侯爵家の当主になります~王族に仕返しするよ~

Mona

文字の大きさ
上 下
52 / 85
笑う当主と踊る幽霊

20

しおりを挟む
 カラ~ン、コロ~ン、王都の処刑場が開かれる合図の鐘が鳴るわ。


ギルバートも、処刑台に立つのね。

「アルバニア、見に行きたかったかい」

お兄様の問いに、首を横に振る。


 もし、彼が貴族の立場で処刑されるなら非公開の場所で、ギロチンか毒杯で処刑されたのでしょうね。


今の彼の立場は平民の為、公開処刑となるわ。

月に一度だけ、公開処刑が観衆の元で施行されるの。

処刑がある日の処刑場には、沢山の屋台等が出店される。

さながら祭りの様な空気になるのよ。

祭りの様な騒ぎの中を、彼等は引き回され処刑台に登るの。


処刑台に上がった彼等は、胡座を強制され縄で固定される。


固定された彼等の回りを、斧を持った数人の処刑人が賑やかな音楽に載り、練り歩く。

結構シュールな感じよね。

だって、処刑人の斧からは血が滴り落ちているんですもの。


《ザクザク!》シュワッー。

処刑される彼等は、自分の処刑される順番は解らないの。

所詮、処刑人の気分しだいなのだから。


 この世界の連絡手段は、私が日本人と生きていた時に比べると格段に劣っている。

だからこそ、処刑を見世物にし罪に対する恐怖を教える。

同時に、不満が多く娯楽が少ない社会の捌け口になっているわ。



 処刑を利用しなくても大丈夫な社会を築きたい。
直ぐには無理でもね。

見に余る志しかもしれない。

でも、少しの教育と夢だけでも社会は変わる筈。




 カラ~ン、コロ~ン。

王都に、処刑が終わった合図の鐘の音が響く。

人々の熱狂の中で彼は、処刑台の露として消えたのでしょう。

殿下とオーロラは親しい人の死をどのように見送ったのかしら。




 『月の夜の物語』のカーテンコールは、ギルバートの処刑を告げる鐘の音で終わりを告げたわ。

大円団、拍手喝采になったかしら。









 考え事をして、冷えきった指先に温もりが重ねられた。

「お兄様」

私が成人する17才までは『お兄様』でいてくれる。
お兄様から提案が会ったの。

私が17才になったら名前で呼ぶのよ。

『ヴァジール、貴方が・・・・です』



 「アルバニア様ヴァジール様、お茶を御用意しました」

マリアが、私の好きな紅茶を用意してくれた。

「それにしても、美しいカップですね」
マリアは、ため息を付く。

ええ、そうでしょうとも。

この肌触り、繊細な絵付け。

ある場所で見つけた、副産物。


「マリアが嫁入りする時には、劣らない物を持たせてあげるわ」

マリアは、静かに首を振る。

それは、無邪気な当主に対する呆れなのか、何かしらの信念があるかは・・・・まだ、秘密だから。






しおりを挟む
「令嬢の願い」新連載を初めました。
感想 87

あなたにおすすめの小説

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

【書籍化・取り下げ予定】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない

曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが── 「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」 戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。 そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……? ──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。 ★小説家になろうさまでも公開中

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

処理中です...