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憎奪戦争編
奮起するアリス
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【ヘルメスの街】
舞闘女神アテナの不参加を除いて予定通りのメンバーが揃った彼らは、街中を通りはるか西の古代遺跡へと向かうところだった
アテナが抜けていることから布陣の再編成をする必要があった。色々な意見を出し合うメンバーだったが、1人元気がないアリスに気が付いたヨシュア
「どうしたアリス?怖いのか?」
「う、うん…超人類?とか言うのに覚醒しているカルーアにぃ、サーシャは天使族の身体になったけどぉ……アタシはそんな言うほどパワーアップしてないからぁ…少し自信が無いのぉ…」
「大丈夫だ、心配するな!カルーアやサーシャみたいに、誰が見てもわかる程の目に見えるモンじゃねーけどよ、お前も十分に強くなってるぜ。なにしろ俺が毎日鍛えてるんだからよ♪」
そう言うとヨシュアはアリスの頭を「クシャクシャ」と撫で回した
「ありがとぉ、ヨシュア♪」
ヨシュアに褒められたのが嬉しくて、ヤル気が回復したアリスは元気に歩みを進めた
【アルバート家】
「大変失礼な質問をさせてもらえますか?」
「何かな?」
アルバート家にヒイロの義父の弟を名乗る40半ばの男が、彼にマリニウム王国の王子の成人式の為に武器防具を作って欲しいと頼みに訪ねてきていた
「本当に貴方は…亡き義父の弟さんなのですか?」
「なるほどな。確かに、キミが疑うのも当然だな。兄は…キミの義父はクエストから帰ると、毎回のように食事中にアルコールを飲んでいただろう?しかも決まって氷割(ロック)りで飲んでいただろ?
それと、ツマミは干し肉を好んでいた。本当に肉が大好きでね。食事には肉が入ってないとゴネただろう?」
「良く知っていますね。やはり、弟さん……いや、もっと家族ならではの情報を聞きたいですね」
「慎重だなキミは!……だが、確かにそれくらいなら飲み仲間とかでも知っていそうな情報だな……そうだな……!?兄は朝、起きてきた時、かなりの頻度で右手で背中を掻きながら起きてくる事が多くなかったか?」
「あっ!?確かに……もう十分です、ロベルトさん。確かに貴方は義父の家族なのでしょうね」
いくつかの義父ならではの特徴的な事を聞き、ロベルトが義父の弟であると認めたヒイロ
「すまないねヒイロ君」
「何がですか?」
「本当はキミに逢う気は無かったんだ。兄は父を早くに亡くした母の面倒を私に押付けてね、どうしても冒険者になりたい!と、街を出ていった男だからね……ただ、今回の国王の頼みを叶えられる人材に、どうしてもキミしか思い当たらなくてね…」
「構いませんよ、義父は自分中心な面もありましたし納得出来ます。分かりました!王子様の武器防具を作らせてもらいます!」
「おお!引き受けてくれるか?それと、申し訳ないのだが…王子の誕生日は3日後なのだが、間に合うだろうか?」
「3日後ですか?…時間が少ないですね。けど、半端な物は王子様には提供できませんし……そうだ!余ったハイミスリルで作っていたソードがあるのですが、ソレを王子様用に作り上げる。それでどうでしょうか?」
残り日数が少ないことはロベルトにも焦りを感じさせていた様だが、ハイミスリルと聞いた途端、彼の顔は明るくなった
「それならば喜ばれるだろう!どうかな、間に合いそうかね?」
「8割ほど出来ていますので、後は最後の仕上げと…王子様用ですから…柄の部分に宝石などを散りばめましょうか?その程度であれば明日の夜には完成するでしょう」
「良いね。よろしく頼むよ!街の宿屋で部屋を取っているから、明日はヘルメスの街を観光して明日の夜またお邪魔させてもらうよ」
「分かりました。では、明日の夜に」
ヒイロに依頼を受けてもらい、安心した彼はミルが出してくれたコーヒーを飲み干すと、アルバート家を出て街に繰り出した
【西の古代遺跡】
「アリスちゃんはエリエスちゃんと、双頭龍(ヒュドラ)をお願いします
私(ワタクシ)たち【聖騎士勇者隊】は3人で古代兵器5体を相手にします
双子姉妹隊とホロワーズ、並びにサーシャちゃんコハラコちゃん、それとエルデスさんに魔獣軍団をお願いします」
ミャンジャムが部隊分けを説明していたが…
