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レオタードと同時視聴
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【竹取家 応接間】
「強く抱かれ燃える恋心~♬
激しく舞い踊る雪に包まれて~♪
永遠に愛するわ 明日も愛してるわ♪♪
never end love~♬♪」
「はい!結構良い感じに歌えてるけど…歌に集中し過ぎて、身体が動けてなかったわよ」
「はぁはぁ…そんなこと言ったってぇ、歌いながら踊るのって難しいんだもぉん…」
今日は12月24日クリスマスイブだ
本来、女子高の1年生なら友達と遊びに出掛けるか、彼氏とクリスマスデートを楽しむ日である
「あったり前でしょ?最近のブイチューバーは大変なのよ。本職の歌手やダンサーには見劣りしたとしても、それなりに歌って踊れないとイケないのっ!」
間もなくブイチューバー活動3周年を迎えようとしている中堅ブイのロミータの指導は、亜沙美に厳しい現実を突き付けていた
「本番の3D配信に見立てて…はぁ、ひぃ…レオタード姿で踊るのは分かるけどぉ…この上着脱いで歌ったら駄目なのぉ?」
「ステージって結構暑いのよ?高級な場所なら空調もシッカリしているらしいけど…コンプリが借りられる会場は、毎年かなり熱くって凄く汗かいちゃうから、それくらいで練習して調度良い感じなのよ」
「そ、そうなんだぁ…最近のブイチューバーって大変なんだねぇ…ロミーちゃんの趣味でワザとやらせてるんじゃないんだぁ…」
「失礼ね。ロミーだって、事務所あげての恒例行事カウントダウンライブの為だったら真剣になるわよ」
敢えて亜沙美に汗をかかせるように練習させて、いつものように匂いを嗅いだり、汗を舐めるのがロミーの目的なのでは?と疑っていたようだ
「はぁはぁ…こんなんで本番2曲も踊りながら歌えるかなぁ…少し心配だよぉ…」
平戸の元で行っている短期集中ボイストレーニングも、取り敢えず28日で一旦終わる。その後は月に一度通うようにお願いしている
「亜沙美が一軒家に住んでて良かったわ。アパートか防音の甘いマンションだったら、自宅で歌って踊る練習なんて出来ないものね」
「ねぇロミータちゃん。1度休憩しない?私もう喉カラカラだし、身体中ベタベタなんだよぉ…」
「そぉね…無理して喉を痛めても良くないわよね…ねぇ亜沙美。その前に1つお願いしても良いかしら?」
「はぁはぁ…な、何かなぁ?」
(嫌な予感がするなぁ…)
「亜沙美のその汗、ロミーに飲ませてもらえないかしら?直接舐めてみたいわっ♬❤︎」
「い、嫌だぁぁぁ!!」
亜沙美の悪い予感は的中していたようだ
「(๑'؎ '๑)୨ぺろぺろ♡う~ん、アミー水美味しいわ♪♪」
「アッチコッチ舐め回さないでぇ…」
配信を始める15分前まで、ロミータに汗を舐め取られてしまう亜沙美だったw
【20時】
「アミーゴのみんなぁ、こんばんは~♪AA(ダブルエー)ブイチューバーの浅宮アミだよぉ。メリークリスマス♬」
✱「こんアミー♪」
✱「こんアミーゴ」
✱「こんアミ~♬」
✱「メリクリアミ」
✱「待ってたよ~」
