銀河(ユリース)最弱の賞金稼ぎと、朽ちゆく惑星(ほし)のハンドガン

ショー・ケン

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第一章

突入

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 宇宙空間から地表が徐々に近づいてくる、ゆっくりと大気圏に突入する。シールドが張られ、突入の熱と圧力を緩和する。いつも通りだ。だが、船内はゆれる。
《ガタガタ》
 徐々に船は不自然に横向きに回転しはじめた。計器類も異常な動作をみせて、コクピット中央モニターにオート操縦に異変があったと警告が表示される。そのうちに瞬間的に惑星をとおりすぎて、ロジラは、複数の映像をそのフライトレコーダに記録する。
人らしきものが住む集落、アンドロイドたちの人だかり、壊れた巨大人型兵器と、その前に佇む人影、上を見上げる海賊姿の男、木々の生い茂る場所と、砂漠地帯。惑星キャバルは実に小さな星で、そうして軌道を変えるうちに一周してしまった。

《ビビービビビー!!!》
 カルシュは警告音で目を覚ます。

 数分後。宇宙船はロギラは大気圏を突破した。飛行用の羽が広がる。
《惑星引力検知、計算予想のはずれたため、間もなく不時着予想》
「!!!!くそっ!!!あー!!!」
 カルシュはさけんだ。ひどい揺れ。急降下。
《ヒュー………》
 しばらく花火のような音をたて、それは隕石のように地表へむかい、落下用シールドを展開。
《シュウウ……》
 ひょいっと、一瞬持ち上がり、落下を和らげるための逆噴射が生じる。
《ズザー……》
 やがて船は地表へ到達、狙いははずれたが、その場所はオアシス、砂漠の中にぽつんとある湖と、木々の生えた領域だった。無様に不時着して煙を立てている。
「不時着、不時着!!破損率30パーセント!!30パーセント!!素早イ修理がヒツヨウです」
 モニターから高鳴る警告音と女性型の合成音声の声がする。
「ロジー、わかってる、わかってるよ……クソ、今日こそはスマートに依頼を達成しようと思ったのに……ロジー、30パーセントはいいほうじゃないか、大丈夫……何かあれば誰かを頼ろう、神父、もしくはミユナに……」
「ミユナを頼りスギルのはおすすめしまセン」
 ロジーというのはこの船に搭載された人工知能の名前である、女性型の性格をインストールしてありそれなりに賢い。彼女はカルシュへの愛着がつよい
「また嫉妬?」
「本気でス!!」
 そういった瞬間。船の外側中間部分にあるアームが首をもたげた。
「ま、まって、俺がわるかった、落下の衝撃であたまをうったみたい、だから……」
《ガンッ!!》
 カルシュはたった今、ロジーをからかった事を後悔した。……が、遅かった。ロジーはアームで、操縦席の窓をたたいたのだ。
「あ」
「アッ」
「何パー?」
「破損率……45%でス……」
 
 その遠くかなた。同じ星の洞窟で、小さなハンドガンが自動的にたちあがり、やがてくるくると回転しながら、斜めの方向をむき、どこかから声がした。
“見つけた”

 コクピットで操作し、ハッチをあける。地球によく似た澄んだ空気がはいってくる。
「スゥウ……しょっと」
 カルシュはすぐさま外へとびおりた。コクピットからベルトを取り出し腰につける。これは重力制御ベルトである、次に船体にてをのばし損傷の状況を確認する。
「まあ、これはひでーな」
 右目目の義眼を用いてデータを収集して、足りない資材や、修理方法などを義眼に内臓されたコンピュータでみる。矢印や記号、言語を表示する、ARモニターが彼の右目の前に広がる。やがて作業を終えると船の内部に戻り、中によびかける。
「ロジー、いくよ……」
「謝りたいのデス、申し訳ございまセン」
「いいって、俺だってロジーの“船内アバター”を美少女じゃなくて、こんなロボット口調の人工音声にしているしね」
 ロジーがやがて、船内アームをうごかしコックピットの座席と座席の間、コアコンソールから、自身の“分離した体”でもある携帯端末をとりだした。小さなタブレット型の形状のそれを人々はスマートガジェッドとよんだ。スマートガジェッドをみると、カルシュは、その“スマートガジェッド”に呼びかけた。
「ロジー、姿を現してみて」
 するとロジーは、スマートガジェッド上にホログラムとして現れた。そこには白いショートヘアーに、花を模したワンピースをきた人口音声もきれいな、申し訳そうな顔をする美少女の姿があった。

 カルシュが手を取り歩みだそうとすると思わずつんのめって、転んだ。宇宙船の位置が少しずれている気がしたのだ。
「野生動物でもいるのかな」
 そういって、彼がおきあがろうとすると、その彼の周囲に人型の影がぬっと、彼を囲うように現れた。
「魂アルモノ、よく来たナ」
 頭上から声がかかる。
「ゲ……」
 嫌な予感がした、人型で、球体と棒でできたような古いタイプのアンドロイドが脇に銃を抱えて彼を取り囲んでいた。そしていった。
「宇宙船の下ヲよく見ろ、我らの同胞が下敷きになってイル、早くどけろ」
 下にめをやると、確かに何かが下敷きになっているようだった。
「まってろ、今すぐに」
「オソイ」
《ガッ……》 
 後頭部に強い衝撃が走り、そこでカルシュは意識をうしなった。

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