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イケメンイーグル
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【竹取家の近くのバス停】
「プシュー…お降りの際は足元に注意ください」
時刻は22時14分
土曜日はボイトレに参加する為に、配信は22:30からする事を告知していた亜沙美とロミータ
「はぁ…完全に油断しちゃってたなぁ。いくらあんな恥ずかしいコスプレ姿してたからって、その日の夜に襲われちゃうなんて思ってもみなかったよォ…」
竹取家まで歩いて3分程度のバス停なので、急げば今からでも十分配信に間に合うのだが…
「考えてみたら…服部さんの兄妹と知り合ってなかったら、私2回も襲われてる…私って男の人から見たら、ガード緩そうに見えるのかなぁ…」
引っ越し業者の者たちに隠しカメラを設置された事がある亜沙美
「気が付かずにそのまま生活していたら、最悪不法侵入されて強硬手段に出られてたかも…今日も茜ちゃんが居てくれなかったら、あのまま私…」
そんな恐怖に駆られている亜沙美は、急げばまだ配信時間に合う!という思考からは遙か遠い位置にいると言えた
【竹取家 玄関】
「ガチャ…ただいまぁ…」
半放心状態でチカラ無く玄関のドアを開けた亜沙美だが、ショックが大き過ぎた為か?ドアの鍵が開いている事にさえ気が付いていない
「良かった亜沙美、無事だったのね?」
「うん…遅くなっちゃった。心配かけてごめんねぇ…」
「…………………」
ロミータは考えた。亜沙美は「何かあった」とは口にしなかったが、彼女の顔を見れば自分の知らない所でショックな出来事があったのだと
【竹取家 応接間】
テーブルにはロミータが作った日本風の料理が並んでいた。亜沙美から連絡が帰ってこない不安感を紛らわす為に、梨香から教わっていた簡単な日本料理を作っていたのだが…
「ねぇ亜沙美、晩ご飯作っておいたんだけど食べる?」
「…ごめんなさい。ちょっと食欲がないの…」
「そう…ならラップ掛けておくから、後で一緒に食べましょう」
「うん…」
亜沙美からは何も言ってこない。ソレがロミータにとっては心苦しかった。何かあった時に言ってもらえない関係なのだと、思い知らされたからだが…
「そうだ!ロミータちゃん、お母さんは大丈夫だったの?」
「え、えぇ。目の前で事故を見たパパが慌てて大袈裟に伝えてきただけで、ママは左足を骨折しただけで済んでたわ」
「そっかぁ…良かったねぇ…」
自分が嫌な思いをした後にでも、自分の母親の事を気にしてくれる亜沙美の優しさに感激したロミータは、何とかして彼女のチカラになりたかった
「ねぇ亜沙美。今夜はミネアとコラボ配信でしょ?そろそろ準備しないとマズイんじゃない?」
「…えっ!?あ、そうだった!ごめんねロミータちゃん。私配信してくるね!」
「そうね。ロミーも自分の配信を始めるわ」
本当は全然配信したい!という感情ではない亜沙美だが「予定を立てた配信は、ダルくても熱が出ててもやれるならヤレ。ソレが配信者よ!」と同居し始めた頃に、ロミータから配信者の心構えを聞かされていたので、条件反射のように防音が施された配信室へと向かった
【配信室】
(22時27分。今からでも間に合うかなぁ…早くパソコンを立ち上げて準備して、ミネアさんに電話しないと……あれ?)