「今夜は告知していた通り、1時間早く始めたんだけどぉ…みんなシッカリ待っててくれたんだねぇ。嬉しいなぁ♪」
✱「もちろん」
✱「あったりめーよ」
✱「待ってた」
✱「アミの同時視聴楽しみ」
視聴者(アミーゴ)の言うように、今夜亜沙美は初めてのアニメ同時視聴を2時間掛けて行う予定だが…
「ふぅ…そろそろ始めようか?」
✱「どうかした?」
✱「始まってすぐにタメ息…」
✱「運動でもしてたん?」
「よく分かったねぇ。今レオタード姿のまま配信してるんだけどぉ、カウントダウンライブに向けて歌とダンスの練習さっきまでしててさぁ、凄く汗かいたんだけど…」
✱「ロミーちゃんに舐められた?」
✱「百合展開が…」
✱「俺も舐めたい」
✱「う~ん美味しそ」
✱「レオタードのまま配信か…」
✱「ふぅ~ん、エッチじゃん」
「ε٩(๑>ω<)۶зもう!私は大変だったんだからねぇ!」
……………………………………………
練習で疲れた後に、アミー水を求めるロミータに襲われたことを同情や慰めるコメントは全く無く、ロミーを羨むコメントばかりが溢れていた
「今夜見る作品なんだけどぉ…私ねぇ【ガンボーイ】ってアニメ見た事なかったから楽しみにしてたんだぁ♪」
✱「マジか?」
✱「知らん人も居るのな」
✱「世界中で人気のアニメやで」
✱「ガンボーイの世界にようこそ」
どうやら【機動戦士ガンボーイ】というアニメは、男女問わずに知ってて当たり前なほどメジャーなアニメらしいのだが…興味が無かった亜沙美は、名前だけは知っているだけのようだ
「にしても凄いよね、このガンボーイってアニメ。テレビアニメで7シリーズ、OVAが16本もあるんだね」
✱「そりゃそーよ」
✱「知らんほうが珍しい」
✱「海外でも有名だよ」
✱「本当に知らないなんて…」
✱「今日はどれ見るん?」
「みんなの要望が多かったモノの中から…【クリスマス戦争】って作品を選んだよ。今夜はイブだから、時期的にタイムリーだよねぇ♪」
✱「あっ…」
✱「察した」
✱「よりにもよって…」
✱「それを選んだか…」
✱「ナイスアミ」
「( ´・д・)えっ!?ナニ、その不穏なコメントは…まさかやっちゃった?」
✱「大丈夫、大丈夫♬」
✱「初見だよね?」
✱「何でもないよ~♪」
✱「そうだ!クリスマスプレゼントは?」
「嘘だぁ、絶対に嫌な予感しちゃうじゃん!クリスマスプレゼント?…用意してないけど…」
✱「ならさ、見終わるまでにアミが泣いたらアミー水な♪」
✱「ナイス提案!」
✱「良いね~」
✱「最高のプレゼントやで」
✱「良き提案でござるよ!!」
「( ̄▽ ̄;)な、なんでアミー水なのよ…」
(さっきのコメント服部さんじゃないの?)
「クリスマス作品なんでしょ?泣くわけないじゃない…」
✱「ふふ、言ったね」
✱「良し決定」
✱「決まりだな」
✱「泣かなかったらスパチャ祭りでどうでござるか?」
「え?えぇ、泣かずに見終わったらスパチャ投げてくれるの?」
✱「おう、投げたるよ」
✱「泣かなかったご褒美にね」
✱「絶対やで」
✱「親戚の子にあげる予定のお年玉を投げるよ」
✱「今月モヤシ生活になっても投げる」
「ちょ、ちょっとぉ~。お年玉は親戚の子にあげてねwモヤシ生活は身体に厳しいよぉ…分かった。その条件で見るねぇ…それじゃ、開始ボタン押すよ?
