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イシス王国&ドルイド王国編
賢者の石
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【林道での決闘】
「…サーシャ達をどうするんだい?」
「馬車に乗ってる人達ですかぁ?んぅー問題ありませんよぉー、異空間に居るだぁけでぇーす!もっともぉ…数時間も過ぎれば死ぬかも知れませんがねぇ~(ニチャァ)(笑)」
とりあえず馬車に居た者たちはスグには死なないらしいが…あまりのんびりはしていられないようだ
「そうまでして僕と戦いたいのか?」
オデュッセウスはアドルの問いに対しプルプル震えたあと、両腕を高々と掲げた!
「もっちろんでぇっす!私が生きてきた長い年月の中で、あんな唐突にっ!あんな予想外にっ!あんな無様にっ!…私に敗北を刻んだのはっ!…はぁはぁ…貴方が最初で最後なんでぃすからねぇ!故にっ!…私は貴方との決闘を望みまぁす」
「父上、私は?」
「コハラコよ、父の勇姿をその目に刻むのでぇすっ!決して手出しはなりませんよぉ!」
オデュッセウスは、参加したくて仕方ない感じのコハラコを説得していた。しかし、納得のいかないカルーアが前に出た
「勝手過ぎないかい?ソッチから何度も奇襲を仕掛けておいて、正々堂々と決闘をしたいなんてさ!」
「ふーむ…確かに、貴方達から見れば…そう見えますねぇ…そうですねぇ…時にアドル・クリスニッジよ…記憶は戻ったのですかぁ~ん~?」
「いや、戻らなかったよ…けど!ボクは未来を大切に生きる。過去の記憶が無くても、ソレを言い訳にしたりはしない!」
迷いの晴れたアドルは清々しい顔で答えた。のだが…オデュッセウスは納得していない顔だ
「コレをあげましょう!ソレで、決闘を受ける代価と数回の奇襲の詫びにしてもらいましょうかぁ」
「…コレは?」
オデュッセウスが投げた結晶の様な、宝石の様な物をキャッチしたアドル
「ソレは【賢者の石】と言われている物でぇすっ!」
「……賢者の石だって!?」
この世界に何でも望みを叶えてくれるという、太古の賢者が作り出した【古代神器】の1つと伝聞されている結晶石だった
「数十年前に消去の魔女に鑑定してもらったのでぇすがぁ…正確には使い手の創造魔法をサポートする魔力増幅器。だと言ってましたねぇ…世界征服やら国家予算並の金銀財宝などは不可能らしいでぇすが…生命や肉体に関する事なら可能だと、言ってましたねぇ…どうですかぁ?」
「コレを使えば、ボクの記憶が?」
「たぶん、まぁちがいなぁくっ!」
半信半疑のアドル達
「本当は魔力を流すと毒が出たりするんじゃないのかい?」
「ふHAHAHAっ!疑り深いエルフの娘ですねぇ…しかぁしっ!ソレはあの、魔道兵器が見つかったのと同じ場所で手に入れた物、わぁたくしも何度もソレの恩恵に預かっているのでぇすっ!残りエネルギーが少ない様なので、貴方に差し上げましょう…
それにですよ…千年前後の時を生きる我々、真祖の吸血鬼に敗北という傷痕を付けてくれた者を、毒などで復讐したとあっては不死者たちの笑い者になりまぁすっ!…さぁ、わぁたくしは5年前、私を倒した鬼神の様な強さの貴方に勝ちたいのでっす!」
怪しい話ではあるが、アドルとの決闘の為にここまで手を尽くす彼の行動は信じて良いと判断する事にした
「それで、どうやって使うのかな?」
「簡単でぇす!ソレをしっかり握り締めて、叶えたい願いを強く想うだけでぇすっ!」
「そうか…じゃあ借りるとするよ…」
「アドルぅ、大丈夫なのぉ?」
当然ながらアリスは、敵である吸血鬼のくれた物を使う事に心配の様だ
