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笑顔とエプロン
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【放課後の学校】
翌日、学校で全授業を終えた生徒たちは今日も、週末に行われる文化祭の出し物である【コスプレ喫茶店】に対しての準備を始めていた
「さて…もう文化祭は明後日に迫って来ましたけど、亜沙美ちゃんは大丈夫かしら?」
一時期引き籠もりだった亜沙美は、本来の控え目で自己主張が大人しい性格も手伝い、未だにロミータや梨香、太一以外の人間とは上手く話せないままだったが…
「いらっしゃいませ♪コチラがメニューになります。注文が決まりましたら、お声を掛けて下さいね♪」
「(*゜Д゜)*゜Д゜)(*゜Д゜)ォォォオオ」
「亜沙美ちゃんってば、いつの間に…」
昨日までの不安気でオドオドした挙動しか出来なかった亜沙美とは打って代わり、ハキハキと話しながら営業スマイルまで魅せていた
そのあまりの変化に梨香だけでなく、クラスメイト達も驚きを隠せないようだ
自分の机に座っているロミータを見付けた梨香は、その驚きを伝えるべく彼女の席へと近寄った
「ちょっとロミー。亜沙美ちゃん凄いじゃないですか…昨日までの自信の無さを、まるで感じさせない動きですわよ?」
「ん…昨夜、少し特訓したのよ…うぅ…」
ダメダメな動きだった亜沙美の急変化の秘密を知りたかったが…あの接客ならば十分及第点以上なので、その喜びを分かち合おうとしたのだが…何故かロミータは凄く元気が無いように見えた
「どうかしましたの?」
「ちょっと寝不足でね…ふうぅ…」
「皆さん!私はロミータさんを保健室に連れて行きますので、皆さんはそのまま練習を続けていてください!」
「はーい」
「おっけー」
「ロミータさん大丈夫?」
「ちょっと梨香?」
「良いから、練習時間が終わるまでだけでも休んだ方がよいですわよ」
ロミータと梨香は親同士の仲の良さから、小学生時代を梨香の家で一緒に過ごしていたので凄く仲が良い。太一の件で少し仲違いになった事もあったが、やはりロミータの事には敏感になる梨香だった
【保健室】
「ガラガラ…」
「あれ?保健の先生がみえませんわ…」
ロミータを1時間だけでも休ませようと保健室に連れて来たのだが…自分たち以外には誰も室内に居なかった
「保健の先生が居ませんので、私がロミーと一緒に居てあげますわ。お茶を煎れますわね」
「梨香ったら、少し寝不足なだけだから…そんなに心配しなくても大丈夫よ?」
とロミータが言ったのだが…梨香は聞こえていなかったのか?スタスタと歩き出し、お茶を煎れる用意を始めた
「はい、どーぞ♪」
「ありがとう…ん、熱過ぎないわね…いただくわ」
「ロミーが猫舌のは当然覚えてますわよ」
数年間、同じ家で過ごした2人は、お互いの趣味や趣向、食べ物の好みに至るまで良く知っている
「ロミー…余計なお世話かも知れませんけど、あんまり頑張り過ぎないでよ?亜沙美ちゃんの為に、ロミーが頑張っているのは見ていなくても分かりますのよ?」
「全く…梨香ってばロミーのお母さんみたいだわ(笑)」
どうやら梨香は、亜沙美が急にウェイトレスとしての接客が良くなった事や、彼女が配信を毎日頑張り続けられているのは、ロミーの献身的なお世話があるからだろう。と読んでいるようだ
「ロミーは昔から頑張り屋さんですし、やり始めた事を中途半端で投げ出したりしないでしょ?」
「ま、まあね…」
「良くも悪くもロミーは、やると決めた事には全力ですものね。私だって、そんなロミーに何度も助けられましたもの♪」
「あはは…そんな事もあったかしら?」
保健室内では、仲の良い女子高生の微笑ましいやり取りが行われていたのだが…
「さて、ロミー…」
「な、何よ梨香?」
そんな【てぇてぇ感】は突然終わりを迎えた。梨香が用意したお茶を飲み終えて、ベッドに横になっているロミータに少し不機嫌そうな顔を近づけて来た
「昨夜の配信見ましたわよ…」
「ギクッ!?」
昨夜は亜沙美に自信を付けさせる!という名目で、亜沙美に腹筋と【オシッコ我慢配信】をさせていた。恐らく梨香は、その事で怒っているのだろう
「まさか、最後の水の音…アレは本当に亜沙美ちゃんに…その、オシッコさせた訳ではないのですよね?」
「なんだその事?…当たり前じゃない。配信で「今からオシッコする音を流します」なんてやっちゃったら垢BANされちゃうわよ」
「…やっぱり、そうですよね。でも、流石にあそこまでするのはやり過ぎじゃないか?と思っちゃいますわよ…」