5…
4……
3………
2…………
1………スタート。ポチッと」
【機動戦士ガンボーイ クリスマス戦争】
「3番4番ハッチ解放…」
「海の中だ。潜水艦のお腹から人が出てきたよぉ?」
✱「違うよ」
✱「機動兵器な」
✱「丸っこいのがゴップで、スマートなのがズゴップな」
✱「中に人が乗ってるんや」
「そうなんだぁ…うわっ!氷を割って飛び出したよぉ?…基地かな?」
画面には4機の機動兵器が2手に別れて、地球連合軍の南極基地を強襲していた
「若い人が乗ってるゴップがシャトルを狙ってるよ…あっ!?やられちゃった?」
ロケットの発射を阻止しに来た機動兵器たちだったが、彼らの健闘も虚しく取り逃してしまった。残ったのは破壊された基地と、動かなくなった若い兵士の遺体だけだった
……………………………………………
「バーナード少尉です、入ります」
場所は変わってスペースコロニーの工場エリアの一角に先程、南極基地を襲った兵士3人が居た。その部屋に、更に若い兵士が入室した
「新米兵か…」
「居ないよりマシだろ」
「ソコに座れ」
明らかにベテラン兵士の3人は、入ってきたバーナードをあまり気に掛けずに次の作戦の話を始めていた
✱「彼が主人公だよ」
✱「補充兵で呼ばれたんだ」
✱「まだ泣いてないよね?」
「へぇ、彼が主人公なんだぁ…」
本当にこのアニメを知らない亜沙美だったが、視聴者(アミーゴ)と一緒に見ているからなのか?次第にこの作品に見入っていた
「あ!女の人とぶつかったよ?」
新米兵のバーナードは、先輩の3人に食料を調達してこい。と言われ渡された金を持って街のスーパーに買い物に来たが、店内で女性とぶつかってしまう
「きゃあ!?…バサッ」
「すみません大丈夫でしたか?」
「あら綺麗なお姉さんだぁ…」
✱「クリスピーナだよ」
✱「連合軍の兵士だ」
✱「こんな女性と親しくなりたい」
✱「綺麗だよな~」
バーナードは、女性が落としたバッグを拾おうとする。落ちたはずみで開いたバッグから彼女の身分証が現れていた
「地球連合軍の兵士…ですか?」
「あっ!…あはは。衛生兵をしています。大した仕事じゃないんですよ…」
バーナードは地球連合軍と戦争をしている側の、シオン公国のパイロットをしている。つまりは敵同士の2人である
「そっかぁ、2人は敵対関係なんだねぇ…」
✱「クリスピーナは新型ガンボーイのパイロットだよ」
✱「味方なら良かったのにな」
✱「アミ覚悟して見てね」
「ちょっとぉ~不安にさせないでよぉ。クリスマス作品だからぁ…敵対してる2人が親しくなって恋人になる作品とかじゃないのぉ?」
✱「…………」
✱「だと良いね」
✱「どうかな?」
✱「アミは優しいね」
都合良く2人が親しくなる展開を期待している亜沙美だが、視聴者(アミーゴ)たちのコメントは何やら不穏な空気だ
「バーナード♪」
「クリスピーナさん♬」
それからも敵対関係の2人は偶然街中で出逢い、親しい会話まで出来る仲になっていた
「ほぅら、恋仲になってきたじゃない♪♪」
亜沙美は自分の予想が正解だと思い、この先の展開に胸を踊らせて見ていた
「仕事ですか?…えっと地元の工場で働いています。主に車とかバイクの修理をしていて、あまり稼ぎは良くないのですが…」
「まぁ!私、バイクを運転するのが趣味なんです。もし良かったら、私のバイクを診て欲しいわ♪」
「全然構いませんよ、そうだ!クリスピーナさんの仕事は、どんな感じなんですか?」
「私ですか?…えっと、軍の施設で働いています。けど、実際に戦場に出て戦ったりする訳じゃないんですよ。プログラム関係の仕事をしています…」
「なんだかギコチない会話だねぇ…」
✱「そりゃーな」
✱「仕方ないよ」
✱「敵同士だって分かってるだろうし」
✱「感じてるんだろうな…」
「そっかぁ…バーナードもクリスピーナも、お互いが敵同士の立場だって分かってるんだ…」
敵対する立場にありながらも、次第に惹かれあって恋に落ちていく。そんな物語りが展開されて行くと信じて疑わない亜沙美
「クリスピーナさんの家って、ここから遠いですか?自分で良ければ今度、バイク観に行きましょうか?」
