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イシス王国&ドルイド王国編
古の獣神マルバァス
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【ケイベイス洞窟の外】
「ありがとう、助かったよミクイ」
「またタカルから、問題ないぞ♪」
疲労困憊の優輝を担いで走ってきたミクイは、外に出ると優輝を地べたに投げ捨てた
「グぇ!いてて…」
「カルーア!サーシャ!どこぉ?…あっ!?」
アリスは洞窟内部から流れて来ている川から、カルーアとサーシャが流されて出てきたのを発見した
「良かったぁ!」
「姉さん達も無事で良かったよ♪」
「酷い目に逢いましたの!」
ドレイクは崩れ落ちる洞窟を眺めながら…再会を喜んでいる三姉妹たちに声を掛ける
「せっかくの再会の場面で悪ぃが…今から比べ物にならんくらいに酷い目に逢いそうだぜ!」
洞窟の1部を吹き飛ばし巨大な何かが飛び出して来た!ソイツは、ドレイク達から500メートルほど離れた場所に着地した
「ドドシンッ!!」
「古の獣神13体のひとつ。獣神マルバァスだわ…アイツの吐く息は未知の病を撒き散らし、アイツの背中の突起物は、煎じて飲むとあらゆる難病を治すと言うわ」
「なんだソレ?凄いマッチポンプじゃないか!」
「マッチポンプ?何だいソレは?」
優輝は思わず向こうの世界での表現をしたが、今はそんな事はどうでも良かったし、カルーアに上手く説明する事も出来なかった
現れたマルバァスは全長200メートルほどの大きさ誇り、まさにサラマンダーの親玉的存在で、頭部に立派な角を持ち鋭い牙と爪を持っている。ソイツがドレイク達を見つけた
「ズシン、ズシン…」
「どうやら見つかったようだね…ボクの勘は、アイツが相当ヤバい奴だって告げているよ」
………………………………
近付いて来るマルバァスに、ドレイクとミンク以外は恐怖に囚われていた
「アレが封印されていた獣神なのかい?…そ、そもそも、この世界に神は【惑星神エリスア様】だけなんじゃないのかい?」
「地上に住む者のほぼ全てがエリスア様を信奉しているわ。けど、外光がマトモに入らない地下の魔獣族たちは地下に追いやられた13体の怪物を古代13獣神として崇めているのよ…」
恐怖に囚われそうなカルーアが場の雰囲気を変えようとした質問に、額に汗をかいているミンクが答えてくれた
「とんでもなく強いと言っても…フレメイル兄妹が居るんだから…な、何とかなるよね?」
マルバァスが放つ、とんでもなさ過ぎる威圧感に固まっている三姉妹の緊張をほぐそうと、カルーアはドレイクに聞いた…
「さぁ…どうだろうな?」
「はいっ!?」
イシス王国での戦いで、桁違いの強さを誇ったベイ・ガウザーを圧倒したドレイク。更にその妹が居るのだから何とかなる、いや、何とかなって欲しいと願っていた一同だったが…
「俺たちがまだ生まれてなかった、かなり昔に奴と戦ったらしいんだが…王国の全兵力で相討ち覚悟で戦い瀕死の重症を負わせたところを、賢者エキドナが封印に成功した。って話だからな…」
「聞いてる話だと、アイツの身体は中級魔法までなら…何もしなくてダメージにならない体毛を持ってるらしいし…優輝くらいの剣戟もかすり傷すら付けられない硬さだと、思った方が良いわね」
ミンクから告げられた言葉は、全員に【絶望】の2文字を植え付けた
「ギョバアァァ!!」
マルバァスの雄叫びは更に、立ち尽くしている全員の肝を冷やさせた
「ま、そういう訳だから…俺たちが何とか出来ると思って応援していてくれ!」
「ドレイク、やりましょ!!」
フレメイル兄妹が、誰も見たことも無い真剣な目付きになっている。イシスでの戦いでも見せなかった顔つきだ!…それほどヤバい相手が迫って来ている事を物語っていた
「ドレイク様!ミンク様!」
上空からワイバーンの姉妹がやって来た
「も、もしかして…獣神マルバァス…ですか?」
ワイバーンの姉妹も恐怖で顔が引きつっている
「良いところに来た!戦力外の奴らを乗せて離れていてくれ!」
「そうね…私とドレイクと…カルーアね。それ以外は退避させて…私達がもし…勝ったのが見えたら迎えに来て!」
「も、もし…負けた場合は…」
「………そうね、クマノに行って退避勧告を!それと王国に詳細な報告を頼むわ」
