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異世界での一歩

花嫁の蓐 お子様は眠る時間3

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 「兄さん、もしかして、そのまま寝るつもりですか?」

クリフォードは従兄弟の声に、我れに返る。

「何で、居るんだ?」

「心配だからですよ」

「……………」

「湯を、用意してありますから、リリィーを洗って来て下さい」
クリフォードは、現状を見詰める。

リリィーは、自分の白濁が付いたまま。
シーツはベタベタのドロドロだ。

「ほら、早く行って下さい」
フリーゲルの予感は、当たったのだ。
フリーゲルは、従者達を呼びベッドメイクを命じる。

フリーゲルの顔に、笑みが浮かぶ。

未来の宰相と言われている、年上の従兄弟が、頬を染めながら、全裸で幼女を抱き浴室に向かう、後ろ姿を思い出したのだ。

それにしても、ベッドの状態は想像を、遥かに越えていた。

「ピッピッ!ピッピッ!ピッピッ!」
「少し、待っていなさい」
フリーゲルは、毛玉を撫でる。

情事の残り香と、リリィーの残香が混じり、独特の匂いが場を支配する。

窓を開けると、涼しい風が場を清めるように、入って来る。

毛玉を撫でながら、小さな森を眺める。







「貴方は、バカなんですか?」

「…………… 」

湯上がりのクリフォード相手にフリーゲルの、罵声がとぶ。
フリーゲルは、湯上がりのリリィーの身体に、軟膏を、塗り込んでいるのだ。

フリーゲルは、油断していたのだ。

警戒していたのは、サイラスとアルフレッドだ。
クリフォードが、肌に噛み跡を残すとは、思わなかったのだ。


「溜まってたんですか?」
クリフォードは、頬を染めて、うつ向くだけだ。
「残香に、やられましたね」
「……………」
「貴方の事だから、自分は保護者的な立場だと、油断していたのでしょう」
「……………」
どうして頬を、染めるんだ?
この人、こんなにポンコツだったのか?

フリーゲルは、手早く軟膏を塗り終えると、リリィーにパンツを履かせている。

クリフォードは、不思議に思う。
この従兄弟は、幼女にパンツを履かせる性格では、無かった筈だ。


 兄さん、少し飲みませんか?
フリーゲルは、酒のセットを子供の部屋の、可愛らしいテーブルの上に並べる。

「この部屋の趣味は、どうにかできないか?」
クリフォードは、フリーゲルに問う
「無理です。叔母上の肝煎りですよ」

「この部屋の家具に、見覚えが有るのは、気のせいか」
「気のせいでは有りません。リオンに、使わさせていた家具です」

 リオン・フォン・キャスル。キャスル侯爵家の3男。
父親は、キャスル侯爵の弟。

「叔母上は、リオンが産まれるまで、女の子だと思って、この家具を揃えたみたいです」
実際に、産まれたリオンは男だったが、叔母上は、この家具を、リオンの子供部屋に使った。

「初めて、リオンの部屋を見た時は、自分がリオンの立場でない事に感謝しました」

「12歳迄だったな」
クリフォードも、幼い頃、リオンが本当に嫌がっていたのを思い出す。

「可哀想でしたね」
叔母上に、背く事ができる大人が、いなかった。

「リオンと、婚約者が近い内に来るそうです」

「例の娘か」

「はい」

「叔父上達、叔母上も認めた様です」

「リオンの選んだ娘だ」

「ピッピッ!ピッピッ!ピッピッ」

「兄さん、毛玉の餌やり、お願いしますね」

「……………」

「明日は神殿に、リリィーの魔力測定に生きますから、早く寝ましょう」
 
その後、クリフォードは、毛玉の餌やりを手早く済ませ、リリィーを抱き締め眠りに就いた。



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