ようこそ幼い嫁候補たち ①

龍之介21時

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アリス IN 異世界日本

サーシャの葬儀

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【ヘルメス葬儀場】
アリスが日本でキャンプの為の買い物を楽しんでいた日、カルーア達はサーシャに最後の別れとなる火葬を行おうとしていた

「本当に…もぅ目覚めないんだね…」

昨夜、時間限定で蘇ったサーシャ
カルーアは、その後もまた彼女が蘇るのでは?と、何度もサーシャの顔を覗き込んだが…あれ以降サーシャが目覚める事は無く、遂に葬儀の時間を迎えてしまった

「ヒイロ、カルーアちゃん…サーシャちゃんの分も頑張れよ!」

「はい、有難うございます…」

ヘルメスは大きな街なので立派な葬儀場もあり、そこでサーシャの火葬が執り行われようとしていた
商業ギルドマスターのジュリアンが主催者となり、火葬の一部始終を奥さんのネネカさんと共に仕切ってくれていた

「ミル、元気出すニャ」

「はい…」

サーシャの葬儀には沢山の人が駆け付けてくれていた。それほどサーシャが街の人たちと馴染んでいて、愛されていたことが反映されていた
他にも…サメ焼き屋のグレイス、キャルト、テルアもサーシャの別れに参列しに来てくれた

「ヒイロ…サーシャちゃんの事…残念だったわね。何かあったら言ってよね」

「ありがとう。本当に、良い娘だったよ…」

冒険者のシャルル、シェリー、ガルダンも来てくれた

「エルフっ娘、元気出せよ。彼女の分も幸せにならないとな」

「…分かってる、ありがとう」

ミントスはカルーアを気遣ってくれた。ミクイはサーシャの亡骸にすがり、さっきからずっと泣いていた

「ほらミクイ…いつまでも泣いてないで…葬儀が始まらないよ」

「サーシャちゃんと、お別れ、イヤだ!優輝を代わりに、焼く…ぐずっ…」

「ふざけんなっ!」

アサシンとして育ち誰にも心を開かなかったミクイにとって、初めて心を許したサーシャの死は受け入れ難いようだ

「みんな、別れは名残惜しいと思うが…そろそろ…では、ひとりずつ最後のお別れを」

参加者達はサーシャの入っている棺(ひつぎ)に花をいちりん入れ、ひと言を添えてお別れをしていた

「皆さん、お別れは済みましたか?…それでは、サーシャちゃんの魂にエリスア様の導きのあらん事を…」
 

王都聖騎士のミャンジャムが司会進行をしてくれている。彼女の言った順番に全員が別れを告げる。残るはヒイロとカルーア

「兄としてサーシャを幸せに出来なくてゴメンな…サーシャの作ってくれた料理は、本当に美味しかったよ。いつか俺もソッチに行って会ったら、またご飯作ってくれよ。さ、カルーア…」

ヒイロはお別れを済ますと、最後のカルーアを促した

「サーシャ…キミは本当にどうしようもなくエロエロだった…キミと2人だけで寝る時は…襲われるんじゃないだろうか?って安眠出来なかったよ……でも、優しくて一生懸命で…思いやりの強い妹だったね…わたしは…サーシャの事を…うっ…うわぁぁぁ…」

サーシャは途中で感情と共に涙が溢れ出し、言葉が詰まってしまう。むせび泣くカルーアの背中を、ミャンジャムが優しく撫でてくれた

「うっ…ひぐっ…こんな事なら…キミとのエッちい事も、もう少し付き合ってあげるんだったよ…うぅ…」

「どれくらいですの?」

「そうだね…週一くらいは付き合ってあげれば…えっ!?ええっ!?」

「バーンっ!カルーアお姉様のお言葉、確かに頂戴しましたの!」

確かに閉めた棺の蓋は勢い良く解放され、中からサーシャが元気に上半身を起こしている

「うおっ!?」
「ええっ!?」
「なんですとぉ!?」
「うわあああっ!?」

火葬場はしばし大騒ぎになった
昨夜「これで本当にお別れですの」確かにサーシャはそう言って、永遠の眠りに着いたハズだった。惑星神【エリスア様】でさえも直せない。と、言っていたのにだ!
……サーシャが息を吹き返した事により、火葬は取りやめられた



【商業ギルドのエントランス】
臨時休業しサーシャの火葬に集まった全員が、彼女を取り囲み話をしていた

「サーシャ!昨夜、これが本当に最後になる。って言ってたじゃないか、どういう事なんだよ!?」

カルーアは嬉しいのだが、本当に今生の別れを覚悟していたので、サーシャに詰め寄るように質問した

「あの後、エリスア様に付き添われて【天界】に向かうハズでしたの。そしたら【地球の神様】のガイア様が現れて、サーシャと取り引きをしましたの…」

「取り引き?地球の神様がわざわざサーシャちゃんの所に来て、どんな話を持ちかけたんだ?」

商業ギルドマスターとして、数々の取り引きに立ち会ってきたジュリアンにしてみれば、神様との取り引き内容が凄く気になる様だ

「昨夜、エリスア様のチカラで、僅かな時間だけ蘇って…お兄様と初本番をしましたの…その時、お兄様の子種がサーシャのお腹の部屋に付いたらしくって…お兄様とサーシャの子供を地球で育てたい。と…その代価として…
ガイア様は【生命と豊穣】の神様らしくって、その能力(チカラ)でサーシャを蘇らせてくれましたの!」
 

「ほ、本当に…そんな事が…ヒイロ君の工房って…奇跡を起こすスポットなんじゃないかしら?
【消去の魔女】や【エリスア様】オマケに今度は【地球の神ガイア様】まで降臨なさるなんて…1度何かないか?調査した方が良いかもしれませんね…あはは…」

ミャンジャムはヒイロの工房に厄介になる事になってから、立て続けに起こる奇跡的な現象にただただ驚きの連続だった

「あっ!?ちょっと待ってサーシャちゃん!地球の神様って言ったよね?まさか…」

「うん、ガイア様が言うにはね…アリスお姉様は優輝さんの妹さんの、優香ちゃんと一緒に住んでるらしいですの」

「なにぃ!マジかよっ!?そうか…優香なら面倒見が良いから、この星から転移したアリスちゃんの世話をしてくれるな!」

優輝にしてみれば、日本に残してきた家族の事はもう二度と知ることは出来ない。と、思っていたが…予想外の事から知る機会が訪れた



続く
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