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アリス IN 異世界日本
男の意地
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【アルバート家】
「ヒイロ!何で戦うのさ?わたしとわたしの母さんが原因なら、わたしが彼に謝れば済むことじゃないか!」
「駄目だっ!お前はアドルの為に大切な母親の身体を提供した。記憶喪失ではあったが、アリスが寄せた想いまで捨てられた
お前の母親が生命を使ってまでしたのは、お前の妹のサーシャを助ける為なんだ。だから!お前がアドルに謝る必要は一切無い!」
ヒイロはこれ以上、大切な妹たちが傷付けられるのも貧乏くじを引かされるのも我慢がならなかった。3人の兄としてカルーアの彼氏として、自分が解決してあげたいと望んだ
「どうしてもやるのね?…なら、せめて外でやりなさい。私(ワタクシ)が見届けてあげます」
ミャンジャムも2人の男が引く気が無いことを悟り、2人を外に行かせた
【アルバート家中庭】
「わたくし聖騎士ミャンジャムが、2人の決闘の見届け人になります。良いですね?」
「僕は構わないよ…ところで、その木の影から見ている2人は…何の用なのかな?」
「あはは…お兄様、バレてるみたいですよ」
「そのようだな。…おほん!余はキングス・シュタイナー王子である。ソナタ等の戦いを見届けさせてもらおうぞ!」
数分前にヒイロ宅に来ていたシュタイナー兄妹は家の中の険悪な空気を察し、離れた場所から様子を見ていたようだ
「わたしは賛成してないんだ…でも、ヤルからには今後わたし達に突っかからないでくれよ」
「分かっているよ、こんなワガママはコレっきりにするよ。すまないねカルーアちゃん」
カルーアはアドルに近寄り、こんな事はもう無し!と釘を刺しに行った。反対にコハラコがヒイロの元に近寄る
「おにいさん、アドルは良い人。リリアが死んで泣き止めない、助けてあげて…お願い…」
「そうか…そうなのか、分かった。任せてくれ!」
アドルはカルーアの頼みを聞き、ヒイロはコハラコの願いを聞く形で2人の戦いが始まろうとしていた
「男の人って、不器用な生き物ですの…全く…」
感情や意見を素直に表現するサーシャには、ヒイロとアドルの不器用さが少し羨ましそうに見えていた
「ソレでは始めたいと思います。1VS1の決闘ゆえ、他者は一切の手助けを禁止します!決着方法は2人の判断に委ねます。良いですね?」
コハラコとカルーアは黙って首を縦に振った。キングスはサーシャから借りた椅子にふんぞり返り、ケイトスはその横で立って眺めていた
「僕は自分の生き方が間違っていたとは思ってないよ。その信念を貫きキミを倒す!」
「うるせえよ!俺は俺の守りたい者を守る、何があってもな…例え、誰が相手であってもだ!」
アドルもヒイロも引く気は無かった。ただ己の意志を貫く。例え相手が誰であろうとも…
「では…始めっ!」
ミャンジャムの号令が掛かり、2人の決闘は始まった!
……………………………………………
2人は一定の間合いを維持したまま動かなかった。半年ほど前、アドルがヒイロの工房を訪れて初対面した日に、ヒイロの力量を測ろうと1度手合わせしていたからだ
お互いの実力を知っている。だから迂闊には動かなかったのだが…
「行くぞっ!」
先に動いたのはヒイロだった
(リリアさんの死がまだ尾を引いているな。以前対峙した時の威圧感がまるで感じられない。今の彼なら…)
三姉妹を養う様になってからアリスに稽古を付けた日々、ミャンジャムと出会ってから護身術という名目で、彼女から鍛えられていたのが確実にヒイロの剣戟をレベルアップさせていた
「くっ!…前よりも出来る様になってるね…」
リリアという精神の支えを失い覇気の無いアドルは、防戦に回っていた
「ケイトスよ、あの赤毛の男は【イシスの英雄】と呼ばれている男なのだろう?…その割には鍛冶師を相手に防戦一方ではないか?」
「はい、それは間違いないのですが…リリアという想い人を亡くしたようで、気合いが入らない様ですね」
「なるほどな。しかし、ヒイロと言う男もなかなかやりおるな。剣筋は我流の様だが、身体捌きとパワーは余の親衛隊にも引けを取らんな!」
キングスはまるで新兵の品定めをするかのように、2人の戦いを眺めていた。切り結び合う2人のソード…押され続けるアドル
「ここだっ!」
アドルが少し体勢を崩したのをチャンスと見て、ヒイロは一気に襲いかかった!
