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少女たちとの出会い

肌で温め合う2人

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【洞窟の中の2人】
山の天気は変わりやすいと言うが、この雨ではサーシャ達と合流するのは難しいな…
一緒に洞窟に居るカルーアは、右足首を捻挫してしまった様だ。その痛みと滝降りで濡れたからか、熱も高い

携帯用保存食は多少あるが早く雨が上がらないと、どうしようもないな


【ヒイロの工房】
アリスがグレイスに付いて行った翌日の夜

「ふぅ…損傷の軽い物を重点的に修理して、なんとか1日で6つ仕上がったか…」

「お兄さま、お疲れ様です。コーヒーを入れました、どうぞですの」

ヒイロはキッチンに移動した。サーシャが入れてくれたコーヒーを飲む

「ヒイロお兄さん…浮かない顔を…しています…どうかしたの…ですか…」

一緒に住んでまだ日の浅いミルにも分かるくらい、悩んだ顔をしていたようだ

「修理用の鋼材が底を尽きそうなんだ…今回受けた依頼分ですら足りないだろうな」

「兄さんどうするの、資材屋に買いに行くのかい?」

「いや街は今、復興中だから資材関係が高騰しているらしい…採取に行く必要があるな……街から南に約30km行った渓谷地帯に鉱山がある、明日から4人で出かけるか…」

報酬金と高価な素材を別々の金庫に入れた。防犯用アイテムも作動させて家を出た
鉱山に行く前に商業ギルドに寄り、とりあえず出来た分だけを渡し、グレイスと居るアリスに2、3日戻らない事を伝え4人で鉱山に来た

麓には採掘者用のコテージがある。ソコに荷物と馬車を置き、サーシャとミルに荷物番をしてもらい、カルーアと2人で鉱山に入った
入り口付近の鉱石は取り尽くされてる為、2人は更に奥へと進んだ

2時間程歩くと、途中から洞窟は吹き抜けになっていて、岩や木々の隙間から陽射しが差し込んでいた

「兄さん、けっこう来たね。鉱石があるのは、まだ先なのかい?」

「この先にあるはずだ…今のうちに食事休憩にしよう」

2人はおむすびと紅茶で一息いれた。ヒイロは地図を拡げて確認している

(真剣な顔の兄さん、やっぱりカッコ良いな…サーシャの言う通り、変な奴らに初めてを奪われる前に兄さんにアプローチする方が正解なのかな…)

カルーアは頬を染めてヒイロを見つめている

「んっ?どうしたカルーア?」

「いやいや、兄さんも真面目な時は中々どうして、良い表情だなぁ…って……」

「普段はだらしいないって事か…」

「そ、そんな事も……ないけど……んっ!?兄さん、何か複数で近付いて来るよ!」

ヒイロとカルーアは警戒した。奥から現れたのは【ピラニア・ラビット】の群れだった
普段は人前に姿を現さずに行動しているが、冬場が近かったり弱者である小動物には、一心不乱に襲い掛かる性質だ

「ヤツらの巣が近くにあるのか?カルーア、火の魔法を頼む!」

ヒイロはランタン用のオイル瓶を【ピラニア・ラビット】に投げた!カルーアの火の魔法で、ヤツらは炎に包まれた。近付いて来るヤツをヒイロが剣で倒していく

「どうするの兄さん、数が多いよ!」

「数に飲まれてしまうか…!?アレだ!」

ヒイロはカルーアを抱きかかえて、近くを流れる渓流に飛び込んだ
【ピラニア】と名が付いてはいるが、ラビットである以上ヤツらは水辺を嫌う。2人はヤツらの生息地から離れる事にした

1km近く降っただろうか?開けた場所に出た
周りには鉱石が沢山生えている
それらを採取しようとしたが…

「つっ!?足が…」

渓流の勢いが割と強かった為か、カルーアは右足首を痛めていた
すぐ近くに洞穴を見付けた。冒険袋に入れておいたランタンに火を灯した。虫除けの効果にもなる

カルーアの傷の手当をして、袋に入る分だけ採取しヒイロはカルーアの元に戻った

「必要な分は採取し終わったけど、傷はどうだ?まだ痛むか?」

「ゆっくりなら歩けない事はないと思うけど、お腹が空いたね…」

ランタンなどの道具は袋に詰めて持ってきたが、拡げていた食料は置いてきてしまった

「待ってろ、周辺で木の実とか採取してくるからな」

(やっぱり兄さんは優しいなぁ…わたしが好きになっても…良いのかなぁ…)

1時間程探して2人分を集め、カルーアの元に戻るとカルーアは青い顔をしていた

「はぁはぁ…だ、大丈夫だよ…兄さん…」
  


強がってはいるが、カルーアはかなり汗をかいていた。渓流で濡れて体温が低下した事と、右足首の痛みから発熱しているみたいだ
カルーアの目は虚ろだった。食事もさせなきゃならないし、身体も温めなくてはならない

「嫌がるかも知れないが、勘弁してくれよな」

ヒイロは取ってきた木の実を噛み砕き、口移しでカルーアに食べさせる。そして、水筒の紅茶で流し込ませた。スプーン等の食器類はコテージに全て置いてある。身体が上手く動かせない彼女に食事を与えるにはコレしかなかった

これを何度か繰り返し、食事は済ませた
カルーアは弱いが意識はあった
食事の為とは言えヒイロと何度もKissをした。もう1つの問題は、洞窟内でいかに身体を温めるかだった…ヒイロは悩んでいた



続く
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