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イシス王国&ドルイド王国編
サーシャが伯爵令嬢?
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【夜の洞窟】
村を出発した三姉妹は、ヘルメスの南東に位置する工芸の街【スズカ】を目指して馬と狼を走らせた
が、昼過ぎから強い雨に見舞われ数時間、足どめを喰らってしまい、今夜には街に着く予定だったのだが…
「お姉様たち、あそこに洞穴がありますの!」
サーシャが洞穴を見つけた
とりあえず三姉妹は、ソコへ向かった
「結構大きな洞穴だね…」
「熊さんとかの冬眠用なのかなぁ…」
カルーアが魔法で調べてみると、確かに人の残留思念みたいなのは検知されなかった
アリスの鼻が正しければ、大型動物の冬眠用の洞穴だろう。なんとか馬も入れる高さがあるので、三姉妹は今晩そこで野宿する事にした
アリスとサーシャが薪になる木を集めに行った
その間にカルーアが洞穴に、認識阻害の魔法を掛ける準備をしていた
「そろそろ食べ頃ですの」
サーシャが肉と野菜を使った、鍋を作ってくれた
アリスがイノシシを倒した肉と、王国でもらった日持ちする野菜を使い、カルーアが魔法で薪に火を付けていた
「ほぅら、食べてよいよぉ」
アリスが馬と狼(ハイラ)にも分け与えていた
「それじゃ明日の為にも、そろそろ寝ようか?」
食事を済ませた三姉妹は、明日こそ【スズカ】に到着する為に早めに寝る事にした
「うっく…ひっぐ…」
「アリスお姉様…」
まだアドルへの未練が抜けないアリスは、声を出さない様に泣いていた
そんな姉を背後から優しく抱きしめるサーシャ
(サーシャは本当に優しいね…わたしも兄さんに捨てられたら、どうなっちゃうだろう?…姉さんの様にしばらく泣き続けるのかな?)
カルーアは2人を横目に、そんな事を考えながら眠りについた
【工芸の街スズカ】
「宿屋の予約済んだよ」
「ありがとうカルーア!」
三姉妹は昼前には目的の街に到着する事が出来た。三姉妹は3日ぶりに、手作りのまともな料理にありつけた
昼飯を済ませた三姉妹は、この街の名物、工芸品街道に向かった。ヘルメスの街では見ない様々な工芸品に目移りする三姉妹
しかし、元々コミュ障気味だったカルーアは、この街の人の多さに圧倒されているのか?表情が暗い。そんな姉を見かねたサーシャが気を使って話題を振った
「やっぱり工芸の街だけあって、ヘルメスでも見ない程の品揃えですの!」
「そ、そうだね…流石に【工芸品の街】って言われてるだけはあるね…」
それでもカルーアの緊張は解けなかった。のだが…サーシャの様な気遣いの無い無邪気な声が上がった
「うっわぁ!ねえねえ、コレ綺麗だと思わないぃ?アタシが身に付けたら輝いちゃうかなぁ?アハハハハ♪」
「………ぷっ!クスクス…はは、姉さんには、もっと明るい色の方が似合うんじゃないかな?」
三者三様で時には上手く噛み合わない事も多い彼女たちだが、誰かが足りない部分は他の2人のドチラかが補いあえる良い姉妹だ!
