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憎奪戦争編
イシス王国到着
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【マリニウム集落跡】
古代遺跡から2kmほど南に離れた集落跡の一軒家で、ボッチちゃんと世話役の爺さんと、北の勇者隊の2人がカードゲームをして遊んでいた
ミーコ達【ホロミナティ】は反対側の古代遺跡の北側に寝床を取っている
遊びを知らないボッチちゃんにも分かりやすい七並べの様な遊びをしていた
「ごめんねーボッチちゃん。お姉さんアガリだわ」
数回こなして、ようやくルールが分かってきた所でビリになり、手足をジタバタさせて悔しがっているボッチちゃん
「で~(汗)」
するとボッチは立ち上がりキッチンの方へ駆けて行った
「ありゃ、怒らせちまったか?」
「ほっほっほ。そうではありますまい。ただ喉が渇いたので飲み物を取りに行かれたのでしょう」
「そう、なら。私も行ってみんなの分を持ってくるわね」
そう言ってプディングは立ち上がりキッチンに向かうと、クーラントボックスみたいな木箱に入っているオレンジ色の液体が入った瓶を取り、木のグラス4っつに注いだ
「おぬしら、どんな心変わりじゃな?」
初対面でボッチちゃんから荷物を盗んだ北の勇者隊の2人が、庭の草取りをしてくれたり、ボッチちゃんの遊び相手をしてくれているので、世話役の老人は質問した
「あの娘、どう見ても世間から隔離されて生活させられてるじゃないか。良い子そうだし、どうせ俺たちは目的も無い身だから、助けになりたいと思ったのさ」
「そうか…なら、気が済むまで居るが良い。なんなら、この国の国民になれるように手配してやっても良いぞ?」
「本当か?それは助かるぜ!」
「でー!でー!」
持ってきた飲み物を飲んだボッチちゃんが、ヤル気を出して再勝負を要求している
「また、お姉さんが勝っちゃうわよー」
プディングも馴染んできたようで、その日は4人楽しく遊んで過ごした
翌日のケチュアとリキュール
【イシス王国】
ここは5年前、ベイ達が攻め込んだ際に【アドル・クリスニッジ】の活躍で滅亡の危機を乗り越えていた。後に彼は【イシスの勇者】と呼ばれる様になった
若き王女【ユーカ・レア】16歳がイシスの英雄アイザー・シュバッツを筆頭とするシュバッツ家に支えられ、国民優先の政治により統治されている王国である
2ヶ月前、再び攻め込まれたこの王国を救うため三姉妹も活躍している
「ようやくイシスに到着したわね、ケチュア」
「ええ…イシスの王女は私を覚えてくれているかしら?それに、ゆっくり移動してきたのに…大して成長していなくてごめんなさい」
「いやいや、かなり進歩したよ!それでもEランク冒険者がやっとかな?ってレベルだけどね。あはははは(笑)」
「うう…ごめんなさい(汗)」
ようやく朝日が登り始めた頃、親子のサーベルタイガーを従えた2人は、イシスの正門の前へとやって来た。早朝にも関わらず、シッカリと正門を守る2人の兵士に声を掛けるケチュア
「あの!…おはようございます。私はマリニウム地方の貴族ナイン家のケチュアと申します。王女ユーカ・レア様にお取次ぎをお願いしたいのですが…」
そう言うとケチュアは中央に紋章が描かれたクリスタルを手に持ち衛兵に見せた
「それは!見た事があるぞ。確かにスズカの街近くのナイン家の紋章…ケチュアさんですか?お久しぶりです。10年ぶりくらいですかな?……はは、私のことは覚えていませんか?小さかったユーカ様と共にお伺いしたのですが?」
「ごめんなさい(汗)お、覚えていませんわ」
「無理もありません。まだケチュアさんもユーカ様も6歳でしたからな。そうでした、ユーカ様にお知らせしてきます。おい、俺が戻るまで彼女たちを見守っていろ」
「は、はい!了解しました………あの?」
「なんでしょうか?」
「そのサーベルタイガー…襲って来ませんよね?」
先輩の衛兵にケチュア達の相手を任された若い衛兵は、2人が連れているサーベルタイガーにビビっているようだ
【謁見の間】
「お久しぶりねケチュア。遠くまで訪ねて来てくれて嬉しいわ!どう、ソチラの様子は?叔父様も叔母様もお変わりは無い?」
若き王女ユーカ・レアは、ケチュア・ナインの事を薄っすら覚えていたので、衛兵に謁見の間まで連れてこさせて謁見を許可した。そして挨拶代わりに近況を訊ねたのだが…
「それが、両親は……オヅベルド公爵に殺されました…」
「なんですって!?」
ナイン家の夫婦が殺害された!その報告を受けたユーカは、驚きのあまり椅子から立ち上がった
「そんな…いったい何が?」
同席していたアイザー・シュバッツとその兄妹のオルガスとチェイム、そしてユーカの従者ランスロットルも驚いていた
ナイン家は武器商人の1族であり、ベイ城からの侵攻に備える為に【スズカの街】から呼び寄せた武器商人【ナイン家】から、大量に兵士用の武器防具を買った時からの付き合いだった
「なんですって!?…オヅベルド公爵がマリニウム王国に反乱を企てているの?……それで、その時用の武器防具を用意しろと迫られて断ったご両親は殺害され、貴女は使用人と共に逃げて来た。と…」
「はい。使用人も刺客に殺され私も危うく!という時に、コチラのリキュールに助けられ、その後サーベルタイガーの親子を従えて伺った次第であります」
ケチュアからの説明を受け、何故彼女が今回イシスを訪ねて来たのか?その理由を知ったユーカ
「リキュールさん。でしたか…私の友人を助けていただき感謝を述べます」
「いえ、私も大概世間知らずでしたので…私の方こそケチュアに助けられました」
「ところでリキュールさん。ケチュアはとても魔物を討伐できる人ではないのですが…道中の魔物の脅威それに、そのサーベルタイガーを従えたのは貴女のチカラですか?」
「そうですね。ケチュアは戦闘未経験でしたので、私の魔法で乗り越えて参りました」
見知らぬ魔法使いのリキュールにも気さくに話すユーカ王女だが、おそらく彼女ひとりのチカラで道中の危機を乗り越えたのだろうと予想し、彼女の力量を素直に訊ねてみた
「アイザーと申します。シュバッツ家の頭首をしております。代々レア家にお仕えしております…それにしても道中は過酷だったと思いますが…リキュール殿は素晴らしい魔法使いのようですね?」
「えっと…自分ではよく分かりませんが…彼女を守りイシスに辿り着ける程度には…」
ケチュアを狙って放たれた暗殺者を撃退し、ベイ城の兵もイシスの兵も1対1では苦戦するほどの魔物たちをも、お荷物でしかないケチュアを護衛しながら辿り着いたリキュールの強さに目を付けたアイザーが、王女であるユーカに目を配る
それに気が付いたユーカが無言で頷(うなず)く
「それはご苦労様でした。お疲れでしょう?我が城で遠慮なく寛(くつろ)いで、疲れを癒してくださいね。その間にオヅベルド家への対処を相談しておきますので…」
「有難うございます!」
「……………………………………………」
オヅベルド家へ対処してくれる。という言葉を聞いたケチュアは安堵していたが…最後の方で自分の力量を測られていた?と感じたリキュールは、素直に喜べずにいた
続く
古代遺跡から2kmほど南に離れた集落跡の一軒家で、ボッチちゃんと世話役の爺さんと、北の勇者隊の2人がカードゲームをして遊んでいた
ミーコ達【ホロミナティ】は反対側の古代遺跡の北側に寝床を取っている
遊びを知らないボッチちゃんにも分かりやすい七並べの様な遊びをしていた
「ごめんねーボッチちゃん。お姉さんアガリだわ」
数回こなして、ようやくルールが分かってきた所でビリになり、手足をジタバタさせて悔しがっているボッチちゃん
「で~(汗)」
するとボッチは立ち上がりキッチンの方へ駆けて行った
「ありゃ、怒らせちまったか?」
「ほっほっほ。そうではありますまい。ただ喉が渇いたので飲み物を取りに行かれたのでしょう」
「そう、なら。私も行ってみんなの分を持ってくるわね」
そう言ってプディングは立ち上がりキッチンに向かうと、クーラントボックスみたいな木箱に入っているオレンジ色の液体が入った瓶を取り、木のグラス4っつに注いだ
「おぬしら、どんな心変わりじゃな?」
初対面でボッチちゃんから荷物を盗んだ北の勇者隊の2人が、庭の草取りをしてくれたり、ボッチちゃんの遊び相手をしてくれているので、世話役の老人は質問した
「あの娘、どう見ても世間から隔離されて生活させられてるじゃないか。良い子そうだし、どうせ俺たちは目的も無い身だから、助けになりたいと思ったのさ」
「そうか…なら、気が済むまで居るが良い。なんなら、この国の国民になれるように手配してやっても良いぞ?」
「本当か?それは助かるぜ!」
「でー!でー!」
持ってきた飲み物を飲んだボッチちゃんが、ヤル気を出して再勝負を要求している
「また、お姉さんが勝っちゃうわよー」
プディングも馴染んできたようで、その日は4人楽しく遊んで過ごした
翌日のケチュアとリキュール
【イシス王国】
ここは5年前、ベイ達が攻め込んだ際に【アドル・クリスニッジ】の活躍で滅亡の危機を乗り越えていた。後に彼は【イシスの勇者】と呼ばれる様になった
若き王女【ユーカ・レア】16歳がイシスの英雄アイザー・シュバッツを筆頭とするシュバッツ家に支えられ、国民優先の政治により統治されている王国である
2ヶ月前、再び攻め込まれたこの王国を救うため三姉妹も活躍している
「ようやくイシスに到着したわね、ケチュア」
「ええ…イシスの王女は私を覚えてくれているかしら?それに、ゆっくり移動してきたのに…大して成長していなくてごめんなさい」
「いやいや、かなり進歩したよ!それでもEランク冒険者がやっとかな?ってレベルだけどね。あはははは(笑)」
「うう…ごめんなさい(汗)」
ようやく朝日が登り始めた頃、親子のサーベルタイガーを従えた2人は、イシスの正門の前へとやって来た。早朝にも関わらず、シッカリと正門を守る2人の兵士に声を掛けるケチュア
「あの!…おはようございます。私はマリニウム地方の貴族ナイン家のケチュアと申します。王女ユーカ・レア様にお取次ぎをお願いしたいのですが…」
そう言うとケチュアは中央に紋章が描かれたクリスタルを手に持ち衛兵に見せた
「それは!見た事があるぞ。確かにスズカの街近くのナイン家の紋章…ケチュアさんですか?お久しぶりです。10年ぶりくらいですかな?……はは、私のことは覚えていませんか?小さかったユーカ様と共にお伺いしたのですが?」
「ごめんなさい(汗)お、覚えていませんわ」
「無理もありません。まだケチュアさんもユーカ様も6歳でしたからな。そうでした、ユーカ様にお知らせしてきます。おい、俺が戻るまで彼女たちを見守っていろ」
「は、はい!了解しました………あの?」
「なんでしょうか?」
「そのサーベルタイガー…襲って来ませんよね?」
先輩の衛兵にケチュア達の相手を任された若い衛兵は、2人が連れているサーベルタイガーにビビっているようだ
【謁見の間】
「お久しぶりねケチュア。遠くまで訪ねて来てくれて嬉しいわ!どう、ソチラの様子は?叔父様も叔母様もお変わりは無い?」
若き王女ユーカ・レアは、ケチュア・ナインの事を薄っすら覚えていたので、衛兵に謁見の間まで連れてこさせて謁見を許可した。そして挨拶代わりに近況を訊ねたのだが…
「それが、両親は……オヅベルド公爵に殺されました…」
「なんですって!?」
ナイン家の夫婦が殺害された!その報告を受けたユーカは、驚きのあまり椅子から立ち上がった
「そんな…いったい何が?」
同席していたアイザー・シュバッツとその兄妹のオルガスとチェイム、そしてユーカの従者ランスロットルも驚いていた
ナイン家は武器商人の1族であり、ベイ城からの侵攻に備える為に【スズカの街】から呼び寄せた武器商人【ナイン家】から、大量に兵士用の武器防具を買った時からの付き合いだった
「なんですって!?…オヅベルド公爵がマリニウム王国に反乱を企てているの?……それで、その時用の武器防具を用意しろと迫られて断ったご両親は殺害され、貴女は使用人と共に逃げて来た。と…」
「はい。使用人も刺客に殺され私も危うく!という時に、コチラのリキュールに助けられ、その後サーベルタイガーの親子を従えて伺った次第であります」
ケチュアからの説明を受け、何故彼女が今回イシスを訪ねて来たのか?その理由を知ったユーカ
「リキュールさん。でしたか…私の友人を助けていただき感謝を述べます」
「いえ、私も大概世間知らずでしたので…私の方こそケチュアに助けられました」
「ところでリキュールさん。ケチュアはとても魔物を討伐できる人ではないのですが…道中の魔物の脅威それに、そのサーベルタイガーを従えたのは貴女のチカラですか?」
「そうですね。ケチュアは戦闘未経験でしたので、私の魔法で乗り越えて参りました」
見知らぬ魔法使いのリキュールにも気さくに話すユーカ王女だが、おそらく彼女ひとりのチカラで道中の危機を乗り越えたのだろうと予想し、彼女の力量を素直に訊ねてみた
「アイザーと申します。シュバッツ家の頭首をしております。代々レア家にお仕えしております…それにしても道中は過酷だったと思いますが…リキュール殿は素晴らしい魔法使いのようですね?」
「えっと…自分ではよく分かりませんが…彼女を守りイシスに辿り着ける程度には…」
ケチュアを狙って放たれた暗殺者を撃退し、ベイ城の兵もイシスの兵も1対1では苦戦するほどの魔物たちをも、お荷物でしかないケチュアを護衛しながら辿り着いたリキュールの強さに目を付けたアイザーが、王女であるユーカに目を配る
それに気が付いたユーカが無言で頷(うなず)く
「それはご苦労様でした。お疲れでしょう?我が城で遠慮なく寛(くつろ)いで、疲れを癒してくださいね。その間にオヅベルド家への対処を相談しておきますので…」
「有難うございます!」
「……………………………………………」
オヅベルド家へ対処してくれる。という言葉を聞いたケチュアは安堵していたが…最後の方で自分の力量を測られていた?と感じたリキュールは、素直に喜べずにいた
続く
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