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冒険と成長の三姉妹
魔王専属の魔女
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【中央陣地】
騎士達は秘密兵器の槍が、1人の魔法で消滅された事に騒然としていた
「大紅軍旗(グラシエール)よ、侵入者どもを焼き払え!」
フュールが杖をかざしその矛先を騎士達に向けると、魔法の軍旗は鉄器槍を目掛けて降下して行った
「総員退避!緊急退避だあ!!」
騎士隊長のロードは声を張り上げ、仲間達に撤退を呼び掛けたのだが…頭上から自分達に覆い被さるように降りて来る巨大な灼熱の軍旗の異様さに、周辺の騎士達はパニック状態になってしまった
「バジュウゥ!」
巨大な軍旗は鉄器槍を中心に、その周辺を焼き尽くした
「ぐっ…どうな…った?」
遥か後方に飛ばされたロードがゆっくり起き上がった。彼が前方を確認すると…燃え盛る鉄器槍と、その周辺に人の形をした黒い消し炭が大量のカカシのように立っていた
「ま、まさか…あれだけの騎士が…一撃で…」
フュールの大紅軍旗は、鉄器槍と騎士200人以上を一撃で燃やし尽くしていた
フュールが杖に手をかざすと大紅軍旗は魔法エネルギーに変化し、彼女の体内へと帰って行った
「拡散音域(ワールドヴォイス)」
フュールはこのエリアに居る全ての者に、声を届かせる魔法を使った
「聞け!王宮の騎士達よ!私は【渇望の魔女】フュール!私達は今以上の領地を求めはしない!貴様らが私達の領地に立ち入らない限り、私は貴様らに牙を向けない!その事を肝に銘じて、速やかに私達の土地より引き上げよ!」
「あ、あの魔女め…勝手な事を…」
「……いや、参謀よ…全軍撤退だ。合図の信号弾を撃て…」
「しかし、魔女1人相手に引き下がっては…」
「魔族の将6人に対し魔女が何故7人居るのか知っているか?…あの魔女は魔王直属の魔女だ!20年前の大戦で魔王が死んだ時、彼女は魔王復活の時まで自ら眠りについたと聞いている」
「……!?まさか、その魔女が目覚めていると言う事は魔王が…」
「そうだ…魔王が復活していると言う事だ。その魔王の状態が分からぬ上に、この大被害を受けては…もはや引くしかあるまいよ」
「バシュ………ドドーン!」
参謀は部下に銘じて、緊急退避の信号弾を打ち上げさせた
【左翼陣地】
「ドレイク!あそこ、でっかい花火だよっ!」
「…馬鹿!アレは緊急退避の信号弾じゃねーか!本陣がやられたのか?」
「どうするの?私達だけでも左翼の相手は全滅させられなくもないけど?」
「俺達はあくまで貿易交渉の大使として、来訪してた時に偶然頼まれて参戦したに過ぎん
過度な働きをする程の義理は無い」
「はーい、じゃあ帰ろうか…バイバイ、お爺さん!」
ミンクは2人を遠視で見ていたロキシードに、笑顔で手を振ってから撤退した
【アリスとアドル】
「アドルさん…意識が戻らないね、心配だなぁ…そろそろ日も暮れちゃうね…どうするぅ?」
「そうね、ヘルメスのマチからトオくなるけどナンセイのホウガクに、ヒトがアツまっているのをカンじるわ」
「そうだね、知らない土地で夜を迎えるのは危険だよねぇ…えと、お金は…」
アリスはサイドポーチの中を調べた
前に異世界勇者や行商人を護衛した時の報酬が、姉妹で3等分した4万ゼニーが入っている
「これだけあったら、3日間くらいは何とかなりそうだねぇ」
【港町トーバ】
何とか日が暮れる前に街に辿り着いたアリス達
その町の入り口で守衛と思われる男達から、職務質問をされた
「Cランク冒険者のアリスさんと…コッチは…Aランク冒険者…イシスの勇者アドル様!?」
人口1000人程のこの街にも、イシスの勇者アドルの名は届いていたようだ。守衛の男達からこの街で、1番評判の良い宿屋を教えて貰った。アリスは意識の戻らないアドルを背負い、宿屋を目指した
この街で唯一、3階建ての立派な宿屋に泊まることにしたアリス達
「いらっしゃいませ!1名につき、宿泊のみで3000ゼニー、ご希望であれば夕食、朝食が各1000ゼニーでお付け出来ますが?」
アリスは2食付きでの宿泊を選んだ
アドルは耐熱耐水のアイテム袋を持っていて、中に8万ゼニーが入っていた
「しばらくは何とかなりそうだねぇ」
「そうね、あとはアドルのイシキがモドれば、ヨイんだけどね…」
アリスが調べるとアドルは、かなりの高熱を発していた。戦闘時の大ダメージによるものと思われた。アリス達の懸命な看病で、2日目の夕方アドルは意識を取り戻した。が…
「おはようございます…あのキミ達は誰?…ボクはどうしてここに?…それにボクは誰なんだ?
