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憎奪戦争編

偉大なる来訪者たち

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【アルバート家キッチン】
サーシャを三姉妹の部屋で寝かせ、それ以外の者はキッチンに集合していた。これから何を行うのか?惑星神エリスア様から直々に説明をしてくださるようだ

「さて、それでは説明させていただきますね。これからサーシャに行う術式は…天使族のチカラの安定と、ソレに耐えられる様になる為の肉体改造です!
ギリシャ神話の神々の中でも【知性と魔法の女神】と称される私ならば、その術式を執り行う際にもうひとつ同時に術を施す事が出来ます!」

(この女神を自称する女、やけに自尊心たっぷりだがよぉ…本当に女神様なのか?)

イメージとして、神々しい存在であるハズの女神が目の前に居るのだが…神と言うにはあまりもフレンドリーなその振る舞いに、初めて彼女を見るヨシュアは疑念を感じていた。が…

「ヨシュア君でしたか?」

「お、おう!?どうかしたか?」

「流石に元魔王の息子である貴方には、イキナリ目の前に居る私の存在に疑問を感じてしまうのは当然の事ですよね……ですが安心してください。間違いなく私は立派な女神ですから!おほほほほ♬」
 

(ま、マジかよww今、現れたばかりなのに、俺が元魔王(ザッド)の息子だって分かってやがる!ソレに俺が女神の存在を疑っている事もバレてやがる!…まさか、心を読まれたのか?そんな事が出来るのなら間違いなくこの女は神なんだろうな…)

「彼女の望んだ寵愛を説明する前に、まず皆さんに話しておくべき情報が有ります。それは…皆さんの寿命です」

「寿命ですか?エリスア様にはソレが分かるのですか?」

「もちろんですよ、ヒイロ・アルバート
まずはサーシャですが…1000年以上の寿命を有しています。彼女より若干短いくらいなのが…ヨシュア君、貴方になります
それよりも、もう少し短いのがカルーアちゃんで…800年くらいでしょうか?エルデスちゃんが700-600年くらいですね
そして問題なのはヒイロ。そしてアリスちゃんですね。貴方たち2人がこの中でダントツに寿命が短いのです」

「えぇー!?アタシぃ、カルーアやサーシャと同じくらいは生きたいのになぁ…寂しいよぉ…」 

かなりの長い寿命を有する者たちが集まっている中で、アリスとヒイロが極端に短いようだ

「俺たちは、どのくらいなんですか?」

「そうですね。ヒイロ君が100年…アリスちゃんが150年といったところでしょうか?」

「ええー!?アタシそんなに早く妹たちとサヨナラしちゃうのぉ?」
「100年ですか?…カルーアに寂しい寂しい人生を送らせてしまいますね…」

2人だけが飛び抜けて短い寿命を、数字でハッキリと言われてしまいショックを受けているアリスとヒイロ

100年と150年と言われはしたが、戦乱の耐えない生活様式も不安定なこの世界では、それでも十分に長い方ではあるのだが…それでも、大好きな妹たちに比べれば遥かに短い寿命だと言える

「お2人とも、サーシャが凄く優しい娘だと言うことはもちろん理解していますよね?
そんなあの娘だからこそ、アリスちゃんやヒイロ君とも長く生きたい!という理由から寵愛に対する願いを決めたのです。つまりは…寿命のLINKです。サーシャの肉体改造に併せて、アリスちゃんとヒイロ君の寿命をサーシャとLINKさせ、同じくらいに合わせる術式を施します。ご理解頂けましたか?」

つまり【知識と魔法の女神エリスア】は、サーシャの肉体改造と併せてアリスとヒイロの寿命を、サーシャと近い年数を生きられる様にしてくれると言うのだ

「え、エリスア様。コハラコは、どれくらい生きれるノ?どれだけサーシャママと一緒に居られるノ?」
 

「コハラコちゃんですか?……ふむふむ。貴女は珍しい生命体ですね。寿命は…1500年ほどでしょうか?それと貴女は古代道具(アーティファクト)の影響により、寿命を伸ばす事が可能な様ですね」

「そうなの?コハラコもサーシャママと同じくらい生きられるの?」

サーシャをママと敬愛するコハラコは、やはり彼女と同じくらい生きたいようだ。しかし、戦闘以外の知識がほとんど育まれていない彼女は、今の説明で自分の方がサーシャよりも寿命が長いことを理解していないようだ

……………………………………………

「皆さんの賛同が得られたので、さっそく今から術式に取り掛かろうと思います。一応ですが、そんな心配は不要と思いますが…何者かがあの部屋に立ち入らないようにカルーアちゃんには魔法による結界をお願いします。ヨシュア君には物理による防御です
流石の私も、かなりの高レベルの術式を執り行いますので防御にまでチカラを廻す余裕がありません。ですので、くれぐれも宜しくお願いしますよ?」

