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笑う当主と踊る幽霊
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コツコツ、コツコツ、石畳を歩く音が響く通路を二人の男が歩いている。
これは、王太子執務室で、王太子と新宰相が話してる頃の出来事。
「この様な隠れ通路が有るなんて。これはアルバニアからの情報だったな」
ヴァジールは、辺りを見回しながらキースに尋ねる。
「ああ、王子妃教育の時に知ったらしい。何でも、廃棄予定の書物を手に入れたらしい」
「忘れられた隠し通路か。幽霊には、お似合いだな」
「俺の、アルバニア凄い何て思ってるんだろう」
キースは、ヴァジールをからかうような台詞を吐く。
「当たり前だ!何が面白いんだ」
真顔で返すヴァジールにキースは、ため息を吐く。
ヴァジールにしろアルバニアも、スペックは悪くない。
しかし、恋愛沙汰になると話が違う。
10歳児の子供のほうが上手くこなしているだろう。
ヴァジールは、アルバニア欠乏症の時期が長すぎた。
アルバニアは、第二王子の婚約者候補の時期が長すぎた。
『もしかして、二人して初恋』
「うっ、キモい!重い!」
《ガシッ!!》
「痛いだろう!」
遠慮を知らないヴァジールなのだ。
「お前、何をしているんだ。さっさと案内しろ」
キースは、心の中で唾を吐きながら再び石畳に足音を響かせながら歩き始める。
ヴァジールとキースが暫く狭い通路を歩き続けると、キースが歩くのを止める。
「ここだ。先客が居るみたいだ」
小さな空気穴からだろう、頑丈な石壁の向こうから話し声が微かに聞こえてくる。
「ギルバート・・・・ど・・・・」
「ウッ・・・・ウッ・・・・」
微かに聞こえる問いかけ。
しかし、それに反応するのは家畜の鳴き声に似た者でしかない。
少し待つと話し声は止み、遠ざかって行く足音が確認でき、キースはゆっくりと石壁の一部を回転させる。
キースとヴァジールは速やかに隠し通路から出ると、目的の場所へと足を進めるのだ。
鉄錆びと肉が腐る匂い、うめき声の合間に聞こえる恫喝。
キースとヴァジールが、隠し通路を使い侵入したのは城の地下牢。
ある人物に会うために。
「あッはッ、あッはッ・・・・ひっひっひー」
二人は、人らしき生物を牢の冊の向こうに確認する。
「ヴァジールこれはもう駄目だ」
キースは、頭を掻きながら告げる。
「いいから、さっさとやれ」
キースとヴァジールが居るのは、ギルバートが収監されている牢の前だ。
先程の話し声は、恐らくだが第二王子だろう。
まともな会話等はできていない筈だ。
例えるなら、落武者。
それほどに、ギルバートはひどい有り様なのだ。
「随分と痛められてるな」ヴァジールは他人事の様に呟く。
「まあな、平民が城に侵入し王族に剣を向けた事になるんだからな」
そう、前宰相が事件当日に、法務部のジェラール室長の元を訪れていた事を覚えてるだろか。
あの時の書類は、宰相家からの放逐何て甘い者ではない。
親子関係事態の否定。
簡単に説明するなら、我が家にそんな子は元々いませんでした。
「宰相家は、ギリギリの所で助かったか」
ヴァジールは、忌々しそうな態度を隠さない。
「もし、手続きが間に合わなかったら前宰相も今頃は牢の中、家族は奴隷堕ちだったな」
キースは、自分の不手際に残念がる。
正直、そこまで手が回らなかったのだ。
何せ、事件当日のキースは猫の手があっても大変だったのだから。
もし、キースが妨害工作をしていたら。
親子揃って、牢の中の人だっただろう。
「では、お前に名誉挽回のチャンスをやろう」
ヴァジールは、悪い笑顔で笑う。
これは、王太子執務室で、王太子と新宰相が話してる頃の出来事。
「この様な隠れ通路が有るなんて。これはアルバニアからの情報だったな」
ヴァジールは、辺りを見回しながらキースに尋ねる。
「ああ、王子妃教育の時に知ったらしい。何でも、廃棄予定の書物を手に入れたらしい」
「忘れられた隠し通路か。幽霊には、お似合いだな」
「俺の、アルバニア凄い何て思ってるんだろう」
キースは、ヴァジールをからかうような台詞を吐く。
「当たり前だ!何が面白いんだ」
真顔で返すヴァジールにキースは、ため息を吐く。
ヴァジールにしろアルバニアも、スペックは悪くない。
しかし、恋愛沙汰になると話が違う。
10歳児の子供のほうが上手くこなしているだろう。
ヴァジールは、アルバニア欠乏症の時期が長すぎた。
アルバニアは、第二王子の婚約者候補の時期が長すぎた。
『もしかして、二人して初恋』
「うっ、キモい!重い!」
《ガシッ!!》
「痛いだろう!」
遠慮を知らないヴァジールなのだ。
「お前、何をしているんだ。さっさと案内しろ」
キースは、心の中で唾を吐きながら再び石畳に足音を響かせながら歩き始める。
ヴァジールとキースが暫く狭い通路を歩き続けると、キースが歩くのを止める。
「ここだ。先客が居るみたいだ」
小さな空気穴からだろう、頑丈な石壁の向こうから話し声が微かに聞こえてくる。
「ギルバート・・・・ど・・・・」
「ウッ・・・・ウッ・・・・」
微かに聞こえる問いかけ。
しかし、それに反応するのは家畜の鳴き声に似た者でしかない。
少し待つと話し声は止み、遠ざかって行く足音が確認でき、キースはゆっくりと石壁の一部を回転させる。
キースとヴァジールは速やかに隠し通路から出ると、目的の場所へと足を進めるのだ。
鉄錆びと肉が腐る匂い、うめき声の合間に聞こえる恫喝。
キースとヴァジールが、隠し通路を使い侵入したのは城の地下牢。
ある人物に会うために。
「あッはッ、あッはッ・・・・ひっひっひー」
二人は、人らしき生物を牢の冊の向こうに確認する。
「ヴァジールこれはもう駄目だ」
キースは、頭を掻きながら告げる。
「いいから、さっさとやれ」
キースとヴァジールが居るのは、ギルバートが収監されている牢の前だ。
先程の話し声は、恐らくだが第二王子だろう。
まともな会話等はできていない筈だ。
例えるなら、落武者。
それほどに、ギルバートはひどい有り様なのだ。
「随分と痛められてるな」ヴァジールは他人事の様に呟く。
「まあな、平民が城に侵入し王族に剣を向けた事になるんだからな」
そう、前宰相が事件当日に、法務部のジェラール室長の元を訪れていた事を覚えてるだろか。
あの時の書類は、宰相家からの放逐何て甘い者ではない。
親子関係事態の否定。
簡単に説明するなら、我が家にそんな子は元々いませんでした。
「宰相家は、ギリギリの所で助かったか」
ヴァジールは、忌々しそうな態度を隠さない。
「もし、手続きが間に合わなかったら前宰相も今頃は牢の中、家族は奴隷堕ちだったな」
キースは、自分の不手際に残念がる。
正直、そこまで手が回らなかったのだ。
何せ、事件当日のキースは猫の手があっても大変だったのだから。
もし、キースが妨害工作をしていたら。
親子揃って、牢の中の人だっただろう。
「では、お前に名誉挽回のチャンスをやろう」
ヴァジールは、悪い笑顔で笑う。
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