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第一章 スキル授与
淀み
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ケローネは、”守護使者”と戦いながら、ヘリオの事を考えていた。自分が大事に育ててきた少女だ。その笑顔と、純粋さにどれほど癒されてきただろう。トラウマのために諦めた”家庭を持つ”という事も彼女のおかげで達成できた。
「ここで死なれたら困るだろう!!」
そう知らずに叫んでいると、巨大な”守護使者”はひるんだ。
(こいつ……そうか、知能があるから、ひるむ事もあるのか……)
そして、ヘリオが少しでも早く遠く逃げることをいのった。だが、その時。
「こっちよ!!」
(!?)
「こっちよ!!怪物!!」
怪物の後ろで、ヘリオが立ち上がり、剣を構えていた。もっとも恐れていたシチュエーションだ。自分の事はどうでもいい。ただ。あんな小さな少女が、この先、楽しい事もうれしいことも経験できずに、家族のぬくもりを十分に得ることもできず、人生を終える事を考えると、哀れで、胸が張り裂けそうな感情におそわれた。そしてヘリオはがむしゃらに魔力をこめ、隙のできた怪物に剣をつきさした。
《グシャッ》
たしかにそれは、大きな一歩のようにおもえた。あきらかに”感触”があったのだ。今までの攻撃は厚い粘膜にカバーされていて、まったく届かなかった。
(通った!!)
そう喜んだのもつかの間だった。剣ををぬきさし、きがついた。そこは、間接部分、肩と腰に鎧のような衣服を着ていたため気づかなかったが、そこは固いうろこでおおわれていて、たまたまうろこの間に剣がはいっただけ。皮膚にも傷はついていなかった。
《ギロリ!!》
と睨め付けられ、腰が震える。
「待っていろ……」
そう言い残し、"守護使者"は背中をむけ振り返る。
「この娘……"妖精"が手助けをしたにもかかわらず、自分の器量をわきまえず……我はそうした"小物"が一番嫌いなのだ!!!!」
木々をゆらすような圧のある雄たけびをしたあと、"守護使者"はまるでそれ自体が巨大な大砲の玉のような"粘液"を吐き出した。それは、ヘリオをおおった。
すかさず、ヘリオのめがけてしっぽをぶん回した。
『一度だけよ!!』
ヘリオの耳に声が響いた。ヘリオは、身構えた。
《ズドォオオオオン》
水しぶきとともに砂埃が舞う。
「ヘリオ!!!」
徐々に姿を現したヘリオ。ヘリオは、しゃがみこんだまま、なんとか姿勢をたもっていたが、息も絶え絶えの様子だった。
「ほう……あの攻撃を受けて耐えたか、まあ、莫大な魔力をつかったはずだ、我の攻撃をうけられるのも"一度"くらいだろう」
ヘリオは息も絶え絶えにつぶやいた。
「皆は、バカにするけれど、私は“水”の魔法を信じているから」
その目はすごみがあり、ケローネはゾクリと、背中に寒気を感じた。しかしそんな場合ではなかった。
「お前は、みていろ、お前の父親……この男が、死んでいく様をみて、それからお前を倒すとしよう」
「ここで死なれたら困るだろう!!」
そう知らずに叫んでいると、巨大な”守護使者”はひるんだ。
(こいつ……そうか、知能があるから、ひるむ事もあるのか……)
そして、ヘリオが少しでも早く遠く逃げることをいのった。だが、その時。
「こっちよ!!」
(!?)
「こっちよ!!怪物!!」
怪物の後ろで、ヘリオが立ち上がり、剣を構えていた。もっとも恐れていたシチュエーションだ。自分の事はどうでもいい。ただ。あんな小さな少女が、この先、楽しい事もうれしいことも経験できずに、家族のぬくもりを十分に得ることもできず、人生を終える事を考えると、哀れで、胸が張り裂けそうな感情におそわれた。そしてヘリオはがむしゃらに魔力をこめ、隙のできた怪物に剣をつきさした。
《グシャッ》
たしかにそれは、大きな一歩のようにおもえた。あきらかに”感触”があったのだ。今までの攻撃は厚い粘膜にカバーされていて、まったく届かなかった。
(通った!!)
そう喜んだのもつかの間だった。剣ををぬきさし、きがついた。そこは、間接部分、肩と腰に鎧のような衣服を着ていたため気づかなかったが、そこは固いうろこでおおわれていて、たまたまうろこの間に剣がはいっただけ。皮膚にも傷はついていなかった。
《ギロリ!!》
と睨め付けられ、腰が震える。
「待っていろ……」
そう言い残し、"守護使者"は背中をむけ振り返る。
「この娘……"妖精"が手助けをしたにもかかわらず、自分の器量をわきまえず……我はそうした"小物"が一番嫌いなのだ!!!!」
木々をゆらすような圧のある雄たけびをしたあと、"守護使者"はまるでそれ自体が巨大な大砲の玉のような"粘液"を吐き出した。それは、ヘリオをおおった。
すかさず、ヘリオのめがけてしっぽをぶん回した。
『一度だけよ!!』
ヘリオの耳に声が響いた。ヘリオは、身構えた。
《ズドォオオオオン》
水しぶきとともに砂埃が舞う。
「ヘリオ!!!」
徐々に姿を現したヘリオ。ヘリオは、しゃがみこんだまま、なんとか姿勢をたもっていたが、息も絶え絶えの様子だった。
「ほう……あの攻撃を受けて耐えたか、まあ、莫大な魔力をつかったはずだ、我の攻撃をうけられるのも"一度"くらいだろう」
ヘリオは息も絶え絶えにつぶやいた。
「皆は、バカにするけれど、私は“水”の魔法を信じているから」
その目はすごみがあり、ケローネはゾクリと、背中に寒気を感じた。しかしそんな場合ではなかった。
「お前は、みていろ、お前の父親……この男が、死んでいく様をみて、それからお前を倒すとしよう」
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