「配信用のセットアップが完了してる?…あ、ロミータちゃんがやっといてくれたんだ。ありがとうロミータちゃん♪」
配信を始めるには幾つかの手順があり、パソコンを起動したらスグに始められる訳ではない。当然ソレを知っているロミータが、亜沙美が帰る前に段取りしておいてくれたのだ
「プルルル♪…はい、ミネアよ。もう、遅いですよ亜沙美ちゃん。今夜の配信キャンセルされるかも?って焦っちゃったわ」
「すみません…ボイトレの帰りに色々あって遅くなっちゃっいました。ごめんなさい…」
「……………」
配信者活動はキャラ作りやトーク力、人の繋がりの強さなど成功する為の条件が色々あるのだが…もっとも大切だと言われるのが「メンタルの強さ」である
視聴者側からすれば、好きな配信者の枠にアクセスすれば、いつも通りの配信が始まるものだと思いがちだが…配信者とて人の子である。メンタルのアップダウンは当然存在する
妬みや嫉妬からくる嫌がらせのようなコメント。私生活からくる強いストレス。何とか売れようと必死になって、詰め込んだスケジュールをこなす為に擦り切れていく精神
それらを乗り越えて、楽しく面白い配信を続けられるのは決して簡単なことではない!人気ブイチューバーに対して
「毎日喋りながらゲームしてるだけで、余裕で生活していけるんだから楽で良いね」
などと、配信者の苦労をまるで知らない者が言ってくる心無いヤジにも、負けない精神力が必要になってくるのだ
(亜沙美ちゃん…何か嫌なことがあったみたいね…今日は私が引っ張ってあげなくちゃ!)
「亜沙美!今からオープニングを流すから、配信開始は22時33分からよ。ガッツリ盛り上げてあげるから、ちゃんと付いてきなさいよっ!!」
「は、はい!宜しくお願いします!」
亜沙美の大先輩にあたるミネア・イーグルス(デザート・イーグル大佐)も、そのツラさを何度も味あわされていたのでよく知っていた
彼女は敢えて亜沙美を励ますような言葉を言わずに、いつも通りのデザート・イーグル大佐のノリで、亜沙美を引っ張って配信を終えようと決めた
「ほらほら、さっきからちっとも役が成立していないではないか!そんな運の無さで俺に勝てるつもりかぁ(笑)」
今夜は【ゲーム大全】でコラボ配信の2人は「ヨット」というサイコロを使ったゲームで対戦している
「そんな事言われてもぉ…全然良い目が出ないんですぅ…すみません…」
✱「さっきからアミ元気なくね?」
✱「今夜は声小さいよな」
✱「寝不足かな」
✱「ちゃんと飯食べた?」
✱「女の子の日?」
「おらおらアミ!声が小さいぞ!!マイクを口に近づけて、もっと元気にしゃべらんかぁ!!貴様は胸も小さいが、声まで小さいのかぁ?(笑)」
「んなっ!?大佐の胸の大きさがアミと対して変わらないのは、この前の温泉旅行の時に確認してるもん!むしろ、アミの方が少し大きかったもん!」
亜沙美はツライ目に逢うと、自分を卑下して考えてしまう悪いクセがある。勇気がなく控え目で、ロミータの告白にもハッキリ答えを出せない自分の弱さを思い出し、目からうっすら涙を流しながら配信していた
✱「マジっすか」
✱「くぅ、見てぇ!」
✱「ふむふむ」
✱「なるほど同じくらいと」
✱「触りたい」
「嘘つくな貴様!まだまだそんな小さな声じゃ、ヨットどころかフォーダイスも出ないぞー!」
「んもぅ!好き勝手言わないでくださいよぉ!今度こそ、フルハウスかフォーダイス出すんだからァ!」
ミネアは亜沙美が悲しみに囚われている暇も与えないように、自分自身の心を鬼にして彼女と言葉のプロレスをし、配信を盛り上げつつ彼女を導いていた
「あ~ん、また1ばっかり出てるぅ。1のフォーダイスじゃ4点だよぉ…」
✱「あと2回振れる」
✱「もう1個1出してヨットを」
✱「アミならやれる!」
✱「胸も小さいからダイスも小さい」
✱「1出すのはアミ得意だろ」
「むっかぁ!ちょっと視聴者(アミーゴ)たち!みんなはアミの味方だよねぇ?見ててよぉ、絶対にもう1個1出してやるんだからァ!」