三姉妹は久しぶりに羽根を伸ばして、気楽な観光を楽しんでいた
「なんだいサーシャ、そんなに一生懸命に見詰めてさ…何か良い物でもあったのかい?」
「ええ、このブレスレットとかサーシャに似合うでしょうか?」
「おっ!若いお嬢さん良い目してるねー!ソレを選ぶなんてなっ!」
楽しく話し合いながら工芸品を見て回っている三姉妹を見た、露天商のオヤジがサーシャに話しかけて来た
「へ~、そんな趣味があったなんてね」
「カルーアお姉様は良いですの。いつも凄く羨ましいですの!」
「えっ!?何でだい?」
「カルーアお姉様には、【妖精の指輪】【魅惑の指輪】【お兄様のミスリルペンダント】【臥龍のマント】と、装飾品がいっぱいですの!」
「ミスリルペンダントなら、キミももらってるじゃないか」
「それ以外は何もないですの!」
サーシャは自分もカルーアみたいに、色々飾りたい様だ
「1万ゼニー以上のアクセサリーなら、無料で刻印しちゃうよ。黄色い髪のお嬢さん、名前はなんて言うんだい?」
「サーシャですの!」
ドルアーガ王国からもらった大金がある三姉妹にとって、1万ゼニーなど余裕の範囲だ。金に糸目を付けずに物色していたのだが…突然背後から声を掛けられた
「サーシャ様ですって?」
初老の男性が声を掛けてきた
「誰ですの?」
「おお!その可愛らしいお顔、その高い声、間違いないサーシャお嬢様だ!」
「えっ?」
「はい?」
「はあ?」
サーシャをお嬢様と呼ぶ初老の男性。是が非でも屋敷に来て欲しいと言う
「ひ、人違いですの!サーシャはお嬢様とかじゃないんですの!!」
「声、顔、名前、話し方…伯爵の妹君のサーシャ様に間違いありません!」
どれだけ説明しても分かってもらえそうに無かった。屋敷で伯爵に会って欲しいの一点張りだった。三姉妹は伯爵本人と話して、人違いだと説明する事にした
【オカマツ伯爵邸】
「旦那様ぁ!行方不明になっていたサーシャ様を見つけましたぞっ!」
「何っ!?本当かっ!」
初老の男性が開けた扉の部屋の奥では、書類仕事に精を出す若い伯爵が居た
「うおおおおぉっ!サーシャじゃないかっっっ!!」
伯爵はサーシャを見るなり、書類仕事のPENを放り出し、全速力で駆け寄るとサーシャに抱きついた
「ちょっ、ちょっと離して欲しいですの!サーシャは貴方の知るサーシャとは別人ですの!」
伯爵を突き放すサーシャに、キョトンとしている伯爵
「何を言ってるんだサーシャ?兄の私がサーシャを見間違う筈が無いだろう?」
初老の男性といい、伯爵といい、サーシャを伯爵令嬢と完全に思っているみたいだ
「どういう事なんだろうね?」
「ねぇカルーア、アレ見てぇ!」
すっかり困惑したカルーアが姉に話を振ると、アリスは壁の上を指さした。ソコには大きな肖像画がある
ある大人の夫婦と、少し若い伯爵とサーシャにそっくりな少女が描かれている
「まんまサーシャじゃないかっ!」
「えっ?どうしたんです……のぉっ!?」
姉2人が驚いて見上げている方を、サーシャも見てみると4人の家族の肖像画が飾られており、その中に描かれている少女は…正しくサーシャと瓜二つだった
「どういう事ですの?」
あまりの瓜二つさに、サーシャはもちろん驚きのあまり固まる三姉妹だった
続く
村を出発した三姉妹は、ヘルメスの南東に位置する工芸の街【スズカ】を目指して馬と狼を走らせた
が、昼過ぎから強い雨に見舞われ数時間、足どめを喰らってしまい、今夜には街に着く予定だったのだが…
「お姉様たち、あそこに洞穴がありますの!」
サーシャが洞穴を見つけた
とりあえず三姉妹は、ソコへ向かった
「結構大きな洞穴だね…」
「熊さんとかの冬眠用なのかなぁ…」
カルーアが魔法で調べてみると、確かに人の残留思念みたいなのは検知されなかった
アリスの鼻が正しければ、大型動物の冬眠用の洞穴だろう。なんとか馬も入れる高さがあるので、三姉妹は今晩そこで野宿する事にした
アリスとサーシャが薪になる木を集めに行った
その間にカルーアが洞穴に、認識阻害の魔法を掛ける準備をしていた
「そろそろ食べ頃ですの」
サーシャが肉と野菜を使った、鍋を作ってくれた
アリスがイノシシを倒した肉と、王国でもらった日持ちする野菜を使い、カルーアが魔法で薪に火を付けていた
「ほぅら、食べてよいよぉ」
アリスが馬と狼(ハイラ)にも分け与えていた
「それじゃ明日の為にも、そろそろ寝ようか?」
食事を済ませた三姉妹は、明日こそ【スズカ】に到着する為に早めに寝る事にした
「うっく…ひっぐ…」
「アリスお姉様…」
まだアドルへの未練が抜けないアリスは、声を出さない様に泣いていた
そんな姉を背後から優しく抱きしめるサーシャ
(サーシャは本当に優しいね…わたしも兄さんに捨てられたら、どうなっちゃうだろう?…姉さんの様にしばらく泣き続けるのかな?)
