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冒険と成長の三姉妹

次期魔王を抱くフュール

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1歳児の赤子を抱いている魔女フュール
彼女は、その赤子こそが時期魔王と言った

アレクスは1人の女を呼び寄せた
彼女はあの男とパーティを組んで、ヒイロの義父と戦った唯一の生き残りだった

「はい、彼は砦の付近に現れた人間の冒険者パーティと戦闘になりました
戦いに勝利し、そのパーティを全滅させました
しかし、その戦いで右腕を失ったので、アレクス様の元に戻りましょう!
と、進言したのですが…同じ街のもう1人のAランクを倒して手土産にしないと格好が付かない!と、言い張られました」

アレクスに呼ばれた女は、見た目は20歳前くらいの弓使いだった

「あの方なら、安全策を取って堅実に帰るよりも、アレクス様の立場を考えてそういう事を選択してしまう方でしたな…」

ロキシードも彼の性格は良く理解しているようだ

「しかしだ!利き腕を失ったとは言え、【チェーンロッド】を与えていたのだ、もう1人くらいAランク冒険者に勝てた筈だが…」

「アレクス様、イシスと言う街をご存知ですか?」

「むっ!?確か3年くらい前に南方の国で、別の将が攻め込んでいて…もう少しで落とせそうな時に、人間の勇者らしき者が現れて、その国を救った…と言う話だったか?」

「調べましたところ…イシスを救った男…
ソレが【ヘルメス】のAランク冒険者として生活しているようです」

「なんだと!?劣勢だった国【イシス】を1人の活躍で救った勇者が、その街で冒険者をしていたと言うのか?
アイツは知らずにその男と戦ったのか…
なるほど、いくらアイツでも…利き腕を失って勝てる相手ではないだろうな…」

【アドル・クリスニッジ】
かつてイシスを救った勇者と呼ばれた男
国王も国民も、アドルの永住を望んだが、彼は冒険を望みイシスを後にした
その時、クレリア装備と共に、妖精リリアを受け取って旅立ち…3年の月日の末…【ヘルメス】に辿り着いていた

「そうか!フュール、貴方が眠りに着いた場所は【ヘルメス】から近い位置の神殿だったな
そこで、その赤子を得たのか?」

「鋭いですね、その通りです!次期魔王候補だった彼には妹がいました。彼女が神殿跡で身篭(みごも)った事で私の眠りは解かれ、今ここに居る。という訳よ」
 

フュールはアレクスが脳筋おバカさんじゃない事に少し安心し、悪戯な笑みを浮かべた

「アレクス様、ならばこの赤子を次期魔王様として育てない訳には行きませんな」

「そうだな……ローナよ!戦士としての任を解く
今日からお前は次期魔王様の教育係として、一般常識を教え育てるのだ!その功を持って、ヤツを死なせた罪は不問にする。誠心誠意、魔王様に尽くすのだ」

「はっ!有り難き幸せ!」

弓使いローナは今日から魔王の教育係となった

「ところでさアレクス、魔王様に名前を付けてあげないとね、不便でしょぉ?」

「そうなのですが、名前がまだ…」

「ならば、魔王様に恥じない最強でカッコ良い名前を考えねばならないな!」

「いやいやいや、あんた何言ってんの?魔王様は女の子だよ?」

「なんだってぇ!?」X3

アレクスとロキシード、ローナの驚きの声が響き渡った。【渇望の魔女】フュールは手に取っただけで、必要な情報を得られる魔法を持っている。その彼女が言うのだから間違いはない


【神官ロキシードの部屋】
「ふうぅ……ここ数十年退屈な日々に飽きていたのじゃが…まさか1日でこれ程の事が起きようとはな………なんて日だ!次期魔王として育てていた彼の戦死報告
数十年ぶりの魔女フュールとの再会。その手に新しい次期魔王様の赤子。退屈な日々は…本当に呆気なく破られるものよのう…」

ロキシードはベッドに転がり、天井を見上げた
しかし、久しぶりの刺激に心はザワついていた
その時、彼の部屋のドアが開いた

「こんばんはロキシーちゃん!どうせだったらもう1つ…トビキリ刺激的な事を追加しなぁい?」

魔女フュールがネグリジェ姿で立っている
男を誘う不敵な笑みを浮かべていた

「言ったであろう…魔王様付きの魔女に手を出す事は出来ないと…」

「大丈夫じゃなぁい?まだ、私は何も任命されていないフリーな魔女よ。まっ、明日になれば、あのアレクスから何かしら任命されるかも知れないけどね…好きなんでしょ、私の事?」

フュールはロキシードが寝るベッドに静かに近付き、小悪魔的な笑みで彼を眺めている
見つめ返すロキシード。アレクスの城では、もう1つの大きな出来事が始まろうとしていた



続く
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