ようこそ幼い嫁候補たち ②

龍之介21時

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化け物たちとの遭遇編

愛を知りたいリキュール

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【エルドラ山脈中腹】
ヴォィドルフ3体を撃破した三姉妹達は、そこでひと息つく事にした。麓(ふもと)での戦闘と合わせて連戦になった為、少し長めの休憩を取る事になった

「ふぅ…認識阻害の結界張り終えたよ」

「ありがとうねぇ、カルーア!」

「それでは、早起きしてお弁当用意しましたの。皆さん食べて欲しいですの!」

「いただきます……野菜サンドですね。美味しいです。メタル製の水筒に入ってる紅茶、温かくて癒されますわ!」

サーシャが早起きしてミルと作った野菜サンドを、みんなで楽しんだ。ヒイロ手製の水筒は内側がメタルコーティングされているので、飲み物の温度を長時間保温してくれる

「ふはぁ…サーシャは良いお嫁さんになりそうだね。わたしが男の人だったら…姉妹の中なら、間違いなくサーシャを選ぶだろうね」

「まぁ!嬉しいです、ありがとうですの!…でも、ヒイロお兄様が選んだのはカルーアお姉様でしたの(笑)…でも!良いんですの!カルーアお姉様が幸せでしたら!…カルーアお姉さまら、どう思われてますの?」

「えっ!?わたしかい?…うーん…何故か分からないんだけどさ…ヒイロはこんな可愛くないわたしを選んだくれたんだ……だからね、その事にめいっぱいの愛情で応えたいと思って…いるよ(照れ)…でも、そうしていられるのも、姉さんやサーシャのおかげだよ。ありがとう」
 

「まあ!カルーアお姉さまが、そんなに素直に感謝を言ってくださるなんて今日は凄いことが起きそうですの♪」

「何でだよっ!!」

カルーアに褒められた事を素直に喜ぶサーシャ。ヒイロがカルーアを選んだことも、彼女は気にしていないどころか2人を祝福している。そんな懐の深いサーシャを、エリエスは尊敬の眼差しで見つめていた

「本当に素晴らしいですわ!ソレに比べて私ったら、戦闘は個人技で行なう事だと石頭の様に考えて無理をして…皆さんに迷惑をおかけしてしまって…」

考えてみれば…三姉妹と自分(エリエス)しか居ないシチュエーションは初めてな事に気が付いたエリエス。そのおかげで、三姉妹の仲の良さを本当に実感できたようだ
(血の繋がっていない義理の三姉妹だという話が、嘘のように仲良しさんですわ♪)


「でもさ。エリエスさん、武闘会ではアテナ様と絶妙なコンビネーションだったじゃないかい?」

「それは…戦いはお祖母様から教わりましたから、お祖母様とならそういう戦い方も出来るというだけで…」

アテナから教わる時以外は、常にひとりで剣の修行をしていた事も原因の一つだが、そもそもベース型の超人類の進化は個人で行なう物なので、エリエスにとっては個人技で戦ってしまうのは、もはや呪縛とも言えた

「そうだぁ!だったらぁ、せっかく今日はアタシ達と来てるんだからぁ、エリエスちゃんも共闘技術を学んで行こうよぉ!」

「おっ!名案だね!姉さんの口から出たとは思えないほど名案だよ(笑)」

「ちょっとぉカルーア、それってどういう意味よぉ!プンスカ!」
 

「うふふ♪本当に仲が宜しいのですね」

悩むエリエスを三姉妹は、漫才の様な空気で優しく包んでいた

(愛情か…そうですね。ただ強くなるだけなら単なる戦闘マシーンですわ。お祖母様の様に愛のある戦士になりたいですわ)