カルーアは2人を横目に、そんな事を考えながら眠りについた
【工芸の街スズカ】
「宿屋の予約済んだよ」
「ありがとうカルーア!」
三姉妹は昼前には目的の街に到着する事が出来た。三姉妹は3日ぶりに、手作りのまともな料理にありつけた
昼飯を済ませた三姉妹は、この街の名物、工芸品街道に向かった。ヘルメスの街では見ない様々な工芸品に目移りする三姉妹
しかし、元々コミュ障気味だったカルーアは、この街の人の多さに圧倒されているのか?表情が暗い。そんな姉を見かねたサーシャが気を使って話題を振った
「やっぱり工芸の街だけあって、ヘルメスでも見ない程の品揃えですの!」
「そ、そうだね…流石に【工芸品の街】って言われてるだけはあるね…」
それでもカルーアの緊張は解けなかった。のだが…サーシャの様な気遣いの無い無邪気な声が上がった
「うっわぁ!ねえねえ、コレ綺麗だと思わないぃ?アタシが身に付けたら輝いちゃうかなぁ?アハハハハ♪」
「………ぷっ!クスクス…はは、姉さんには、もっと明るい色の方が似合うんじゃないかな?」
三者三様で時には上手く噛み合わない事も多い彼女たちだが、誰かが足りない部分は他の2人のドチラかが補いあえる良い姉妹だ!
三姉妹は久しぶりに羽根を伸ばして、気楽な観光を楽しんでいた
「なんだいサーシャ、そんなに一生懸命に見詰めてさ…何か良い物でもあったのかい?」
「ええ、このブレスレットとかサーシャに似合うでしょうか?」
「おっ!若いお嬢さん良い目してるねー!ソレを選ぶなんてなっ!」
楽しく話し合いながら工芸品を見て回っている三姉妹を見た、露天商のオヤジがサーシャに話しかけて来た
「へ~、そんな趣味があったなんてね」
「カルーアお姉様は良いですの。いつも凄く羨ましいですの!」
「えっ!?何でだい?」
「カルーアお姉様には、【妖精の指輪】【魅惑の指輪】【お兄様のミスリルペンダント】【臥龍のマント】と、装飾品がいっぱいですの!」
「ミスリルペンダントなら、キミももらってるじゃないか」
「それ以外は何もないですの!」
サーシャは自分もカルーアみたいに、色々飾りたい様だ
「1万ゼニー以上のアクセサリーなら、無料で刻印しちゃうよ。黄色い髪のお嬢さん、名前はなんて言うんだい?」
「サーシャですの!」
ドルアーガ王国からもらった大金がある三姉妹にとって、1万ゼニーなど余裕の範囲だ。金に糸目を付けずに物色していたのだが…突然背後から声を掛けられた
「サーシャ様ですって?」
初老の男性が声を掛けてきた
「誰ですの?」
「おお!その可愛らしいお顔、その高い声、間違いないサーシャお嬢様だ!」
「えっ?」
「はい?」
「はあ?」
サーシャをお嬢様と呼ぶ初老の男性。是が非でも屋敷に来て欲しいと言う
「ひ、人違いですの!サーシャはお嬢様とかじゃないんですの!!」
「声、顔、名前、話し方…伯爵の妹君のサーシャ様に間違いありません!」
どれだけ説明しても分かってもらえそうに無かった。屋敷で伯爵に会って欲しいの一点張りだった。三姉妹は伯爵本人と話して、人違いだと説明する事にした
【オカマツ伯爵邸】
「旦那様ぁ!行方不明になっていたサーシャ様を見つけましたぞっ!」
「何っ!?本当かっ!」
初老の男性が開けた扉の部屋の奥では、書類仕事に精を出す若い伯爵が居た
「うおおおおぉっ!サーシャじゃないかっっっ!!」
伯爵はサーシャを見るなり、書類仕事のPENを放り出し、全速力で駆け寄るとサーシャに抱きついた
「ちょっ、ちょっと離して欲しいですの!サーシャは貴方の知るサーシャとは別人ですの!」
伯爵を突き放すサーシャに、キョトンとしている伯爵
「何を言ってるんだサーシャ?兄の私がサーシャを見間違う筈が無いだろう?」
初老の男性といい、伯爵といい、サーシャを伯爵令嬢と完全に思っているみたいだ
「どういう事なんだろうね?」
「ねぇカルーア、アレ見てぇ!」
すっかり困惑したカルーアが姉に話を振ると、アリスは壁の上を指さした。ソコには大きな肖像画がある
ある大人の夫婦と、少し若い伯爵とサーシャにそっくりな少女が描かれている
「まんまサーシャじゃないかっ!」
「えっ?どうしたんです……のぉっ!?」
姉2人が驚いて見上げている方を、サーシャも見てみると4人の家族の肖像画が飾られており、その中に描かれている少女は…正しくサーシャと瓜二つだった
「どういう事ですの?」
あまりの瓜二つさに、サーシャはもちろん驚きのあまり固まる三姉妹だった
続く
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