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poison
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会場を静かに見渡す。国王と王妃は同じテーブルにいるわね。
第一側妃、第二王子、婚約者のオーロラ、側妃様の兄君とご婦人。
カローラ公爵家の御令嬢のカテリーナ様。
カテリーナ・フォン・カローラ公爵令嬢、彼女と私は不思議な縁で繋がっている。
彼女も、私と同じように王族の側室となる運命の人だったわ。
私が王太子殿下の側室の時に、彼女は第二王子殿下の側室。
私が第二王子殿下の側室の時には王太子殿下の側室になるの。
公爵令嬢の彼女が第二王子殿下の側室と聞き、怪しむ人もいるかも知れない。
彼女には、貴族の令嬢として傷物扱いされる理由があったの。
それは・・・・。
お茶会は、和やかな雰囲気で進んでいったわ。
腕に自信が有るご婦人のバイオリンの演奏に、詩の朗読。
時間的にも終盤に掛かってきたの。
ガチャン!「キャー!」ガチャガチャ!!
第二王子殿下達がいるテーブルから悲鳴が上がったり、物が割れる音がしたのよ。
そして、激しい揺れが辺り一面を襲ったの。
大変よ、後宮のほうからは薬品のような匂いと煙がモクモクと出ているの。
第二王子のテーブルを担当していたメイドは、極度の緊張に襲われた。
王城に勤めている事で、高価な品物を扱う事は今までも有りましたが、今日扱う品は一際高価である事は素人の私でも解りました。
ただでさえ、高価な物を扱い緊張しているのに雰囲気が怖いんです。
噂で聞いた話なんですが、今日は顔合わせも兼ねているみたいなんですよ。
カテリーナ公爵令嬢が第二殿下の側室になるとか、ならないとか。
でも、王子殿下の婚約者様は元は男爵令嬢だったはずです。
噂で聞いたんですが、カテリーナはお嫁に行ける身ではないそうです。
それは・・・・。
確かに致命的ですよね。
それでも、婚約者のオーロラ様からは不の空気がただ漏れです。
そんな時です、カテリーナ様がケーキを口に運んだとたんに血を吐きながら倒れたんです。
どうしましょう。
私が怪しいって思われてしまいます。
「私・・・・私では有りません」
カテリーナが倒れた時、隣のテーブルに居た王太子は母親である王妃を見た。
「まさか、まだ薬草を処分してなかったのですか」
そう、先日の幽霊騒ぎでキースが王妃の部屋から回収したのは毒の有る薬草なのだ。
薬草が盗まれた事に気付いた王妃は、王太子にのみ相談したのだ。
「私ではありません」
王妃は賢明に否定する。
事実、王妃は盗難事件の後、薬草と調合に関わる物を全て処分したのだから。
「大変です!後宮から火が出ました!」
衛兵が怒鳴りながら駆け込んできた。
周辺には異臭が漂う。
「まるで、毒草が燃える匂いね」
少女の声が聞こえる。
恐怖とは感染するものだ。
多数の人間がざわめき、不安の声が上がる。
「煙を吸うと死ぬぞ!」「いやー!怖い!」
もう、何が本当か解らない騒ぎになる。
拍車をかけるように、後宮から毒々しい色の煙が上がっているのだ。
「煙が上がっているのは、王妃様の宮の辺りかしら」
少女の声が再び聞こえてくる。
恐怖とは怖いのだ。集団心理が謙虚に表に出てくる。
多数の人間が王妃をみる。
「違う・・・・違うわ!」
そんな時、地面が揺れたのだ。
もう、蜂の巣をつついた状態になってしまうのは仕方ない。
第一側妃、第二王子、婚約者のオーロラ、側妃様の兄君とご婦人。
カローラ公爵家の御令嬢のカテリーナ様。
カテリーナ・フォン・カローラ公爵令嬢、彼女と私は不思議な縁で繋がっている。
彼女も、私と同じように王族の側室となる運命の人だったわ。
私が王太子殿下の側室の時に、彼女は第二王子殿下の側室。
私が第二王子殿下の側室の時には王太子殿下の側室になるの。
公爵令嬢の彼女が第二王子殿下の側室と聞き、怪しむ人もいるかも知れない。
彼女には、貴族の令嬢として傷物扱いされる理由があったの。
それは・・・・。
お茶会は、和やかな雰囲気で進んでいったわ。
腕に自信が有るご婦人のバイオリンの演奏に、詩の朗読。
時間的にも終盤に掛かってきたの。
ガチャン!「キャー!」ガチャガチャ!!
第二王子殿下達がいるテーブルから悲鳴が上がったり、物が割れる音がしたのよ。
そして、激しい揺れが辺り一面を襲ったの。
大変よ、後宮のほうからは薬品のような匂いと煙がモクモクと出ているの。
第二王子のテーブルを担当していたメイドは、極度の緊張に襲われた。
王城に勤めている事で、高価な品物を扱う事は今までも有りましたが、今日扱う品は一際高価である事は素人の私でも解りました。
ただでさえ、高価な物を扱い緊張しているのに雰囲気が怖いんです。
噂で聞いた話なんですが、今日は顔合わせも兼ねているみたいなんですよ。
カテリーナ公爵令嬢が第二殿下の側室になるとか、ならないとか。
でも、王子殿下の婚約者様は元は男爵令嬢だったはずです。
噂で聞いたんですが、カテリーナはお嫁に行ける身ではないそうです。
それは・・・・。
確かに致命的ですよね。
それでも、婚約者のオーロラ様からは不の空気がただ漏れです。
そんな時です、カテリーナ様がケーキを口に運んだとたんに血を吐きながら倒れたんです。
どうしましょう。
私が怪しいって思われてしまいます。
「私・・・・私では有りません」
カテリーナが倒れた時、隣のテーブルに居た王太子は母親である王妃を見た。
「まさか、まだ薬草を処分してなかったのですか」
そう、先日の幽霊騒ぎでキースが王妃の部屋から回収したのは毒の有る薬草なのだ。
薬草が盗まれた事に気付いた王妃は、王太子にのみ相談したのだ。
「私ではありません」
王妃は賢明に否定する。
事実、王妃は盗難事件の後、薬草と調合に関わる物を全て処分したのだから。
「大変です!後宮から火が出ました!」
衛兵が怒鳴りながら駆け込んできた。
周辺には異臭が漂う。
「まるで、毒草が燃える匂いね」
少女の声が聞こえる。
恐怖とは感染するものだ。
多数の人間がざわめき、不安の声が上がる。
「煙を吸うと死ぬぞ!」「いやー!怖い!」
もう、何が本当か解らない騒ぎになる。
拍車をかけるように、後宮から毒々しい色の煙が上がっているのだ。
「煙が上がっているのは、王妃様の宮の辺りかしら」
少女の声が再び聞こえてくる。
恐怖とは怖いのだ。集団心理が謙虚に表に出てくる。
多数の人間が王妃をみる。
「違う・・・・違うわ!」
そんな時、地面が揺れたのだ。
もう、蜂の巣をつついた状態になってしまうのは仕方ない。
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「令嬢の願い」新連載を初めました。
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