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遊園地の怪
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遊園地でジェットコースターの事故により30人が死亡。その中で生き残った人の話。
落ち込んでいる娘Bと、父Aさん。今日は奥さんの3回忌である。家族だけですませ、住職をまねき、線香をあげ、お祈りを捧げ、法要がおわると二人で質素な食事をする。そこでAさんは今まで話したがらなかった事を娘に話す。
娘はあの日以来、鬱のようになっている。心療内科に通っているが一向に変化の兆しはなかった。
「なあ、Bちゃん、Bちゃんあれからずっと気分が落ち込んでいるじゃないか……それで、よかったらもう一度あの遊園地に行こうかと思うんだ」
「え?」
それはAさんの新しく出来た飲み友達Cさんからの提案だった。娘さんが落ち込んでいるのなら、むしろ辛い思いでを上書きすればいいのじゃないか、あえて件の遊園地にいって、楽しんでこいと。もし問題があれば引き返せばいいし、ショック療法についての知識は自分が教えると。
娘は少しまよったが、ニコリとわらった。だが、見せたのは顔の反面だけだった。あの日以来、うつむいていることが多く、すりむいてしまった右顔の傷を隠すためか、髪で半分を隠し、いつも顔の左側しかみせてくれない。
二人は早速その週の土曜日に遊園地に出かけた。メリーゴーランド、観覧車、お化け屋敷、楽しむ娘、辛い事など忘れているようだ。Aさんもまた、彼女と一緒に比較的安全な乗り物にのってあそんだ。
車に乗り帰路につく、娘さんに話をする。
「なあ、Bちゃん、これでBちゃんもまた明るくもどるね」
「え?」
「え?って、母さんが落ち込んでから、ずっと悲しんでいたじゃないか」
「何いってるの?それはお父さんでしょ?病院に通っていたのもお父さん、私はずっと、笑っていたよ、早くこっちにこないかなって」
と、娘が助手席から両目をむける、その片方の顔はズタズタに引き裂かれ、眼球がなくなり、肉が飛び出ていた。
「ひ、ひぃいい!!!」
「お父さん、悲しまないで、一緒にいこうよ、私がまだ生きていると思い込むほど、辛いんでしょう!!!」
Aさんはハンドルを謝り、驚いてアクセルを踏んでしまい、車は電柱にぶつかる。即死だった。
その一報を聞いた彼の行きつけの居酒屋では皆が悲しんだ。そして珍しくその場に
居合わせなかったCの気持ちを案じた。
「あいつが、遊園地にいったら、って提案したんだよなあ」
あるバーにて、そのCさんはバーテンダー相手に話す。これは作り話だと前置きを置いたうえで。
「Aさん気付かなかったけど、俺は、彼の奥さん、彼女の同僚でね、実はBちゃんっていうのも、俺の子なんだ。最後まで気づいてなかったけど、つまり、不倫していた。だが悪い事とは思わないねえ、Aが初めに不倫をしていたし、娘の面倒だってほとんど見なかった、初めていった遊園地であんなことになって、かわいそうだと思ったさ、あの事故で娘と奥さんをなくしてね……だが、あの噂を耳にするまでだった」
「噂?」
バーテンダーが尋ねる。
「Aのやつ、最初から気づいてやがったんだ、コースターが変だって……彼だけが搭乗を待つ説に並びながら、乗る事を拒んだ、そして、彼女らは事故にあった」
「それで、あなたはその幽霊になった少女に彼を“あの世”へつれていかせたと?」
「そうさ、だって彼女が望んだんだ、私の魂はあそこで眠っているって、お父さんだけがこないって、俺は昔から霊感があって、こんな仕事をしているから、役に立つ時がくるとおもったが、まさかこんなみみっちい復讐のために使うとはね」
バーテンダーは、グラスをふきながら返した。
