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化け物たちとの遭遇編

就職先

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【ベイ城 謁見の間】
【消去の魔女】徳川有栖に2つの質問をしたのだが、予想外過ぎる回答に半分放心状態のベイだった

「…それは…本気…なのか?」

「あったりまえでしょ!本気も本気。大(おお)マジよ!私は優輝と結婚したのよ!」

(本気の目だ…マジかぁ…相変わらずコイツの行動は予測出来ん…)
ろくに職務もこなさずアッチコッチに放浪していた有栖がようやく帰ってきて、何やら報告があると言うから聞いてみれば…この内容である


「優輝とか言ったな…先ほどは【ゴミ屑】などと言って済まなかったな。お前のその覚悟に敬意をあらわすぞ…なるほどな。お前は勇気ある男だ。勇者だな」

「おぉ!ゴミ屑から一気に勇者に昇進したね。良かったな、優輝!」

ボロクソに言われていたのが一転して、敬意を表してもらえた優輝を慰めるミクイだが…

「でもさ、俺がどうこうじゃなくて理由は、有栖と結婚したからじゃんか。俺の評価とは素直に喜べないよな」

有栖と結婚した男と聞かされ、優輝の評価が一変するベイ

「結婚報告は分かった。明後日くらいにでも宴を開いてやろう。もちろん参加しろよ!で、だ。その報告が俺の質問にどう関係している?」

「彼をそれなりに強くしてやって欲しいのよ。私、魔法使いだからさ、剣の修行は付けてあげられないから。もちろんその間は、彼を鍛えてもらうお礼も含めて仕事を沢山こなすわよ」
 

「なるほどな。ソイツを鍛えてる間は真面目に職務に励むという訳だな。つまりはギブアンドテイクというヤツか…一応お前は俺の部下なんだがな…」

「うん、そういう事よ!で、そこの2人の女は彼の部下みたいなものだってさ。彼と一緒にこの城に仕えてくれるんだって」

つまり最低限、優輝を鍛えてくれる間は魔女としての職務を全うするようだ

「分かった。おいロック。手始めに貴様が優輝の稽古相手になってやれ。お前を超える強さに達したら、俺が相手してやる」

「はっ、かしこまりました!行くぞ、優輝の兄ちゃんよ」

「えっ!?今からですか?俺、今日半日歩き通しで…」

「腑抜けた事を言ってんじゃねーよ。【消去の魔女】の旦那になったんだろう?普通のこと言ってて有栖様の旦那が務まる訳ねーだろ!」

クタクタの優輝だったが、有無を言うまもなくロックに掴まれ、兵士たちの訓練所に連れていかれた

「…良いかな?それでミクイとミントスは何をすれば良いのかな?【タダ飯喰らい】って訳にはイカないでしょ?」

「そちらのダークエルフには、城内の魔法使いたちの指導を頼もうか。精霊魔法を使える者はいないのでな」

「お安い御用さ。そんなんで安住の地を得られるのなら願ったり叶ったりさ」
(就職先が魔族の城か…転々とした人生だったけど、本当に何が起こるか?分かったもんじゃないね。ははは…)

生まれてこの方、まともに安らげる時がなかったミントスにしてみれば、まともな宿と仕事が得られるので嬉しいようだ

「そしてアサシンの…ミクイと言ったな」

「ん、そうだよ♪」

有栖もそうだが、ミクイも1国の武闘派城主に対して敬意を払う態度ではなかったw
(コイツも態度デカイな。有栖タイプか…まぁ、その態度に見合った実力者ということだろうな…)