「賢者の石よ蘇らせてくれ…僕が無くした記憶をっ!」
アドルに握り締められた【賢者の石】が眩い光を放った!光に包まれるアドル…
しばらくして…光が消えていくと…アドルの目付きが確実に変化していた。獲物を確実に仕留める野生の目だった
「ひっ!?」
見た事のない非情な目付きに驚くアリスだったが…まもなく落ち着いたアドルは、突然涙を流した
「僕は…なんて愚かなんだ…あんな大切な事を忘れていたなんて…彼女は僕をあんなに…なのに…何もお返しも出来ていない僕は…」
「どうですかぁ、賢者の石のチカラはぁ?」
「…本物だったよ、オデュッセウス・ノミィ。ありがとう…そして、久しぶりだね」
そしてアドルは再び、獲物を狩る野生動物の目付きになった
「んう~んっ!良いですねぇ♪♪その目♪♪その目ですよぉっ!わぁたくしに恐怖を植え付けた、その目の貴方に勝利してこそっ!私の復讐は果たされるのでっす!!」
オデュッセウスは宿敵だったアドルが、本当の意味で目の前に蘇ったので、歓喜の声を上げている
「ね、ねぇ…本当にアドルなのぉ?」
「あぁ、間違いないよ…戦争孤児だった苦境から、剣ひとつで世の中と戦っていた僕だっ!待たせたね、オデュッセウス。さぁ決着を付けようかっ!」
アドルは勇ましくクレリアソードを彼に向けた
何か嫌な予感を感じているカルーアは、アリスの手を取り彼らから距離を取る
「あっ!…負けたら許さないからね、アドルぅ!必ず帰って来てねぇ!」
「問題ない、僕は負けないよ!…そうだ!コレを持っていてくれ」
アドルはオデュッセウスから貰った【賢者の石】をアリスに託した
「コハラコよ、お前も少し離れていなさい。良いですかぁ?終わるまで絶対に動いてはなりませんよぉ?絶対ですからねぇ…」
「分かった、父上…」
アドルとオデュッセウスが対峙した
それ以外の者は距離を取り、2人の決着を見守ることになった。今、2人の5年越しの因縁に終止符が打たれようとしている
続く
「…サーシャ達をどうするんだい?」
「馬車に乗ってる人達ですかぁ?んぅー問題ありませんよぉー、異空間に居るだぁけでぇーす!もっともぉ…数時間も過ぎれば死ぬかも知れませんがねぇ~(ニチャァ)(笑)」
とりあえず馬車に居た者たちはスグには死なないらしいが…あまりのんびりはしていられないようだ
「そうまでして僕と戦いたいのか?」
オデュッセウスはアドルの問いに対しプルプル震えたあと、両腕を高々と掲げた!
「もっちろんでぇっす!私が生きてきた長い年月の中で、あんな唐突にっ!あんな予想外にっ!あんな無様にっ!…私に敗北を刻んだのはっ!…はぁはぁ…貴方が最初で最後なんでぃすからねぇ!故にっ!…私は貴方との決闘を望みまぁす」
「父上、私は?」
「コハラコよ、父の勇姿をその目に刻むのでぇすっ!決して手出しはなりませんよぉ!」
オデュッセウスは、参加したくて仕方ない感じのコハラコを説得していた。しかし、納得のいかないカルーアが前に出た
「勝手過ぎないかい?ソッチから何度も奇襲を仕掛けておいて、正々堂々と決闘をしたいなんてさ!」
「ふーむ…確かに、貴方達から見れば…そう見えますねぇ…そうですねぇ…時にアドル・クリスニッジよ…記憶は戻ったのですかぁ~ん~?」
「いや、戻らなかったよ…けど!ボクは未来を大切に生きる。過去の記憶が無くても、ソレを言い訳にしたりはしない!」
迷いの晴れたアドルは清々しい顔で答えた。のだが…オデュッセウスは納得していない顔だ
「コレをあげましょう!ソレで、決闘を受ける代価と数回の奇襲の詫びにしてもらいましょうかぁ」
「…コレは?」
オデュッセウスが投げた結晶の様な、宝石の様な物をキャッチしたアドル
「ソレは【賢者の石】と言われている物でぇすっ!」
