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ディストピアとゾンビ
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あこがれている楽園があった。楽園といわれるものが目標とされるときは、きっと世界がそれとは程遠い形をしているときだろう。だから人々はあこがれていた。その、最後の楽園に。
ゾンビが蔓延る世界で、生き残ったのは人類の20%。そのほとんどを占めるのは世界の有力者、資本家。そうでなく、幸運に生き残った皆が彼らにあこがれを抱き、地球に残された資源と科学を使い生き残った。そしていずれ楽園といわれるものに入ることを夢見た。
“きっとそこに入れば、立派な、善い人間になれる”
“彼らは世界を救ってくれるはずだ”
だが、彼らは突然宣言した。全世界の生きているモニターをハイジャックしてこう宣言した。
「資本主義は終わった、そして世界は終わりを迎えた、私たちはゾンビの配下に下る」
生き残った人々はパニックになり、狂乱し、暴動さえ起った。それでもあらゆる枠組みを失った世界では、訴えを聞く政府さえなかった。
意欲ある者たちが彼らに訴えを伝えるべき彼らに直接交渉を行った。英雄と呼ばれた人々で、各地の指導者だった。だがその後、彼らもまたモニターに映っていた。ゾンビウイルスによる浸食が始まった顔で、英雄の一人は、ゾンビにまたがれながら宣言をする。
「僕らは洗脳されていた、ここはこんなにも楽しい楽園だった」
人々は、彼の変貌ぶりに絶望したが、それでも彼は“希望の言葉”をつづけた。
「あの大富豪ラディエスの最後の言葉を残そう“私は全ての人間を救おうとした、しかしそれは不可能だとわかった、我々人類には共通点などない、ゾンビが支配する前から、あらゆる価値観と生活は分断されていた、富めるものが貧しいものを拒むことこそが、問題だと思っていた、だが……だが違った”」
男は、体の震えを抑え、首を振った。
「“貧しいものも、自らのぞんで貧しい感覚に陥ることもある、そして我々は、この敵対こそを最大の娯楽にしている、我々は無意識にあらがえない、それに比べてゾンビは、決して共食いを起こさない、ある親子を捕らえて実験をしたことがあった、しかし彼らは餓死するまで、お互いの事を食べ物と認識しなかった、なんて健全な生活だろう、私はこうなれなかった……そこで提案だ、私たちの中でもし自分が生き延びても、決して他人を犠牲にしないものだけが、生き延びる権利があるとしたら、それでも君たちは人間でいることを選ぶか?”」
しばらくすると男は呻きながら丸くなった。
「うぐ、うぐ……」
体を縮めながら悲痛な声を上げる。それはまるで、死人が上げるようなこの世の終わりを感じさせるようなかすれた声だった。
「ぐああああ!!」
そして、モニターに向かってとびかかった。
映像が途切れたあと、まるで人々は集団ヒステリーの様にゾンビにとびかかり、自分からゾンビに腕や足をかませ、ウイルスを自分の中に取り込んだのだった。
ゾンビが蔓延る世界で、生き残ったのは人類の20%。そのほとんどを占めるのは世界の有力者、資本家。そうでなく、幸運に生き残った皆が彼らにあこがれを抱き、地球に残された資源と科学を使い生き残った。そしていずれ楽園といわれるものに入ることを夢見た。
“きっとそこに入れば、立派な、善い人間になれる”
“彼らは世界を救ってくれるはずだ”
だが、彼らは突然宣言した。全世界の生きているモニターをハイジャックしてこう宣言した。
「資本主義は終わった、そして世界は終わりを迎えた、私たちはゾンビの配下に下る」
生き残った人々はパニックになり、狂乱し、暴動さえ起った。それでもあらゆる枠組みを失った世界では、訴えを聞く政府さえなかった。
意欲ある者たちが彼らに訴えを伝えるべき彼らに直接交渉を行った。英雄と呼ばれた人々で、各地の指導者だった。だがその後、彼らもまたモニターに映っていた。ゾンビウイルスによる浸食が始まった顔で、英雄の一人は、ゾンビにまたがれながら宣言をする。
「僕らは洗脳されていた、ここはこんなにも楽しい楽園だった」
人々は、彼の変貌ぶりに絶望したが、それでも彼は“希望の言葉”をつづけた。
「あの大富豪ラディエスの最後の言葉を残そう“私は全ての人間を救おうとした、しかしそれは不可能だとわかった、我々人類には共通点などない、ゾンビが支配する前から、あらゆる価値観と生活は分断されていた、富めるものが貧しいものを拒むことこそが、問題だと思っていた、だが……だが違った”」
男は、体の震えを抑え、首を振った。
「“貧しいものも、自らのぞんで貧しい感覚に陥ることもある、そして我々は、この敵対こそを最大の娯楽にしている、我々は無意識にあらがえない、それに比べてゾンビは、決して共食いを起こさない、ある親子を捕らえて実験をしたことがあった、しかし彼らは餓死するまで、お互いの事を食べ物と認識しなかった、なんて健全な生活だろう、私はこうなれなかった……そこで提案だ、私たちの中でもし自分が生き延びても、決して他人を犠牲にしないものだけが、生き延びる権利があるとしたら、それでも君たちは人間でいることを選ぶか?”」
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「うぐ、うぐ……」
体を縮めながら悲痛な声を上げる。それはまるで、死人が上げるようなこの世の終わりを感じさせるようなかすれた声だった。
「ぐああああ!!」
そして、モニターに向かってとびかかった。
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