「ちょっと待って~!それじゃ、黒龍(ブラックドラゴン)にはカルーアちゃんとヨシュアくんだけで戦うのかい?」
「それは流石に危険じゃないピョンか?」
「僕が加勢に行っても良いんだよ?」
古代兵器5体もかなりの強敵だが…敵の中で最強なのは黒龍(ブラックドラゴン)で間違いないだろう。ソレに対したった2人で戦え!と言うのだから流石にホロワーズも動揺する
「任せとけよ!カルーアはかなり強くなってるハズだ。それに…今回は俺も、最初から全力を出すからよ!…それとだな、黒龍(ヤツ)は強過ぎるんだ。下手に数を集めるよりも…」
「少数精鋭の方が戦いやすい!って事だよね?わたしもソレに賛成だよ。それに、ミオランダ…アイツは黒龍(ブラックドラゴン)よりも遥かに強かったんだよ…2人がかりで黒龍と戦えなくちゃ、とてもじゃないけどミオランダには勝てないよ…」
「そんなにも強かったのかよ…ミオランダか、いったい何者なんだ?」
ヨシュアとカルーアも、2人で黒龍(ブラックドラゴン)と戦うことに怯んでいないようだ。むしろ、カルーアの評価が黒龍よりもミオランダという戦士の方が強いと言うので、流石に驚きを隠せないヨシュア
「まあ、後は状況を見つつ対応しようか…今回はアテナ様が居ないけど、前回はカルーアちゃんが即離脱させられてたからね。むしろ敵の戦力がわかってる分、今回の方がまだマシかも知れないね」
不安要素が無い訳でもないのだが、歴戦の勇者アドル・クリスニッジの冷静な分析で臆していた者たちも平常心を取り戻したようだ
「シェリー姉さん!」
「うん、来たわね。シャルル、ガルダン。私たちが先陣を取るわよ!」
「お任せあれ!」
前回と同様に左翼からシータイガーの群れが現れた。約20体ほど居る。しかも今回は2回りほど図体のデカイのも居る
「どうやら~おの大きい虎さんが~彼らのBOSSみたいですね~」
エルデスがシータイガーたちのテレパシーみたいなモノを読み取り、デカイ奴がリーダー格だと判明した
「ズシンっ!!」
その大きな足音に振り返るアリスとエリエス
「来たようですわ、アリスお姉様!」
「う、うん。頑張ろうねエリエスちゃん!」
冒険者たちが全員がダンジョン1Fの中央部まで進んだ頃、前回と同様に入り口付近から双頭龍(ヒュドラ)が現れ、アリスとエリエスを見下ろしている
「グオオッ!」
輝く瞳が双頭龍(ヒュドラ)のヤル気を表現していた
「それでは…手筈通りにお願いします、アリスお姉様!」
「まっかせてぇ!アタシだってぇ、三姉妹の長女としてぇ、立派に戦うんだからぁ!」
ヘルメスの街から、西の古代遺跡まで来る途中、ヨシュアとエリエスから励まされ続けたアリスはヤル気に満ちていた
今回は超Sランクの武闘家【舞闘女神アテナ】を欠いていながらも、前回は必死に逃げ帰った古代遺跡ダンジョンに再挑戦する彼らを待つものは…
続く
舞闘女神アテナの不参加を除いて予定通りのメンバーが揃った彼らは、街中を通りはるか西の古代遺跡へと向かうところだった
アテナが抜けていることから布陣の再編成をする必要があった。色々な意見を出し合うメンバーだったが、1人元気がないアリスに気が付いたヨシュア
「どうしたアリス?怖いのか?」
「う、うん…超人類?とか言うのに覚醒しているカルーアにぃ、サーシャは天使族の身体になったけどぉ……アタシはそんな言うほどパワーアップしてないからぁ…少し自信が無いのぉ…」
「大丈夫だ、心配するな!カルーアやサーシャみたいに、誰が見てもわかる程の目に見えるモンじゃねーけどよ、お前も十分に強くなってるぜ。なにしろ俺が毎日鍛えてるんだからよ♪」
そう言うとヨシュアはアリスの頭を「クシャクシャ」と撫で回した
「ありがとぉ、ヨシュア♪」
ヨシュアに褒められたのが嬉しくて、ヤル気が回復したアリスは元気に歩みを進めた
【アルバート家】
「大変失礼な質問をさせてもらえますか?」
「何かな?」
アルバート家にヒイロの義父の弟を名乗る40半ばの男が、彼にマリニウム王国の王子の成人式の為に武器防具を作って欲しいと頼みに訪ねてきていた
「本当に貴方は…亡き義父の弟さんなのですか?」
「なるほどな。確かに、キミが疑うのも当然だな。兄は…キミの義父はクエストから帰ると、毎回のように食事中にアルコールを飲んでいただろう?しかも決まって氷割(ロック)りで飲んでいただろ?