「借家ですけど、ここから近いので…お願いしても良いですか?最近エンジン音がおかしくて気になっているんです…」
「あ!あの…この荷物、会社の先輩たちに届けないとイケないので今日は…明後日なら非番なので空いていますが?」
「明後日なら私も昼過ぎに仕事が終わりますので…15時に私の借家で良いですか?…待ってください…(ゴソゴソ)…これ私の名刺です。住所と電話番号が載っていますから…」
「分かりました。必ず伺います」
2人が居る商店街の近くにクリスピーナが借りている家が近いのだが、急いで戻らないとイケないバーナードは明後日のクリスマスイブに、彼女の愛車のバイクを観に行く約束をした
「わぁ⸜(*ˊᗜˋ*)⸝コレってデートの約束じゃん♪戦争の中でも敵対国の垣根を越えて惹かれ合う2人。とってもロマンチックねぇ♬」
✱「そうだね~」
✱「そう見えるよな~」
✱「上手く行けばな~」
✱「いよいよか…」
✱「始まるな…」
戦場のラブロマンスを期待している亜沙美だが、視聴者(アミーゴ)たちのコメントは不吉な言葉で溢れていた
【秘密工場】
「コンコン…」
「どちら様ですか?飯は頼んでいませんよ」
「星は間もなく堕ちる…」
「ガチャ。どうぞ…」
秘密工場で働いているバーナードの先輩3人。その隊長が何やら合言葉を言い合い、知っている者が来たことを理解したので、扉を開け中に招き入れた
「こんな所ですので、お茶くらいしか有りませんが…」
「構わんよ。遠路はるばる旧友に逢いに来た…という訳でもないからな」
「花火が入ったのですか?」
「そうだ。隣りのC地区工業団地エリアの大型駐車場に、トレーラーが3台停めてある。中には最新の玩具を満載しておいた。上層部は3日後に大きな作戦を始めるらしい。それまでに何としてもアイツを破壊しろ!」
「分かりました。明後日に行動します」
「自費で高い物をプレゼントしたんだ。良い報告を期待しているぞ。では、作戦後に落ち合おう」
「我が隊の脱出支援お願いします…」
見た目から判断すると町工場の責任者と、荷主が話し合っているようにも見えるが実は…特務部隊の隊長と艦隊司令の偉いさんによる、特務任務の打ち合わせだった
「あ、あれ?何だか怪しい雰囲気じゃない?…そうだ!明後日って言ったらクリスマスイブじゃん。もしかして!?」
✱「だよねぇ…」
✱「バーナードとクリスピーナがデートする日やな」
✱「上手く行くかな~?」
✱「どうなるやら…」
素敵なラブロマンスを期待していた亜沙美の気持ちを裏切るかのように、クリスマスイブにガンボーイ破壊作戦が始まろうとしていた
続く
「強く抱かれ燃える恋心~♬
激しく舞い踊る雪に包まれて~♪
永遠に愛するわ 明日も愛してるわ♪♪
never end love~♬♪」
「はい!結構良い感じに歌えてるけど…歌に集中し過ぎて、身体が動けてなかったわよ」
「はぁはぁ…そんなこと言ったってぇ、歌いながら踊るのって難しいんだもぉん…」
今日は12月24日クリスマスイブだ
本来、女子高の1年生なら友達と遊びに出掛けるか、彼氏とクリスマスデートを楽しむ日である
「あったり前でしょ?最近のブイチューバーは大変なのよ。本職の歌手やダンサーには見劣りしたとしても、それなりに歌って踊れないとイケないのっ!」
間もなくブイチューバー活動3周年を迎えようとしている中堅ブイのロミータの指導は、亜沙美に厳しい現実を突き付けていた
「本番の3D配信に見立てて…はぁ、ひぃ…レオタード姿で踊るのは分かるけどぉ…この上着脱いで歌ったら駄目なのぉ?」
「ステージって結構暑いのよ?高級な場所なら空調もシッカリしているらしいけど…コンプリが借りられる会場は、毎年かなり熱くって凄く汗かいちゃうから、それくらいで練習して調度良い感じなのよ」
「そ、そうなんだぁ…最近のブイチューバーって大変なんだねぇ…ロミーちゃんの趣味でワザとやらせてるんじゃないんだぁ…」
「失礼ね。ロミーだって、事務所あげての恒例行事カウントダウンライブの為だったら真剣になるわよ」
