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化け物たちとの遭遇編
カルーアの嫉妬の訳
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【王都クラウン東領平原地帯】
「ねぇ、お兄ちゃん。カルーアは何であんな話をしたのぉ?」
「んっ!?…あぁ、ゲロの話か?」
キングス王子の2頭引きの馬車の片方の馬を借り、クラウンを目指すヒイロとアリス。昼過ぎには、アリスとエリエスが決闘をしていた平原地帯の近くまで戻っていた
「アリスから見てもさ、カルーアが俺の事を好きだ!って事は分かるだろ?」
「うん…普段はあんまり多く話さないカルーアなんだけどぉ、お兄ちゃんの事を話し出すと長くなる事が多いんだよぉ…」
「そうか。カルーアが想いを寄せている俺が、昨夜アリスの事を抱いたろ?だから嫉妬して、あんな意地悪を言ったんだと思うぞ」
「そっかぁ、そうなんだぁ…」
(カルーアはアタシなんかよりも、ずっとずっとお兄ちゃんの事を好きなのかなぁ?…だから、そんな意地悪を言ったの?)
「ほらアリス。飲まないか?」
「えっ?うん、ありがとぅ♪」
長い時間走って疲れ始めている馬を休ませる事も兼ねて、1度立ち止まりアリスと小休止する事にしたヒイロ
「でもぉ、1人の男の人に何人かのお嫁さんが居るって事、わりと多いよねぇ?」
「それはな、男の数が女の数に比べて圧倒的に少ないからだろうな。俺たちの住む【ヘルメスの街】でも【王都クラウン】でも、出会う人は女の人の方が多かっただろ?」
「そう言えば、そうだねぇ…どうしてなのぉ?」
「今は世界中のアチコチで戦争が起きているだろ?戦争って普通は、男の方が死ぬ確率高いよな?本来、冒険者も騎士も男の方が多いからな」
「そっかぁ…男の人の方が戦争で戦って死んじゃうからぁ、男の人が居なくなっちゃうんだねぇ…だから、男の人と女の人が1対1だけで結婚すると女の人が余っちゃうんだねぇ」
「そうだな。だから世の中には【一夫多妻制】が当たり前なんだろうな。けど、人里離れた集落で生きるエルフ等には【一夫多妻制】が無いのかもな?」
「だからかぁ、カルーアがヤキモチ焼きなのわぁ…アタシの里の村長さんも確か…お嫁さんが何人か居た気がするぅ…」
と、そんな話をしながら小休止していたら…ひとつの馬車がコチラに向かって来るのが見えたので立ち上がった2人
「あら、ヒイロさんとアリスさん。どうかなされたのですか?………まぁ!魔界の魔獣族が発見されたのですか?」
馬車の手綱を握っているのはミアナだった。キウの姿は見えなかった。馬に引かれている屋根付きの荷台の中だろうか?
「それで、村長のキウさんは馬車の中でしょうか?」
「はい。少し具合が悪くなられたので【プルージュ村】に戻って療養して頂くんです」
「でも、それだったら半壊させられたとは言え、クラウンの方が医療面で優れているのでは?」
ヒイロの言う事は的を得ている
へき地で人口もかなり少ない村に帰るより、この大陸の王都クラウンの方が医療施設は充実しているハズなのだが…
「実はキウ様は肉体と魂が乖離しやすい体質なのです。普通の治療や魔法では回復が期待出来ないんです…」
「お兄ちゃん、なぁにソレぇ?」
「すまん。俺にも分からん」
「極々稀(ごくごくまれ)な難病を患っていらっしゃるのです。お師匠様が作ってくれたキウ様専用の医療装置が村にあって、そこで安静にされるのが1番良いらしいのです」
「お師匠様ぁ?…あっ!アタシと同じ名前の有栖さんかぁ…あっ!?」
有栖の名を口に出し、ある事に気が付いたアリスとヒイロ
「そう言えば、【消去の魔女】さんはまだ帰ってないのですか?」
「ええ、そうなんです。本来なら【最強の魔女】であるお師匠様が向かわれたのだから、手放しで安心出来るのですが…」
「そうか!あのファルバァスは魔法が効かないどころか、吸収してエネルギーにするから、魔女にとっては天敵の様なものですからね」
「えぇ…なので、いつ戻られるのか心配で仕方ありません」
師匠の身を案じ不安を隠しきれないミアナを励まそうとアリスは「凄い魔法が使えるんだから、大丈夫だよぉ!」と励ますのだが…その魔法を受け付けないのだから、励ましになっていなかった
…………………