それと、ツマミは干し肉を好んでいた。本当に肉が大好きでね。食事には肉が入ってないとゴネただろう?」
「良く知っていますね。やはり、弟さん……いや、もっと家族ならではの情報を聞きたいですね」
「慎重だなキミは!……だが、確かにそれくらいなら飲み仲間とかでも知っていそうな情報だな……そうだな……!?兄は朝、起きてきた時、かなりの頻度で右手で背中を掻きながら起きてくる事が多くなかったか?」
「あっ!?確かに……もう十分です、ロベルトさん。確かに貴方は義父の家族なのでしょうね」
いくつかの義父ならではの特徴的な事を聞き、ロベルトが義父の弟であると認めたヒイロ
「すまないねヒイロ君」
「何がですか?」
「本当はキミに逢う気は無かったんだ。兄は父を早くに亡くした母の面倒を私に押付けてね、どうしても冒険者になりたい!と、街を出ていった男だからね……ただ、今回の国王の頼みを叶えられる人材に、どうしてもキミしか思い当たらなくてね…」
「構いませんよ、義父は自分中心な面もありましたし納得出来ます。分かりました!王子様の武器防具を作らせてもらいます!」
「おお!引き受けてくれるか?それと、申し訳ないのだが…王子の誕生日は3日後なのだが、間に合うだろうか?」
「3日後ですか?…時間が少ないですね。けど、半端な物は王子様には提供できませんし……そうだ!余ったハイミスリルで作っていたソードがあるのですが、ソレを王子様用に作り上げる。それでどうでしょうか?」
残り日数が少ないことはロベルトにも焦りを感じさせていた様だが、ハイミスリルと聞いた途端、彼の顔は明るくなった
「それならば喜ばれるだろう!どうかな、間に合いそうかね?」
「8割ほど出来ていますので、後は最後の仕上げと…王子様用ですから…柄の部分に宝石などを散りばめましょうか?その程度であれば明日の夜には完成するでしょう」
「良いね。よろしく頼むよ!街の宿屋で部屋を取っているから、明日はヘルメスの街を観光して明日の夜またお邪魔させてもらうよ」
「分かりました。では、明日の夜に」
ヒイロに依頼を受けてもらい、安心した彼はミルが出してくれたコーヒーを飲み干すと、アルバート家を出て街に繰り出した
【西の古代遺跡】
「アリスちゃんはエリエスちゃんと、双頭龍(ヒュドラ)をお願いします
私(ワタクシ)たち【聖騎士勇者隊】は3人で古代兵器5体を相手にします
双子姉妹隊とホロワーズ、並びにサーシャちゃんコハラコちゃん、それとエルデスさんに魔獣軍団をお願いします」
ミャンジャムが部隊分けを説明していたが…
「ちょっと待って~!それじゃ、黒龍(ブラックドラゴン)にはカルーアちゃんとヨシュアくんだけで戦うのかい?」
「それは流石に危険じゃないピョンか?」
「僕が加勢に行っても良いんだよ?」
古代兵器5体もかなりの強敵だが…敵の中で最強なのは黒龍(ブラックドラゴン)で間違いないだろう。ソレに対したった2人で戦え!と言うのだから流石にホロワーズも動揺する
「任せとけよ!カルーアはかなり強くなってるハズだ。それに…今回は俺も、最初から全力を出すからよ!…それとだな、黒龍(ヤツ)は強過ぎるんだ。下手に数を集めるよりも…」
「少数精鋭の方が戦いやすい!って事だよね?わたしもソレに賛成だよ。それに、ミオランダ…アイツは黒龍(ブラックドラゴン)よりも遥かに強かったんだよ…2人がかりで黒龍と戦えなくちゃ、とてもじゃないけどミオランダには勝てないよ…」
「そんなにも強かったのかよ…ミオランダか、いったい何者なんだ?」
ヨシュアとカルーアも、2人で黒龍(ブラックドラゴン)と戦うことに怯んでいないようだ。むしろ、カルーアの評価が黒龍よりもミオランダという戦士の方が強いと言うので、流石に驚きを隠せないヨシュア
「まあ、後は状況を見つつ対応しようか…今回はアテナ様が居ないけど、前回はカルーアちゃんが即離脱させられてたからね。むしろ敵の戦力がわかってる分、今回の方がまだマシかも知れないね」
不安要素が無い訳でもないのだが、歴戦の勇者アドル・クリスニッジの冷静な分析で臆していた者たちも平常心を取り戻したようだ
「シェリー姉さん!」
「うん、来たわね。シャルル、ガルダン。私たちが先陣を取るわよ!」
「お任せあれ!」
前回と同様に左翼からシータイガーの群れが現れた。約20体ほど居る。しかも今回は2回りほど図体のデカイのも居る
「どうやら~おの大きい虎さんが~彼らのBOSSみたいですね~」
エルデスがシータイガーたちのテレパシーみたいなモノを読み取り、デカイ奴がリーダー格だと判明した
「ズシンっ!!」
その大きな足音に振り返るアリスとエリエス
「来たようですわ、アリスお姉様!」
「う、うん。頑張ろうねエリエスちゃん!」
冒険者たちが全員がダンジョン1Fの中央部まで進んだ頃、前回と同様に入り口付近から双頭龍(ヒュドラ)が現れ、アリスとエリエスを見下ろしている
「グオオッ!」
輝く瞳が双頭龍(ヒュドラ)のヤル気を表現していた
「それでは…手筈通りにお願いします、アリスお姉様!」
「まっかせてぇ!アタシだってぇ、三姉妹の長女としてぇ、立派に戦うんだからぁ!」
ヘルメスの街から、西の古代遺跡まで来る途中、ヨシュアとエリエスから励まされ続けたアリスはヤル気に満ちていた
今回は超Sランクの武闘家【舞闘女神アテナ】を欠いていながらも、前回は必死に逃げ帰った古代遺跡ダンジョンに再挑戦する彼らを待つものは…
続く
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