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化け物たちとの遭遇編

アリスと勇者と元魔王の息子

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【冒険者ギルド】
冒険者ギルドに集まった者たちで賑わっていた室内が、話が纏まりにつれて静かになってきていた

「もうチョイでぇ、締め切りだねぇ」

「参加者は俺たちと舞闘女神とその孫娘、それに双子姉妹と盾戦士のチームと、女3人のチームか…」

「どうもー!【ホロワーズ】の3人です。私はリーダーのマリリンです。アルバート1家のパーティと御一緒させてもらえて光栄です。よろしくお願いいたしまーす!」
 

「よろしくお願いします」
「よろしくピョン!」

リーダーのマリリンがAランク、他の2人がBランクの女だけのパーティが、最近噂のアルバート1家に挨拶に来ていた

「あと3分か…少し早いが締め切りにしても良いかな?」

アルバート1家に双子姉妹達、ホロワーズの3人、それとアテナとエリエス。このメンツが名乗りを挙げてから10分以上、立候補する者は他に現れなかったので募集を締め切ろうとした時…
「バンッ!!」ギルドの入り口のドアが勢い良く開かれた

「どうやら間に合ったみたいですわね!わたくし達も参加しますわ!」

息を切らせて入って来たのは…クラウン城認定の聖騎士【ミャンジャム・イレイユ】だ

「やぁ、久しぶりに帰ったよ。是非ボク達も調査隊に入れて欲しい」

彼女は他に男女ひとりずつ連れ添っていた。その内のひとりは…アリスも良く知る男

「あっ!?アドルさん。お、お久しぶりぃ…元気ですかぁ…」

若くして【イシス王国】を救った勇者【アドル・クリスニッジ】だった

「やぁアリスちゃん。久しぶりだね。元気そうでなりよりだ」

「う、うん。おかげさまでぇ…あ!アドルさんはぁ、カッコよくなったねぇ」

「そうかな?ありがとう!以前は迷惑を掛けてしまったから、今回のクエストで少しでも返せたら良いな。と思ってるよ」

久しぶりにアドルの顔を見たアリスは、最初のうちは固い表情をしていたが、彼は以前より精神的に磨かれたのか?以前より一回り大きくなった身体から、彼が肉体的にも精神的にも成長しているのが感じ取れたからか?話しやすく感じたので意外と会話は弾んだ

「おぉー!アドルさんだ!」
「イシスの勇者も参加するなら心強いな!」
「クラウンの聖騎士様も居るぞ」

ポンコツの方ではないイシスの勇者が、ひと回り成長して帰った姿にギルド内は盛り上がった

「アドル・クリスニッジさんとミャンジャム・イレイユさん。もうひとりの彼女は?」

「メリーズ・アシェスタと言いますえ。よろしゅう頼んますえ」

メリーズと名乗った彼女は、アドルとミャンジャムが旅の途中で寄ったギルドで知り合って、あるクエストの為に共同戦線を貼ってから行動を共にしているらしい。大人しい仕草をしているが…その内には強い意志を内封しているようなオーラを発している

「可愛らしいお嬢さんだが訛りが強いな…何処出身だい?一応冒険者登録の確認が必要だからな。教えて欲しい」

ギルマスはギルド規定に従い、見慣れない冒険者のメリーズの身元確認をする

「あっしは【工芸の街スズカ】よりもっと南方の【イーガ村】の出身なんよ。そないに大きな村じゃありまへんえ」

「イーガか、確かに大きくないが…古い伝統を今も伝える歴史ある村だったな……済まなかった。確認が取れた」


「おい、カルーア」

「さっきから何さ?」

アルバートファミリー以外では、シャルルくらいしかまだ街の人にもスムーズに会話できないカルーアにしてみれば、付き合いも浅いのに、ズカズカものを言ってくるヨシュアに戸惑っていた

「あのアドルって奴は、アリスとどういう関係なんだ?ヤケに親しげじゃねーか」

「ピキュイーン!」その話を聞いていたサーシャが、何やら良くない企みを思いついたようだ

「えっと、アリスお姉様の今(イマ)の彼氏であるヨシュアさんには言いづらいのですけど…あの人はかつて、アリスお姉様と深いお付き合いをなさっていた方なんですの!」

「何っ!?本当かよ?」

「えぇ、もちろんですの!身体を重ね合った仲まで行ったのですが…残念ながら、お姉様はフラレてしまいましたの…」

「ちょっとサーシャ!その言い方は!」

そんな言い方をすれば、短気なヨシュアがアリスの為に怒るのは当然だった

(ふん!アリスお姉様を振った愚行…やっと思い知らせれる時が来ましたの!)

正直サーシャは今まで口を挟まない様にしていたが、家族を溺愛する彼女にしてみれば、本人のアリスが身を引いたからこそ黙っていたが…ミャンジャムと親しげに入って来た姿に、押し殺していたアドルへの怒りが再燃してしまったのだ。なのでわざと、ヨシュアがアドルに不快感を覚えるような言い方を選んだようだ


「おい、お前!アドルって言うらしいな!」

「そうだけど、何だいキミは?」

「ヨシュアくん!?」

サーシャから過去の2人の事を聞かされたヨシュアは自分から振っておきながら今、目の前でアリスに親しげに話すアドルを許せる筈が無い!

「なぁ、教えろよ!アリスの何がイケなかったんだよ?あぁん?」

「ちょっと、ヨシュア君。過ぎた事だからぁ、もう良いのぉ!」

ヨシュアの怒りを感じたアリスは、必死に彼を止めようとする

「キミは…アリスちゃんの今の彼氏なのかい?…大人の恋愛を語るには、まだまだ幼く見えるけど?」

今回のアドルには非が無いので約ひと回り年下のヨシュアから、過去の恋愛の事にイチャモンを付けるような彼の言い方にイラっと来た様だ

「あぁん?恋愛に年齢なんか関係ねぇだろうがっ!」

「ボクも経験したから解る事だけど若気の至りとは言え、目上の人に簡単に突っかかるのは関心しないよ!」

「上から目線かよ!見た目で判断すると後悔するぜぇ!舐めんなっ!」

「確かにキミは見た目とかけ離れた猛者の様だが、その態度は良くないよ。礼儀は学んだ方が良いよ」

ヒートアップするヨシュアと平静を装ってはいるが、ヤルならやってやるぞ!という感じのアドルだ。2人は、このまま外に出て決闘でもしでかしそうな空気だ。だが…

「アドル止めなさいっ!今日の貴方はココに何をしに来たのですか?それに!貴方の方が年上なんだから、喧嘩を売られても軽々しく買ってはイケませんよっ!!」
 

静まり返ったギルド内。クラウン城認定の聖騎士であるミャンジャムの、大声での一喝にアドル達は黙ってしまう

「アドルはん。またミャンジャムさんに怒られてしもうたなぁ。良い加減、大人にならんとあきまへんえ(笑)」

このやり取りを、今までに何度も見掛けたのだろう。メリーズは独特の訛りでクスクスと笑っていた

「お前ら良い加減に落ち着いたか?……なら、外に馬車を用意してある。ソレを貸してやるから古代遺跡に向かってくれ」

出発前からギスギスした空気だが、予想以上の猛者たちが集い古代遺跡の調査に出発する



続く
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