ようこそ幼い嫁候補たち ①

龍之介21時

文字の大きさ
上 下
65 / 295
冒険と成長の三姉妹

フュール凱旋

しおりを挟む
【アルバート家キッチン】
三姉妹達がヒイロと共に新しい街で住み始め、色々な人と出会い、色々な経験をして仲を深めていった
彼女たちは当初からの目的だった、三姉妹のみでクエストをこなす為の下準備が、ようやく整った。これからは、三姉妹もクエストで得た報酬を5人の生活費に回す事できる様になる
兄や兄の友達から色々教わり、Eランク冒険者からスタートする三姉妹は、期待と不安を募らせていた


一方その頃
魔族の王の血を受け継ぐアルテに、魔女になる前の肉体を与え、その代わりに引き取った彼女とヒイロの子供を抱き【渇望の魔女】は魔族領に足を踏み入れていた


【人気の無い平原】
「この辺で良いかしらね?」

【渇望の魔女】フュールは森の中の拓かれた場所に降り立った
乗っていたホウキを右手に掴んで振ると、ホウキは一瞬で小さくなり、フュールの腰の袋の中にしまわれた。彼女の左手は魔法力で覆われていた。その中にアルテから譲り受けた(略奪した)魔王の血を引く胎児が居る

数センチの胎児を両手で包むと、その手から発せられた光が輝き胎児を包み込んだ

フュールはアルテ達と会ったあの場所で、長い眠りに着いている間に貯めた生命エネルギーを胎児に流し込んだ

見る間に数センチだった胎児は、生後1年くらいのサイズまで成長した

「ふうぅ…どうやら成功したみたいね…さて、これからどいつの所で世話になろうかな?…うーん…!?決めた!ロキシーちゃんの元に転がりこもうっと!」

フュールは1歳児まで成長させた赤子を手に、再びホウキに乗り込んだ。そして、空へ浮き上がり何処かを目指して飛び立った


【魔剣の将 アレクス】
【商業都市ヘルメス】から北西に向けて200kmほど移動した先に【アレクス】の城がある

「ぬあにぃ!?アイツが戦死しただと!?」

「はい、アレクス様。ヘルメスと言う街のAランク冒険者のパーティ2つと戦った際に致命傷を負い、最後の役目としてその街に攻め込み、戦死したと報告を受けています」

「信じられん!剣技を叩き込んだヤツに、魔道具まで与えていたんだぞ!Aランクの冒険者如きに敗れるとは…あっ!?」

「如何なさいました?」

アレクスは衝撃の報告で忘れていたが、アルテの兄を自分の所で育てていたのは、1人前に育て上げ次期魔王にする為だった

人間達の争いが激しさを増すまで息を潜め、混乱に乗じて攻め込んだおかげで、戦況は数で負ける魔族側にやや優勢の状況だ
しかし、魔族側には絶対的な支配者
つまり魔王が不在の為、統制は不安定な状況の為、侵攻は停滞していた
つまり、魔族を束ねる者にする為に育成していた男が戦死してしまったのだ

「ええいっ!ヤツが死んでしまっては、世界を手中に収めても意味がないでは無いか!どうするのだ、ロキシード!…また、振り出しに戻ってしまったぞ!」

「左様でございますな…如何したものでしょうか?……んおっ!?何者だ?」

アレクスと向き合っていた神官風な老いた男【ロキシード】が、何かを察知して謁見の間の隅々に視線を泳がせた

「はっあーい!ロキシーちゃん、ひっさしぶりね~(笑)」
 

2階の出窓のドアが勝手に開き、外からホウキに乗った【渇望の魔女】が入って来た

「フュールか?久しいの、いつ帰って来たのだ?」

どうやらフュールとロキシードは顔見知りのようだ

「ロキシード、この女は何者だ?」

「彼女は先代の魔王様にお仕えしていた【渇望の魔女】フュールでございます」

「この少女が先代の?」

「見た目に騙されてはなりません!彼女は私の倍以上は生きている筈ですからな」

「まぁねぇ~200までは数えてたけど、今何歳なのかは…もう、分からないわねぇ」

アレクスから見れば17-18にしか見えない容姿のフュールだが、魔女の秘術【老化減衰魔法】で老化を止めている為、見た目と年齢は釣り合っていない

「先代の魔王様のお付の魔女でしたか…俺はこの城の主(あるじ)、6将の1人【魔剣の将】のアレクスだ。実は少々取り込んでいてな…折角の来訪で申し訳ないのだが…」

「フュール殿、実はな…次期魔王様にと育てていた男が戦死して困り果てでいたのだ」

「おい、ロキシード!軽々しく話してどうする?この女は信用に値するのか?」

「アッハッハッハッハッ!だから、私と子作りしよう!って誘ったのに…ロキシーちゃんってば、奥手なんだからぁ(笑)」

「魔王様の付き魔女に手が出せる訳がなかろう!ワシの首が飛ぶわ!」

真面目なアレクスをよそに、裏表なく気持ち良く会話するフュール

「じゃあさ、この子を次期魔王様に育ててみない?」

「おいおい、何処の子か分からん者を次期魔王候補に出来る訳ないだろうが!」

アレクスの意見ももっともだが、フュールは笑っている

「この子も先代魔王様の妾の娘、その戦死した男と同じ血を引いているのよ!つまり、魔王様の子孫に当たるって訳よ!」

「なんですとぉ!」X2

予想外の展開に驚く2人だった



続く
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

赤い部屋

山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。 真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。 東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。 そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。 が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。 だが、「呪い」は実在した。 「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。 凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。 そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。 「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか? 誰がこの「呪い」を生み出したのか? そして彼らはなぜ、呪われたのか? 徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。 その先にふたりが見たものは——。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...