「掛かったね…」
アドルは振り下ろされたヒイロのソードを、側転しながらかわしざま、ヒイロの脇腹にひと斬り入れた
「ぐっ!誘われたのか?」
いかにアドルが不調といえど、歴戦の戦士と鍛冶師では戦場の場数が違うようだ
「何故だっ!僕の努力もキミに負けないくらい積み上げてきたハズだ!なのに!キミの彼女は健在で、僕のリリアは不健康な身体で耐えて…やっと幸せを掴んだ!と思ってたのに何故、スグに死ななければならなかったんだ!」
アドルは自分の悲しみとやるせなさを、ヒイロに当て付けるかのように、ただただ剣戟を打ち続ける
「ふざけるな!お前は世界の中心かよっ!?お前の為だけに世界は回ってるんじゃねーんだよ!」
彼の言い分を受け入れられないヒイロは、押されながらも必死の抵抗を始めた。場数の差から押され始めたヒイロだが、不思議と彼は負ける気など微塵も感じていなかった
続く
「ヒイロ!何で戦うのさ?わたしとわたしの母さんが原因なら、わたしが彼に謝れば済むことじゃないか!」
「駄目だっ!お前はアドルの為に大切な母親の身体を提供した。記憶喪失ではあったが、アリスが寄せた想いまで捨てられた
お前の母親が生命を使ってまでしたのは、お前の妹のサーシャを助ける為なんだ。だから!お前がアドルに謝る必要は一切無い!」
ヒイロはこれ以上、大切な妹たちが傷付けられるのも貧乏くじを引かされるのも我慢がならなかった。3人の兄としてカルーアの彼氏として、自分が解決してあげたいと望んだ
「どうしてもやるのね?…なら、せめて外でやりなさい。私(ワタクシ)が見届けてあげます」
ミャンジャムも2人の男が引く気が無いことを悟り、2人を外に行かせた
【アルバート家中庭】
「わたくし聖騎士ミャンジャムが、2人の決闘の見届け人になります。良いですね?」
「僕は構わないよ…ところで、その木の影から見ている2人は…何の用なのかな?」
「あはは…お兄様、バレてるみたいですよ」
「そのようだな。…おほん!余はキングス・シュタイナー王子である。ソナタ等の戦いを見届けさせてもらおうぞ!」
数分前にヒイロ宅に来ていたシュタイナー兄妹は家の中の険悪な空気を察し、離れた場所から様子を見ていたようだ
「わたしは賛成してないんだ…でも、ヤルからには今後わたし達に突っかからないでくれよ」
「分かっているよ、こんなワガママはコレっきりにするよ。すまないねカルーアちゃん」
カルーアはアドルに近寄り、こんな事はもう無し!と釘を刺しに行った。反対にコハラコがヒイロの元に近寄る
「おにいさん、アドルは良い人。リリアが死んで泣き止めない、助けてあげて…お願い…」
「そうか…そうなのか、分かった。任せてくれ!」
アドルはカルーアの頼みを聞き、ヒイロはコハラコの願いを聞く形で2人の戦いが始まろうとしていた
「男の人って、不器用な生き物ですの…全く…」
感情や意見を素直に表現するサーシャには、ヒイロとアドルの不器用さが少し羨ましそうに見えていた
「ソレでは始めたいと思います。1VS1の決闘ゆえ、他者は一切の手助けを禁止します!決着方法は2人の判断に委ねます。良いですね?」
コハラコとカルーアは黙って首を縦に振った。キングスはサーシャから借りた椅子にふんぞり返り、ケイトスはその横で立って眺めていた
「僕は自分の生き方が間違っていたとは思ってないよ。その信念を貫きキミを倒す!」
「うるせえよ!俺は俺の守りたい者を守る、何があってもな…例え、誰が相手であってもだ!」
アドルもヒイロも引く気は無かった。ただ己の意志を貫く。例え相手が誰であろうとも…
「では…始めっ!」
ミャンジャムの号令が掛かり、2人の決闘は始まった!
……………………………………………
2人は一定の間合いを維持したまま動かなかった。半年ほど前、アドルがヒイロの工房を訪れて初対面した日に、ヒイロの力量を測ろうと1度手合わせしていたからだ
お互いの実力を知っている。だから迂闊には動かなかったのだが…
「行くぞっ!」
先に動いたのはヒイロだった
(リリアさんの死がまだ尾を引いているな。以前対峙した時の威圧感がまるで感じられない。今の彼なら…)
三姉妹を養う様になってからアリスに稽古を付けた日々、ミャンジャムと出会ってから護身術という名目で、彼女から鍛えられていたのが確実にヒイロの剣戟をレベルアップさせていた
「くっ!…前よりも出来る様になってるね…」
リリアという精神の支えを失い覇気の無いアドルは、防戦に回っていた
「ケイトスよ、あの赤毛の男は【イシスの英雄】と呼ばれている男なのだろう?…その割には鍛冶師を相手に防戦一方ではないか?」
「はい、それは間違いないのですが…リリアという想い人を亡くしたようで、気合いが入らない様ですね」
「なるほどな。しかし、ヒイロと言う男もなかなかやりおるな。剣筋は我流の様だが、身体捌きとパワーは余の親衛隊にも引けを取らんな!」
キングスはまるで新兵の品定めをするかのように、2人の戦いを眺めていた。切り結び合う2人のソード…押され続けるアドル
「ここだっ!」
アドルが少し体勢を崩したのをチャンスと見て、ヒイロは一気に襲いかかった!
「掛かったね…」
アドルは振り下ろされたヒイロのソードを、側転しながらかわしざま、ヒイロの脇腹にひと斬り入れた
「ぐっ!誘われたのか?」
いかにアドルが不調といえど、歴戦の戦士と鍛冶師では戦場の場数が違うようだ
「何故だっ!僕の努力もキミに負けないくらい積み上げてきたハズだ!なのに!キミの彼女は健在で、僕のリリアは不健康な身体で耐えて…やっと幸せを掴んだ!と思ってたのに何故、スグに死ななければならなかったんだ!」
アドルは自分の悲しみとやるせなさを、ヒイロに当て付けるかのように、ただただ剣戟を打ち続ける
「ふざけるな!お前は世界の中心かよっ!?お前の為だけに世界は回ってるんじゃねーんだよ!」
彼の言い分を受け入れられないヒイロは、押されながらも必死の抵抗を始めた。場数の差から押され始めたヒイロだが、不思議と彼は負ける気など微塵も感じていなかった
続く
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