「獣人族の娘と緋の目一族の男か…どうした?俺に何か用なのか?」
馬車を止めて話していると、馬車の中で寝ていたキウが暖簾を上げて顔を出した
……………………………
「なるほどな。迷い込んだ身寄りの無い魔獣族の4人を俺の村で預かって欲しい!と、キングス王子が言っているのだな…良いぞ。俺の村には人間は……ミアナ以外はひとりも居ないからな。多分だがな」
やや意味深な事を言ったキウだが、兎にも角にも魔獣族の受け入れは受諾してもらえた。ヒイロとアリスは進路を変更し、キウ達の馬車を先導して例の集落を目指した
……………………………………………
【辺境の集落】
「ありがとうキウ殿よ。このキングス、父ロード王に代わり感謝を述べるぞ!…ところで、ヒイロ達はこの先どうするのだ?余と共に帰るのか?」
「あの!その事なんですけど…ヒイロさん達は、お師匠様と何度も縁があったのですよね?良かったら、お師匠様の発案で生まれた【プルージュ村】を見て頂けませんか?」
「えっ!?その村は【消去の魔女】が作った村なのかい?…それなら、是非お邪魔させて欲しいな!」
【七精守護霊(ハーロウィーン)】の超極大魔法の絡みで【消去の魔女】に色々と興味のあるカルーアは、彼女が作ったと言う村に興味を持ったようだ
「珍しくカルーアが積極的になっている事だし、行ってみるか?」
「行くイクぅ!」
「お邪魔してみたいですの」
「コハラコも行くノ」
アリスもサーシャもコハラコも、興味津々の様だ
「そうか、では余は親衛隊と共に帰るとしよう。またクラウンに立ち寄った時には顔を見せに来てくれよ!さらばだ!ナーッハッハッハッ♪」
そう言うとキングス王子は、最後まで騒がしいまま親衛隊と共にクラウンへ帰って行った
キングス王子の誘いでクラウンに来たヒイロ達は、催される武闘会に参加した直後【ファルバァス】との戦いに巻き込まれ、次はキウの統治する【消去の魔女】が作ったと言う【プルージュ村】へ向かうのだった
続く
「ねぇ、お兄ちゃん。カルーアは何であんな話をしたのぉ?」
「んっ!?…あぁ、ゲロの話か?」
キングス王子の2頭引きの馬車の片方の馬を借り、クラウンを目指すヒイロとアリス。昼過ぎには、アリスとエリエスが決闘をしていた平原地帯の近くまで戻っていた
「アリスから見てもさ、カルーアが俺の事を好きだ!って事は分かるだろ?」
「うん…普段はあんまり多く話さないカルーアなんだけどぉ、お兄ちゃんの事を話し出すと長くなる事が多いんだよぉ…」
「そうか。カルーアが想いを寄せている俺が、昨夜アリスの事を抱いたろ?だから嫉妬して、あんな意地悪を言ったんだと思うぞ」
「そっかぁ、そうなんだぁ…」
(カルーアはアタシなんかよりも、ずっとずっとお兄ちゃんの事を好きなのかなぁ?…だから、そんな意地悪を言ったの?)
「ほらアリス。飲まないか?」
「えっ?うん、ありがとぅ♪」
長い時間走って疲れ始めている馬を休ませる事も兼ねて、1度立ち止まりアリスと小休止する事にしたヒイロ
「でもぉ、1人の男の人に何人かのお嫁さんが居るって事、わりと多いよねぇ?」
「それはな、男の数が女の数に比べて圧倒的に少ないからだろうな。俺たちの住む【ヘルメスの街】でも【王都クラウン】でも、出会う人は女の人の方が多かっただろ?」
「そう言えば、そうだねぇ…どうしてなのぉ?」
「今は世界中のアチコチで戦争が起きているだろ?戦争って普通は、男の方が死ぬ確率高いよな?本来、冒険者も騎士も男の方が多いからな」
「そっかぁ…男の人の方が戦争で戦って死んじゃうからぁ、男の人が居なくなっちゃうんだねぇ…だから、男の人と女の人が1対1だけで結婚すると女の人が余っちゃうんだねぇ」
「そうだな。だから世の中には【一夫多妻制】が当たり前なんだろうな。けど、人里離れた集落で生きるエルフ等には【一夫多妻制】が無いのかもな?」
「だからかぁ、カルーアがヤキモチ焼きなのわぁ…アタシの里の村長さんも確か…お嫁さんが何人か居た気がするぅ…」
と、そんな話をしながら小休止していたら…ひとつの馬車がコチラに向かって来るのが見えたので立ち上がった2人
「あら、ヒイロさんとアリスさん。どうかなされたのですか?………まぁ!魔界の魔獣族が発見されたのですか?」
馬車の手綱を握っているのはミアナだった。キウの姿は見えなかった。馬に引かれている屋根付きの荷台の中だろうか?
