引き籠もりVTuber

龍之介21時

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出会ってしまった

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【竹取家15:30】
「んにゅ~!!何も思い付かないぃ~!」

亜沙美は今夜の配信内容をどうするのか?その答えが一向(いっこう)に閃(ひらめ)かずに悩んでいた
亜沙美は日常的にPENを持つ癖がある。そして悩んでいる時は、そのPENの上の部分で自らのほっぺをムニムニして考える事が多い

「むぅ~答えが出ないよぉ。そうだ!答えが出ない時は~~~ヨネダに行こうっ!」



【ヨネダ珈琲】
亜沙美は私服に身を包み、全国チェーン店のヨネダ珈琲店にやって来た
平日で、まだ時刻は夕方前なのでカジュアルな私服で出歩くと補導されかねないのだが…

「逆に開き直って堂々としてたら、案外大丈夫なんだよねぇ♪」

何の根拠も無い考えで喫茶店に入った


「ご注文はお決まりですか?」

「ホットオーレミルクとジェノサイドバーガーでお願いします」
 
「繰り返します。ホットオーレミルクがひとつと、ジェノサイドバーガーがひとつ…以上の2点の注文で宜しいですか?……かしこまりました。少しの間お待ちください」

ちなみに【ジェノサイドバーガー】とはホットチリソースと香辛料が多めに使われている、かなり辛いハンバーガーだ…つまり亜沙美は辛党なのである

……………………………………………

「お待たせしました。ごゆっくりお楽しみくださいませ」

「ŧ‹"(๑´ㅂ`๑)ŧ‹"…カーッ!相変わらずカッら~い!…でも、この辛さがお腹の肉になりにくそうな感じがして良いのよね~!…それに何だか頭も回転しそうな気がするんだよぉ」

とは言え超辛党ではない亜沙美は【ジェノサイドバーガー】の強い辛さを紛らわせる為に、甘めの珈琲【ホットオーレミルク】を一緒に頼むのが彼女の定番である

「ん~、辛くて美味しいっ!…そうだ!料理をする!って言うのも良いんじゃないかなぁ…あ、でも料理配信するならカメラがもう1つ必要になっちゃうなぁ…そんな余裕は無いなぁ…」

とか考えながら1人食事している亜沙美に、静かに近付く者が居る

「おい亜沙美。こんな所で何してんだよ?」

「えっ?ハンバーガー食べてるんですけど!…って…太一じゃん!…や、やあ久しぶりだねぇ…」
 

亜沙美が声のした方を見ると、彼女と歳の近い男が立って亜沙美を見下ろしていた。【浅宮 太一】亜沙美と同じ高校1年生だ

「お前さー、高校になっても学校来て無いらしいじゃねーかよ…それで喫茶店とはいいご身分じゃねーか…」

「そ、そんなの…アタシの勝手じゃん!それに、太一には関係ないでしょ…太一だって入店してる訳だしぃ…」

「俺は店の前を歩いてたら…美味しそうにハンバーガーにかぶりつく、お前が見えたから入ったんだよ!」
 

母親と2人家族の亜沙美は、母親がほぼ年中出張しているので実質ひとり暮らしをしていると言える。なので基本、彼女は人から説教を言われたりするのに慣れてもいないし基本、人と話すのも苦手なのだ
オマケに学校が不登校気味なのだから、突然会った太一に不登校を指摘されて焦っていた

「関係なくはないって。同じ町内に住んでるし小学生からの付き合いだからって、お前のクラスの担任から様子を見に行ってくれ!…って言われたんだよ!」

「はぁ!?付き合いって…太一とはそういう仲じゃないでしょ?…そんな、恥ずかしいこと言わないでよね…」

「…………はいはい、そうですね。けどさ、マジで体調悪くしてんのか?って多少は心配してたんだぞ!」

「そうなの?それは迷惑を掛けちゃったね…でもさ、そういうのって普通は担任が足運ぶもんじゃないの?」

「何だよ?先生に家庭訪問して欲しいのかよ?だったら先生にそう言っておくけど?…担任の先生、熱血タイプだから簡単には済まないぞ?
亜沙美も16なんだからさ、義務教育くらいちゃんとヤレよな!」

太一は少し不満気だった。太一も亜沙美の事を少なからず心配していたからだ。それなのに亜沙美のこの態度に、少しイラっとした

「ちょっと!?先生に来られるのは嫌なんだけどぉ?それに、義務教育は中学までです!知らないの?」
 
「おっ前は~!!本当にあー言えば、こー言うの。昔っから全然変わらねーな!高校が嫌なら退学願いでも申請しろよ。人に迷惑かけずに済むだろうがっ!…じゃあな!」

もちろん太一は担任から頼まれた。という理由も有るには有るのだが…個人的に亜沙美と高校生活を過ごしたい気持ちもあるのだが…
そんな事を言えるハズもなく、そう言うと太一は店を出て行った

「怒らせちゃった…私を心配してくれたのに、あの言い方じゃそうだよねぇ…学校かぁ…どうしようかなぁ…」
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(自主退学か…ソレもありかな?中学は卒業したんだし、学校辞めてVTuberに専念するのも有り…かな?)

イマドキ生き方は多少の型破りは許されるモノ。しかし、それには一定以上の努力を別の場所で見出してからするモノだろう。亜沙美は今後の自分の進路に悩んでいた


続く
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