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poison
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蜂の巣をつついた騒ぎ。そう、例えるならば、お祭りみたいだわ。
クスクス、普段取り澄ましている紳士淑女の乱痴気騒ぎね。
彼方の恰幅の良い紳士は、お菓子で口の中をいっぱいにしているの。
恐らく、あれが彼の本来の姿なんでしょうね。
令嬢を担いで逃げようとしている貴公子。
情熱的なのかしら?
ええ、皆様が楽しそうに見えてしまうのは私が狂っているのかしら。
王妃は、狂ったように弁明しようとしているわ。
大きな声で言ってやりたい『そいつは、胎児ごろしだと。自分の孫でも手に掛ける女よ』
髪を振り乱し涙を流しながら、あの女を・・・・。
苦しそうに、髪を振り乱しながら息子である王太子にしがみ付いているのよ。
そう、皆、疑心暗鬼の目で王妃を見ているの。
ねぇ、誰も助けてくれない何て苦しいでしょ。
御子は、私の御子はもっと苦しかったはず。
もっと・・・・もっと、苦しい・・・・。
「アルバニア、顔色が悪い」
お兄様・・・・ああ、私は一人では無いのだわ。
アルバニアは、ドレスを握り会場を見回す。
「お兄様大丈夫よ。皆様の楽し気な様子に当てられただけなの」
アルバニアは笑みを見せる。
「宰相閣下は忙しそうね。私達が帰る挨拶を受けてくれるかしら?」
「大丈夫、受けさせれば良いんだよ」
「カテリーナ嬢も無事に回収できたようですね」
アルバニアとヴァジールは、ニヤリと見詰め会う。
その頃、ウイルス宰相閣下はてんやわんやだ!
何せ、今日の茶会は高位貴族と高官を中心に招いているのだから。
言い換えるならば、国の中心人物達が揃っているのだ。
宰相は、王妃の狂乱を見据える。
「幽霊騒動の折りに、毒草を紛失したなんて何て事なんだ」
毒草が調合で良薬になる事などは知っている。
だからと言って、後宮で毒草を保持するなど問題外だ。
カテリーナ嬢の事が気になる。
王城での茶会で公爵令嬢が毒殺されるなんて、とんでもないことだ。
しかし、あの大きな振動はなんだったんだ。
宰相が混乱を静める為に指示を出していると。
「宰相閣下、私達は失礼しますわ」
アルバニアが宰相に声を掛ける。
「しかし、お話を・・・・」
「この人数に、この騒ぎ、静めるだけけでも大変でしょうね」
ヴァジールは宰相の声に被せるように発言する。
「何も、調書を受けない何て言いませんわ。後日、屋敷においで下さいませ。ついでに、我が家の御宝コレクションを披露いたしますわ」
アルバニアは、挑戦的に笑い掛ける。
そして、唇に、見せつけるように立てた中指を当てる。
アルバニアは、宰相の視線が中指に注がれると
「どうしましたの?」
アルバニアは、中指を立てたまま宰相の目と鼻の先に出す。
宰相は、怒り出しそうな自分を抑える。
「クスクス・・・・では、失礼しますわ。ご機嫌よう」
怒り?何だか解らない感情を抑えながら、宰相はテアルスティア侯爵家の一行が立ち去るのを見据える。
ただ、怒り?と羞恥?が沸き上がるのだ。
マナー違反?いや、違う。だが、とてもバカにされた気分なのだ。
アルバニアの中指の爪には、ニコちゃんマークが書かれていたからだ。
帰りの馬車の中で、お兄様と爆笑したわ。
宰相の顔ったら、傑作だったわ!
クスクス、普段取り澄ましている紳士淑女の乱痴気騒ぎね。
彼方の恰幅の良い紳士は、お菓子で口の中をいっぱいにしているの。
恐らく、あれが彼の本来の姿なんでしょうね。
令嬢を担いで逃げようとしている貴公子。
情熱的なのかしら?
ええ、皆様が楽しそうに見えてしまうのは私が狂っているのかしら。
王妃は、狂ったように弁明しようとしているわ。
大きな声で言ってやりたい『そいつは、胎児ごろしだと。自分の孫でも手に掛ける女よ』
髪を振り乱し涙を流しながら、あの女を・・・・。
苦しそうに、髪を振り乱しながら息子である王太子にしがみ付いているのよ。
そう、皆、疑心暗鬼の目で王妃を見ているの。
ねぇ、誰も助けてくれない何て苦しいでしょ。
御子は、私の御子はもっと苦しかったはず。
もっと・・・・もっと、苦しい・・・・。
「アルバニア、顔色が悪い」
お兄様・・・・ああ、私は一人では無いのだわ。
アルバニアは、ドレスを握り会場を見回す。
「お兄様大丈夫よ。皆様の楽し気な様子に当てられただけなの」
アルバニアは笑みを見せる。
「宰相閣下は忙しそうね。私達が帰る挨拶を受けてくれるかしら?」
「大丈夫、受けさせれば良いんだよ」
「カテリーナ嬢も無事に回収できたようですね」
アルバニアとヴァジールは、ニヤリと見詰め会う。
その頃、ウイルス宰相閣下はてんやわんやだ!
何せ、今日の茶会は高位貴族と高官を中心に招いているのだから。
言い換えるならば、国の中心人物達が揃っているのだ。
宰相は、王妃の狂乱を見据える。
「幽霊騒動の折りに、毒草を紛失したなんて何て事なんだ」
毒草が調合で良薬になる事などは知っている。
だからと言って、後宮で毒草を保持するなど問題外だ。
カテリーナ嬢の事が気になる。
王城での茶会で公爵令嬢が毒殺されるなんて、とんでもないことだ。
しかし、あの大きな振動はなんだったんだ。
宰相が混乱を静める為に指示を出していると。
「宰相閣下、私達は失礼しますわ」
アルバニアが宰相に声を掛ける。
「しかし、お話を・・・・」
「この人数に、この騒ぎ、静めるだけけでも大変でしょうね」
ヴァジールは宰相の声に被せるように発言する。
「何も、調書を受けない何て言いませんわ。後日、屋敷においで下さいませ。ついでに、我が家の御宝コレクションを披露いたしますわ」
アルバニアは、挑戦的に笑い掛ける。
そして、唇に、見せつけるように立てた中指を当てる。
アルバニアは、宰相の視線が中指に注がれると
「どうしましたの?」
アルバニアは、中指を立てたまま宰相の目と鼻の先に出す。
宰相は、怒り出しそうな自分を抑える。
「クスクス・・・・では、失礼しますわ。ご機嫌よう」
怒り?何だか解らない感情を抑えながら、宰相はテアルスティア侯爵家の一行が立ち去るのを見据える。
ただ、怒り?と羞恥?が沸き上がるのだ。
マナー違反?いや、違う。だが、とてもバカにされた気分なのだ。
アルバニアの中指の爪には、ニコちゃんマークが書かれていたからだ。
帰りの馬車の中で、お兄様と爆笑したわ。
宰相の顔ったら、傑作だったわ!
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