「わ、分かりました…」
「そんな、アタシもカルーアと一緒に戦うんだからぁ!」
「無駄よ!獣人族程度のチカラでは傷も付けれない!」
「だったら!アタシはカルーアを担いで走り回ってやるんだからぁ!」
義理とは言えアリスは三姉妹の長女だ!いかに妹カルーアが超極大魔術を使えると言っても、その姿を安全地帯で観戦するなど受け入れられないようだ。ミンクはアリスの鬼気迫る覚悟に面食らっていた
「ふふ、あなた面白いね。古の獣神が相手なのに……良いわ、カルーアが狙い撃ちされてヤラれても困るから…妹を担いで逃げ回りなさい!」
「助かるよ、姉さん!」
「も、もちろんよ!アタシは1人前のレディなんだからねっ!妹のエスコっトくらい朝メシ前なんだからぁ!」
マルバァスの前に、ドレイク、ミンク、アリスにおんぶされたカルーアを残し、他のメンバーはワイバーン姉妹の背に乗り遙か後方へ退避した
「アリス…済まない…」
アドルも優輝も役に立てない非力な自分を責めた
「仕方ないですよ、屈強な臥龍族の一族が全滅を覚悟しないと戦えないような古代獣神が相手なんですから…」
「むしろ、臥龍族でもないカルーアちゃんが戦力に入れられてるのが奇跡なんですよ…」
ワイバーン姉妹によれば、臥龍族以外の種族では獣神を相手にするなど、地の果てまで逃げて当たり前の相手の様だ
「良いか、ハイエルフのカルーア!総魔力量でお前はミンクの足元にも及ばん!しかし、お前の攻撃魔法は有効だ!姉に担がれて移動して、全魔力を攻撃魔法に費やしてくれ!俺が撹乱するから、お前達の必殺魔法で致命傷を与えてくれ。トドメは俺が刺す!良いな?」
「魔女の血を飲んで、あの時より強くなってるんでしょ?期待させてもらうわよカルーア!」
正直なところ…アリスとカルーアの足は震えていた。世界を滅ぼしかねない獣神と対峙しているのだ、無理もない。アリスもカルーアも、全身が恐怖で震えているのをお互いに感じていた
「ぜ、絶対に生きてる帰るんだからねぇ!」
「も、もちろんだよ…姉さん!」
予想外の事は起こるもの…伝承で伝え聞くだけの古の獣神と、相対する事になってしまったアリス達。カルーアは国で待つヒイロの顔を思い浮かべ、身体の震えを無理やりに止め必ず帰る覚悟をしていた
続く
「ありがとう、助かったよミクイ」
「またタカルから、問題ないぞ♪」
疲労困憊の優輝を担いで走ってきたミクイは、外に出ると優輝を地べたに投げ捨てた
「グぇ!いてて…」
「カルーア!サーシャ!どこぉ?…あっ!?」
アリスは洞窟内部から流れて来ている川から、カルーアとサーシャが流されて出てきたのを発見した
「良かったぁ!」
「姉さん達も無事で良かったよ♪」
「酷い目に逢いましたの!」
ドレイクは崩れ落ちる洞窟を眺めながら…再会を喜んでいる三姉妹たちに声を掛ける
「せっかくの再会の場面で悪ぃが…今から比べ物にならんくらいに酷い目に逢いそうだぜ!」
洞窟の1部を吹き飛ばし巨大な何かが飛び出して来た!ソイツは、ドレイク達から500メートルほど離れた場所に着地した
「ドドシンッ!!」
「古の獣神13体のひとつ。獣神マルバァスだわ…アイツの吐く息は未知の病を撒き散らし、アイツの背中の突起物は、煎じて飲むとあらゆる難病を治すと言うわ」
「なんだソレ?凄いマッチポンプじゃないか!」
「マッチポンプ?何だいソレは?」
優輝は思わず向こうの世界での表現をしたが、今はそんな事はどうでも良かったし、カルーアに上手く説明する事も出来なかった
現れたマルバァスは全長200メートルほどの大きさ誇り、まさにサラマンダーの親玉的存在で、頭部に立派な角を持ち鋭い牙と爪を持っている。ソイツがドレイク達を見つけた
「ズシン、ズシン…」
「どうやら見つかったようだね…ボクの勘は、アイツが相当ヤバい奴だって告げているよ」
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近付いて来るマルバァスに、ドレイクとミンク以外は恐怖に囚われていた
「アレが封印されていた獣神なのかい?…そ、そもそも、この世界に神は【惑星神エリスア様】だけなんじゃないのかい?」
「地上に住む者のほぼ全てがエリスア様を信奉しているわ。けど、外光がマトモに入らない地下の魔獣族たちは地下に追いやられた13体の怪物を古代13獣神として崇めているのよ…」
