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poison

18閑話 ミステリーツアー

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 「お兄様、なんだかワクワクしますわ」アルバニアは、キラキラした目でヴァジールを見つめる。

「結構、人気みたいだね」ヴァジールは、辺りを見回す。
「アルバニア、もう少し深くフードを被って」
彼は、当たり前のようにアルバニアが着ているローブのフードをなおすと布越しにキスをする。



 そう、これは隠し通路をミステリーツアーとして売り出していた頃の話し。

「はーい!皆さん今日は。看守のAでーす」

看守の制服を着た、キースの手下が10人ぐらいのグループに挨拶する。

「皆さん。今日はミステリーツアーに御参加、ありがとうございます!!今から隠し通路の探索に向かいます」

キースの手下は、お客様に幾つかの注意事項を伝える。

例えば。

「囚人の檻の中には、手を入れないで下さい。噛まれる恐れが有ります」

「囚人に勝手に餌を与えないで下さい」
キースの手下は、小袋を見せる。

「別途料金で餌を販売しています」

「隠し通路には、他のグループのお客様もいます。迷惑行為は控えて下さい」

そう、こんな感じだ。

「では皆さん、出発だー!」
キースの手下は、元気な声で出発の合図をする。

薄暗い通路には所々に、松明がたかれてている。

「みなさーん!ここからは静かにお願いいたします。城の敷地に入りまーす」


「はーい!」
客達は静かに答える。

薄暗い通路には、所々に松明と蝋人形が置かれている。

蝋人形は、何故か酒瓶を持っていたり斧を持っていたりする。

何気に雰囲気には会っているのだ。


《シュワッ!!》蒸気が上がり、風が舞う。

「ひぇーっ!!」ツアー客達が悲鳴を上げる。

なかなか凝った演出なのだ。


「みなさーん!本日の目玉。地下に在る囚人エリアに入ります!」

《がつーん!!》囚人が檻に、体当たりする。
結構な迫力なのだ。

「みなさーん!囚人は空腹らしいです!餌を与えて静かにさせましょう!」
キースの手下が、餌やりの合図をする。

皆で、餌を檻の中に投げ入れる。

囚人は、ゴリラのように胸を叩きアピールする。

「お兄様、面白いわ」アルバニアは、ご満悦だ!


ツアーは、決められた場所を移動し、約30分位で終わる。

「マリアとキャサリンにお土産を買わないとね」

お土産コーナーの設置は、アルバニアのアイデアだ。

売れ筋No.1 囚人クッキー、No.2 スライムゼリー、No.3 幽霊の涙(酒)

アルバニアは、囚人クッキーをお土産に帰宅したのだ。


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