三姉妹の優しい絆がエリエスに、新しい感情を芽生えさせようとしていた



【アルバート工房】
工房内での作業を止めたヒイロは自分の部屋に移動し、リキュールが用意してくれたケーキと紅茶でひと休みしていた

「リキュールは、あの古代遺跡に長い間居たのかな?ひとりで寂しくはなかった?」

「そうですねぇ…私がお姉さんの次世代型、そして最終型として生み出された液状型DNA体の最後の生き残りなのですが…500年くらいまでは数えていたのですが…もう正確には分かりませんね
それと寂しくはなかったですよ。他の生物や魔装機兵の生活を眺めていたので、そんなに退屈はしませんでした」

「………Σ( ˙꒳​˙  )えっ!?500年以上も、ただ眺めていたのか!?…そうなのか。俺にはとても耐えられそうにないな…遺跡内に居た者の姿をコピーしたら、交流出来ていたんじゃないのか?」

「それは出来ません!」

リキュールはカルーアよりも大人しい口調で話すので、あまり深く考えずに話していたヒイロだが…何気ない一言が彼女(リキュール)の気に触ったようだ

「声を荒げてすみません…私達は相手のdataを読み取りコピーして個体化する行為は、1生に1度しか出来ませんので半端な相手をコピーしての個体化は、私達にとっては生まれる意味を殺してしまう事になりますから」

「そうか…大変なんだな……ん!?待てよ!って事は何か…カルーアは少なくとも500年以上生きているって事なのか?」

リキュールに色々教えようとして雑談を始めたヒイロだったが、予想外のとんでもない情報を知ることになってしまった

「そうですね。個体化する為のコピーをさせてもらっていた時には、あまり記憶の方は読み取りませんので詳しくは分かりませんが…
お姉さんは13年くらい前に個体化した様ですね。残念ですけど、その経緯は分かりません」

「そうか…いや良いんだ。気にしないでくれ…カルーアの生い立ちがどうあれ、俺が彼女を愛している事に変わりは無いからな!」

「愛ですか?…愛……」

今度はリキュールの方の口が止まった。進化型超人類として、まず個体化し大前提である最強を目指す事が最優先事項である彼女にとって、愛というものがよく分からない様だ

(そうだ。エルフのエルデスが買い物に付いて行ったので、今この付近には魔法に強い者は居ない…この機会に愛と言うものを…試してみましょう。もしかすると、ソレが更なる強さへのキッカケになるかも知れません)

リキュールはカルーアのお下がりの服を着ていたのだが、何かを決意して静かに立ち上がったかと思うと…おもむろに衣服を脱ぎ始めた

「なっ!?おいリキュール、ナニをしているんだ?」

「愛と言うものを知りたいです。生き物は肌と肌の触れ合いの時に愛を感じる。と、お姉さんのdataにありました
認識阻害の魔法を展開します…【認識阻害(ハードゥーン)】……これで邪魔される事はありません。さぁヒイロ、お姉さんにする様に私にも愛の行為をお願いします」

そう言うと、リキュールはネグリジェ姿でベッドに寝転がった

「…どうしたのですか?黙って見詰められていると少し変な気持ちが湧いて来ます…これが恥ずかしい。と言う感情なのでしょうか?さぁ、肌を重ねてください。リキュールに愛というものを教えてください」

「し、しかし…出会ったばかりでこういう行為に走るのは良くないんだ。ある程度以上の積み重ねる時間が不可欠なんだ。だから…な?」

予想外過ぎるリキュールの行動に焦るヒイロ。しかし、見た目も声もカルーアと変わらない。カルーアよりも、更にもう少し若くした様な見た目のリキュールなので、まるで2-3年前のカルーアから、夜の営みを要求されている様な感じだ。そんな不思議な状態に心を揺さぶられ動揺するヒイロ

「知りたいのです。愛というものを。お姉さんの知る全てを!」

愛を育む行為。というモノのデータに乏しいリキュールは、折角のヒイロとの2人きりという機会を生かそうとにじり寄ってくる
好奇心に囚われた目をした彼女に迫られているヒイロは、どんな答えを出すのだろうか?



続く
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