侯爵家の当主になります~王族に仕返しするよ~

Mona

文字の大きさ
上 下
64 / 85
poison

5

しおりを挟む
 会場を静かに見渡す。国王と王妃は同じテーブルにいるわね。

第一側妃、第二王子、婚約者のオーロラ、側妃様の兄君とご婦人。

カローラ公爵家の御令嬢のカテリーナ様。



 カテリーナ・フォン・カローラ公爵令嬢、彼女と私は不思議な縁で繋がっている。

彼女も、私と同じように王族の側室となる運命の人だったわ。

私が王太子殿下の側室の時に、彼女は第二王子殿下の側室。

私が第二王子殿下の側室の時には王太子殿下の側室になるの。

 公爵令嬢の彼女が第二王子殿下の側室と聞き、怪しむ人もいるかも知れない。

彼女には、貴族の令嬢として傷物扱いされる理由があったの。


それは・・・・。


 お茶会は、和やかな雰囲気で進んでいったわ。

腕に自信が有るご婦人のバイオリンの演奏に、詩の朗読。


時間的にも終盤に掛かってきたの。


ガチャン!「キャー!」ガチャガチャ!!

第二王子殿下達がいるテーブルから悲鳴が上がったり、物が割れる音がしたのよ。


そして、激しい揺れが辺り一面を襲ったの。

大変よ、後宮のほうからは薬品のような匂いと煙がモクモクと出ているの。





 第二王子のテーブルを担当していたメイドは、極度の緊張に襲われた。


 王城に勤めている事で、高価な品物を扱う事は今までも有りましたが、今日扱う品は一際高価である事は素人の私でも解りました。

ただでさえ、高価な物を扱い緊張しているのに雰囲気が怖いんです。

噂で聞いた話なんですが、今日は顔合わせも兼ねているみたいなんですよ。

カテリーナ公爵令嬢が第二殿下の側室になるとか、ならないとか。

でも、王子殿下の婚約者様は元は男爵令嬢だったはずです。

噂で聞いたんですが、カテリーナはお嫁に行ける身ではないそうです。
それは・・・・。

確かに致命的ですよね。

それでも、婚約者のオーロラ様からは不の空気がただ漏れです。

そんな時です、カテリーナ様がケーキを口に運んだとたんに血を吐きながら倒れたんです。

どうしましょう。

私が怪しいって思われてしまいます。

「私・・・・私では有りません」





 カテリーナが倒れた時、隣のテーブルに居た王太子は母親である王妃を見た。

「まさか、まだ薬草を処分してなかったのですか」


そう、先日の幽霊騒ぎでキースが王妃の部屋から回収したのは毒の有る薬草なのだ。

薬草が盗まれた事に気付いた王妃は、王太子にのみ相談したのだ。

「私ではありません」

王妃は賢明に否定する。

事実、王妃は盗難事件の後、薬草と調合に関わる物を全て処分したのだから。




「大変です!後宮から火が出ました!」

衛兵が怒鳴りながら駆け込んできた。

周辺には異臭が漂う。



「まるで、毒草が燃える匂いね」

少女の声が聞こえる。

恐怖とは感染するものだ。

多数の人間がざわめき、不安の声が上がる。

「煙を吸うと死ぬぞ!」「いやー!怖い!」

もう、何が本当か解らない騒ぎになる。

拍車をかけるように、後宮から毒々しい色の煙が上がっているのだ。


「煙が上がっているのは、王妃様の宮の辺りかしら」

少女の声が再び聞こえてくる。

恐怖とは怖いのだ。集団心理が謙虚に表に出てくる。

多数の人間が王妃をみる。


「違う・・・・違うわ!」


そんな時、地面が揺れたのだ。

もう、蜂の巣をつついた状態になってしまうのは仕方ない。





しおりを挟む
「令嬢の願い」新連載を初めました。
感想 87

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

処理中です...