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日常編

神の民(メシアン)

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【聖騎士勇者隊の部屋】
「(。´-д-)ハァ-…こってり絞られましたわ…」

聖騎士勇者隊の部屋に3人が揃っている。ソファーに腰を掛けているミャンジャムが、そう言いながら大きなため息をついていた

「ロベルト宰相やミーコ様には反対されてしまったのかい?」

アドルは何度も身体を重ねたミャンジャムに責任を取る!と意思表示した後、彼女に結婚を申し込んだ…その申し出を涙を流して喜んでくれた彼女は【善は急げ】と、ミーコたちに自分たちも結婚式をしたい!と話を持ちかけた


「いえ。私(ワタクシ)たちの結婚は凄く喜んでくださいましたわ。「是非、同じ日に執り行いましょう!」と言ってくださいましたわ。ですが、それとは別の件で…」

そう言うとミャンジャムは「チラリ」とメリーズの方に視線を向けた

「やっぱりウチがあのデブ豚野郎を始末してもうた事が、問題になっているんやね?…あんな下郎にまで気を使わなきゃアカンなんて…国のお抱え部隊になるっていうのはめんどくさい事なんやね。この先もそうかと思うと…ウチはツライわぁ…」
 
【悪即斬!】で悪徳領主を葬ったメリーズ。彼は殺されて当然な悪行三昧だった事は、後の捜査で明るみになったのだが…

「今回は相手が本当に悪で良かったですけど、もし勘違いで即成敗をしてしまった!…なんて事が起きてしまったら、お説教だけでは済まされないのですよ?」

今回メリーズは、その場での本人とのやり取りだけで相手の人間性を判断し、相手のこれまでの行いがどうだったのか?家族を人質に取られて仕方なく演技でそうしているのかも?などを調べる間もなく葬ってしまった

もし万が一、風評被害などが先行していて調べれば実は良いヤツだった。なんて相手を葬ってしまったら、とてもじゃないがお説教で済むハズがない。そんな事態が100%起こりえない!とも言いきれないだろう

困った顔をして下を見ているメリーズに対して、どんな言葉をかけようか?思案しているミャンジャムとアドル

「なぁメリーズ…」

「なんどすかアドルはん?」

「キミが僕たちの仲間になってくれる時に、その条件としてキミと交わした約束は覚えているよ。「決して過去を詮索しないで欲しい」というキミの願いはね…」

「そうですな…2人は今日まで、どんな事態に立たされてもウチの過去を聞かないでくれましたな…感謝しとりますえ」

「…けど、キミは基本的に人間を…いや、他人を信用していないんじゃないのか?本当はキミの考えを尊重したいんだけどさ、この先似た様なことが起きるかもしれない?と考えたら…」

「秘密をもったままでは…あきまへんよな…」

そこで言葉が途切れてしまったメリーズとアドル。そこへ敢えて沈黙を貫いていたミャンジャムが立ち上がった

「聞いてメリーズ。誰にだって言いたくない過去の1つくらいは有ると思っていますわ。それでも私(ワタクシ)は仲間を信じ抜きます!でもね、他人を納得させなければならない時に、本当の意味で貴女を知らなければ説得は難しいと思うの…」

「そうやろね、ミャンジャムの言う通りやとウチも思うわ…」

「少しで良いからキミの過去を教えてくれないか?僕もミャンもキミの仲間で信頼している事に変わりはないんだけど、キミがどうして即決して葬ったのか?その原動力となるキミの考えは知っておきたいんだ」

真面目なアドルは、真剣に話してくれたメリーズとの約束を軽(かろ)んじるつもりなど無い。それは彼のパートナーであるミャンジャムも同じだ

「私(ワタクシ)たちは決して誰にも話したりしない事を誓えます。お願いします。貴女をもっと理解出来るようになるために、少しで良いから貴女の過去を教えてもらえないでしょうか?」

「………ウチは怖いんよ。ウチの過去を聞いても変わらずに接してくれる人なんて、この世に居ないと思うとるからね…」

「私(ワタクシ)はメリーズの過去を聞いても、貴女が仲間である事は変わりませんわ」

「そうだよ!ロベルト宰相やミーコ様がメリーズを追い出すと言うのなら、僕はこの国を捨ててキミ達と新たな旅に出るだけだよ!」

メリーズがアドルとミャンジャムとパーティを組んでから、半年以上の月日が過ぎていた。何度も一緒にクエストをこなしてきた仲間としては、信頼を置くのに十分な月日は経過している

「分かりましたえ…本当は話すのが怖いんどす。あんな過去が知られたら…それでもウチを見捨てないでくれる人が居るなんて…有り得ないと思うほど…せやけど…ミャンジャムとアドルはんなら…」

俯(うつむ)いていたメリーズは、覚悟をした表情で頭を上げ重い口を開いて語り出した



【メリーズ姉妹の過去】
「私たち…私とお姉ちゃんは…【神道民(メシアン)】と呼ばれた一族の生き残りなんです…お姉ちゃんは【神を受け継ぐ子】と呼ばれる程の天才魔術師として才覚を小さな頃から発揮しとりましたわ」
 

「メリーズのお姉ちゃん?」
「そんなに凄いのかい?」

メリーズの口ぶりからして、彼女の姉がとてつもない魔術師だと想像したミャンジャムとアドル

「えぇ、お姉ちゃんは凄いんよ。それに比べてウチは…【落ちこぼれ】と呼ばれ蔑(さげす)まれてましたわ。ははは…」

「メリーズが落ちこぼれですって?余裕で貴女はSランク冒険者ですのに?」

「あれほど強い氷系の魔法が使えるメリーズが、そんな風に言われてたのか?いや、その姉さんが規格外にスゴ過ぎるのかな?」

今のメリーズの実力をよく知る2人からすれば彼女が【落ちこぼれ】だなんてとんでもない言われ様だ!と言いたいようだ

「ありがとな2人とも。そやけどな、ウチがこれだけ強い魔法使いになれたのは…お姉ちゃんがウチを見捨てずに根気よく教えてくれたからなんよ。ソレがなかったらウチなんて…2人から仲間に誘いを受けられる様な魔法使いには、とてもやないけどなれなかったんよ…」

全くと言っていいほど他人を信用しないメリーズが半年間、苦楽を共にしてきたミャンジャムとアドルに頼まれようやく過去を話し始めた 

ミャンジャムとアドルは、どな内容が語られたとしてもソレを受け入れる覚悟で聞いているのだが…この先、彼女が話す内容に戦慄する事になる2人



続く
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