昨夜の配信でも、「代わりに今からペットボトルからお水を入れる音を流しますね」と断りを入れていたロミータだったが…配信画面の向こうで見ていた人の中には、もしかしたら本当にアミに排水させているのでは?と思う人も居ただろう。今の梨香のように…
「流石に配信活動に支障をきたしそうな一歩手前では、止めるようにしてるわ。昨夜だって、ちゃんと亜沙美にトイレ行ってもらったでしょ?」
「良かった…何だか、ロミーったら亜沙美ちゃんと百合の様な仲の良さに見えますから…本当に彼女と一線を超えてしまうんじゃないか?って心配してますのよ?」
「あはは……まぁ、亜沙美が受け入れてくれたら百合の関係になる事もなくはないけど、だからってソレを配信で流したりはしないわ」
「良かったですわ。ロミーにも、その程度の良識は残ってましたのね…」
「あったりまえでしょ?ちょっとロミーの事、疑い過ぎじゃない?」
「当たり前です!…毎日のように2人の配信を見させてもらってますのよ。アレコレ思考して頑張って配信している姿には、感動させられますのよ。でも…」
「うっ、あ、あはは…アレは配信者特有のエンタメだから気にしなくて良いわよ…」
以前のプール配信の時に、ロミータと亜沙美が撮影している隣で、ドサクサに紛れるような形で太一と結ばれ亜沙美を泣かせてしまった事を気にしていた梨香はその後、出来る限り2人の配信を見てくれていたようだ。だが…
「ですけどねロミー!2人がオフコラボの体で配信をしている時のロミーの亜沙美ちゃんへの迫り方は、仲の良い女子高生同士の行動を遥かに超えているようにしか見えませんわよ?」
「え、えへへへ。だって亜沙美は可愛いんだから仕方ないじゃない(笑)」
やはり梨香が心配していたように、ロミータは配信にかこつけて亜沙美を辱めて可愛がるのに夢中になっている
「あ、そうですわ。ところでロミーは何故、今日はそんなに眠そうに疲れているのですか?」
「実はね、さっき梨香が言った事を1番最近…つまり亜沙美の後に【コンプリ】に所属した新人ちゃんに「エッチ過ぎるのはイケナイと思います!!」って、昨夜の配信が終わってから1時間ほど説教されちゃったのよ」
「へ~そうなのですか。亜沙美ちゃんより後に入った子が居るのですね」
どうやらロミーが寝不足なのは、その新人から説教されて寝る時間が更に減った事が原因のようだ
ともあれ、亜沙美のあがり症はロミータのお陰でかなり改善されたので、文化祭の【コスプレ喫茶店】は何とかなりそうだった
続く
翌日、学校で全授業を終えた生徒たちは今日も、週末に行われる文化祭の出し物である【コスプレ喫茶店】に対しての準備を始めていた
「さて…もう文化祭は明後日に迫って来ましたけど、亜沙美ちゃんは大丈夫かしら?」
一時期引き籠もりだった亜沙美は、本来の控え目で自己主張が大人しい性格も手伝い、未だにロミータや梨香、太一以外の人間とは上手く話せないままだったが…
「いらっしゃいませ♪コチラがメニューになります。注文が決まりましたら、お声を掛けて下さいね♪」
「(*゜Д゜)*゜Д゜)(*゜Д゜)ォォォオオ」
「亜沙美ちゃんってば、いつの間に…」
昨日までの不安気でオドオドした挙動しか出来なかった亜沙美とは打って代わり、ハキハキと話しながら営業スマイルまで魅せていた
そのあまりの変化に梨香だけでなく、クラスメイト達も驚きを隠せないようだ
自分の机に座っているロミータを見付けた梨香は、その驚きを伝えるべく彼女の席へと近寄った
「ちょっとロミー。亜沙美ちゃん凄いじゃないですか…昨日までの自信の無さを、まるで感じさせない動きですわよ?」
「ん…昨夜、少し特訓したのよ…うぅ…」
ダメダメな動きだった亜沙美の急変化の秘密を知りたかったが…あの接客ならば十分及第点以上なので、その喜びを分かち合おうとしたのだが…何故かロミータは凄く元気が無いように見えた
「どうかしましたの?」
「ちょっと寝不足でね…ふうぅ…」
「皆さん!私はロミータさんを保健室に連れて行きますので、皆さんはそのまま練習を続けていてください!」
「はーい」
「おっけー」
「ロミータさん大丈夫?」
「ちょっと梨香?」
「良いから、練習時間が終わるまでだけでも休んだ方がよいですわよ」
ロミータと梨香は親同士の仲の良さから、小学生時代を梨香の家で一緒に過ごしていたので凄く仲が良い。太一の件で少し仲違いになった事もあったが、やはりロミータの事には敏感になる梨香だった
【保健室】
「ガラガラ…」
「あれ?保健の先生がみえませんわ…」
ロミータを1時間だけでも休ませようと保健室に連れて来たのだが…自分たち以外には誰も室内に居なかった
「保健の先生が居ませんので、私がロミーと一緒に居てあげますわ。お茶を煎れますわね」