「ほおぉ…言うじゃないかアミ。そんなに言うんなら…魅せてもらおうか、浅宮アミの強運とやらを!」
【24:00】
「途中からはなかなか楽しめたぞ。次のコラボでも楽しめそうだなアミ♪」
「はぁはぁ…ぷっ、あはははは♪今日は有難うございました、イーグル大佐!」
視聴者(アミーゴ)にまで心配されていた亜沙美の元気の無さを言葉巧みに上手く誘導し、楽しいコラボ配信へと導いてくれたイーグル大佐。そんな大先輩ミネア・イーグルスに心から感謝した亜沙美
「ヨシ!そんじゃ締めの言葉だ、行くぞ…」
「乙鷹網」
「オツタカアミ」
✱「楽しかった」
✱「乙鷹網~」
✱「笑った」
✱「次も楽しみ」
✱「おやすみ~」
「トゥルルルル♪ガチャ…はい、亜沙美です。イーグル先輩、今日は本当にありがとうございました!」
「…何かツライ事があったの?…深くは聞きませんけど、亜沙美ちゃんにはロミーが居るんだから彼女に相談してあげてね。1人で抱え込むと危険だよ?」
「あはは…バレバレでしたか…」
配信枠を閉じたミネアは、イーグル大佐の仮面を脱ぎ捨て本来のミネア・イーグルスに戻り、優しい先輩として亜沙美を気遣う電話を掛けたようだ
「当たり前よ。私もロミーとほぼ同じ年数、配信者をしているからね。亜沙美…貴女、今回の件ロミーに相談していないでしょ?」
「そんな事まで分かるんですか!?」
「そりゃーね。お節介な彼女が、貴女のヘコんだ気持ちを癒さないままで配信に出したんだから、多分そーなんじゃないかなってね」
「有難うございます。助かりました!」
亜沙美の元気の無さを一時的に解消したミネアは、本当の解決の為と親友ロミータへのフォローも忘れていない
「それでね亜沙美。詳しい事は分からないけど、ロミーがこれだけ長く同居している貴女から相談されていないのは、彼女にとってかなり悲しいハズよ。自分の為にもロミーの為にも、ちゃんと相談してあげなさい」
「はい。今日は本当に嬉しかったです。今後もコラボ配信お願いします」
「もちろんよ。それじゃーね、おやすみ」
「おやすみなさい…」
(ロミータちゃんのお母さんが事故にあった。って聞いてたから言い出せなかったけど…そっか、相談されないほうがロミータちゃん悲しいんだ…うん、そうだよね!)
ミネアに言われてロミータの心情を理解出来た亜沙美は、間もなく配信を終えるであろう彼女の為に感謝の意を伝えようと、1階に降りて飲み物とデザートの用意をするのだった
続く
「プシュー…お降りの際は足元に注意ください」
時刻は22時14分
土曜日はボイトレに参加する為に、配信は22:30からする事を告知していた亜沙美とロミータ
「はぁ…完全に油断しちゃってたなぁ。いくらあんな恥ずかしいコスプレ姿してたからって、その日の夜に襲われちゃうなんて思ってもみなかったよォ…」
竹取家まで歩いて3分程度のバス停なので、急げば今からでも十分配信に間に合うのだが…
「考えてみたら…服部さんの兄妹と知り合ってなかったら、私2回も襲われてる…私って男の人から見たら、ガード緩そうに見えるのかなぁ…」
引っ越し業者の者たちに隠しカメラを設置された事がある亜沙美
「気が付かずにそのまま生活していたら、最悪不法侵入されて強硬手段に出られてたかも…今日も茜ちゃんが居てくれなかったら、あのまま私…」
そんな恐怖に駆られている亜沙美は、急げばまだ配信時間に合う!という思考からは遙か遠い位置にいると言えた
【竹取家 玄関】
「ガチャ…ただいまぁ…」
半放心状態でチカラ無く玄関のドアを開けた亜沙美だが、ショックが大き過ぎた為か?ドアの鍵が開いている事にさえ気が付いていない
「良かった亜沙美、無事だったのね?」
「うん…遅くなっちゃった。心配かけてごめんねぇ…」
「…………………」
ロミータは考えた。亜沙美は「何かあった」とは口にしなかったが、彼女の顔を見れば自分の知らない所でショックな出来事があったのだと
【竹取家 応接間】
テーブルにはロミータが作った日本風の料理が並んでいた。亜沙美から連絡が帰ってこない不安感を紛らわす為に、梨香から教わっていた簡単な日本料理を作っていたのだが…
