侯爵家の当主になります~王族に仕返しするよ~

Mona

文字の大きさ
上 下
76 / 85
poison

17

しおりを挟む
 「アルバニア、起きて大丈夫なのか?」

「大丈夫です」
アルバニアは、長椅子に怠惰に寛ぐ。

大丈夫。えぇ、大丈夫なんだけど味覚がもどらないのよ。

私が飲んだ液体は、お仕置きに使われる苦薬の原液だったの。

まさか、バレているなんて思わなかったわ。



カラン~、コロ~ン♪


王都に、処刑の音が鳴り響くのよ。

元、女官長は処刑台の露に消えたわ。

彼女の存在を、第一側妃様は疎ましく思ってしまったのかもしれない。

女官長の地位に在る者は、表に出ない後宮の秘密を知る。

彼女は、危険分子に見なされたのよ。もし、私が側妃様の立場なら・・・・。

考えても仕方ない事ね。

そして王妃の処分は、幽閉となったわ。

表向きの発表は病気の為、離宮での療養。

彼女は、禁じられた薬剤の調合を止めなかった危険人物と見なされた。

只、王太子の立場の安定の為に直接的な処分をしなかったのね。



 王妃が幽閉された離宮。それは、蔦が絡まる寂れ
た塔。


悪い魔女は塔に閉じ込められた。

まるで、物語のラストのような終わり方になったわ。


 薬は、調合しだいで妙薬にも毒にも代わる。

だからこそ、薬を提供するがわは私利私欲をそこにはさんではいけない。

薬を望む者は、只、信じる事しかできないのだから。


 王妃の生国では、薬学に秀でた者に畏怖と敬意を込め、魔女と呼ぶらしい。


それならば、彼女は堕ちた魔女なのだ。


残りの生涯を、朽ちた塔で過ごすがいい。








 味覚が戻った頃に、私宛てに手紙が届いたのよ。





 🐾当主様へ

 当主様、今回は私の失敗で迷惑を掛けたニャン。

まさか、気付かれているなんて思わなかったニャンヨ。

今は、テアルスティア家の領地で反省の日々ニャン。

皆、当主様が帰って来るのを楽しみにしてるニャン。

本当にごめんなさいニャンヨ。

         キースの手下のニャン子🐾





 「アルバニア様、又、その手紙を読んでいるのですか」
マリアは、にやけた顔のアルバニアに尋ねる。

「クスクス・・・・可愛らしい手紙何ですもの」



 ニャン子には、メイドとして後宮に潜入してもらっていたのよ。



そう、ハーブティーの道具をオーロラの部屋迄運んだ、ちょっぴり軽い感じのメイドの正体はニャン子だったのだ。



彼女は獣人の末裔、耳もシッポも退化して見た目は私達と変わらない。

彼女達の特徴は、祈りの力が無い代わりに優れた身体能力。

彼女のニャンニャン語は、受け狙いかしら?

この世界は『ファンタジー世界の出涸らし』なのだから、有りなのかしら。


それとも・・・・キースの趣味?



しおりを挟む
「令嬢の願い」新連載を初めました。
感想 87

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

さようなら、お別れしましょう

椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。  妻に新しいも古いもありますか?  愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?  私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。  ――つまり、別居。 夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。  ――あなたにお礼を言いますわ。 【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる! ※他サイトにも掲載しております。 ※表紙はお借りしたものです。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

処理中です...