「梨香ったら、少し寝不足なだけだから…そんなに心配しなくても大丈夫よ?」
とロミータが言ったのだが…梨香は聞こえていなかったのか?スタスタと歩き出し、お茶を煎れる用意を始めた
「はい、どーぞ♪」
「ありがとう…ん、熱過ぎないわね…いただくわ」
「ロミーが猫舌のは当然覚えてますわよ」
数年間、同じ家で過ごした2人は、お互いの趣味や趣向、食べ物の好みに至るまで良く知っている
「ロミー…余計なお世話かも知れませんけど、あんまり頑張り過ぎないでよ?亜沙美ちゃんの為に、ロミーが頑張っているのは見ていなくても分かりますのよ?」
「全く…梨香ってばロミーのお母さんみたいだわ(笑)」
どうやら梨香は、亜沙美が急にウェイトレスとしての接客が良くなった事や、彼女が配信を毎日頑張り続けられているのは、ロミーの献身的なお世話があるからだろう。と読んでいるようだ
「ロミーは昔から頑張り屋さんですし、やり始めた事を中途半端で投げ出したりしないでしょ?」
「ま、まあね…」
「良くも悪くもロミーは、やると決めた事には全力ですものね。私だって、そんなロミーに何度も助けられましたもの♪」
「あはは…そんな事もあったかしら?」
保健室内では、仲の良い女子高生の微笑ましいやり取りが行われていたのだが…
「さて、ロミー…」
「な、何よ梨香?」
そんな【てぇてぇ感】は突然終わりを迎えた。梨香が用意したお茶を飲み終えて、ベッドに横になっているロミータに少し不機嫌そうな顔を近づけて来た
「昨夜の配信見ましたわよ…」
「ギクッ!?」
昨夜は亜沙美に自信を付けさせる!という名目で、亜沙美に腹筋と【オシッコ我慢配信】をさせていた。恐らく梨香は、その事で怒っているのだろう
「まさか、最後の水の音…アレは本当に亜沙美ちゃんに…その、オシッコさせた訳ではないのですよね?」
「なんだその事?…当たり前じゃない。配信で「今からオシッコする音を流します」なんてやっちゃったら垢BANされちゃうわよ」
「…やっぱり、そうですよね。でも、流石にあそこまでするのはやり過ぎじゃないか?と思っちゃいますわよ…」
昨夜の配信でも、「代わりに今からペットボトルからお水を入れる音を流しますね」と断りを入れていたロミータだったが…配信画面の向こうで見ていた人の中には、もしかしたら本当にアミに排水させているのでは?と思う人も居ただろう。今の梨香のように…
「流石に配信活動に支障をきたしそうな一歩手前では、止めるようにしてるわ。昨夜だって、ちゃんと亜沙美にトイレ行ってもらったでしょ?」
「良かった…何だか、ロミーったら亜沙美ちゃんと百合の様な仲の良さに見えますから…本当に彼女と一線を超えてしまうんじゃないか?って心配してますのよ?」
「あはは……まぁ、亜沙美が受け入れてくれたら百合の関係になる事もなくはないけど、だからってソレを配信で流したりはしないわ」
「良かったですわ。ロミーにも、その程度の良識は残ってましたのね…」
「あったりまえでしょ?ちょっとロミーの事、疑い過ぎじゃない?」
「当たり前です!…毎日のように2人の配信を見させてもらってますのよ。アレコレ思考して頑張って配信している姿には、感動させられますのよ。でも…」
「うっ、あ、あはは…アレは配信者特有のエンタメだから気にしなくて良いわよ…」
以前のプール配信の時に、ロミータと亜沙美が撮影している隣で、ドサクサに紛れるような形で太一と結ばれ亜沙美を泣かせてしまった事を気にしていた梨香はその後、出来る限り2人の配信を見てくれていたようだ。だが…
「ですけどねロミー!2人がオフコラボの体で配信をしている時のロミーの亜沙美ちゃんへの迫り方は、仲の良い女子高生同士の行動を遥かに超えているようにしか見えませんわよ?」
「え、えへへへ。だって亜沙美は可愛いんだから仕方ないじゃない(笑)」
やはり梨香が心配していたように、ロミータは配信にかこつけて亜沙美を辱めて可愛がるのに夢中になっている
「あ、そうですわ。ところでロミーは何故、今日はそんなに眠そうに疲れているのですか?」
「実はね、さっき梨香が言った事を1番最近…つまり亜沙美の後に【コンプリ】に所属した新人ちゃんに「エッチ過ぎるのはイケナイと思います!!」って、昨夜の配信が終わってから1時間ほど説教されちゃったのよ」
「へ~そうなのですか。亜沙美ちゃんより後に入った子が居るのですね」
どうやらロミーが寝不足なのは、その新人から説教されて寝る時間が更に減った事が原因のようだ
ともあれ、亜沙美のあがり症はロミータのお陰でかなり改善されたので、文化祭の【コスプレ喫茶店】は何とかなりそうだった
続く
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