「貴様の実力は覚えているぞ。イシス城攻略戦の時に、この俺にさえ居場所を探知させない程のスキルを魅せていたな。諜報活動の方面で期待しているぞ」

「任されましょう♪Sランク、アサシンの実力でベイ様のお役に立ちますよ(笑)」
 

「良かったね、ベイ。イッキに優秀な部下が増えてさ♪…まぁ、1人は完全にお荷物なのは申し訳ないけどね…」

お荷物な1人。それはつまり、有栖が結婚した優輝のことである

「どうやら今回こそは大人しく長居してくれる様だな。安心したぞ」

「そうねぇ…残念だけど、長期滞在する事になるでしょうね。さてベイ。まずは何からやりましょうか?」

優輝が【消去の魔女】の旦那と認められるレベルまで達する稽古には、かなりの年月を必要とするだろうと予測している有栖とベイだった



【エルドラ山脈頂上付近】
三姉妹達は十分明るい内に、山脈の頂上付近に到達した

「みなさん。あの林の横、一軒家が見えます」

視力の優れているエリエスは、更に奥の方の林の横に割と立派なログハウスの様な一軒家を見付けた

「ねぇねぇ!とりあえず、あのハウスで一休みしようよぉ!アタシ、もう疲れちゃったぁ…」
 

「そうですね。かなり歩きましたのでサーシャも疲れましたの…」

「うん…同意だね…」

魔法使い系のサーシャとカルーアは、徒歩での登頂にかなり疲れている様だ。三姉妹達は一軒家に向かった


少し歩き一軒家の前まで来た時、カルーアとサーシャが何かを察知した

「カルーアお姉様も気付きましたですの?」

「あぁ!居るね…アンデット系の匂いがするよ」

魔法使い系の2人は、近くから妙な気配を感じ取っていた。しかし超人類のエリエスも、獣人族のアリスも何も感じていなかった

「バコオッ!」
突然、一軒家と三姉妹達の中間地点の地面から湧き足してくる者達が複数いた

「あれは!?スケルトンナイト!」

エリエスの言うように、鎧を装備したスケルトン達が現れた

「サーシャはアイツらを昇天させたりは出来ないのかい?」

「サーシャがエリスア様から頂いた天使族のチカラは、あくまで回復系ですので、除霊とかの類いは専門外なんですの」

「そうか、仕方ないね…効率は悪いけど雷系の魔法で焼き切るしかないか!」

「全身コナゴナに粉砕してやりますわ!」

「アリスもやるよぉ!」

一般の冒険者なら、スケルトンナイトの群れに襲われれば、かなりの苦戦は必死なのだが…超人類エリエスと、Aランクの獣人族アリスと、Sランク魔法使いのカルーアの前では次々となぎ倒されて言った

……………………………………………

「ガチャ」
「すみません。失礼致します。どなたかお見えでしょうか?…」

ログハウスの様な一軒家の扉を開け、礼儀正しく挨拶するエリエス

「...............」

しかし、彼女の挨拶に返事する声は無かった

「やはり留守ですの…でも、何か気になりますの…」

「サーシャもかい?先ほどのスケルトンナイトみたいに、ハッキリとは感知出来ないんだけど…この家、何か居るね…」

「えぇーっ!?それって幽霊さんの事なのぉ!?やだぁ…」

一軒家の中でも、先ほどとは違う何かを感じているカルーアとサーシャ。幽霊かと思いビビるアリス

「.....何も起きませんね。いつまでも警戒していても仕方ありませんし、そろそろ食事にいたしましょうか?」

「それならサーシャに任せて欲しいですの!しっかり栄養の付く晩御飯を用意しますの」

食事はサーシャの18番!彼女はキッチンに向かい、鼻歌を歌いながら料理の段取りに入った

「私は室内の探索と寝具の用意をしておきますね」

「それじゃあ、わたしは外の見廻りと認識阻害(ハードゥーン)を張ってくるけど、姉さんはどうするの?」

即座にするべき事を見つけ行動するエリエスとカルーア。アリスは何も考え付かない自分が恥ずかしい様だ

「あ、アタシもカルーアと見廻りに行くぅ!」

「そうかい?ありがとう姉さん」


かくして山脈の頂上の一軒家で、夕飯を取り疲れを癒すことにした三姉妹達
だが!この一軒家に住み着く者が、気配を殺し三姉妹達の動向を探っていることに、彼女達はまだ気が付いていない



続く
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