34 / 173
クラス委員長 立華 梨香
しおりを挟む
【生徒相談室】
亜沙美の通う高校は20年以上前に建てられた学校で、当時は在籍生徒数が今よりも多かった為、今となっては使わない教室も多いので文化部に積極的に提供したり【相談室 兼 指導室】としての部屋も作られていた
その教室に担任の先生に連れてこられた亜沙美。担任はホームルームの短い時間で話し合いをする事にした
「時間があまりないから単刀直入に聞くが…竹取。お前イジメ等を受けて不登校になったのか?それとも別で悩みとかがあるのか?」
担任の男の体育教師は割と熱血漢なタイプの様で、亜沙美の不登校の理由がもしかしたら?と、心配してくれていたようだ
「い、いえ…そういう事は無かったです。個人的な理由で…長く休んで…すみませんでした…」
担任教師は決して怒鳴ったり高圧的な行動をしているつもりはないのだが、体育教師だけに声がおおきめでボソボソ喋る亜沙美にはプレッシャーになっていた
「別の理由……去年お父さんが亡くなった事なのか?」
「はい…それから母さんは父さんの仕事を継いだので…父さんの様に年中留守になったので…ひとりで暮らしているうちに…その…」
「そういう事だったか……分かった。けどな、今は多様化の時代になったとは言えだ。高校卒業した。という学歴が有るのと無いのじゃ、就職に大きな差があるのも事実だ。強要はしないが…なるだけ学校に来てくれ…話は以上だ。クラスに戻ってくれ…良いか、何か困ったら遠慮なく頼れよ。頼むな」
「は、はい。分かりました。有難うございます!…」
担任教師は途中から亜沙美が引き腰になっている事に気が付いたので、声のボリュームを下げ優しい口調で話すことを心掛けていた
【昼休み】
午前中の4教科が終わり昼休みになった。授業の合間の休み時間中は、数人のクラスメイトが珍しく居る亜沙美を囲って話し掛けていた
「亜沙美さん。一緒に弁当食べない?」
「1人食べても美味しくないよね~」
「い、良いです…よ…一緒します…」
相変わらず亜沙美は、家族と太一以外の人間とは普通に会話できないようだ。流されながら相槌を打っているだけだった
「ねぇ。何で休んでたの?」
「毎日、遊べて羨ま~」
「親に怒られへんの?」
「そんだけ休んでたら暇じゃね?」
「社会人の彼氏が出来たとか?」
長い時間の昼休みは、亜沙美も予想していたとはいえ質問攻めにあい続けていたので、早く放課後にならないかと思っていた
「ねー聞いてる?」
「無視しないでよ~」
「何とか言ってよ~」
「あ、うん。あの…そのね…」
亜沙美の緊張は極限状態にまで達していた。何か強いキッカケがあったら、クラスを飛び出して帰宅してもおかしくない所まできていた。そこへ…
「ちょっと貴女達!何をしてますの?」
「立華さん!?」
「委員長?」
「その、これは…」
針のむしろ状態だった亜沙美に、クラス委員長が話しに割り込んできた
「貴女達ね!久しぶりに登校した竹取さんを、囲んでそんなに質問攻めにしたら何も言えなくなってしまうでしょ!」
「そ、そうですね。すみません!」
「私たちは食べ終わったので…」
「失礼しましたー」
委員長に指摘された亜沙美を囲んでいた4人のクラスメイトの女子は、蜘蛛の子を散らすよう離れて行った
「竹取さん。あの子らも悪気があってした訳じゃないと思うのよ。許してあげてね…私、クラス委員長の立華梨香(タチハナリカ)よ。覚えてくれてる?」
「あっ、はい。覚えています…私が筆記用具を忘れた時に…ペンを貸してくれた人…ですよね?」
「あら!?そんな事、覚えてくれてたのね。一緒に弁当食べて良いですか?」
「は、はい。どうぞ…」
クラス委員長の立華梨香が、今にも学校から逃げ出しそうになっていた亜沙美を助けてくれた。先程まで亜沙美を囲んでいたクラスメイトとは違い、梨香は静かに柔らかい笑みを浮かべて寄り添うように一緒に昼ごはんを食べてくれた
続く