敢えて亜沙美に汗をかかせるように練習させて、いつものように匂いを嗅いだり、汗を舐めるのがロミーの目的なのでは?と疑っていたようだ
「はぁはぁ…こんなんで本番2曲も踊りながら歌えるかなぁ…少し心配だよぉ…」
平戸の元で行っている短期集中ボイストレーニングも、取り敢えず28日で一旦終わる。その後は月に一度通うようにお願いしている
「亜沙美が一軒家に住んでて良かったわ。アパートか防音の甘いマンションだったら、自宅で歌って踊る練習なんて出来ないものね」
「ねぇロミータちゃん。1度休憩しない?私もう喉カラカラだし、身体中ベタベタなんだよぉ…」
「そぉね…無理して喉を痛めても良くないわよね…ねぇ亜沙美。その前に1つお願いしても良いかしら?」
「はぁはぁ…な、何かなぁ?」
(嫌な予感がするなぁ…)
「亜沙美のその汗、ロミーに飲ませてもらえないかしら?直接舐めてみたいわっ♬❤︎」
「い、嫌だぁぁぁ!!」
亜沙美の悪い予感は的中していたようだ
「(๑'؎ '๑)୨ぺろぺろ♡う~ん、アミー水美味しいわ♪♪」
「アッチコッチ舐め回さないでぇ…」
配信を始める15分前まで、ロミータに汗を舐め取られてしまう亜沙美だったw
【20時】
「アミーゴのみんなぁ、こんばんは~♪AA(ダブルエー)ブイチューバーの浅宮アミだよぉ。メリークリスマス♬」
✱「こんアミー♪」
✱「こんアミーゴ」
✱「こんアミ~♬」
✱「メリクリアミ」
✱「待ってたよ~」
「今夜は告知していた通り、1時間早く始めたんだけどぉ…みんなシッカリ待っててくれたんだねぇ。嬉しいなぁ♪」
✱「もちろん」
✱「あったりめーよ」
✱「待ってた」
✱「アミの同時視聴楽しみ」
視聴者(アミーゴ)の言うように、今夜亜沙美は初めてのアニメ同時視聴を2時間掛けて行う予定だが…
「ふぅ…そろそろ始めようか?」
✱「どうかした?」
✱「始まってすぐにタメ息…」
✱「運動でもしてたん?」
「よく分かったねぇ。今レオタード姿のまま配信してるんだけどぉ、カウントダウンライブに向けて歌とダンスの練習さっきまでしててさぁ、凄く汗かいたんだけど…」
✱「ロミーちゃんに舐められた?」
✱「百合展開が…」
✱「俺も舐めたい」
✱「う~ん美味しそ」
✱「レオタードのまま配信か…」
✱「ふぅ~ん、エッチじゃん」
「ε٩(๑>ω<)۶зもう!私は大変だったんだからねぇ!」
……………………………………………
練習で疲れた後に、アミー水を求めるロミータに襲われたことを同情や慰めるコメントは全く無く、ロミーを羨むコメントばかりが溢れていた
「今夜見る作品なんだけどぉ…私ねぇ【ガンボーイ】ってアニメ見た事なかったから楽しみにしてたんだぁ♪」
✱「マジか?」
✱「知らん人も居るのな」
✱「世界中で人気のアニメやで」
✱「ガンボーイの世界にようこそ」
どうやら【機動戦士ガンボーイ】というアニメは、男女問わずに知ってて当たり前なほどメジャーなアニメらしいのだが…興味が無かった亜沙美は、名前だけは知っているだけのようだ
「にしても凄いよね、このガンボーイってアニメ。テレビアニメで7シリーズ、OVAが16本もあるんだね」
✱「そりゃそーよ」
✱「知らんほうが珍しい」
✱「海外でも有名だよ」
✱「本当に知らないなんて…」
✱「今日はどれ見るん?」
「みんなの要望が多かったモノの中から…【クリスマス戦争】って作品を選んだよ。今夜はイブだから、時期的にタイムリーだよねぇ♪」
✱「あっ…」
✱「察した」
✱「よりにもよって…」
✱「それを選んだか…」
✱「ナイスアミ」
「( ´・д・)えっ!?ナニ、その不穏なコメントは…まさかやっちゃった?」
✱「大丈夫、大丈夫♬」
✱「初見だよね?」
✱「何でもないよ~♪」
✱「そうだ!クリスマスプレゼントは?」
「嘘だぁ、絶対に嫌な予感しちゃうじゃん!クリスマスプレゼント?…用意してないけど…」
✱「ならさ、見終わるまでにアミが泣いたらアミー水な♪」
✱「ナイス提案!」
✱「良いね~」
✱「最高のプレゼントやで」
✱「良き提案でござるよ!!」
「( ̄▽ ̄;)な、なんでアミー水なのよ…」
(さっきのコメント服部さんじゃないの?)