「まあ、いいじゃないか、刑罰に問えない罰もあるのじゃないか」
「そうだな」
Cは警察手帳を眺めながら涙を流した。
落ち込んでいる娘Bと、父Aさん。今日は奥さんの3回忌である。家族だけですませ、住職をまねき、線香をあげ、お祈りを捧げ、法要がおわると二人で質素な食事をする。そこでAさんは今まで話したがらなかった事を娘に話す。
娘はあの日以来、鬱のようになっている。心療内科に通っているが一向に変化の兆しはなかった。
「なあ、Bちゃん、Bちゃんあれからずっと気分が落ち込んでいるじゃないか……それで、よかったらもう一度あの遊園地に行こうかと思うんだ」
「え?」
それはAさんの新しく出来た飲み友達Cさんからの提案だった。娘さんが落ち込んでいるのなら、むしろ辛い思いでを上書きすればいいのじゃないか、あえて件の遊園地にいって、楽しんでこいと。もし問題があれば引き返せばいいし、ショック療法についての知識は自分が教えると。
娘は少しまよったが、ニコリとわらった。だが、見せたのは顔の反面だけだった。あの日以来、うつむいていることが多く、すりむいてしまった右顔の傷を隠すためか、髪で半分を隠し、いつも顔の左側しかみせてくれない。
二人は早速その週の土曜日に遊園地に出かけた。メリーゴーランド、観覧車、お化け屋敷、楽しむ娘、辛い事など忘れているようだ。Aさんもまた、彼女と一緒に比較的安全な乗り物にのってあそんだ。
車に乗り帰路につく、娘さんに話をする。
「なあ、Bちゃん、これでBちゃんもまた明るくもどるね」
「え?」
「え?って、母さんが落ち込んでから、ずっと悲しんでいたじゃないか」
「何いってるの?それはお父さんでしょ?病院に通っていたのもお父さん、私はずっと、笑っていたよ、早くこっちにこないかなって」
と、娘が助手席から両目をむける、その片方の顔はズタズタに引き裂かれ、眼球がなくなり、肉が飛び出ていた。
「ひ、ひぃいい!!!」
「お父さん、悲しまないで、一緒にいこうよ、私がまだ生きていると思い込むほど、辛いんでしょう!!!」
Aさんはハンドルを謝り、驚いてアクセルを踏んでしまい、車は電柱にぶつかる。即死だった。
その一報を聞いた彼の行きつけの居酒屋では皆が悲しんだ。そして珍しくその場に
居合わせなかったCの気持ちを案じた。
「あいつが、遊園地にいったら、って提案したんだよなあ」
あるバーにて、そのCさんはバーテンダー相手に話す。これは作り話だと前置きを置いたうえで。
「Aさん気付かなかったけど、俺は、彼の奥さん、彼女の同僚でね、実はBちゃんっていうのも、俺の子なんだ。最後まで気づいてなかったけど、つまり、不倫していた。だが悪い事とは思わないねえ、Aが初めに不倫をしていたし、娘の面倒だってほとんど見なかった、初めていった遊園地であんなことになって、かわいそうだと思ったさ、あの事故で娘と奥さんをなくしてね……だが、あの噂を耳にするまでだった」
「噂?」
バーテンダーが尋ねる。
「Aのやつ、最初から気づいてやがったんだ、コースターが変だって……彼だけが搭乗を待つ説に並びながら、乗る事を拒んだ、そして、彼女らは事故にあった」
「それで、あなたはその幽霊になった少女に彼を“あの世”へつれていかせたと?」
「そうさ、だって彼女が望んだんだ、私の魂はあそこで眠っているって、お父さんだけがこないって、俺は昔から霊感があって、こんな仕事をしているから、役に立つ時がくるとおもったが、まさかこんなみみっちい復讐のために使うとはね」
バーテンダーは、グラスをふきながら返した。
「まあ、いいじゃないか、刑罰に問えない罰もあるのじゃないか」
「そうだな」
Cは警察手帳を眺めながら涙を流した。
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