「それで、村長のキウさんは馬車の中でしょうか?」
「はい。少し具合が悪くなられたので【プルージュ村】に戻って療養して頂くんです」
「でも、それだったら半壊させられたとは言え、クラウンの方が医療面で優れているのでは?」
ヒイロの言う事は的を得ている
へき地で人口もかなり少ない村に帰るより、この大陸の王都クラウンの方が医療施設は充実しているハズなのだが…
「実はキウ様は肉体と魂が乖離しやすい体質なのです。普通の治療や魔法では回復が期待出来ないんです…」
「お兄ちゃん、なぁにソレぇ?」
「すまん。俺にも分からん」
「極々稀(ごくごくまれ)な難病を患っていらっしゃるのです。お師匠様が作ってくれたキウ様専用の医療装置が村にあって、そこで安静にされるのが1番良いらしいのです」
「お師匠様ぁ?…あっ!アタシと同じ名前の有栖さんかぁ…あっ!?」
有栖の名を口に出し、ある事に気が付いたアリスとヒイロ
「そう言えば、【消去の魔女】さんはまだ帰ってないのですか?」
「ええ、そうなんです。本来なら【最強の魔女】であるお師匠様が向かわれたのだから、手放しで安心出来るのですが…」
「そうか!あのファルバァスは魔法が効かないどころか、吸収してエネルギーにするから、魔女にとっては天敵の様なものですからね」
「えぇ…なので、いつ戻られるのか心配で仕方ありません」
師匠の身を案じ不安を隠しきれないミアナを励まそうとアリスは「凄い魔法が使えるんだから、大丈夫だよぉ!」と励ますのだが…その魔法を受け付けないのだから、励ましになっていなかった
…………………
「獣人族の娘と緋の目一族の男か…どうした?俺に何か用なのか?」
馬車を止めて話していると、馬車の中で寝ていたキウが暖簾を上げて顔を出した
……………………………
「なるほどな。迷い込んだ身寄りの無い魔獣族の4人を俺の村で預かって欲しい!と、キングス王子が言っているのだな…良いぞ。俺の村には人間は……ミアナ以外はひとりも居ないからな。多分だがな」
やや意味深な事を言ったキウだが、兎にも角にも魔獣族の受け入れは受諾してもらえた。ヒイロとアリスは進路を変更し、キウ達の馬車を先導して例の集落を目指した
……………………………………………
【辺境の集落】
「ありがとうキウ殿よ。このキングス、父ロード王に代わり感謝を述べるぞ!…ところで、ヒイロ達はこの先どうするのだ?余と共に帰るのか?」
「あの!その事なんですけど…ヒイロさん達は、お師匠様と何度も縁があったのですよね?良かったら、お師匠様の発案で生まれた【プルージュ村】を見て頂けませんか?」
「えっ!?その村は【消去の魔女】が作った村なのかい?…それなら、是非お邪魔させて欲しいな!」
【七精守護霊(ハーロウィーン)】の超極大魔法の絡みで【消去の魔女】に色々と興味のあるカルーアは、彼女が作ったと言う村に興味を持ったようだ
「珍しくカルーアが積極的になっている事だし、行ってみるか?」
「行くイクぅ!」
「お邪魔してみたいですの」
「コハラコも行くノ」
アリスもサーシャもコハラコも、興味津々の様だ
「そうか、では余は親衛隊と共に帰るとしよう。またクラウンに立ち寄った時には顔を見せに来てくれよ!さらばだ!ナーッハッハッハッ♪」
そう言うとキングス王子は、最後まで騒がしいまま親衛隊と共にクラウンへ帰って行った
キングス王子の誘いでクラウンに来たヒイロ達は、催される武闘会に参加した直後【ファルバァス】との戦いに巻き込まれ、次はキウの統治する【消去の魔女】が作ったと言う【プルージュ村】へ向かうのだった
続く
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