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少女たちとの出会い

魔族の女アルテッツァ

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【武闘会会場】
3回戦第1試合が始まろうとしている。アドル対アルテッツアだ

「キミは何者だ?何故ヒイロ君の妹達にあんな事をした?理由次第じゃ許せそうにないよ?」

「ふん!あの娘達はあくまでついでさ。私の本命はあのヒイロって男と…アンタさ!アドル・クリスニッジ!」

「……分からないな…ボクは勿論、ヒイロ君もキミとは初対面の筈だが…何故狙うんだ?」

アルテッツアに名指しされたアドルは、彼女に狙われる理由に心当たりが無かった

「コレを見ればわかるだろ!」

アルテは一瞬光り輝くと姿を変えた。顔つきや髪の色が変化した。更に身体を纏う強い闇の波動…それは強い魔族の者の証明だった

「兄の敵討ちに来たのさ…」

彼女は魔族のようだ。肉親の仇を見る目でアドルを睨みつけていた

「……そうか!キミはあの魔族の戦士長の身内なのか?」

「覚えていたか?私の兄はヒイロの義父と戦った。そして右手を失いながらも勝利した!しかし、貴様と戦って致命傷を負った
そして先月、この街に攻め込んでヒイロと言う男と戦い……死んだ!兄は私の唯一の肉親だったのさ。だから敵討ちに来たのさ!」

「そういう訳か…良いよ、相手をしてあげるよ」

アドルはここまで1度も使わなかった【クレリア・ソード】を抜いた

「つまり、アリスちゃんやカルーアちゃんにやった事は…ついでみたいな訳だね」

「あぁ、兄を殺した男が養ってるって聞いたからね。八つ当たりととってもらっても構わないよ」

「これ以上の問答は無用だね…行くよ!」

アドルは1、2回戦とは違い本気の目になった

「やっちゃえ、アドルぅ!」

ステージの脇から妖精のリリアの応援が聞こえた。正直アルテは強かった!魔族の戦士長を兄に持つだけの事はあった

しかし、相手が悪かった…アドルはAランクの冒険者だ。それもSランクに昇格すると、王宮からの呼び出しを受ける立場になるのが嫌で、実力がありながらAランクにいる猛者だ

「くそっ!なんて早くて、なんて鋭い攻撃なのさ!これじゃ…勝ち目なんて有るハズが…うぎゃーっ!!」

アルテは善戦するも、本気のアドルには及ばず敗退した!ジュリアンと冒険者ギルマスに連れていかれた

「そうか…そういう事だったのか…」

ステージ脇で一部始終を見ていたヒイロ。彼は何か覚悟した目をしていた


【決勝戦】
姉妹対決を制した姉のシェリー対アドル
シェリーも善戦はするも、アドルには届かず敗退した

姉妹の戦闘を見ていたアドルから、2人ともBランクへの昇格試験を受ければ受かる。と、アドルから太鼓判をもらっていた


【打ち上げ】
その日の夕方、ステージは打ち上げが行われていた

「カルーア、良く頑張ったねぇ!」

「結局、姉さんの仕返しは出来なかったし、アドルさんと戦う事なく負けちゃったけどね」
   
妹の健闘を讃える姉のアリス。カルーアもそうは言ってるが、2回戦まで進んだ事を兄のヒイロに褒められて笑顔だった

3人は打ち上げの飲食を楽しんだ
アドルや双子姉妹は輪の中心になっている
ヒイロも2人を連れてアドルの元に行った
しばらく会話をした後、2人をアドルに預けてヒイロはジュリアンの元に向かった


「来たかヒイロ、あの女の件だな?」

「えぇ、彼女の兄を殺したのは俺です。その男から彼女をよろしく頼む。といわれてましたので、良かったら面会出来ませんか?」

ジュリアンはしばらく考え込んだ
ヒイロの本気の目を見て決めたようだ

「良し!ネネカに頼んで保安所の本営に行くか!嫁ならお偉方とも交渉してくれる筈だ。事の決着を付けられる様に話してやる」

そしてヒイロは、ジュリアンとネネカと共に、保安所の本営に向かった


【保安所 本営】
「出ろ、面会だ!」

「誰かと思えば…あんたかい?何の用なのさ?」

「俺はお前の兄を殺した。その時、お前の兄から頼まれ事を受けた」

その言葉に動揺するアルテ
アルテは面会用のガラスに擦り寄った

「それは本当か?兄は何て言ってたの!!」

「俺には妹が居る、妹には復讐は考えずに自分の幸せを掴んで欲しい。とな」

「そうか…兄さんはそんな事を…」

この言葉に俯くアルテ
彼女を見るヒイロは言葉を続けた

「さて、お前は何を望む?1つくらいなら出来る範囲で叶えてあげたいんだが…」

「私の望みか…そうだね…」

ヒイロを見詰めるアルテ。彼女の出した答えとは……



続く
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