「ねぇ亜沙美、晩ご飯作っておいたんだけど食べる?」
「…ごめんなさい。ちょっと食欲がないの…」
「そう…ならラップ掛けておくから、後で一緒に食べましょう」
「うん…」
亜沙美からは何も言ってこない。ソレがロミータにとっては心苦しかった。何かあった時に言ってもらえない関係なのだと、思い知らされたからだが…
「そうだ!ロミータちゃん、お母さんは大丈夫だったの?」
「え、えぇ。目の前で事故を見たパパが慌てて大袈裟に伝えてきただけで、ママは左足を骨折しただけで済んでたわ」
「そっかぁ…良かったねぇ…」
自分が嫌な思いをした後にでも、自分の母親の事を気にしてくれる亜沙美の優しさに感激したロミータは、何とかして彼女のチカラになりたかった
「ねぇ亜沙美。今夜はミネアとコラボ配信でしょ?そろそろ準備しないとマズイんじゃない?」
「…えっ!?あ、そうだった!ごめんねロミータちゃん。私配信してくるね!」
「そうね。ロミーも自分の配信を始めるわ」
本当は全然配信したい!という感情ではない亜沙美だが「予定を立てた配信は、ダルくても熱が出ててもやれるならヤレ。ソレが配信者よ!」と同居し始めた頃に、ロミータから配信者の心構えを聞かされていたので、条件反射のように防音が施された配信室へと向かった
【配信室】
(22時27分。今からでも間に合うかなぁ…早くパソコンを立ち上げて準備して、ミネアさんに電話しないと……あれ?)
「配信用のセットアップが完了してる?…あ、ロミータちゃんがやっといてくれたんだ。ありがとうロミータちゃん♪」
配信を始めるには幾つかの手順があり、パソコンを起動したらスグに始められる訳ではない。当然ソレを知っているロミータが、亜沙美が帰る前に段取りしておいてくれたのだ
「プルルル♪…はい、ミネアよ。もう、遅いですよ亜沙美ちゃん。今夜の配信キャンセルされるかも?って焦っちゃったわ」
「すみません…ボイトレの帰りに色々あって遅くなっちゃっいました。ごめんなさい…」
「……………」
配信者活動はキャラ作りやトーク力、人の繋がりの強さなど成功する為の条件が色々あるのだが…もっとも大切だと言われるのが「メンタルの強さ」である
視聴者側からすれば、好きな配信者の枠にアクセスすれば、いつも通りの配信が始まるものだと思いがちだが…配信者とて人の子である。メンタルのアップダウンは当然存在する
妬みや嫉妬からくる嫌がらせのようなコメント。私生活からくる強いストレス。何とか売れようと必死になって、詰め込んだスケジュールをこなす為に擦り切れていく精神
それらを乗り越えて、楽しく面白い配信を続けられるのは決して簡単なことではない!人気ブイチューバーに対して
「毎日喋りながらゲームしてるだけで、余裕で生活していけるんだから楽で良いね」
などと、配信者の苦労をまるで知らない者が言ってくる心無いヤジにも、負けない精神力が必要になってくるのだ
(亜沙美ちゃん…何か嫌なことがあったみたいね…今日は私が引っ張ってあげなくちゃ!)
「亜沙美!今からオープニングを流すから、配信開始は22時33分からよ。ガッツリ盛り上げてあげるから、ちゃんと付いてきなさいよっ!!」
「は、はい!宜しくお願いします!」
亜沙美の大先輩にあたるミネア・イーグルス(デザート・イーグル大佐)も、そのツラさを何度も味あわされていたのでよく知っていた
彼女は敢えて亜沙美を励ますような言葉を言わずに、いつも通りのデザート・イーグル大佐のノリで、亜沙美を引っ張って配信を終えようと決めた
「ほらほら、さっきからちっとも役が成立していないではないか!そんな運の無さで俺に勝てるつもりかぁ(笑)」
今夜は【ゲーム大全】でコラボ配信の2人は「ヨット」というサイコロを使ったゲームで対戦している
「そんな事言われてもぉ…全然良い目が出ないんですぅ…すみません…」
✱「さっきからアミ元気なくね?」
✱「今夜は声小さいよな」
✱「寝不足かな」
✱「ちゃんと飯食べた?」
✱「女の子の日?」