キミ達はボクをどうする気なんだ!」
言葉使いは丁寧でも、動じない自信を感じさせていたアドルとは思えない怯えた様子だ
「もしかして…記憶喪失なのぉ?…リリアちゃん、どうしようかぁ?」
リリアはしばらく考えた後、アリスに小声で意見した。そして振り向いたアリスは…
「アタシが…アドルさんの…彼女だよぉ…」
リリアの提案により、アリスがアドルの彼女だと演技をし記憶喪失の彼(アドル)を支えることにした
続く
騎士達は秘密兵器の槍が、1人の魔法で消滅された事に騒然としていた
「大紅軍旗(グラシエール)よ、侵入者どもを焼き払え!」
フュールが杖をかざしその矛先を騎士達に向けると、魔法の軍旗は鉄器槍を目掛けて降下して行った
「総員退避!緊急退避だあ!!」
騎士隊長のロードは声を張り上げ、仲間達に撤退を呼び掛けたのだが…頭上から自分達に覆い被さるように降りて来る巨大な灼熱の軍旗の異様さに、周辺の騎士達はパニック状態になってしまった
「バジュウゥ!」
巨大な軍旗は鉄器槍を中心に、その周辺を焼き尽くした
「ぐっ…どうな…った?」
遥か後方に飛ばされたロードがゆっくり起き上がった。彼が前方を確認すると…燃え盛る鉄器槍と、その周辺に人の形をした黒い消し炭が大量のカカシのように立っていた
「ま、まさか…あれだけの騎士が…一撃で…」
フュールの大紅軍旗は、鉄器槍と騎士200人以上を一撃で燃やし尽くしていた
フュールが杖に手をかざすと大紅軍旗は魔法エネルギーに変化し、彼女の体内へと帰って行った
「拡散音域(ワールドヴォイス)」
フュールはこのエリアに居る全ての者に、声を届かせる魔法を使った
「聞け!王宮の騎士達よ!私は【渇望の魔女】フュール!私達は今以上の領地を求めはしない!貴様らが私達の領地に立ち入らない限り、私は貴様らに牙を向けない!その事を肝に銘じて、速やかに私達の土地より引き上げよ!」
「あ、あの魔女め…勝手な事を…」
「……いや、参謀よ…全軍撤退だ。合図の信号弾を撃て…」
「しかし、魔女1人相手に引き下がっては…」
「魔族の将6人に対し魔女が何故7人居るのか知っているか?…あの魔女は魔王直属の魔女だ!20年前の大戦で魔王が死んだ時、彼女は魔王復活の時まで自ら眠りについたと聞いている」
「……!?まさか、その魔女が目覚めていると言う事は魔王が…」
「そうだ…魔王が復活していると言う事だ。その魔王の状態が分からぬ上に、この大被害を受けては…もはや引くしかあるまいよ」
「バシュ………ドドーン!」
参謀は部下に銘じて、緊急退避の信号弾を打ち上げさせた
【左翼陣地】
「ドレイク!あそこ、でっかい花火だよっ!」
「…馬鹿!アレは緊急退避の信号弾じゃねーか!本陣がやられたのか?」
「どうするの?私達だけでも左翼の相手は全滅させられなくもないけど?」
「俺達はあくまで貿易交渉の大使として、来訪してた時に偶然頼まれて参戦したに過ぎん
過度な働きをする程の義理は無い」
「はーい、じゃあ帰ろうか…バイバイ、お爺さん!」
ミンクは2人を遠視で見ていたロキシードに、笑顔で手を振ってから撤退した
【アリスとアドル】
「アドルさん…意識が戻らないね、心配だなぁ…そろそろ日も暮れちゃうね…どうするぅ?」
「そうね、ヘルメスのマチからトオくなるけどナンセイのホウガクに、ヒトがアツまっているのをカンじるわ」
「そうだね、知らない土地で夜を迎えるのは危険だよねぇ…えと、お金は…」
アリスはサイドポーチの中を調べた
前に異世界勇者や行商人を護衛した時の報酬が、姉妹で3等分した4万ゼニーが入っている
「これだけあったら、3日間くらいは何とかなりそうだねぇ」
【港町トーバ】
何とか日が暮れる前に街に辿り着いたアリス達
その町の入り口で守衛と思われる男達から、職務質問をされた
「Cランク冒険者のアリスさんと…コッチは…Aランク冒険者…イシスの勇者アドル様!?」
人口1000人程のこの街にも、イシスの勇者アドルの名は届いていたようだ。守衛の男達からこの街で、1番評判の良い宿屋を教えて貰った。アリスは意識の戻らないアドルを背負い、宿屋を目指した
この街で唯一、3階建ての立派な宿屋に泊まることにしたアリス達
「いらっしゃいませ!1名につき、宿泊のみで3000ゼニー、ご希望であれば夕食、朝食が各1000ゼニーでお付け出来ますが?」
アリスは2食付きでの宿泊を選んだ
アドルは耐熱耐水のアイテム袋を持っていて、中に8万ゼニーが入っていた
「しばらくは何とかなりそうだねぇ」
「そうね、あとはアドルのイシキがモドれば、ヨイんだけどね…」
アリスが調べるとアドルは、かなりの高熱を発していた。戦闘時の大ダメージによるものと思われた。アリス達の懸命な看病で、2日目の夕方アドルは意識を取り戻した。が…
「おはようございます…あのキミ達は誰?…ボクはどうしてここに?…それにボクは誰なんだ?
キミ達はボクをどうする気なんだ!」
言葉使いは丁寧でも、動じない自信を感じさせていたアドルとは思えない怯えた様子だ
「もしかして…記憶喪失なのぉ?…リリアちゃん、どうしようかぁ?」
リリアはしばらく考えた後、アリスに小声で意見した。そして振り向いたアリスは…
「アタシが…アドルさんの…彼女だよぉ…」
リリアの提案により、アリスがアドルの彼女だと演技をし記憶喪失の彼(アドル)を支えることにした
続く
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