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キャスル侯爵領

嘆きの塔1

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 キャッスル侯爵家の領地の城には、古びた塔が在りました。

関係者以外、立ち入り禁止の場所。

その塔は通称、嘆きの塔と呼ばれていたのです。




 「リリィ・・・・リリィ」

「はっ、はい、」
いけない、つい、うとうとしてしまった。

「リリィ、授業は終わって無いよ」
魔術師のマーロンは少女に声を掛ける。


「うっ、ごめんなさい」

「はっはは、仕方ないよ。お昼寝日和だもん」
ルーチェは、朗らかにマーロンに訴える。

「はいはい、解ったよ。今日の授業は終わりだ」
教師役のマーロンからの言葉に2人は、喜びを顕にするのだ。

「リリィ、この後は昼食でしょ。食べたら遊ぼう」

「うん、遊ぶ」


 新年の祝賀会の後、数日後にはクリフフォードとサイラスは王都に帰りアルも、冬季休暇が終わると学園に戻ってしまった。

フリーゲルは、執務が忙しいのか日中は別行動となる日々を過ごしている。

私は、午前中などはルーチェと2人でマーロンの授業を受け午後はルーチェと遊んだりしているよ。

勿論、お母様からマナーレッスンを受ける日もある。

王都の邸より、伸びやかに過ごしています。

「リリィ、今日の昼食は何かな?」

「オムライス希望!」

「リリィは、オムライス好きだね。食堂まで競争だよ」

こんな、平和な日常を過ごしていました。





カサカサ、カサカサ、ガサガサ。

「ルーチェ、大丈夫かな?」

「・・・・」

「ク~クック」
魔梟のウリエルが一番、心配そうだ。

「多分、ばれたら怒られるわね」
ルーチェがリリィに答える。


昼食を食べた私達は、とある場所に向かっている。

通称嘆きの塔。

関係者以外は立ち入り禁止の場所。

「後少しよ!」

「うん、頑張る」

「クッ~クッ~」

私達、2人と一匹で嘆きの塔まで後少しの所迄来たとき。


「キャーアー!!」「嫌ー!帰して!」

女性の絶叫が聞こえてきたのです。

「リリィ、逃げましょう!」
ルーチェはリリィ手を引く。

私達は、一目散に逃げた。
なっなっ何なんだろう。
でも、私達は脱兎の如く走った。

「はっははっは、ルーチェ、悲鳴が聞こえた」

私達は、いつも遊んでいる場所に着くと息を切らせながらも話し会った。

「大人の人に知らせた方が良いかな」
「駄目よ、塔に向かった事がバレちゃうよ。リリィ、私、少し調べてみる。うちに、お喋りなメイドがいるから」

「うん、解ったら教えてね」
「解ったよ。ちゃんと教えるね」


「こら、2人共どこに行っていたんだ。探したぞ」
声を掛けて来たのは、マーロンでした。

もう夕方になっていたんだね。

ルーチェはそのまま、マーロンに抱かれ帰っていきました。

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