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アリス IN 異世界日本
サーシャ危篤
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【工房の夜】
「サーシャはどんな感じだい?」
「けっこう高い熱だけど、そんなに危うくはなかったな。イシスにドルイドと長距離を旅した疲れと、鉱山防衛戦の疲労が一気に出てきたんだろうな。サーシャは頑張り屋さんだから少し休ませた方が良いな」
「すいません気が付けなくて。私は医術も多少はかじってましたのに…」
ヒイロは自室にサーシャを寝かせてきた
やや高い発熱ではあったが…それ以外に大きな異常は見られないので…しばらく安静にしてれば大丈夫だと思った
医術の知識もあるミャンジャムが、サーシャの看病を名乗り出てはくれたが…鉱山防衛戦で1番疲弊しているのはミャンジャムだったので、1番疲れなかったヒイロが観たのだが…
「わたしがサーシャの身体を拭いてくるよ」
「あぁ、そうしてやってくれ」
その後、カルーアとミャンジャムは三姉妹の部屋で寝た。ヒイロがサーシャを夜通しで看病した
【翌朝】
「多少は熱も下がりましたが…ピラニアラビットの討伐に連れていくのは無理ですわ。今日1日ゆっくりさせれば回復すると思います」
翌朝、ミャンジャムが食べやすい粥をサーシャに食べさせつつ診てくれた。そして、カルーアとミャンジャムで冒険者ギルドに依頼したピラニアラビットの討伐に参加する為、家を出た
【ホクセー鉱山】
今回はギルドマスターが自ら出向き、討伐隊の指揮を直接取っている。それぞれの参加者が準備を終えると、割り振られたエリアを目指し移動を開始した
「カルーアちゃん、やっぱりサーシャちゃんの事が心配?」
「うん、そりゃあね…」
自分とは違いアリスもサーシャも体力の高い2人だから、疲労で倒れられたのは初めてで、カルーアはかなり気になっていた。そこへ…
「やぁ、久しぶりだね。エルフっ娘」
「……!?ミントスじゃないか!」
異世界勇者御一行の優輝、ミントスが合流した。更にもう1人…
「あれ、あれれ?サーシャちゃん…サーシャちゃんはぁ?…………えっ!?………そんな…熱を出して療養中なんて…」
この討伐クエストに参加すればサーシャに会えると喜んでいたミクイは、凄まじく気落ちした
「ミクイは無理、優輝あとヨロシク…」
「こらこら!アンタも働きなさい!クエスト終わったら、彼の工房にサーシャちゃんの見舞いに行けば良いでしょ?」
「そっか!ミクイ、頑張る!サーシャちゃんの為に!」
まだ20にもなっていないが、高い考察力とアサシンスキルをマスタークラスまで習得しているミクイだが、好きなことに関してはド直球だった。こうして彼らはピラニアラビット討伐を開始した
【ヒイロの工房】
「ヒイロさん…今日は…仕事…しない…のですか?」
「鍛冶師の仕事はどうしても大きな音が出ちまうだろ?寝ているサーシャの邪魔になるからな…それに、俺も少し疲れてるし…何より傍に居てあげたい」
「…そうですね…ボク…食べやすいデザートとか…買って…来ますね!」
「あぁ、一応回復薬も買ってきてくれ」
サーシャが回復したら喜んでもらおうと彼女が好きそうなデザートを買いに、街まで出掛けることにしたミル
【ヒイロの部屋】
「サーシャ…寝ているか?」
ヒイロは、サーシャがもし寝ていたら悪いと思い、静かにドアを開き小声で話しかけ部屋に入る
「お兄様…今回は迷惑をかけて…ごめんなさい…ですの…」
「全然構わんさ。どうだ、お腹すいてないか?何か食べられるか?」
「………野菜スープが欲しいですの…」
「そうか、パパッと作ってくるから待ってろよ」
ヒイロは部屋を出てキッチンに向かった。扉が締められるまで澄ました顔でいたサーシャだが…
「…………ガハッ!…クハッハッ…」
咳き込んだサーシャの口からは…血が出ていた
(もう…ここまでですの?…せっかく幸せになりだしたのに…特に今、アリスお姉様が居ないから、カルーアお姉様を元気付けであげたいですのに…神様…エリスア様…どうか、サーシャにもう少しだけ…お時間を…)
「出来たぞサーシャ…何っ!?サーシャっ!」
戻ってきたヒイロの目に映ったのは、布団の1部を真っ赤に染めて、上半身を起こし咳き込みながら、吐血し続けているサーシャだった。予想外の光景に、ヒイロは作ってきたスープを床に落としてしまった