「クリスマス作品なんでしょ?泣くわけないじゃない…」
✱「ふふ、言ったね」
✱「良し決定」
✱「決まりだな」
✱「泣かなかったらスパチャ祭りでどうでござるか?」
「え?えぇ、泣かずに見終わったらスパチャ投げてくれるの?」
✱「おう、投げたるよ」
✱「泣かなかったご褒美にね」
✱「絶対やで」
✱「親戚の子にあげる予定のお年玉を投げるよ」
✱「今月モヤシ生活になっても投げる」
「ちょ、ちょっとぉ~。お年玉は親戚の子にあげてねwモヤシ生活は身体に厳しいよぉ…分かった。その条件で見るねぇ…それじゃ、開始ボタン押すよ?
5…
4……
3………
2…………
1………スタート。ポチッと」
【機動戦士ガンボーイ クリスマス戦争】
「3番4番ハッチ解放…」
「海の中だ。潜水艦のお腹から人が出てきたよぉ?」
✱「違うよ」
✱「機動兵器な」
✱「丸っこいのがゴップで、スマートなのがズゴップな」
✱「中に人が乗ってるんや」
「そうなんだぁ…うわっ!氷を割って飛び出したよぉ?…基地かな?」
画面には4機の機動兵器が2手に別れて、地球連合軍の南極基地を強襲していた
「若い人が乗ってるゴップがシャトルを狙ってるよ…あっ!?やられちゃった?」
ロケットの発射を阻止しに来た機動兵器たちだったが、彼らの健闘も虚しく取り逃してしまった。残ったのは破壊された基地と、動かなくなった若い兵士の遺体だけだった
……………………………………………
「バーナード少尉です、入ります」
場所は変わってスペースコロニーの工場エリアの一角に先程、南極基地を襲った兵士3人が居た。その部屋に、更に若い兵士が入室した
「新米兵か…」
「居ないよりマシだろ」
「ソコに座れ」
明らかにベテラン兵士の3人は、入ってきたバーナードをあまり気に掛けずに次の作戦の話を始めていた
✱「彼が主人公だよ」
✱「補充兵で呼ばれたんだ」
✱「まだ泣いてないよね?」
「へぇ、彼が主人公なんだぁ…」
本当にこのアニメを知らない亜沙美だったが、視聴者(アミーゴ)と一緒に見ているからなのか?次第にこの作品に見入っていた
「あ!女の人とぶつかったよ?」
新米兵のバーナードは、先輩の3人に食料を調達してこい。と言われ渡された金を持って街のスーパーに買い物に来たが、店内で女性とぶつかってしまう
「きゃあ!?…バサッ」
「すみません大丈夫でしたか?」
「あら綺麗なお姉さんだぁ…」
✱「クリスピーナだよ」
✱「連合軍の兵士だ」
✱「こんな女性と親しくなりたい」
✱「綺麗だよな~」
バーナードは、女性が落としたバッグを拾おうとする。落ちたはずみで開いたバッグから彼女の身分証が現れていた
「地球連合軍の兵士…ですか?」
「あっ!…あはは。衛生兵をしています。大した仕事じゃないんですよ…」
バーナードは地球連合軍と戦争をしている側の、シオン公国のパイロットをしている。つまりは敵同士の2人である
「そっかぁ、2人は敵対関係なんだねぇ…」
✱「クリスピーナは新型ガンボーイのパイロットだよ」
✱「味方なら良かったのにな」
✱「アミ覚悟して見てね」
「ちょっとぉ~不安にさせないでよぉ。クリスマス作品だからぁ…敵対してる2人が親しくなって恋人になる作品とかじゃないのぉ?」
✱「…………」
✱「だと良いね」
✱「どうかな?」
✱「アミは優しいね」
都合良く2人が親しくなる展開を期待している亜沙美だが、視聴者(アミーゴ)たちのコメントは何やら不穏な空気だ
「バーナード♪」
「クリスピーナさん♬」
それからも敵対関係の2人は偶然街中で出逢い、親しい会話まで出来る仲になっていた
「ほぅら、恋仲になってきたじゃない♪♪」
亜沙美は自分の予想が正解だと思い、この先の展開に胸を踊らせて見ていた