「……賢者の石だって!?」
この世界に何でも望みを叶えてくれるという、太古の賢者が作り出した【古代神器】の1つと伝聞されている結晶石だった
「数十年前に消去の魔女に鑑定してもらったのでぇすがぁ…正確には使い手の創造魔法をサポートする魔力増幅器。だと言ってましたねぇ…世界征服やら国家予算並の金銀財宝などは不可能らしいでぇすが…生命や肉体に関する事なら可能だと、言ってましたねぇ…どうですかぁ?」
「コレを使えば、ボクの記憶が?」
「たぶん、まぁちがいなぁくっ!」
半信半疑のアドル達
「本当は魔力を流すと毒が出たりするんじゃないのかい?」
「ふHAHAHAっ!疑り深いエルフの娘ですねぇ…しかぁしっ!ソレはあの、魔道兵器が見つかったのと同じ場所で手に入れた物、わぁたくしも何度もソレの恩恵に預かっているのでぇすっ!残りエネルギーが少ない様なので、貴方に差し上げましょう…
それにですよ…千年前後の時を生きる我々、真祖の吸血鬼に敗北という傷痕を付けてくれた者を、毒などで復讐したとあっては不死者たちの笑い者になりまぁすっ!…さぁ、わぁたくしは5年前、私を倒した鬼神の様な強さの貴方に勝ちたいのでっす!」
怪しい話ではあるが、アドルとの決闘の為にここまで手を尽くす彼の行動は信じて良いと判断する事にした
「それで、どうやって使うのかな?」
「簡単でぇす!ソレをしっかり握り締めて、叶えたい願いを強く想うだけでぇすっ!」
「そうか…じゃあ借りるとするよ…」
「アドルぅ、大丈夫なのぉ?」
当然ながらアリスは、敵である吸血鬼のくれた物を使う事に心配の様だ
「賢者の石よ蘇らせてくれ…僕が無くした記憶をっ!」
アドルに握り締められた【賢者の石】が眩い光を放った!光に包まれるアドル…
しばらくして…光が消えていくと…アドルの目付きが確実に変化していた。獲物を確実に仕留める野生の目だった
「ひっ!?」
見た事のない非情な目付きに驚くアリスだったが…まもなく落ち着いたアドルは、突然涙を流した
「僕は…なんて愚かなんだ…あんな大切な事を忘れていたなんて…彼女は僕をあんなに…なのに…何もお返しも出来ていない僕は…」
「どうですかぁ、賢者の石のチカラはぁ?」
「…本物だったよ、オデュッセウス・ノミィ。ありがとう…そして、久しぶりだね」
そしてアドルは再び、獲物を狩る野生動物の目付きになった
「んう~んっ!良いですねぇ♪♪その目♪♪その目ですよぉっ!わぁたくしに恐怖を植え付けた、その目の貴方に勝利してこそっ!私の復讐は果たされるのでっす!!」
オデュッセウスは宿敵だったアドルが、本当の意味で目の前に蘇ったので、歓喜の声を上げている
「ね、ねぇ…本当にアドルなのぉ?」
「あぁ、間違いないよ…戦争孤児だった苦境から、剣ひとつで世の中と戦っていた僕だっ!待たせたね、オデュッセウス。さぁ決着を付けようかっ!」
アドルは勇ましくクレリアソードを彼に向けた
何か嫌な予感を感じているカルーアは、アリスの手を取り彼らから距離を取る
「あっ!…負けたら許さないからね、アドルぅ!必ず帰って来てねぇ!」
「問題ない、僕は負けないよ!…そうだ!コレを持っていてくれ」
アドルはオデュッセウスから貰った【賢者の石】をアリスに託した
「コハラコよ、お前も少し離れていなさい。良いですかぁ?終わるまで絶対に動いてはなりませんよぉ?絶対ですからねぇ…」
「分かった、父上…」
アドルとオデュッセウスが対峙した
それ以外の者は距離を取り、2人の決着を見守ることになった。今、2人の5年越しの因縁に終止符が打たれようとしている
続く
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