ようこそ幼い嫁候補たち ①

龍之介21時

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冒険と成長の三姉妹

小さなエルフの恋物語

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【ヒイロの部屋】
翌朝、ヒイロのベッドで目を覚ましたカルーア。小さなあくびをした後、両腕を天に伸ばすように大きく背伸びをした

「ふぁぁぁ…よく寝た…んぅ…よく寝たんだけど、お尻が痛い……兄さんめ、どんどんエッチくなってるよな…はぁ…」

そう言うとカルーアは、横で気持ち良さそうに寝ているヒイロの顔を指で突き

「これだけ尽くしているんだから…わたしを1番に愛している…くらい言って欲しいものだよ…」

そう言い終えると、少し寂しそうな表情を浮かべてベッドから起き上がった

「ピンポーン!」

不意に来客のチャイムが鳴った!
そそくさと急ぎ気味に着替えるカルーア。パンツを履き替える時に手が止まり、思わず匂いを嗅いだ
(昨日アレだけ激しくされたから、匂いとか残ってたりしないよね?……クンクン…うん、大丈夫だね)

「はーい、今行きます!」

着替えを終えたカルーアは、出迎える為に玄関へと向かって行った

静かに目を開けるヒイロ。実は彼は途中から起きていたようだ。黙ってカルーアの言葉を聞いていたのだ
「わたしを1番に愛している…」
その言葉がヒイロに響いていた



【玄関】
「ガチャり」

「はい、どなたですか?……げ!?」

「げ!?…とはご挨拶ね「エルフっ娘」ヒイロは居るの?」

「兄さんに会いに来たのかい?残念ながら寝室で寝ているよ」

その言葉を聞き、カルーアの姿をジロジロ舐め回すシャルル。その後おもむろにカルーアに顔を近づけ、クンクン匂いを嗅いだ

「ちょっと!な、なんだい?」

「エルフっ娘…あなた今、誰の部屋から出て来たの?…それに、ヒイロの匂いが微かに移っているわね…まさか?」

昨夜ヒイロと濃密に愛し合った事が、バレる気がしたカルーアの顔はそうとう焦っていた

「あ、朝早くから人を起こして、他所様の家の状況観察とか…あまり良い趣味とは言えないね(汗)」

「ほらほらシャルル、話が進まないからソレはこのへんで…」

話に割って入ってきた姉のシェリー



【キッチン】
「はい、ヒイロ。朝からお邪魔してごめんなさいね。今日はコレを渡そうと思ってね」

ミルがシェリー姉妹に紅茶とお菓子を用意していると、ヒイロもやって来て姉妹の話を聞いていた。手渡されたのは【ヘルメスの街】から【イシス王国】が記載された大きめな地図だった

「これは、かなり精密に書かれているね。小さめな町や、少数の人による集落まで記載されているね」

「コレがあったら、アリスお姉様を探す旅もだいぶ楽になりますの!」

「ありがとうシェリーさん達、コレでアリスお姉様を探す旅に安心して出かけられますわ」

アリスを慕うエリエスは素直に喜んだのだが…
突然、玄関のドアが開き1人のお爺さんが入ってきた

「お前は駄目じゃ、エリエス」

「お爺様!?いらしたのですか?」

「ハイラの躾が終わったからの。婆さんに店番を頼んで連れてきたのじゃ」

「そうですか…でも、何故私がアリスお姉様を探す旅に出ては行けないのですか?」

祖父と孫娘の真剣な話し合いを、周りの全員は静かに聞いていた

「エリエスよ、そなたが目指すものはなんじゃ?…鍛冶スキルを持つ戦士なのか?戦える鍛冶師なのか?…お前がコチラでお世話になっていた1ヶ月半の間に、このワシでなくお前の技術を頼って一体、何人の人が訪問したと思う?」

「うっ!それは…そうでしたわ…私が目指すものは【戦える鍛冶師】でしたわ」

「万が一、お前に何かあったら【ヘパイトス工房】は誰が継ぐのじゃ?それに婆さんがキッチリ育てたハイラが居る。お前はお前の成すべき道を歩め!」

「分かりましたわ……すみません、カルーア、サーシャ。私は旅に同行出来ませんわ」



【南部平原】
カルーア、サーシャ、ヒイロ、ハイラ(狼)は2頭引きの馬車により、イシス王国の方角へ移動していた

「兄さん…かれこれ、もう4時間は経ったよ」

「し、しかしだなカルーア…」

「送りは3時間の約束だったよね」

エリエスの帰還により戦力不足を危惧したヒイロは、馬車で片道3時間だけ送ってくれる。と約束したのだが…4時間を過ぎても帰ろうとしないヒイロに、カルーアは我慢出来ずに切り出していた

「まぁまぁお姉様、お兄様も心配してくださっていますの」

「それは分かってるよ、でも、これ以上ズルズルしてても良くないだろう!」

「分かったよカルーア、俺は工房に帰る。サーシャ、カルーアを宜しくな」

「もちろんですの!」

「早く行きなよ!」

ヒイロに向かい合い言ったサーシャと、ヒイロに背を向けて言ったカルーア。思い悩んだヒイロは、カルーアを背後から抱き寄せ呟いた

「お前を1番に愛しているよ、カルーア」

その途端、身体が弾けるように反応したカルーア。振り向いた彼女は笑顔で涙を流していた

「馬鹿!別れる前に…泣かせるんじゃあないよ…ばか、本当に…バカなんだから!」
 

カルーアは今までの中でも、最高の笑顔でヒイロを抱き返し、上目遣いで返事をした

「わたしもだよ、世界で1番…愛してるよ!」

そしてヒイロは馬車を反転させ、自分の工房に帰って行った。そんな彼を見送るカルーアの目からは涙が流れていたが…表情は迷いの無い笑顔だった



続く
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