上 下
32 / 170
アリス IN 異世界地球

決勝戦決着

しおりを挟む
【コロシアム】
「本日最後となります決勝戦は、今から1時間の休憩を挟んだ後に開始します。皆さま、今しばらくお待ちください」

司会者が観客に説明していた。観客たちは、この1時間のうちに決勝戦の予想を話し合ったり、食堂に行き腹を満たしたりしていた



【フレメイル控え室】
「んっ!?…あっ!?痛たた…」

「おお!ミンク目を覚ましたか!」

「ここは!?」

1回戦の最後の試合でアンナローザ達から、酷い目に合わされた臥龍族のミンクがようやく目を覚ました

「ふぅ…流石に疲れましたの(汗)」
 

「貴女は……サーシャちゃん?貴女が私を?」

徳川有栖がドレイクの傷を治したあと何やら用事が有るらしく、回復魔法の使い過ぎで疲弊しているサーシャの魔力を回復してくれた後で部屋を出て行った
サーシャは天使族の回復術で、ドレイクより遥かに大ダメージを受けていたミンクを治療し続けてくれたのだ

「そうなのね。ありがとう♪………あっ!そうだ!ドレイクやミンクに酷い事した女は何処?ぐちゃぐちゃの挽肉にしてやるっ!」

「落ち着けミンク。彼女達は準決勝で消去の魔女の教え子に凍らされて焼かれて…今は虫の息で地下牢に入れられているらしいぜ」

普段はドレイクLoveLoveで、愛想の良い笑顔を振り撒いている表情ばかりが記憶に残りやすい彼女だが…やはり臥龍族の血か!?
怒りに震える今の彼女の表情は、実践を知らない一般人が見たら失禁ものの恐ろしい顔をしていた

「しかし、教え子のミアナって娘。なんで、あの魔女を殺さなかったんだろうね?」

「そりゃ、この大会は試合中に相手を殺したら失格だからじゃないか?」

ミンクの無事を確認出来たのでカルーアとヒイロは、そのアンナローザを撃退しただけで息の根を止めなかったミンクの話に移っていた

「臥龍族の2人…特にミンクさんにあれだけの事をした悪名高い魔女なのですから、例え殺していても失格にはならないと思いますの」

「だよね?あれだけの暴挙をした魔女には、情なんて掛ける必要は無いと思うけどね…分からないなぁ…」

「もしかしたら…誰かに遠慮したのかもな?」

「そりゃあ、どういう事だ?」

ヒイロの意見にドレイクが食い付いた

「そう言えばミアナって女。あの魔女が丸焼けになるまでは、親や親友の仇を睨む様な目をしてたのに…あの魔女に「助けて」って言われた途端、急に真顔になってキウって人に何か話してたよね…」

「ん~、気になったから言ってみたけど…あの魔女を殺す事の許可?承諾を得るのに、何で辺境の村長のキウさんに断りを入れる必要があるんだろうな?」

「ガーハッハッハッ!そんな事知るかっ!どうしても知りたかったら、本人に聞かなきゃ分かる訳ねーだろっ!」

カルーアとヒイロの問答に、豪快に終止符を打ったドレイク。だが、その通りで真相は本人のみが知る。だろう


「あの…教えてもらって良いかな?それで決勝戦はどうだったの?もしかして、まだ始まってないの?」

「いや、俺とカルーアで決勝戦を見終わったから、ついさっきキミらの様子を見に来たばかりなのさ」

「そう、終わったんだ…」

カルーアとヒイロの言葉で、1回戦で敗北してから今まで意識が無かったミンクは、大会でついさっき終わった事を知らされた

「じゃあ、ドッチが勝ったの?あっ!待って!知らないうちに私の予想を言って良い?」

「ふむ、面白いね!キミの予想を聞かせてもらおうじゃないか?」

カルーアもこの半年で、俗世にだいぶ影響されたのか?初めてヒイロの工房に来た頃の彼女は、こういう博打じみた事に興味を示さなかったのだが…今は何か企む様な笑顔をしている

「何よ、その顔?いいわ、当ててやるわよ!優勝したのは…キウとミアナでしょ?あの2人の強さは異常な物を感じていたの…」

「ブッブー!優勝したのはアテナさんとエリエスのチームクーパーさ」

「えっ!?本当に?…特にあのアテナさんからは噂以上の強さを感じたけど…それ以上にあの村長と魔道士には人智を超えたようなチカラを感じたんだけどな…」
 

臥龍族は地上最強の人型の種族だと、世界に当たり前に認知されている。その種族の中でもトップの魔道士であるミンクは、強さの見分けには相当な自信がある様だが…今回はハズれてしまった

「やっぱり彼女は強かったな。俺からは、あの4人のチカラの差なんて全く理解できないけどな…始まったら、意外と短い時間で決着付いたんだよ」

「そうなの?」

「本当の猛者達の戦いなんて、そんなモノだと思うよ。強過ぎるが故に、1度戦局がどちらかに傾いたらひっくり返すのは難しいものさ」

「確かにな。カルーアの言う通りだな。マルバァスとの戦いもそんな感じだったよなぁ」

ヒイロの言葉に少し前ミンク、カルーアと共に古代13獣神のひとつ、マルバァスと戦った時の事を思い出したドレイクとミンクだった



【隔離塔】
前王派の神官たちが捕らえられた牢で、何か話し合いをしている…

「どうやら【最悪の魔女】は敗れてしまったみたいだな…」

「それでは!我らの崇高な目的が失敗してしまったのですか?」

「それはまだ分からん。あの魔女は素行の最悪さが有名だが…目的を達成する為の有意周到さ、でも有名だ。負けたからと言って、目的が潰えたとは限らん。合図の時を待つのだ」



【地下牢】
「う、うぁ…」

「どうやら生きているようね」

地下牢には虫の息ながら、紙一重で生きているアンナローザが居た。ソコを訪ねた徳川有栖

「お願い…苦し…いの…僅かで良いから…回復を…」

「ふん!自業自得でしょ!アンタはやり過ぎたのよ。死が迎えに来るまでソコで反省しているのね!」

ソコへ警備兵が慌てて駆け込んできた

「徳川様、はぁはぁ…こちらで御座いましたか?」

「そんなに息を切らせてどったのよ?」

「表彰式のセレモニーを始めますので…はぁはぁ…徳川様にも…出席して頂きたいと…ロード王が…」

「うそー!そういうのカッタルイから、嫌なんだけどなぁ…」

「ソコを…なんとか…」

「はいはい、分かったわよ。行けば良いんでしょ…」

有栖は渋々と警備兵と共にコロシアムへと戻って行った


「くくく…甘いな…消去の魔女も…その教え子も…」

ミアナに徹底的にやられて瀕死のダメージのまま投獄されているアンナローザだが…彼女の目はまだドス黒い野心が灯っていた



続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...