ?おかしいよ?)
ヨシュアをサポートしながら2人の戦闘を見守っているカルーアも、その事に疑問を感じていた
「あっ!?…ヨシュア!彼女が持っているソードだよ!ソレがヨシュアの闇のチカラを無効化しているよ!」
普通にスペックだけでも強いヨシュアだが、魔王の息子である彼は強力な闇属性のチカラによる影響で、その剣撃の威力も数倍に増しているのだが…ヨシュアのソードがリュウキのソードに触れた瞬間に、闇のチカラが無効化されている事を見抜いた
「何だと!?感触が妙だったのは、そのせいなのかよ?…どんな武器なんだっ!?」
そこでリュウキは1度間合いを取り動きを止めた。そしてカルーアを指差した
「そこのエルフのお嬢さん。貴様、凄い洞察力してんじゃねーか。…いや、良過ぎるな…エルフって種族は戦闘のプロって訳じゃないハズだ。何者だよアンタ?」
「……答えたら…そのソードの秘密を教えてくれるのかい?」
回復する時間が欲しいカルーアは、敢えて時間稼ぎをする為にリュウキの質問に、時間をかけるように選択肢を与えるような話し方をしたが、それには他にも理由があった
「ドタバタしているこの隙に、サケマタが気配を消してサーシャちゃん達を助けに向かいますね…」
カルーア達やエリエスの方で激戦が繰り広げられている状況に乗じて、アサシンを生業とするサケマタは気配を消すスキルを使い、自分の危険を顧(かえり)みず得体の知れない強敵が暴れている中、サーシャ達を助けようと単独で動いていた
「さてミコ姉さん。私達も今のうちに…」
「助けられてばかりじゃ居られないにぇ…」
カルーアは、エリエスにより助けられフリーになった【ホロミナティ】のメンバーが、ピンチのエリエスやサーシャ達を助ける為に、2手に別れて動き出したのを魔法探知で把握していた。ソレを成功させる為にも時間を作ろうとしたようだ
「わたしはハイエルフなんだ。普通のエルフとは違って先祖の知識を共有出来る能力(スキル)を持っているからね。この洞察力もご先祖さまから譲り受けているのさ」
「ハイエルフだと?…その存在自体が本当なのか?疑われている…あのハイエルフだって言うのかい?」
大陸のアチコチにカルーアがハイエルフだと言う噂が広がり始めてからは、カルーアも自分がエルフだという事を隠すのはやめていたのだが…外部と遮断されているここマナティートではまだ、ハイエルフは眉唾の存在のようだ
「おいお前!カルーアはお前の質問に答えたぞ!お前の方はどうなんだ?そのソードの秘密を教えてくれるのか?」
敢えて手間のかかる言い回しをしたカルーアの意図を汲み取ったのか?ヨシュアも敢えて手間臭い聞き方をした
「仕方ないね…約束は約束だ、教えてやるよ。このソードはマーマル特製の【無効化の剣】だ。触れた相手の属性による効果を無効化してくれるのさ」
「何だと!?…ちょっと待て!便利すぎないか?そのソードは、よぉ!」
つまりリュウキが使っているソードは、炎や水、風と言った魔法付与されている効果を無効化して攻撃する事が出来るらしい。もちろんヨシュアの闇属性も無効化していたようだ
「……………………………………………」
(違うよヨシュア。注目すべきはソコじゃないよ。マーマルだ。マーマルのスペックが異常過ぎるんだよ…疲れてたとは言え、基礎型超人類のエリエスさんを完全に捕らえる程のオリジナル魔法を編み出した者が、ヘパイトスさんの【エクスカリバー】級のソードまで開発しただって?しかも戦場の変化まで冷静に分析しているように見えるよね…何者なんだよ、あの女は…)
確かにカルーアが疑問に思っているのは正解で、進化型超人類であるカルーアから見ても【マーマル・フラナガン】と名乗る女のスペックが高過ぎるのだ
「テウ!リュウキが強烈な反撃を受けても良いように、補助魔法の付与をしてあげてね」
「はい、承知しました」
その会話はそのマーマルの注意も惹いていた
(ハイエルフだって…確か…そんな種族はこの星には元から居なくて、古代人がレア種族のエルフを品種改良して作ったのでは?と言われているあのハイエルフだって言うの?…まさか、カルーアもエリエスって子と同じその超人類だって言うの?)
【魔道研究師】と名乗ったマーマルも、古代人の生きる遺産と言われている超希少種の超人類が2体も目の前に居る!という話にやや興奮気味になっていた
「エリエスちゃん、コレに捕まってくださ~い!」
完全にカルーア達の会話に意識を集中していたマーマルは、コヨリィの接近に気が付けなかった
「な!?いつの間にか、こんな近くまで!」
コヨリィは魔法力で長さや太さを調整する事が出来、軌道も操れるそのムチをエリエスの所に向かって…まるで釣り人がする様な動きで投げ入れた!
全員がBランクの為、戦闘力では三姉妹の足元にも及ばない彼女たちも、何とか役に立とうと必死になっていた
続く
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