「うん、分かったよ。最大級の認識阻害(ハードゥーン)を掛けておくから安心して集中してよ」

「ああ!元魔王の息子の名にかけて!絶対にな!」

そう言うと惑星神エリスアは、アリスとヒイロを連れてサーシャが待つ三姉妹の部屋へと戻って行った



【三姉妹の部屋】
ベッドの中央に寝そべるサーシャ
エリスアの指示に従いその左右に寝るアリスとヒイロ。2人はそれぞれサーシャの右手と左手を個別に掴んだ。3人はまるで川の字ように寝ている

「さてサーシャ、失礼しますよ」

そう言うとエリスアはサーシャの腰下辺りに、馬乗りになる様にベッドにあがった。そして、アリスとヒイロには聞き取れない詠唱を始めた
それは神の間で使われる【神聖文字】による魔法詠唱だったので、サーシャ以外には何を言ってるのか?さっぱり分からないようだ
サーシャも薄れ行く意識の中、エリスアの詠唱はまるで子守唄のように心地良く響き、深い眠りへと誘(いざな)われていった
そして、部屋には惑星神エリスアの超高魔力が充満しだしていた



【キッチン】
「うわっ!?コレは凄い魔力だね……」
「これ程の魔力なら~世界を~吹き飛ばそうと思えば~可能かも知れませんね~」
「すっげぇチカラだな!やっぱり女神って言うのは伊達じゃねーんだな!」

三姉妹の部屋から溢れ盛れてくる凄まじい魔力に驚くカルーア、エルデス、ヨシュアの3人。彼らは固唾(かたず)を飲んでソレが終わるのを部屋の外で待って居たのだが……



【家の外】
「バジュウゥゥ!ジジッ…」

アルバート家の庭に目ばゆい魔法陣が現れ、その中から2人の男女が現れた。彼らは家の玄関に近づいて行く

「ハネムーンたって…ここアルバートさんの家じゃないか?」

「ふふ、久しぶりに友人が来ているみたいだから、挨拶くらいはしておこうと思ってさ」

転移魔法を使い現れたのは、有栖と優輝だ



【室内】
「ガチャ!」

「えっ!?」
「誰だ!?」

まさか来客などあろうはずもないと思っていたカルーアとヨシュアは、予告無しの突然の来客に心底驚いたようだ

「やぁ!カルーアちゃん久しぶりね。それにヨシュア様じゃありませんか?」

「ひ、久しぶりだな徳川有栖。きょ、今日は何の用事で現れたんだ?お前にしては珍しいな」
「そ、そうだよね。貴女ほどの女性がノックもせずに入ってくるなんて、び、ビックリしたよ…」

イキナリ出会った惑星神エリスアの凄さに驚かされた直後に現れた【世界最強の魔女】徳川有栖に動揺を隠せないヨシュアとカルーア

「あのね~、私の友人の気配を感じたからお邪魔させてもらったんだけどね……あら?見えないわね……それに、アリスちゃんもサーシャちゃんもヒイロ君も居ないわね。ヨシュア様、エリスアちゃんを知らないかしら?」

エリスアとの約束通り最大級の認識阻害(ハードゥーン)を掛けていたので、すぐに三姉妹の部屋に気が付かなかった有栖だが…

「えっ?いや、それは……」

まさかの確信を突く質問に返答に詰まるヨシュアは、みっともなく狼狽(うろた)えてしまった。そんな彼を見て有栖は近寄り…

「おかしいですねー。居ないハズはないのですけど……ん!?おや…あの部屋から良く知る膨大な魔力を感じますね。ヨシュア様、何か隠し事していませんか?」
 

「い、いやその…俺はだな、決して有栖に隠し事をしようとか…考えてる訳ではなくて…」

徳川有栖は【消去の魔女】である。その立場は今でも、ヨシュアの父である元魔王(ザッド)の配下である。その息子であるヨシュアも、彼女より立場は上なのだが…「年端もいかない聞き分けの悪い子供は容赦なく折檻ですよ♪」と言わんばかりの目付きで見下ろされたら、身動きひとつも出来なかった

それと、いかにカルーアの認識阻害(ハードゥーン)が高位のモノに磨かれつつあるとは言え、流石に【消去の魔女】の目は隠し通せなかったようだ

まさかのタイミングで現れた【世界最強の魔女】徳川有栖。彼女はなんの目的で、アルバート家を訪れたのだろうか?



続く
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