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憎奪戦争編

超人類の過去と未来

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【地下2F階段の間前】
「拙者の名は村雨。この日本刀は村正」

攻略に来たパーティ全員の前で、古代人について語り始めた村雨

「今から約7000年前。邪馬台国では卑弥呼様の予言により、とんでもない天変地異がその地を襲い……邪馬台国はおろか日の本の国全土で、生命が全滅するであろう!という事を知った
その事について話し合った結果…宇宙へと脱出したらしい…1000年以上の月日が流れ…この星に辿り着いたのだが…日の本の国に居た野生動物など比較にもならない程の凶暴な魔物、科学力とは真逆になる魔法の存在
それらと調和し何とか生きる術を彼らは模索した。長い月日が流れただろう。今から約2000年前…古代人は自らの身体を改造する【超人類計画】を発動させた
それから1200年後、数々のプロトタイプのデータを集め最高の鉱石と最高の技術を使い生み出されたのが拙者だ。古代人は剣士こそが最強足りえると信じ、拙者の身体を作り上げたのだ」

村雨の話を聞いていたエリエスにある疑問が浮かんだので、首をかしげながら質問をする

「という事は…800年前に貴方ほどの完成された超人類が生み出されていたのですね。それならば何故、今の世界に超人類がごく稀にしか存在していないのでしょうか?」
 

「そうだよね。彼ほど完成した者が居るのなら、その知識を元に性能の高い超人類を大量に生み出せば良いよね?そうしていたら世界はもっと住みやすくなっていたよね?」

エリエスとカルーアも疑問に思ったようだ

「適性が合う者が少ないのだ。超人類になる為の肉体改造に耐えられる適合者は、極わずかなのだ
研究を重ねた末、半(なかば)ば強引に改造に踏み切られた子は、大きな障害を持ち合わせてしまった。しかも、その改造に立ち会った研究者が、その少女を連れて外の世界に逃げ出してしまった
それまでのやり方に批判的だった者たちがいっその事、人の身体を根本から作り変えようと言い出した。ソレを進化型超人類計画とするとして、袂(たもと)を分かち出ていった
あくまで人の形を残す事を大前提とした基礎型を主張する者達は研究を辞め、地上に出て王国を作り始めた。やがて人が集まり、その王国はエルドラドと名乗ったようだ」

「それじゃあよ、なんで兄さんはこんな所に居残ったんだ?エルドラドに行かずによ…」

ヨシュアも素直に質問を投げ掛けた

「人の多いところが苦手な性分でもあったしな…それに、ここの地下5Fに凄いモノを残すから、このダンジョンの番人になって欲しいと頼まれてな」

「それから800年も、この場所を守り続けてこられたんですの?…凄く勤勉ですの!」
 
サーシャがいれたコーヒーを、コハラコとともに皆に配りながら彼の話を聞いていた

村雨は話を続けた。地上の話は全く入ってこなかったが…今居る直径800メートル程の世界が彼の全てらしい。ソコに住む小動物達との生活に、彼は何も不満はないようだ

取り敢えず、村雨は邪な侵入者から地下3階に降りる階段を守りながら、この場に生息している小動物と戯れて生きている事に、なんの不満も持っていないようだ



【イシス王国】
その前日の話。三姉妹たちが古代遺跡ダンジョンに向かった日、イシス王国に受け入れられたケチュアとリキュールは、部屋を与えられくつろいでいた

「広くて良いお部屋をお貸しいただけましたね。サーベルタイガーの親子は中庭で飼っていただける様ですし…なにもかも貴方のおかげよリキュール」
 
「どうしたんだいケチュア?いつもと違って、しおらしく可愛らしい事を言うじゃないか?」

余裕の無いイシス王国の内情の中、イザコザ問題を持って頼ってきた没落令嬢のケチュアと、身元不明の少女を迎え入れさせたのは、自分の並外れた魔法力(チカラ)のおかげだという事は十分に理解しているうえで、敢えてケチュアをからかう物言いをするリキュール

「もう!リキュールは本当にイジワルなんですから!たまには素直に受け入れてくださっても宜しいですのに…」

いつもの様にからかわれた事に少し拗ねてみせるケチュア。様々な人間模様とシガラミがあったアルバート家から離れてから、伸び伸びと生きるリキュールは本来の自分らしさが出ているのかも知れない

「本当に私はリキュールに出逢えたことに感謝していますのよ。そんな貴女と今後このお城で仲良く暮らしていける。そう考えると幸せ過ぎて怖いくらいですわ♪」

ケチュアは初対面からスムーズに仲良くなれた事を喜んでいる。そんな彼女をかけがえのない程の友人だと考えているので、感謝の意をハッキリと表現したのだが…

「ピコーン!」
リキュールは更にケチュアをからかう術を閃いたようだ。ニヤニヤ笑い話し続ける

「そんなに私に感謝している、って言ってくれるんだったらさ、ひとつお願いを聞いてもらえるかな?」

「感謝しているのは本当ですわ。この先の人生にも希望が見えてきましたもの…ですから…り、リキュールからのお願いでしたら…何度も助けて頂いているワタクシに断る権利はありませんわ…」

リキュールがニヤニヤしながら話してくる時は、何か腹に魂胆があるという事は、この数日の旅で理解していたが…断れる訳が無いと諦め口調のケチュア

「チッチッチッ!そういうのじゃないんだよケチュア。私を好きだと言ってくれただろう?…まぁとにかく横においでよ」

「パムパム!」
ベッドに腰掛けているリキュールは、自分の腰の横辺りを叩きケチュアに横に座る様に催促した

「何ですの?またワタクシを困らせようと言うんじゃないのでしょうか?リキュールはいつもワタクシをからかうんですから…」
 
イヤイヤ。という事はないが、少し顔を赤くしながらもリキュールの横に腰を下ろしたケチュア

「ねぇケチュア。私…ケチュアの初めてが欲しいな…」

「えっ?ソレって…どういう意味ですの?」

「分からないかな?…こういう事だよ!」

そう言うとリキュールはケチュアを抱き寄せ、ベッドの上に押し倒し彼女の腰の上に馬乗りになった

「な!?リキュール、ナニをするのです?…こんなハシタナイ事…イケませんわ」

「私はね…思い出が欲しいんだ。ケチュアとの間に、一生涯忘れることなど有り得ない程の強くて大きな思い出がさ♪」

数日前まで箱入り娘で世の中の常識に疎いケチュアに、リキュールが大胆に迫ろうとしている
そんな彼女は男女間の肉体関係的な付き合いなんて、全く経験がないのだが…逆に固体化した日からソレをデータとして知っていて、既にアルバート家で実践してきたリキュールとの間に大きな開きがあるのだが…
リキュールはその関係をケチュアと持ちたいと考えたようだ。果たしてケチュアはリキュールのその気持ちにどんな答えを出すのか?



続く
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