「馬鹿なっ!?どうして…こんな…」
「お兄様…すみませんですの…どうやらサーシャは…ここまでみたい…ですの…」
さっき部屋を出る前に見たサーシャとは、まるで別人の様に顔色が悪くなっていた。更に口から血を流し、服や布団のいたる箇所に血痕が付いていた
「嘘だろ?ゆうべや朝見た時は…大した事なかったのに…何故だ…しっかりしてくれ!」
ヒイロは優しくサーシャの上半身を支え、布団にそっと寝かせた。彼女の全身は汗で濡れていた。咳が止まらずに身体が震えている
「ごめんなさい…はぁはぁ…お兄様…」
「いつからだ?何時からこんなに身体を…」
「お兄様…前に少し話しましたけど…サーシャは奴隷市場に居た頃…金持ち貴族の道楽で…非合法な薬物を何度か飲まされた事がある…って言いましたよね?」
「あぁ…聞いてたが、ずっと元気だったじゃないか?」
「イシスの近くで…アリスお姉様に再会した頃から…少しずつ苦しくなり始めて…ゴホッゴホッ…」
「もう良い!喋るな、とにかく今は休眠を…」
「あれから段々悪くなって…イシス防衛戦で…もう死ぬと思いましたの…その時…徳川有栖さんが…カルーア姉様と私に魔女の血をくれましたの…
それまで回復魔法を毎日かけ続けて…誰にもバレないようにしてましたの…でも有栖さんにはバレてて…
何時まで持つかは分からないけど…元気に過ごせる禁呪を掛けてくれましたの…それも…どうやら…切れてしまった様ですの…」
「回復魔法を毎日?何故だ?…なんで、もっと早く言ってくれなかったんだ?」
ヒイロは突然過ぎる出来事に、完全に動揺していた。そんな彼を見つめてサーシャは優しく言う
「だって…薬で壊れた身体は…直せないって…あの【消去の魔女】さんでさえ言いましたの…だったら…出来るだけ心配させたくなかったですの…」
「俺達は家族だろ?言ってくれて…良かったのに…」
ヒイロは両眼から涙が溢れていた。話している間にも、サーシャの顔色が目に見えて悪くなっていたからだ
「言えなかったですの…」
「何故だよ…」
「みんなが好きだから……」
「サーシャ?…おい!サーシャっ!?」
「みんな…大好きですの……」
そう言うと、サーシャは笑顔のまま動かなくなった。工房の外にまでヒイロの咆哮が鳴り響いた!
続く
「サーシャはどんな感じだい?」
「けっこう高い熱だけど、そんなに危うくはなかったな。イシスにドルイドと長距離を旅した疲れと、鉱山防衛戦の疲労が一気に出てきたんだろうな。サーシャは頑張り屋さんだから少し休ませた方が良いな」
「すいません気が付けなくて。私は医術も多少はかじってましたのに…」
ヒイロは自室にサーシャを寝かせてきた
やや高い発熱ではあったが…それ以外に大きな異常は見られないので…しばらく安静にしてれば大丈夫だと思った
医術の知識もあるミャンジャムが、サーシャの看病を名乗り出てはくれたが…鉱山防衛戦で1番疲弊しているのはミャンジャムだったので、1番疲れなかったヒイロが観たのだが…
「わたしがサーシャの身体を拭いてくるよ」
「あぁ、そうしてやってくれ」
その後、カルーアとミャンジャムは三姉妹の部屋で寝た。ヒイロがサーシャを夜通しで看病した
【翌朝】
「多少は熱も下がりましたが…ピラニアラビットの討伐に連れていくのは無理ですわ。今日1日ゆっくりさせれば回復すると思います」
翌朝、ミャンジャムが食べやすい粥をサーシャに食べさせつつ診てくれた。そして、カルーアとミャンジャムで冒険者ギルドに依頼したピラニアラビットの討伐に参加する為、家を出た
【ホクセー鉱山】
今回はギルドマスターが自ら出向き、討伐隊の指揮を直接取っている。それぞれの参加者が準備を終えると、割り振られたエリアを目指し移動を開始した
「カルーアちゃん、やっぱりサーシャちゃんの事が心配?」
「うん、そりゃあね…」
自分とは違いアリスもサーシャも体力の高い2人だから、疲労で倒れられたのは初めてで、カルーアはかなり気になっていた。そこへ…
「やぁ、久しぶりだね。エルフっ娘」
「……!?ミントスじゃないか!」
異世界勇者御一行の優輝、ミントスが合流した。更にもう1人…
「あれ、あれれ?サーシャちゃん…サーシャちゃんはぁ?…………えっ!?………そんな…熱を出して療養中なんて…」
この討伐クエストに参加すればサーシャに会えると喜んでいたミクイは、凄まじく気落ちした
「ミクイは無理、優輝あとヨロシク…」