恐怖に囚われそうなカルーアが場の雰囲気を変えようとした質問に、額に汗をかいているミンクが答えてくれた
「とんでもなく強いと言っても…フレメイル兄妹が居るんだから…な、何とかなるよね?」
マルバァスが放つ、とんでもなさ過ぎる威圧感に固まっている三姉妹の緊張をほぐそうと、カルーアはドレイクに聞いた…
「さぁ…どうだろうな?」
「はいっ!?」
イシス王国での戦いで、桁違いの強さを誇ったベイ・ガウザーを圧倒したドレイク。更にその妹が居るのだから何とかなる、いや、何とかなって欲しいと願っていた一同だったが…
「俺たちがまだ生まれてなかった、かなり昔に奴と戦ったらしいんだが…王国の全兵力で相討ち覚悟で戦い瀕死の重症を負わせたところを、賢者エキドナが封印に成功した。って話だからな…」
「聞いてる話だと、アイツの身体は中級魔法までなら…何もしなくてダメージにならない体毛を持ってるらしいし…優輝くらいの剣戟もかすり傷すら付けられない硬さだと、思った方が良いわね」
ミンクから告げられた言葉は、全員に【絶望】の2文字を植え付けた
「ギョバアァァ!!」
マルバァスの雄叫びは更に、立ち尽くしている全員の肝を冷やさせた
「ま、そういう訳だから…俺たちが何とか出来ると思って応援していてくれ!」
「ドレイク、やりましょ!!」
フレメイル兄妹が、誰も見たことも無い真剣な目付きになっている。イシスでの戦いでも見せなかった顔つきだ!…それほどヤバい相手が迫って来ている事を物語っていた
「ドレイク様!ミンク様!」
上空からワイバーンの姉妹がやって来た
「も、もしかして…獣神マルバァス…ですか?」
ワイバーンの姉妹も恐怖で顔が引きつっている
「良いところに来た!戦力外の奴らを乗せて離れていてくれ!」
「そうね…私とドレイクと…カルーアね。それ以外は退避させて…私達がもし…勝ったのが見えたら迎えに来て!」
「も、もし…負けた場合は…」
「………そうね、クマノに行って退避勧告を!それと王国に詳細な報告を頼むわ」
「わ、分かりました…」
「そんな、アタシもカルーアと一緒に戦うんだからぁ!」
「無駄よ!獣人族程度のチカラでは傷も付けれない!」
「だったら!アタシはカルーアを担いで走り回ってやるんだからぁ!」
義理とは言えアリスは三姉妹の長女だ!いかに妹カルーアが超極大魔術を使えると言っても、その姿を安全地帯で観戦するなど受け入れられないようだ。ミンクはアリスの鬼気迫る覚悟に面食らっていた
「ふふ、あなた面白いね。古の獣神が相手なのに……良いわ、カルーアが狙い撃ちされてヤラれても困るから…妹を担いで逃げ回りなさい!」
「助かるよ、姉さん!」
「も、もちろんよ!アタシは1人前のレディなんだからねっ!妹のエスコっトくらい朝メシ前なんだからぁ!」
マルバァスの前に、ドレイク、ミンク、アリスにおんぶされたカルーアを残し、他のメンバーはワイバーン姉妹の背に乗り遙か後方へ退避した
「アリス…済まない…」
アドルも優輝も役に立てない非力な自分を責めた
「仕方ないですよ、屈強な臥龍族の一族が全滅を覚悟しないと戦えないような古代獣神が相手なんですから…」
「むしろ、臥龍族でもないカルーアちゃんが戦力に入れられてるのが奇跡なんですよ…」
ワイバーン姉妹によれば、臥龍族以外の種族では獣神を相手にするなど、地の果てまで逃げて当たり前の相手の様だ
「良いか、ハイエルフのカルーア!総魔力量でお前はミンクの足元にも及ばん!しかし、お前の攻撃魔法は有効だ!姉に担がれて移動して、全魔力を攻撃魔法に費やしてくれ!俺が撹乱するから、お前達の必殺魔法で致命傷を与えてくれ。トドメは俺が刺す!良いな?」
「魔女の血を飲んで、あの時より強くなってるんでしょ?期待させてもらうわよカルーア!」
正直なところ…アリスとカルーアの足は震えていた。世界を滅ぼしかねない獣神と対峙しているのだ、無理もない。アリスもカルーアも、全身が恐怖で震えているのをお互いに感じていた
「ぜ、絶対に生きてる帰るんだからねぇ!」
「も、もちろんだよ…姉さん!」
予想外の事は起こるもの…伝承で伝え聞くだけの古の獣神と、相対する事になってしまったアリス達。カルーアは国で待つヒイロの顔を思い浮かべ、身体の震えを無理やりに止め必ず帰る覚悟をしていた
続く
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