「おらおらアミ!声が小さいぞ!!マイクを口に近づけて、もっと元気にしゃべらんかぁ!!貴様は胸も小さいが、声まで小さいのかぁ?(笑)」
「んなっ!?大佐の胸の大きさがアミと対して変わらないのは、この前の温泉旅行の時に確認してるもん!むしろ、アミの方が少し大きかったもん!」
亜沙美はツライ目に逢うと、自分を卑下して考えてしまう悪いクセがある。勇気がなく控え目で、ロミータの告白にもハッキリ答えを出せない自分の弱さを思い出し、目からうっすら涙を流しながら配信していた
✱「マジっすか」
✱「くぅ、見てぇ!」
✱「ふむふむ」
✱「なるほど同じくらいと」
✱「触りたい」
「嘘つくな貴様!まだまだそんな小さな声じゃ、ヨットどころかフォーダイスも出ないぞー!」
「んもぅ!好き勝手言わないでくださいよぉ!今度こそ、フルハウスかフォーダイス出すんだからァ!」
ミネアは亜沙美が悲しみに囚われている暇も与えないように、自分自身の心を鬼にして彼女と言葉のプロレスをし、配信を盛り上げつつ彼女を導いていた
「あ~ん、また1ばっかり出てるぅ。1のフォーダイスじゃ4点だよぉ…」
✱「あと2回振れる」
✱「もう1個1出してヨットを」
✱「アミならやれる!」
✱「胸も小さいからダイスも小さい」
✱「1出すのはアミ得意だろ」
「むっかぁ!ちょっと視聴者(アミーゴ)たち!みんなはアミの味方だよねぇ?見ててよぉ、絶対にもう1個1出してやるんだからァ!」
「ほおぉ…言うじゃないかアミ。そんなに言うんなら…魅せてもらおうか、浅宮アミの強運とやらを!」
【24:00】
「途中からはなかなか楽しめたぞ。次のコラボでも楽しめそうだなアミ♪」
「はぁはぁ…ぷっ、あはははは♪今日は有難うございました、イーグル大佐!」
視聴者(アミーゴ)にまで心配されていた亜沙美の元気の無さを言葉巧みに上手く誘導し、楽しいコラボ配信へと導いてくれたイーグル大佐。そんな大先輩ミネア・イーグルスに心から感謝した亜沙美
「ヨシ!そんじゃ締めの言葉だ、行くぞ…」
「乙鷹網」
「オツタカアミ」
✱「楽しかった」
✱「乙鷹網~」
✱「笑った」
✱「次も楽しみ」
✱「おやすみ~」
「トゥルルルル♪ガチャ…はい、亜沙美です。イーグル先輩、今日は本当にありがとうございました!」
「…何かツライ事があったの?…深くは聞きませんけど、亜沙美ちゃんにはロミーが居るんだから彼女に相談してあげてね。1人で抱え込むと危険だよ?」
「あはは…バレバレでしたか…」
配信枠を閉じたミネアは、イーグル大佐の仮面を脱ぎ捨て本来のミネア・イーグルスに戻り、優しい先輩として亜沙美を気遣う電話を掛けたようだ
「当たり前よ。私もロミーとほぼ同じ年数、配信者をしているからね。亜沙美…貴女、今回の件ロミーに相談していないでしょ?」
「そんな事まで分かるんですか!?」
「そりゃーね。お節介な彼女が、貴女のヘコんだ気持ちを癒さないままで配信に出したんだから、多分そーなんじゃないかなってね」
「有難うございます。助かりました!」
亜沙美の元気の無さを一時的に解消したミネアは、本当の解決の為と親友ロミータへのフォローも忘れていない
「それでね亜沙美。詳しい事は分からないけど、ロミーがこれだけ長く同居している貴女から相談されていないのは、彼女にとってかなり悲しいハズよ。自分の為にもロミーの為にも、ちゃんと相談してあげなさい」
「はい。今日は本当に嬉しかったです。今後もコラボ配信お願いします」
「もちろんよ。それじゃーね、おやすみ」
「おやすみなさい…」
(ロミータちゃんのお母さんが事故にあった。って聞いてたから言い出せなかったけど…そっか、相談されないほうがロミータちゃん悲しいんだ…うん、そうだよね!)
ミネアに言われてロミータの心情を理解出来た亜沙美は、間もなく配信を終えるであろう彼女の為に感謝の意を伝えようと、1階に降りて飲み物とデザートの用意をするのだった
続く
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