亜沙美の通う高校は20年以上前に建てられた学校で、当時は在籍生徒数が今よりも多かった為、今となっては使わない教室も多いので文化部に積極的に提供したり【相談室 兼 指導室】としての部屋も作られていた
その教室に担任の先生に連れてこられた亜沙美。担任はホームルームの短い時間で話し合いをする事にした
「時間があまりないから単刀直入に聞くが…竹取。お前イジメ等を受けて不登校になったのか?それとも別で悩みとかがあるのか?」
担任の男の体育教師は割と熱血漢なタイプの様で、亜沙美の不登校の理由がもしかしたら?と、心配してくれていたようだ
「い、いえ…そういう事は無かったです。個人的な理由で…長く休んで…すみませんでした…」
担任教師は決して怒鳴ったり高圧的な行動をしているつもりはないのだが、体育教師だけに声がおおきめでボソボソ喋る亜沙美にはプレッシャーになっていた
「別の理由……去年お父さんが亡くなった事なのか?」
「はい…それから母さんは父さんの仕事を継いだので…父さんの様に年中留守になったので…ひとりで暮らしているうちに…その…」
「そういう事だったか……分かった。けどな、今は多様化の時代になったとは言えだ。高校卒業した。という学歴が有るのと無いのじゃ、就職に大きな差があるのも事実だ。強要はしないが…なるだけ学校に来てくれ…話は以上だ。クラスに戻ってくれ…良いか、何か困ったら遠慮なく頼れよ。頼むな」
「は、はい。分かりました。有難うございます!…」
担任教師は途中から亜沙美が引き腰になっている事に気が付いたので、声のボリュームを下げ優しい口調で話すことを心掛けていた
【昼休み】
午前中の4教科が終わり昼休みになった。授業の合間の休み時間中は、数人のクラスメイトが珍しく居る亜沙美を囲って話し掛けていた
「亜沙美さん。一緒に弁当食べない?」
「1人食べても美味しくないよね~」
「い、良いです…よ…一緒します…」
相変わらず亜沙美は、家族と太一以外の人間とは普通に会話できないようだ。流されながら相槌を打っているだけだった
「ねぇ。何で休んでたの?」
「毎日、遊べて羨ま~」
「親に怒られへんの?」
「そんだけ休んでたら暇じゃね?」
「社会人の彼氏が出来たとか?」
長い時間の昼休みは、亜沙美も予想していたとはいえ質問攻めにあい続けていたので、早く放課後にならないかと思っていた
「ねー聞いてる?」
「無視しないでよ~」
「何とか言ってよ~」
「あ、うん。あの…そのね…」
亜沙美の緊張は極限状態にまで達していた。何か強いキッカケがあったら、クラスを飛び出して帰宅してもおかしくない所まできていた。そこへ…
「ちょっと貴女達!何をしてますの?」
「立華さん!?」
「委員長?」
「その、これは…」
針のむしろ状態だった亜沙美に、クラス委員長が話しに割り込んできた
「貴女達ね!久しぶりに登校した竹取さんを、囲んでそんなに質問攻めにしたら何も言えなくなってしまうでしょ!」
「そ、そうですね。すみません!」
「私たちは食べ終わったので…」
「失礼しましたー」
委員長に指摘された亜沙美を囲んでいた4人のクラスメイトの女子は、蜘蛛の子を散らすよう離れて行った
「竹取さん。あの子らも悪気があってした訳じゃないと思うのよ。許してあげてね…私、クラス委員長の立華梨香(タチハナリカ)よ。覚えてくれてる?」
「あっ、はい。覚えています…私が筆記用具を忘れた時に…ペンを貸してくれた人…ですよね?」
「あら!?そんな事、覚えてくれてたのね。一緒に弁当食べて良いですか?」
「は、はい。どうぞ…」
クラス委員長の立華梨香が、今にも学校から逃げ出しそうになっていた亜沙美を助けてくれた。先程まで亜沙美を囲んでいたクラスメイトとは違い、梨香は静かに柔らかい笑みを浮かべて寄り添うように一緒に昼ごはんを食べてくれた
続く
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる