テレビ世代

ショー・ケン

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テレビ世代

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「すごい、おばあちゃん」
「おてのものだねえ」
 ある家庭、老人と孫、老人がパソコンを手も使わず操作し、子供の欲する情報を引き出した。

 技術的特異点により休息に科学が発展した近未来。人間が脳を機械化し人口知能を脳の一部を移植する事が一般的になった時代。テレビが主流だった古い世代も、パーソナルコンピューターに熱中し、その文化に熱中した。初めはよかったのだ。こんな反応があった。
「テレビや大手の雑誌などでは注目されない音楽や、小説、規模の小さな流行やスポーツなどの情報も自分から調べさえすれば触れることができる、インターネット文化はなんてすばらしいんだろう」
 インターネットに慣れ親しんでいない世代が、ようやく新世代と分かり合うことのできる時代が来たのだ。

 だがその時代はすぐに終わった。今度は、インターネット世代が大人になり、テレビや、古い雑誌などに興味を持ち始める。"昔を懐かしむ”の感性を手に入れたのだ。その中でより濃い一部の人間は、次々と不必要な情報を自分から遮断し始めた。

 彼らのほうが上の世代よりむしろ、無駄なインターネット情報を遮断し、すぐれた音楽、優れた本、大手広告代理店などが一方的に流す情報などに情報を制約する―件の移植された脳の一部を利用してだ。その方法とは"メタバース空間で過去の流行を再現する、極力現代の流行にふれない"
ことである。

"なぜあえて優れた人工知能を使い情報をシャットアウトするのか"
 彼らはなるべく現代の流行に使っている人とかかわりたがらなかったし、彼ら自身も初めは理由がわからなかったようだが、徐々に形や言葉にする機会ができた、いわくこういうことだ。
「僕らは、子供の初めごろから情報の海に溺れ、大量の情報に目を通さなければいけなかった、本当の自由はひろすぎて、"誰かと同じ"とか"平均さ"を求める僕らには、インターネットの自由の広さは性にあわない、僕らはむしろ、隔離されたの中の自由を求めている、選択することにたえられない僕らは、過去の時代の流行を仲間内で再現し、同じ音楽、同じ小説、映画を見て、世界を共有することを喜びとしているんだ、その点テレビがほとんどの情報を司っていた時代はとてもいい、誰もが同じ幻想を見ていたのだ、それがいい者だろうが悪いものだろうが、同じ価値観を共有できた」
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