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夢忘れ編

頼み事

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【ベイ・ガウザー城】
月明かりに照らされているベイの城
最上階には城主であるベイの私室があり、その部屋で妻にしたアナンナと共に生活している

その下の階には城内でもトップクラスの者たちの部屋があり、最上階に続く通路を塞ぐ門番の役目も果たしている

その最上階に上がる直前にある部屋、つまりは階段の手前には【消去の魔女・徳川有栖】の部屋がある。その部屋で彼女は、同じ地球からやって来た(25歳年下の)一条優輝と結婚してから一緒に生活していた

「うあぁ!も、もう…勘弁して…」

その彼女の部屋から僅かに漏れてきた命乞いのような悲鳴。その声を出しているのは…

「どうしたの優輝、もうへばったの?まだ3発出しただけじゃない?もっと私を満足させてくれないと怒っちゃうよ?」
 

「そう言われましても…もう体力が…」

媚びるような悲鳴を出していたのは徳川有栖ではなく、旦那の一条優輝の方だった。最強の魔女である彼女に相応しい旦那になる為、毎日この城の猛者たちから修行されて、かなり成長してきているのだが…

「何よ!2日に1回は夜の相手をして!って頼んであるでしょ。修行が厳しいから毎日は悪いかな?と思って隔日で我慢してあげてるのよ?」

「そうは言っても…はぁはぁ…修行は鬼厳しいしさ…有栖を抱かない日を狙ってミクイが相手をしてくれって、休みが無くなるくらいに迫られてるんだよ~…」

優輝をこの猛者揃いの城の中でも胸を張れるくらいの猛者にする為に、毎日厳しい修行を受けさせているのだから「夜の相手は2日に1回で良いからね」
と優輝に言った有栖だが…優輝の2日に1回の休みの半分はミクイの相手(主に夜)をさせられているので、実際のところ彼が安らかに寝れるのは4日に1回だった

「そんなにツライのなら…ミクイの相手を断れば良いじゃないの。優輝も頭使いなさいよね!」

「そうしたいのは山々だけどさ…「有栖が2日に1回なのに、なんでミクイは4日に1回なのさっ!」って言われててさぁ…」

「そんなの知らないわよ。優輝は私の旦那様なのよ?愛人であるミクイに無理に気を使うよりも、本妻の私の方が大切でしょ?」

徳川有栖は凄く賢くて、凄く強い魔女様だが…独占欲の強さも凄かったw彼女自身がミクイを【愛人】として認めておきながら…これ以上の融通は出来ないらしい

「( „❛ ֊ ❛„)んっ?この波動は……」

「どうしたんだ有栖?」

「間違いないわ。エリスア様の魔法力(チカラ)を感じるわ。方向は……ヘルメスの街ね。またあの3姉妹の所のようね。かなり魔力を高めているわ…何かあったのかな?」

有栖がエリスア様の魔法力(チカラ)を感じたのは、サーシャの身体を再調整する為に魔法力(チカラ)を使った時だった

「ごめん有栖!出ちまうっ!」

「んあっ!?…あ、熱うぃ……ちょっと!イキナリ出すのは勘弁して!って言ってあるでしょ!」

「す、すみません。でも、有栖が急に強く締め付けてくるから…」

優輝と繋がったまま馬乗りしていた有栖は、ヘルメスの街のアルバート家でエリスアが高い魔法を使ったのに連動し、全身にチカラが入ったようだ

つまりは優輝のキカン棒を急に強く締め付けたので、彼は我慢出来ずに発射したようだ。ヘルメスの街からかなり離れているベイの城に居ても、有栖だけはエリスア様の存在を感じ取っていた



【アルバート家】
「サーシャ。貴女が私を「お母さま」と言ってくれている様に、私も貴女を自分の娘だと思っています。そんな貴女が無理をし過ぎて早死にしてしまう姿など、見るに耐えられないのです」

「ごめんなさい。お母さま、今後は気をつけますの…」

「大丈夫ですよ。今後は無理できないようにブレーカーを仕込んで置きましたから。頑張りすぎると凄まじい睡魔に襲われる様に体質を変えておきました」

「それって単にデメリットなのでは?」

カルーアの指摘も、もっともだ

「大丈夫ですよ。その分、サーシャの回復力を僅かですが上げておきましたので♪」

エリスア様がこの家に来た理由。ソレがカルーアへのアドバイスと、娘であるサーシャの体質の再調整。本当にそれで終わりだろうか?どうもヒイロは納得がいかないようだ


「エリスア様。無礼を承知で質問させて欲しいのですが…他にも理由が有るのではないでしょうか?」

「えっ?そうなのかい?」
「そうなのですの?」

「ふふふ。ヒイロったら逞しいだけじゃなくて勘も良いのですね……コレは、本当に言おうか?否か?ずっと悩んでいたのですが…」

と言っているエリスア様の顔からは、困惑と焦りの様なものを感じたサーシャ

「お母さま!サーシャたちは、お母さまから見たら全然頼りちっぽけな存在でしかないと思いますけど、サーシャもお母さまのチカラになりたいんですの!」

何度もエリスアに生命を助けられているサーシャは、母親と呼べる彼女の悩んだ顔は無視できなかった


「まぁ!サーシャは本当に優しいのですね!実は困った頼み事をされて悩んでいたのですよ……まず、一条優輝や徳川有栖がこの世界の者たちに呼ばれて、強制的に地球からやって来た。のは知っていますよね?」

「そうらしいですね。その事が何か関係あるのですか?」

「ソレが大アリなのですよ…強制的な惑星間召喚は本来は御法度なのですよ。ですが!地球からは既に3人も強制召喚されていますよね?」

「ソレで罰を受けそうなのかい?エリスア様もご愁傷さまですね」

エリスア様が、他の神々のお偉いさん方からお叱りを受ける話だと思ったカルーアは、突然興味無さそうな態度になった

「その件はガイア様の温情により、不起訴となり無罪放免されたのですが…それとは別に…」

「何か良くないことになるのですの?」

「いえ、今回ガイア様の都合で地球からも転移させて欲しいと言われまして…」
 

「もしかして、わたし達にその人の世話を焼け。とは言わないよね?」

「え~と、ソレがぁ…事情が特殊でしてね。簡単に世話を焼けない位置で現れる事になってしまって…困っているのですよ。あはは…」

「つまり、地球の惑星神のガイア様から「この星に人を送るから面倒を見て欲しい」と頼まれたものの、エリスア様が頼れる知人がその場所に居ない。という事ですか?」

「そうなのですよヒイロ。貴方達にソコへ出向いてもらって、数日間その者をサポートしてあげて欲しいのですよ…」

どうやら、次はガイア様の決定で送られて来る者を助けるのが、エリスア様からの頼み事になるようだ



続く
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