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異世界での一歩

鳥籠と姫君

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 お友達、親しい方への挨拶。ドレスを、軽く摘まみ、少し腰を下げるの。

目上の方への御挨拶。腰は、ストンと落とし、片足を後方に伸ばし、もう片方の足の膝は、折る。
ドレスは、持ち上げるようにして、優雅に御辞儀ね。通常、使われるカーテシー。

正式な、謁見、公事などは、片膝を立て、腰は完全に落とす。もう片方の足は後ろに、伸ばす。
ドレスは、腰の高さで、肩幅プラス15センチ位、開く。正式なカーテシー。


 これは、肉体労働だね。

ちなみに、謁見等で、正式なカーテシーをしたら、許可がでるまで、姿勢を崩しては、いけないのがルールです。

 マナーレッスンは、午前中に1時間、夜に1時間、受けています。

目標は、1ヶ月後、国王陛下への謁見を乗り越える事です。

元々の伝統で、5歳を越えた貴族の子供達が、秋の謁見の儀で国王陛下に初の拝謁を、する習わしです。

この国では、5歳迄育って初めて現し世うつしよに、存在を認められ、それを祝うのです。

乳児生存率の、問題何でしょうね。

今回は、召喚した乙女達も、陛下に謁見に望みます。




 お母様の扇が顎に掛けられます。顔の角度の問題ですね。

午前中のレッスンは、基本、お母様が先生です。
「笑顔は、微笑むように」
手先にも、扇が掛けられます。
「爪先まで神経を張り、優雅に」

お母様に、笑い掛けます。
お母様頬笑み返してくれます。

唇を微かに上げ、微笑んでみます。
頭を撫でてくれました。合格ですか?



「イメージが大切よ。こうで有りたい、そう想いながら一連の動作をしてごらんなさい」
イメージですか?

「イメージを膨らませるには、普段から美しいと思う物に触れるの」
美しい物?

「お母様、美しいと思う物は、高価な物でなくても構わないのですか?」

「勿論、でも、それは自分で探すの」
難しいですね?



私は、間違っていたのかもしれません。

通常のカテーシーの、腰の角度は、桑で畑を耕す時の角度。

正式なカーテシーのイメージは、田んぼに、苗を植えるイメージでした。

農作業を、否定するつもりは有りませんが、視野を広げたほうが良いかも知れません。


「さて、レッスンは終わりにしましょう」
お母様は、長時間のレッスンを嫌います。
そして、私1人で練習する事も禁止されてます。

必要以上に練習しても、効果は薄く、決めた時間でどれだけ集中するのが大切と諭されてしまいました。

「さあ、お茶にしましょう。アルフレッドも、そろそろ正気に戻って貰わないと」

フリーゲルとアルフレッドは、昨日の夕方出掛けて、2人で朝帰りをしたみたいです。
朝食の席には、着いていたんですが、アルフレッドの様子は確かに可笑しかったんです。

「お母様、アルは悩み事でもあるんでしょうか?」

「ふふっ……そうね… どうなのかしら」

笑っています。心配しなくても、大丈夫ですね。


私達は、小さな森のへの入り口になる、サロンに向かいます。



 私も、侯爵家に来て、一週間以上経ちました。侯爵家の立地も少し、覚えましたよ。

侯爵家の屋敷はUの形の4階建てになっています。

Uの内側が小さな森ですね。

玄関ホールは、3階までの吹き抜けです。
玄関ホールから伸びる長い階段を上がると、豪華な扉が有ります。

この扉から先は、侯爵家の家族、決まった使用人のみが使用出来るようになっています。

扉から先、3階、4階が侯爵家のプライベートスペースになります。


3階からは、玄関ホールに有る階段とは、別の階段が有り、その先は小さな森の玄関代わりのサロンに繋がっています。

詰まり、玄関ホールの先ある、階段の先の扉を通らないと、森に繋がるサロンには、入れない仕組みです。



1階、2階の吹き抜けの左半分を占める、大広間は、夜会等も開くそうです。

右半分は、晩餐会等が開ける大食堂。
大小のホール。
謁見の間、先日、商人さん達に来て頂いた部屋ですね。
宿泊者の施設などが主になります。


使用人さん達は、様々ですね。3階の扉を抜ける事が出来る人は3階の左右、男女別れて端の部分にお部屋が有るそうです。
3階部分は、プライベートスペースと言っても、家族用の食堂、図書室、等があり、本当のプライベートスペースは、4階になるのでしょう。各自の部屋がありますから。

様々な人の出入りが、考えられる侯爵家ですが、建て物の中からも小さな森を見ることは、出来ません。

何故なら、屋敷の内側を見る事が出来る窓は、4階の限られた部屋にしかないのですから。

外側から、入れる?いえ、無理でしょう。

Uの内側に有る森の端には、Uに蓋をするように、洗練された柵が、檻の様にそびえ、結界も張られています。柵の外には、家族がいる使用人の建物が、目隠しの様に建てられて要るんですから。

念が入った事に、玄関ホールから、外に出る扉を私は1人で開ける事は出来ません。
吹き抜けの階段を登った先に有る扉も出る事は出来ないのです。

『2つの扉を、勝手に出る事を禁じる』
お父様から言い付けられたから。
私と、侯爵家当主の間には、隷属の契約が有りますからね。

6歳児は、難しい事を気にしては、いけませんね。

豪華な鳥籠と人は思うかもしれません。

でもね、私と彼等の関係は始まったばかりなんです。

未来は、変わるかもしれません。

さあ、サロンに行きましょう。アルは、正気?に戻ったか気になります。











                       





                                 
                   
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