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化け物たちとの遭遇編

霧の中の少女

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【エルドラド王国跡】
三姉妹たちはエルドラド王国があった場所の中でも、外れにある小さな集落跡に来ていた

「思ってた以上に馬たちの疲労がヤバいね。残りを全て消費しよう」

「ほーらぁ、お食べぇ。美味しいよぉ♪」
 

「ワォン♪」

アリスを慕っているハイラは、彼女の心情を読み取ることが多い。なのでアリスは、心配する必要はないんだよ。と伝えるように柔らかい笑顔を魅せて食べ物を与えた
与えられた水と食料を喜んで飲食する狼(ハイラ)と、エリエスから食べさせられている馬2頭

「目の前の集落になら小さな井戸くらいは有ると思いますの。見に行きたいと思いますの」

「うん、そうだね。そうしようか…」

サーシャの意見に賛同し、王国跡地の深くに進む三姉妹たち



【集落跡地】
サーシャの読み通り井戸は存在した。が…
「カコーン!!」
「枯れちゃってるねぇ…」

井戸の底まで桶を降ろしてみたが…水の音はせずに底部に当たった音が反響していた

「……街の中心部に行きませんか?ソコにも井戸が…ここより大きいのが有ると思いますわ」

「そうだね。姉さん、エリエスさん。頼めるかい?」

「それは良いけどぉ、カルーア達は留守番しているのぉ?」

「うん。これ以上よぶんに馬たちを疲労させない方が良いだろうからね。わたしは此処で馬を見ながら2人が戻るのを待つよ」

「アリスお姉様、エリエスが絶対にお守りしますわ!」

妙にやる気になっているエリエスに手を引かれ、王国の中心部へと向かう2人

「うふふ、またアリスお姉様と一緒に行動できるなんて嬉しいですわ!」

「うん、宜しくねぇ」

街の中心部に向かうアリスとエリエスを見送るカルーアとサーシャ

「ふぅ…あの2人って本当に血が繋がっている姉妹みたいに仲良しだね…」

「そうですね…ところで、カルーアお姉さま…お身体の具合いは大丈夫なんですの?」

特に見た感じ、カルーアは元気そうに振る舞っているが…サーシャはそんな姉に違和感を感じている

「何言ってるのさ!昨日の半幽半霊体(アストラルバディ)との戦いで、疲労したのはキミ達の方だろう?」

あくまで普通の態度のカルーアに、サーシャは首を横に振っている

「アリスお姉さまは騙せても、このサーシャを騙せると思うだなんて…サーシャも舐められたものですの。お姉さまの一挙手一投足の僅かな変化でサーシャは!お姉さま達の体調具合いを見抜けますの!」

「そ、それは…よく見てくれていて嬉しいと言うべきか?そこまで把握されていて気持ち悪い!と言うべきか?悩まされちゃうね…」

「ブッブーですの!正解は…誇って良い。ですの!サーシャのお姉さま達への愛は、とーっても深いんですの♪」
 

自信満々に答えるサーシャの目に一点の曇りもなかった

「うん…そこまでくると、逆に清々しいね…」

そんな話をしていた時だった!カルーアもサーシャもほぼ同時に周囲の変化に気が付いた

「霧…かな?」

「魔力は感じないので、自然現象みたいですの…でも…何か、違和感が感じられますの…」

「サーシャもかい?」

2人を狙った魔法による攻撃の類(たぐい)ではないようだが…胸騒ぎを感じる2人


「ふふふ…」

「!?サーシャ、今の声、聞こえたかい?」

「えっ!?サーシャは別に何も聞こえなかったですの…」

気になったカルーアは周囲を見渡した…集落跡にも目を向けた

「んっ!?…サーシャ、誰か居るよ!」

「待ってください、お姉さま!迂闊に動かない方が…」

集落の民家と民家の間に人影のようなモノを見たカルーアは妙な胸騒ぎを感じ、人が居たと思われる方に駆け出した



【集落跡地】
「はぁ…はぁ…見間違いじゃないハズだ…確かに誰かが見えたんだ…それに。この胸騒ぎ、何かある。確認しないと後悔しちゃう気がするんだ…」

急に走ったので息を切らすカルーア

「ふふふ…貴女もまだ生き残っていたのね」
 
右方向から声がする。そちらに向き直ると…見覚えのないライトアーマーを来た少女が立っている

「キミは、誰なんだい?わたしの事を知っているのかい?」

「久しぶりね……と言っても、お互い自己紹介はしてなかったものね…私はミオランダ・デルバァスよ」
 

「ミオランダ?…うーん…すまないね。聞き覚えが無いよ」

「当然よね。私も貴女のお名前、知らないもの…」

「そうなんだ…わたしはカルーア。カルーア・アルバートだよ。キミはわたしを知っているんだね?何処かで会ってたのかな?」

ミオランダと名乗った少女は、カルーアの名前は知らなかったが、カルーアのこと自体は知っていると言った

……………………………………………

「はぁ…はぁ…カルーアお姉さま。どちらに向われましたの?……どうしてですの?探知魔法でお姉さまを見つけられないですの…そんなに広い集落ではないですのに…」

ワンテンポ遅れはしたが、すぐに決断しカルーアの後を追いかけたにも関わらず…魔力の高いサーシャの探知魔法を持ってしても…良く知るカルーアを見つけられない事に焦りを感じるサーシャ

「カルーアお姉さま、どこに居ますのー!?」

カルーアを呼ぶサーシャの声も届かず、虚しく廃墟に響いていた


「申し訳ないけど、わたしはキミの事を知らないんだ。良かったら教えてもらえないかな?」
(何故だろう?何故わたしは、こんなにも彼女に興味を……気になって仕方ないんだろう?)

最近は人との交流も増えたので、前ほどの人見知りではなくなったカルーアだが…それでも、いつもの彼女だったら…知らない人に、ここまで興味を持つことは無い

なのに気になって仕方ない
カルーアの質問に横を向いていたミオランダが、彼女の方を真っ直ぐに見つめ直し閉じていた口が半開きになって「ニヤリ」と笑みを浮かべた



続く
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