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poison

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 「クックッ・・・・フフッ・・・・」

「それで・・・・」

 後宮の豪華な一室で・・・・の報告を笑いながら受けているのは、第一側妃。

最近、気が滅入る事が多かった彼女だが、その様な様子のアルバニアを想像すると思わず笑みがこぼれてしまうのだ。



「アルバニアは、あの様な物を全部飲んだのか」

「クスクス・・・・」





再び、時間を遡る。





 アルバニアの前には、怪しげな液体が差し出された。

「これは・・・・?」

アルバニアは、第一側妃の使者に尋ねる。

「クスクス・・・・第一側妃様からです。テアルスティア侯爵がオーロラ様に差し上げた物と同じですよ」

「私が差し上げた物と同じなの?」

「はい」
側妃付きの女官は、笑顔で答える。

「私、最近見かけ無い子猫を見ましたの。侯爵家の首輪が付いていましたわ」

女官は、アルバニアを見据える。


「ペットの粗相は、飼い主の責任ですわよ」

「我が家の子猫が、ご迷惑を掛けたようですわね」
アルバニアは、ティーカップに手を掛ける。

「アルバニア!!」
ヴァジールが止める。

側妃付きの女官は、事態を静観する。

「大丈夫です。それに、私は侯爵なんですから」

部屋の隅に控えて居るキースは、顔を片手で押さえる。

メイドのマリアは、エプロンで顔を隠す。

秘書のキャサリンは、カーテンに身を任せる。

ヴァジールは、女官を睨み付ける。

アルバニアが、カップに口を付ける。

側妃付きの女官は、アルバニアを見据える。

《こくり、ゴクン、ゴクン!》

アルバニアは、青ざめながらもカップの中の液体を、飲み干す。

「只の、ハーブティーですわ」
アルバニアは、カタカタ震えながらも優雅に告げる。

実に、挙動不審だ。

「クスクス・・・・えぇ、そうですわね」

女官は、満足気に答える。

「この茶器のセットは、オーロラ様が頂いたハーブティーへの、側妃様から侯爵様へのお礼の品でございます。」

女官は、自らテーブルに並べた茶器のセットに手を翳す。

アルバニアが使ったティーカップも、その一部だ。

「そっ・・・・側妃様にお礼を伝えて下さい」

女官は、優雅に椅子から立ち上がる。

「とても楽しい時間でしたわ。私は、此にて御暇いたします。クスクス・・・・。皆様、見送りは結構ですわ」

アルバニアは、青ざめながらも美しい笑みで見送る。

さすが4回目の人生!!

女官が去った室内の様子は、読者の想像におまかせだ。

恐らく、想像通りだから(笑)




「クスクス・・・・」女官は、笑いをこらえる事ができない。

そう、ここは後宮にある側妃の部屋。

「そなた、笑い過ぎではないか。クックッ」

側妃の部屋は、再び笑いで満ちている。

「それに、元、女官長の件も。上手くいきましたわ。子猫を泳がせておいて正解でした。私は・・・・」

そう、側妃付きの女官は子猫の様子を監視させながら、元、女官長の部屋の机に毒薬を入れただけ。

オーロラが飲んだハーブティーに、毒は入っていなかったのだ。

「アルバニアは、妾の送り物を気に入ってくれたか」

側妃は、女官に尋ねる。

「お気に召されたと思います。あの品は、アルバニア様のお気に入りでしたから」




 カラン~コロン~♪王都に処刑の鐘の音が響く。

その様な日でも、この、後宮の一室は変わらない。

「陛下に、王子とオーロラの式の日取りを早めて貰うつもりだ」

「・・・・」

「王冠を被るのは孫でも良いのだ」

「母君は如何なさいますか」

「産みの母と、育ての母が別でもかまわない」

「オーロラ様は、丈夫ですから・・・・」

「そうだな」






 側妃は、窓から花園の中にあるガゼボを見つめる。

『側妃様、とても素敵なティーセットです。特にウサギさんと、狐さんの絵柄がとても好きです』

銀髪の美しい幼女が、目をキラキラさせながら茶器を見詰めている。

『アルバニアよ、そなたが大きくなったら下賜してあげます』

『うゎー!ありがとうございます』

それは、過去の美しい思い出。



 「処で、側妃様。隠し通路に有ったかもしれない宝とは、どんな物だったのでしょう」

「さあな。宰相は悔しがっているが、無駄な事だ」

側妃は、美しい笑みで女官に語る。

「竜が寝床に持ち込んだ宝を、取り戻すなんて愚か者がする事だ」

「ご最もです」


女官は静かに、お茶の仕度を始める。

側妃は優雅な仕草で、長椅子に身をまかせる。

いつもの1日を、送るのだ。










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