侯爵家の当主になります~王族に仕返しするよ~

Mona

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笑う当主と踊る幽霊

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 『かつては神々の箱庭だった土地・・・・清き、乙女が新たな王を生む物語』

転生前、日本人として生きていた頃に読んだ恋愛小説は、第二王子とオーロラの婚約発表で終わる。


 物語の内容は、騎士に憧れた田舎の男爵令嬢が性別を偽り少年として王都の学園に入学をする。

物語の期間は学園での2年間。

その2年間の間にトラブルに巻き込まれたり、冒険をしながら王子と男爵令嬢は心を通わせ恋に堕ちる。

彼等が学園に通っている頃を調べて貰ったの。

物語の中では、王子を襲った刺客からオーロラが身を持って庇い後に刺客はオーロラの清らかな心にひかれオーロラの仲間になる。

課外授業で郊外に行き、ダンジョンを見つけて攻略する。

裏社会のボスと対決。

王宮での幽霊騒動。

等々、波乱万丈の学園生活を送るの。

調べた事によれば、実際の学園生活ではそんな事は起きていない。

勿論、詳細なトラブルは起きていたみたいね。

田舎の男爵令嬢が男装して学園に通うんですもの。
トラブルが起きない方がおかしいわ。

サイラスお兄様が荒野に向かう前に聞いた話とも合致する。

ただ、ラッキースケべ的な出来事はあったみたい。
サイラスお兄様は、頬を染めながら話してくれたの。

少々のトラブルとラッキースケベなイベント。

それだけでも彼等には刺激的だったのかもしれない。
 

ただ、全てが架空ではなかった。

王子を狙う刺客。特徴がキースに似ていたから聞いてみたの。

「学園で王子殿下達と、トラブルを起こした事はあった?」

「有るよ。サイラスの実父の使いでサイラスに届け物をした事があったんだが、サイラスが恥ずかしいぐらいに腑抜けになっていたから少し揉めた」

キースがサイラスを諌めている時に、オーロラが乱入したらいの。

「君も今日から仲間になればいいんだ」

そんなふうな事を、最後に言われたらしわ。

課外授業先でのダンジョン攻略。

課外授業で鍾乳洞に行ったらしいから、その事ね。
鍾乳洞でオリエンテーションをしたらしいから。

裏社会のボスとの対立。

人相が悪いマスターが居る酒場に、殴り込みに行ったみたい。
営業妨害で訴えられていたわ。

調査書を読んでいるだけで、私が恥ずかしくなってくる。

でも、全てが架空では無い。

 物語の中では一年目の夏、城に招かれたオーロラが幽霊騒動に巻き込まれる。

幽霊騒動を起こすのは第2王子の婚約者候補。

アルバニア・フォン・テアルスティア。
私なの。

勿論、私はそんな事をしていないし、できるわけが無い。

どのループでもね。

今回、我が家で起こした幽霊騒ぎの費用と人材は、令嬢個人で賄えるものではないのだから。

だから、どのループでも幽霊騒ぎのイベントは起こっていない。

でもね、私は知っていたの。

三回・・いいえ、今回も入れたら4回のループでは
王子妃教育で城の隠れ通路を教えて貰っていたの。

特に、王太子の御子を身籠った時は、私専用の通路が用意されたの。

でも、隠し通路の事は、一部の人達は知っているわ。

今回、私が提供した情報は、今までのループで知り得た隠し通路と、小説の中に書かれている忘れられてしまった古い時代の隠し通路。

親切に、小説には見開きで隠し通路のページが合ったから記憶に残っていたわ。

我が家の幽霊さん達は、城の隠し通路を網羅して活動していたの。




 小説での彼等は、偽幽霊を追いかけているうちに、忘れられた隠し通路に迷い混む。

しかし、オーロラだけ彼らからはぐれてしまうの。

そして、回転扉で隠されていた小部屋をみつける。

そこには、大層な御宝の山が有るのよ。

でも彼女は、宝の山には一瞥もしないで小さな宝箱
を手に入れるの。

それは、・・・・。

 『そして、その宝箱は私の元に有るわ』どうしても必要だから。

私は、未来に進みたいの。


この宝箱を開けるには、決められた時期と特別な手順が必要になる。

だから、宝箱の中身が私が考察するものか答えを合わせる事ができない。

 ちなみに、幽霊騒動を起こしたアルバニアは彼等に泣きながら詫びを入れるの。

もし、私の前に例の小説のがあったら、間違いなく焚書にしているわ。

 








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「令嬢の願い」新連載を初めました。
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