「仕事ですか?…えっと地元の工場で働いています。主に車とかバイクの修理をしていて、あまり稼ぎは良くないのですが…」
「まぁ!私、バイクを運転するのが趣味なんです。もし良かったら、私のバイクを診て欲しいわ♪」
「全然構いませんよ、そうだ!クリスピーナさんの仕事は、どんな感じなんですか?」
「私ですか?…えっと、軍の施設で働いています。けど、実際に戦場に出て戦ったりする訳じゃないんですよ。プログラム関係の仕事をしています…」
「なんだかギコチない会話だねぇ…」
✱「そりゃーな」
✱「仕方ないよ」
✱「敵同士だって分かってるだろうし」
✱「感じてるんだろうな…」
「そっかぁ…バーナードもクリスピーナも、お互いが敵同士の立場だって分かってるんだ…」
敵対する立場にありながらも、次第に惹かれあって恋に落ちていく。そんな物語りが展開されて行くと信じて疑わない亜沙美
「クリスピーナさんの家って、ここから遠いですか?自分で良ければ今度、バイク観に行きましょうか?」
「借家ですけど、ここから近いので…お願いしても良いですか?最近エンジン音がおかしくて気になっているんです…」
「あ!あの…この荷物、会社の先輩たちに届けないとイケないので今日は…明後日なら非番なので空いていますが?」
「明後日なら私も昼過ぎに仕事が終わりますので…15時に私の借家で良いですか?…待ってください…(ゴソゴソ)…これ私の名刺です。住所と電話番号が載っていますから…」
「分かりました。必ず伺います」
2人が居る商店街の近くにクリスピーナが借りている家が近いのだが、急いで戻らないとイケないバーナードは明後日のクリスマスイブに、彼女の愛車のバイクを観に行く約束をした
「わぁ⸜(*ˊᗜˋ*)⸝コレってデートの約束じゃん♪戦争の中でも敵対国の垣根を越えて惹かれ合う2人。とってもロマンチックねぇ♬」
✱「そうだね~」
✱「そう見えるよな~」
✱「上手く行けばな~」
✱「いよいよか…」
✱「始まるな…」
戦場のラブロマンスを期待している亜沙美だが、視聴者(アミーゴ)たちのコメントは不吉な言葉で溢れていた
【秘密工場】
「コンコン…」
「どちら様ですか?飯は頼んでいませんよ」
「星は間もなく堕ちる…」
「ガチャ。どうぞ…」
秘密工場で働いているバーナードの先輩3人。その隊長が何やら合言葉を言い合い、知っている者が来たことを理解したので、扉を開け中に招き入れた
「こんな所ですので、お茶くらいしか有りませんが…」
「構わんよ。遠路はるばる旧友に逢いに来た…という訳でもないからな」
「花火が入ったのですか?」
「そうだ。隣りのC地区工業団地エリアの大型駐車場に、トレーラーが3台停めてある。中には最新の玩具を満載しておいた。上層部は3日後に大きな作戦を始めるらしい。それまでに何としてもアイツを破壊しろ!」
「分かりました。明後日に行動します」
「自費で高い物をプレゼントしたんだ。良い報告を期待しているぞ。では、作戦後に落ち合おう」
「我が隊の脱出支援お願いします…」
見た目から判断すると町工場の責任者と、荷主が話し合っているようにも見えるが実は…特務部隊の隊長と艦隊司令の偉いさんによる、特務任務の打ち合わせだった
「あ、あれ?何だか怪しい雰囲気じゃない?…そうだ!明後日って言ったらクリスマスイブじゃん。もしかして!?」
✱「だよねぇ…」
✱「バーナードとクリスピーナがデートする日やな」
✱「上手く行くかな~?」
✱「どうなるやら…」
素敵なラブロマンスを期待していた亜沙美の気持ちを裏切るかのように、クリスマスイブにガンボーイ破壊作戦が始まろうとしていた
続く
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