ようこそ幼い嫁候補たち ①

龍之介21時

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アリス IN 異世界日本

吸血姫とキメラの少女

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【クラウン城下町】
ヒイロは一旦、城下町の出入り門まで来た。この城下町は外から入ってスグに、左右に延びる道に沿って商店街がズラリと並んでいる。そして、直進すれば王城に向かう創りになっているからである
東方面には食料や洗剤など、いわゆる生活消耗品関係の店が多い。反対に西側には衣服や装備品などの店が多く並んでいる

ヒイロは、カルーア、サーシャ、コハラコを連れてこの街の鍛冶屋を目指す
ミントスが大食堂でご馳走になった料理を再現したい!と言い出したので、優輝とミントスは東側の商店街を見に行ったのだが、彼のお目付け役である筈のミクイはその職務を全(まっと)うせずに、大好きなサーシャの居る方に付いてきていたw

「ところでコハラコ。お城での食事はあまり口に合わなかったか?」

「知ってたの?」
 

わりと騒がしく食事を取っていた中で、ヒイロはコハラコの箸があまり進んでいない事を目撃していた

「コハラコちゃん。吸血姫だから血の滴る肉関係が食べたいのは分かるけど、魚や野菜も大切なんだよ?」

「うん…分かった。カルーアの言う通りにするの!」

実は再三3姉妹と戦ったコハラコが、カルーア達と馴染んでくれないのではないか?と心配していたヒイロなのだが…仲良く暮らしている彼らに感化されたのか?コハラコはヒイロやカルーアの言葉に素直に同意してくれている



【洋服屋】
目的の鍛冶屋に到着すると、並びに洋服屋があるのを見付けたヒイロは、鍛冶屋に行く前に洋服屋へと入った

「いらっしゃいませ!」

ファッショナブルな(ヒイロより少し年上くらいの)お姉さんが、元気な挨拶をしてくれた

「お兄様、目的は隣の鍛冶屋さんじゃなかったんですの?」

サーシャもカルーア達と同様に首を傾(かし)げていた

「いや、1ヶ月以上ぶりにお前たちと再会しただろ?帰ったら服を買ってあげたいと思ってたのに、今まで機会がなかったからな。それに…コハラコも可愛いのに、今着てる服の1着しかないのは勿体無いよな?」

「コハラコに服を買ってくれるの?」

まさか自分の服まで買ってくれるとは想像してなかったコハラコ

「お姉さん、この娘は凄く素早く動くんだ。動きやすくて丈夫で、加えて可愛い服は無いかな?」

「ふふふ…かなりハードル高いご注文ですね(笑)…お値段は張りますがピッタリなのがありますよ!」

お店のお姉さんが見せてくれたのは、見た目的には今着てる服と大差なかったが…明らかに生地が違った

「兄さん!この服、滑らかなのに凄く丈夫な素材が使われている高級品だよ!これなら簡単に破れたりしないんじゃないかな?」

見せられた服を触ったカルーアの評価は、かなり高かった。コハラコも気に入ったようだ

「【月下喰らい】と呼ばれる食虫植物の希少な繊維で作られた、非常に高価な服です!その繊維は薄くて丈夫なうえに、水分を通しにくいので雨に濡れにくい特徴も併せ持っています…けれど、それに釣り合う値段で…上下セットで200万ゼニーです
ふふふ…どうですか?喉から手が出るほどの良い服ですけど…あまりに高くて手が出せないで…」

「良し!それを貰おう。カルーア支払っておいてくれ」

「そうでしょう!良い物ですが、買えないですよね…え?…ええっ!?」

お金の価値は日本とほぼ同じくらいなので、その服は上下セットで軽自動車が新車で買える程の金額だった
当然、お姉さんは欲しくても買えないだろう。と踏んでいたのだが…20歳のヒイロがアッサリと、一括支払いで買うと言うので驚きを隠せなかった

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

「ど、どうかな?」
 

「ふむ…似合ってるな。凄く可愛いぞ♪」

「あっりがとう御座いましたっ!またの御来店を心からお待ち致しておりまーすっ!」

元気な店員のお姉さんは、これでもかっ!と言わんばかりの声でヒイロ達をお見送りした
それもそのハズ、コハラコの服に加えカルーアとサーシャの服も合計すると350万ゼニーもの大金を、全て一括払いでお買い上げしてくれたからだ。3人は太っ腹なヒイロに超感謝していたが…

「ありがとう!ヒイロは優しい!困ったら何でも言ってね。コハラコ頑張るから!」

度重なるヒイロの優しさに、吸血姫のコハラコは彼の為なら何でもする気になっていた。その横でひとり元気の無いアサシンが居る…

「ミクイのは、無いの?」

「いや、家族へのプレゼントだから…貴方は家族ではないですから…」

唯一買って貰えなかったミクイが、しょげた表情をしているが…彼女はサーシャのストーカーでしかないので、プレゼントは当然無かった


【鍛冶屋】
家族3人へのプレゼントを買ったヒイロは、目的の鍛冶屋を訪ねた

「いらっしゃいませ……もしかしてヒイロさんじゃありませんか?」

ヒイロ達を出迎えた店員の(ヒイロより若干)若い男が、挨拶とほぼ同時にヒイロに気が付いた

「俺の事を知っているんですか?」

話によると、ひと月ほど前にヘパイトスが奥さんのアテナを連れて、城で働く息子と娘に挨拶に来ていたらしい
その時、その息子の創る武器防具を卸しているこの店に立ち寄って来た際に、ヒイロの事を詳しく聞いていたようだ

「【商業都市ヘルメス】でヘパイトスさんと肩を並べる程の鍛冶屋さんに、足を運んでもらえるなんて光栄です!多少ならお値段融通させて頂きますので、目に付いた物があれば遠慮なく言ってください!」

どうやら彼は、自分より少し年上でしかないヒイロが、大尊敬しているヘパイトスと鍛冶屋として肩を並べているので、憧れの存在であるらしい

「じゃあ遠慮なく見させてもらうよ。みんなも気に入った物があったら遠慮なく言えよ!」

カルーア、サーシャ、コハラコはそれぞれ自分に馴染みそうな武器防具を探し出した

「何か感じる!?」

カルーアは強い魔力に惹かれる様に、店の奥へと足を進めた
すると、鉄格子に守られた中に強い存在感を放つ杖を見付けた

「これは…凄いね!精霊が宿っているのかな?魂の息吹みたいなエネルギーを感じるね…」

するとカルーアの背後から、彼女に向けて声が掛けられた

「ほう、分かるのか?流石ハイエルフだな。魔法を得意とする種族の肩書きに偽りはなし!と言うことか?」

カルーアに声をかけた者、それは合成生物(キメラ)の少女だった
カルーアより、やや年上くらいの少女は不敵な笑みを浮かべている


続く
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