「こらこら!アンタも働きなさい!クエスト終わったら、彼の工房にサーシャちゃんの見舞いに行けば良いでしょ?」
「そっか!ミクイ、頑張る!サーシャちゃんの為に!」
まだ20にもなっていないが、高い考察力とアサシンスキルをマスタークラスまで習得しているミクイだが、好きなことに関してはド直球だった。こうして彼らはピラニアラビット討伐を開始した
【ヒイロの工房】
「ヒイロさん…今日は…仕事…しない…のですか?」
「鍛冶師の仕事はどうしても大きな音が出ちまうだろ?寝ているサーシャの邪魔になるからな…それに、俺も少し疲れてるし…何より傍に居てあげたい」
「…そうですね…ボク…食べやすいデザートとか…買って…来ますね!」
「あぁ、一応回復薬も買ってきてくれ」
サーシャが回復したら喜んでもらおうと彼女が好きそうなデザートを買いに、街まで出掛けることにしたミル
【ヒイロの部屋】
「サーシャ…寝ているか?」
ヒイロは、サーシャがもし寝ていたら悪いと思い、静かにドアを開き小声で話しかけ部屋に入る
「お兄様…今回は迷惑をかけて…ごめんなさい…ですの…」
「全然構わんさ。どうだ、お腹すいてないか?何か食べられるか?」
「………野菜スープが欲しいですの…」
「そうか、パパッと作ってくるから待ってろよ」
ヒイロは部屋を出てキッチンに向かった。扉が締められるまで澄ました顔でいたサーシャだが…
「…………ガハッ!…クハッハッ…」
咳き込んだサーシャの口からは…血が出ていた
(もう…ここまでですの?…せっかく幸せになりだしたのに…特に今、アリスお姉様が居ないから、カルーアお姉様を元気付けであげたいですのに…神様…エリスア様…どうか、サーシャにもう少しだけ…お時間を…)
「出来たぞサーシャ…何っ!?サーシャっ!」
戻ってきたヒイロの目に映ったのは、布団の1部を真っ赤に染めて、上半身を起こし咳き込みながら、吐血し続けているサーシャだった。予想外の光景に、ヒイロは作ってきたスープを床に落としてしまった
「馬鹿なっ!?どうして…こんな…」
「お兄様…すみませんですの…どうやらサーシャは…ここまでみたい…ですの…」
さっき部屋を出る前に見たサーシャとは、まるで別人の様に顔色が悪くなっていた。更に口から血を流し、服や布団のいたる箇所に血痕が付いていた
「嘘だろ?ゆうべや朝見た時は…大した事なかったのに…何故だ…しっかりしてくれ!」
ヒイロは優しくサーシャの上半身を支え、布団にそっと寝かせた。彼女の全身は汗で濡れていた。咳が止まらずに身体が震えている
「ごめんなさい…はぁはぁ…お兄様…」
「いつからだ?何時からこんなに身体を…」
「お兄様…前に少し話しましたけど…サーシャは奴隷市場に居た頃…金持ち貴族の道楽で…非合法な薬物を何度か飲まされた事がある…って言いましたよね?」
「あぁ…聞いてたが、ずっと元気だったじゃないか?」
「イシスの近くで…アリスお姉様に再会した頃から…少しずつ苦しくなり始めて…ゴホッゴホッ…」
「もう良い!喋るな、とにかく今は休眠を…」
「あれから段々悪くなって…イシス防衛戦で…もう死ぬと思いましたの…その時…徳川有栖さんが…カルーア姉様と私に魔女の血をくれましたの…
それまで回復魔法を毎日かけ続けて…誰にもバレないようにしてましたの…でも有栖さんにはバレてて…
何時まで持つかは分からないけど…元気に過ごせる禁呪を掛けてくれましたの…それも…どうやら…切れてしまった様ですの…」
「回復魔法を毎日?何故だ?…なんで、もっと早く言ってくれなかったんだ?」
ヒイロは突然過ぎる出来事に、完全に動揺していた。そんな彼を見つめてサーシャは優しく言う
「だって…薬で壊れた身体は…直せないって…あの【消去の魔女】さんでさえ言いましたの…だったら…出来るだけ心配させたくなかったですの…」
「俺達は家族だろ?言ってくれて…良かったのに…」
ヒイロは両眼から涙が溢れていた。話している間にも、サーシャの顔色が目に見えて悪くなっていたからだ
「言えなかったですの…」
「何故だよ…」
「みんなが好きだから……」
「サーシャ?…おい!サーシャっ!?」
「みんな…大好きですの……」
そう言うと、サーシャは笑顔のまま動かなくなった。工房の外にまでヒイロの咆哮が鳴り響いた!
続く
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